町田康のレビュー一覧
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芥川賞作家・町田康氏を飼い犬であるスピンクの目から描いたエッセイ集です。作家の日常とかわいい犬たちの掛け合いが面白いのと、「命」と言うものに向き合うと言うことを教えられます。
町田康さんが飼っているスタンダードプードルのスピンク。彼が「主人・ポチ」と言ってその目線でつづられる日常です。かねてからこの本をずっと読みたかったので 今回手に入ってうれしい限りです。
スピンクのこともいいのですが、個人的にはスピンクの兄弟犬であるキューティー・セバスチャンのことのほうにどうしても目が行ってしまいました。
彼はいろいろと複雑な経緯で飼い主とブリーダーの間をたらいまわしにされて、主人・ポチこと -
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『目を覚ましたらブラインドから縞の光が差しこんでいた。
素晴らしいことだと思う。
太陽が僕たちに降り注いで生命が育つ。大地が潤う。そんななかで自然の一部として僕らは生きているんだ。そのこと自体がとてもありがたい。感謝。誰へ? すべてにだよ。すべてに感謝して生きていく。空に、海に、きみに、自分に。』
『それぞれがそれぞれとしてそこにある。それこそが素晴らしい。空が美しい。感謝。』
『それぞれがそれぞれであること。
それが一番大事だと思う。
それぞれが大事なのさ。』
『けど同じことなんだよ。だってこんなに心がひとつになってるじゃないか。同じ、同じなんだよ。それぞれがそれぞれにみな同じひとつの -
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「鶴の壺」
むかし一緒に暮らしてた女が死にかけてるらしい
というので見舞いに出向いたがなんだかんだあって引き返す
つるつるの壺はたぶん関係ない
「矢細君のストーン」
テレビ観戦で応援してたボクシング王者の敗北を機に
自らの石信仰をあっさり放棄するエキセントリック友人の話
「工夫の減さん」
ケチで怠惰な己の性格を満足させるために
様々な工夫を凝らしては
たいてい大失敗を繰り返す友人の話
「権現の踊り子」
承認欲求の多い料理店
悲惨な踊りとパワハラを見せられて逃げることができない
「ふくみ笑い」
現実と被害妄想の区別がつかなくなって
気づいたらおそろしい世界にトリップしてる
「逆水戸」
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<狂気のほむら>が大好きだった。以下抜粋。
最近では各家庭に炊飯器というものが普及して主婦の労働というものはよほど楽になったと思われるが、これがむかつく。~中略~ 黙って引き下がるのも口惜しいので、「この大馬鹿者」「野暮天」「てめえの面なんざぁ見たくもねぇんだよ」「死にやがれ、くそ野郎が」などと罵倒するのだけれども、敵は機械。自分の各種罵倒に対して、なんら反応を示すことはなく、ひたすら飯を炊き、これを保温し続けるのである。
中略~つまり、これを水着、というのであって、着物の名称としてこれほど珍妙なものはないということが知れるのである。だいたいにおいて、着物というものは水にぬれないという -
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夏目漱石の「坊っちゃん」は権力者たちの横暴に対し
正義感から怒りの鉄拳をくらわすが
しかし最終的には敗北して田舎町を追われ
東京へと帰っていったのであった
町田康の「へらへらぼっちゃん」は東京に住み
パンクを歌ったり映画に出たり面白エッセーを書くなどして暮らしている
一見、抑圧とは無縁のフリーダムな人生であるが
結局は社会人である、時には卑屈になるし、満員電車にも乗らねばならぬ
なにより生活が不安定だ
それらの鬱屈をはらすべく、頻繁に飲酒をおこなうのだが
酔っぱらうと生来の無鉄砲が顔を出し、損ばかりすることになると
そういうわけである
でもどうにかなる日々
これは小説家デビュー前後、新聞・ -
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古本で購入。
また町田康を読んでしまった。
読んでしまうのである。
「俺」の独白で語られる現実と思惑のズレ、齟齬スパイラル。
妄想と現実の境が曖昧なままに突っ走った果ての唐突な結末。
この唐突な、と言うより暴力的に話が断ち切られて終りを迎える感じが好きだ。
「でも人生ってそんなもんかも」などとわけのわからんことを思わせるような、無闇なパワーがある。
そのへんの感じは、特に『夫婦茶碗』(新潮文庫)に濃い。
ストーリーには爽やかさと言い感動と言い欠片もないのだけど、そのなまぐささとエグさが癖になる。
この本に収録されている連作(?)『人生の聖』なんて、キチガイじみていて意味はわからない。
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タイトルからしてエッセイかと思いましたけれども、実際は日記風の小説、といったところですかね。主人公はなんとなく町田氏を連想させますけれども、やっぱしフィクション上の人物なのであるからして、町田氏とは別の人物、と考えた方が吉かもしれないですね。
ヽ(・ω・)/ズコー
なんというか、平坦な日常の中にも時折見せる鬱屈とした感じが妙にリアルで、そういや、ボキもこういった気持ちになる時あんなぁ…みたいな共感・共鳴を呼んだのであるからして、少なくとも僕的には良作であった!
ヽ(・ω・)/ズコー
最近の著者の作品はエッセイみたいな小説が多い…という印象を僕は抱いているんですけれども、今作はその中 -
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『「猫の子をひろったので見に来て下さい。とても可愛い。名前をつけてください。今年の冬は厳しいキツイ、ピース」と書いており、ピースの後に、Vサインをする手の絵が書いてあった。減さんはたったこれだけのことを白紙に書き封筒に入れポストのところまで歩いていって投函したのだ。俺は減さんに電話をかけた。
「別に電話でもいいよ」』
『つまり貯蓄するためにいろいろの工夫をして節約するのだけれどもその工夫が一定の効果を上げぬため、精神が鬱屈・内向、これを散じるために入費がかかり、その入費が工夫によって節約した金高を常に上回っていたのであり、減さんが貧乏をしているのはなまじ貯蓄をしようとしたからであるといえるの -
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「パラ…、なんだいそりゃ?」と尋ねたのはのび太。それに答えたのはドラえもん。
「パラサイト」なんて言葉があるね。寄生って意味なんだけど、要するに独力では如何ともしがたい低級な能力しか持っておらぬ存在がために、より上級な存在におべんちゃらを使って、胡麻を摺り摺りして、ご厚恩にあずかるというか、ま、あずかるというよりも甘えるだよね、これは、うん、って違う違う、そげなこと、ドラえもんは答えていないよ。
じゃあ、「パラダイス」。楽園というか極楽というか。まあ、何かよくわからないけれど、とりあえずハッピーなんだよね。昔、スーパーファミリーコンピューターで『ワギャン・パラダイス』なるソフトがあって、ワ