町田康のレビュー一覧

  • ゴランノスポン(新潮文庫)

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    町田康の小説は、その他大勢の群衆に埋もれて生きるひとの決して尊くない哀しみが、ぱっと見、明らかに哀しいのに読めば読むほど哀しみに思えず、哀しみであることを忘れさせる。
    ページを閉じたあと、もやもやとした形で「哀し…」と脳内を哀しみのもやもやで薄く埋め尽くす、その清々しい脱力というか諦念が堪らない。
    そして、でも結局はフィクションなんだよなと、心置きなく離れられる軽さ。
    丁度よい悲壮。
    短編小説だからこその軽さであって、長編小説では、拭っても拭いきれない後味が残る。
    それはそれで、またいいんだけれど。

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    2016年11月06日
  • 実録・外道の条件

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    ネタバレ

    これ、小説っていうか、実話体験エッセイよね?ホンマにあった話、町田さんが実際に経験しちゃったノンフィクションやろうなあ、きっと。

    という感じの、実話モノ、って言ったらいいんでしょうかね。でも、一応、小説の体裁。で、バッチバチおもろいです。

    全4編の短編集なのですが、それぞれ、1995年5月~1998年7月、まで、日付が付記してあるので、この時期に、町田さんは、こんなにとんでもねえ目にあってたんだなあ、とか思う次第ですね。ホンマに、ご本人にどれだけ大変だったのか、質問してみたいですね、うんうん。

    で、まあ、芸能界という世界には、とんでもねえ外道なかたがたが、たっくさんたっくさんいるんだろう

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    2016年11月02日
  • 夫婦茶碗

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    ネタバレ

    『夫婦茶碗』
     働かないと金がない。金がなければ夫婦の会話が成り立たない。会話がなければうるおいがない。高度資本主義の社会では、働かない男は人間ではないとも言えるような世知辛い話である。
     主人公の男はある日一発逆転の活路を見出す。ずばりメルヘン執筆。メルヘン業界への参入。メルヘン作家になってこます。小熊のゾルバの冒険物語、構想段階でえらいことになっていき、文字を追うわたしの頭もグラグラしてくる。
     夫婦茶碗に茶柱を立ててこます。

    『人間の屑』
     演劇→パンクロッカー→ニート(愛猫家)→ヒモ→餃子屋(売れない)→うどん屋→ナイトクラブ(アナルインパクト)→港湾労働者→・・・
     金に女にドラッ

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    2016年10月26日
  • 猫にかまけて

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    これは、猫を飼ったことのある人なら特に好きになざるをえない本じゃないかな。
    そして笑いと涙なしでは読めない本だなぁ。

    そうそう猫ってそういうことするよね、と笑いがこみあげてきてしまう。声出して笑っちゃったよ。
    昭和調な文体も、町田さんが聞こえてる猫の声も、全てがあたたかくて、面白くて、なんだか一緒に見守ってるお母さんのような気持ちにさせる。

    でも、動物と生きることで必ずぶちあたる葛藤も赤裸々に、直球に綴られている。心臓がわしづかみにされたんじゃないかって位苦しくなって、泣いてしまったよ。

    良い本だった。

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    2016年09月01日
  • きれぎれ

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    初めて読んだ夫婦茶碗に比べて強烈で、特に人生の聖はついていけないかも、とも感じたが、何れにせよ、凄い作家だと改めて思いました。

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    2016年08月25日
  • パンク侍、斬られて候

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    独特な世界観。
    時代設定は昔だけれど、言葉遣いが現代のギャップがおもしろい。
    自分が見ている世界は真実なのか?

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    2016年06月24日
  • 真実真正日記

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    ”世間の人は本当のことを知りたがり、世の中には本当風のことが溢れている。でもそれらは全部嘘、単純なストーリーだ。人々は本当に本当のことは知りたがらない。なぜなら本当のことは疲れるし、本当の本当のことは誰にもわからないから。”

    再読

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    2016年06月18日
  • くっすん大黒

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    ネタバレ

    『告白』で知った町田氏。
    『告白』は読みきってはおりませんが、他の作品は読みおえたことがあり、その独特のユーモアのセンスがなんだか癖に。
    こちらの『くっすん大黒』にもにやにやさせられっぱなしでした。
    男女差別をするのはあれですが、ユーモアたっぷりの独特の発想は男性ならではのものだなぁと思わせられます。
    内容はこってりとしているのにあっさりと読み終えられる。
    そんな1冊。
    個人的に面白おかしい小説を読みたくなったら、森見氏、万城目氏、町田氏を選ばせて頂きます。
    町田氏、次は『告白』を読みきるのが目標です。

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    2023年10月26日
  • パンク侍、斬られて候

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    パンク侍ということで、すごく会話が現代に近いのだが、あとからあとから話が訳分からなくなる。主人公を訳分からなくなってる。だからいいのかも。

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    2016年04月24日
  • 日本霊異記/今昔物語/宇治拾遺物語/発心集

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    町田康、いらない文章が散見。覚める部分。不必要な敬語とか。バランスが大事。彼はしょせん自意識の病の中にある。
    その上で、「陰茎を検査した半裁」「鐘を打たせようとした話」「娘婿の変態行為の話」は格別に面白い。

    しかし福永武彦の訳は端正で美しい。
    天狗に狂った染殿の后の話は、鬼が白昼堂々と侵入し、夫の目の前で淫行に至る描写が生々しく恐怖。

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    2016年03月16日
  • 猫とあほんだら

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    猫エッセイ第3弾。前作につづいてまた増えていく猫、亡くなる猫が登場。

    今度は伊豆に猫ともども引っ越し、また新しい猫(パンクとシャンティー)を拾う。

    読みやすくてあっという間に読み終わった。

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    2016年01月26日
  • スピンク合財帖

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    「スピンク日記」の続編です。スピンクとキューティーのほかにシードが加わり、ほのぼのかつドタバタな毎日が続いていきます。事件は数多あるのですが、事件の詳細よりもその際の主人ポチの様子などが仔細に語られていて、さすが犬は主人をよく見ているなと思わされます。犬のほうが優れていると言いたいわけではなく、どちらかといえば相対化している印象。スピンクがトレーニングに行くくだりではそれが崩れるかと思いきやそうはならず、ホッと胸をなで下ろしました。犬も人間もほかの生き物たちも、みな精一杯生きている。生きることはただただ素晴らしい。そんな生き物讃歌だと思いました。

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    2016年01月15日
  • 猫のあしあと

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    保護団体から預かった猫のウメチャン、13年一緒に暮らしたゲンゾーが死んでしまった。

    愉快な猫エッセイかとおもいきや、前著「猫にかまけて」でも22年一緒に暮らしたココアが死んでしまうなど、このシリーズは猫の死が多く、面白い話も多いけれど大変に悲しい気持ちにもなる。がやっぱり続編が読みたい。

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    2016年01月06日
  • パンク侍、斬られて候

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    ネタバレ

    『口から真っ青な空を吹いた。』
    『美しく、嘘そのものであった。』

    デタラメで嘘ばかりな物語りを、きゅっと締める絶妙な最後の一文。

    時代小説と見せかけて近代日本を言いえて絶妙に描写、きっと現代のどの世代が読んでも共感できる一文があるのでは。

    虚妄の世界を徹頭徹尾描いてるだからこそ、最後のろんが言う『こんな世界だからこそ絶対に譲れないことがあるのよ』が最高に説得力を持って響く

    「なぜみんなこんなに簡単に信用するのでしょう」
    「やつらはそれが合理的だから信じるんじゃない。自分が信じたいから信じるんだ。」

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    2024年02月06日
  • 夫婦茶碗

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    # 夫婦茶碗

    ## 夫婦茶碗
    働かない、働いてもすぐやめる、どうしようもないダメ人間の話。統合失調症か?と思うほど幻覚のようなわけのわからない描写がよくでてくる。一人称がわたしになったり僕になったりするのは何か意味があるのか。最後の茶柱のシーンで妻のことを気遣っているのかと思わせるが、本文中からはとてもそうは読めない。

    ## 人間の屑
    こちらもダメ人間の話だが、妙に活き活きしている。演劇、バンド、餃子なんでもすぐやめるが、とにかく止まることなく動き続けるところは、その辺のニートなんかよりよっぽどマシに思えてしまう。身ごもった女を置き去りにしたり、覚せい剤に手を出したりは、論外だけど。しかし

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    2018年11月04日
  • この世のメドレー

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    余と快君の屁理屈の嵐に爆笑。双方共にひねくれまくっているので論破するのは困難だろう(笑)どつぼ超絶の余シリーズ続編

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    2015年12月24日
  • どつぼ超然

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    作者の分身?的な「余」が綴る、街の散策日記的内容。町田康の頭の中はこんなに忙しいのか、面白い。脱線しまくり言い訳しまくり。

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    2016年05月19日
  • 浄土

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    不気味なんだけど笑える。
    突飛なんだけどリアル。
    ずるずる引きずり込まれること必至の町田康ワールド。

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    2015年12月03日
  • 耳そぎ饅頭

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    みんながみんな右にならえの全体主義はゆるせねえ
    人は自由だ
    俺は俺の歌を歌う、みんな俺の歌を聞けー!って
    なんかおかしくないですか
    みんなが同じ歌を聞いたら全体主義じゃないですかって
    そんな自己矛盾に目覚めてしまった
    ロックスターの悲劇いまここに

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    2015年11月20日
  • 人間小唄

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    最初はその世界観に慣れるまで苦労したが、その後はもう転げ落ちるように小説に引き込まれていく。絶望的で絶対的で不条理な設定なのだけれど、町田康の語り口がそれを隠すように軽い雰囲気で進んでいく。
    やみつきになるというよりも、読んでいる時だけ浸っていたい。ずっとだと胃がもたれそうで、良い意味で濃すぎる味付け。ハマる人はメチャクチャにハマるでしょうが。

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    2015年11月09日