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題名に「実録」とあって、更にあとがきでもデフォルメされ、また解説の松尾スズキも「これはほとんど実話をアレンジしたものであろうと推測される。」と指摘している通り、作者≒主人公が出くわしたエンタメ業界に巣くい善人に群がる外道たちの記録ともとれる傑作短編小説集。表面上は穏やかだが心の内では怨讐を露わに呪詛をパンキッシュに叫び続けるようなその独特且つ滑らかな文体にひたすら読み進むことができ、爆笑。このシニカルなユーモアのセンスがたまらないし、とにかく正しく弱き善人である主人公≒作者はそのエネルギッシュさを失うことなくこれからも戦ってほしい。
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この本、けっこう好きで再購入してしまった。過去に迷惑をかけられた個性的すぎる人物達の事を書いたほとんどエッセイのような本だ。デフォルメされているけど、こういう人っているよなと、面白い。また、この著者には珍しく、人間性や性格が垣間見える感じも面白い。わりと偏屈な人とお見受けした。
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独特な町田康節で、筆者が業界の困った人々に巻き込まれる様を描く。
「外道ども」に対する痛快な皮肉と、自虐的な滑稽さが味わえる。
さらに芸能の世界には有象無象(外道)が跋扈しているということを教えてくれる実用的な作品である、のかもしれない。
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世間には私も含めネジが何本か外れたような外道がいるわけだが、この本の著者が仕事の中で出会った様々な「外道」とのカラミとそこから考えることを綴ったエッセイ。地獄のボランティアには多くのことを考えさせられた。
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世間には私も含めネジが何本か外れたような外道がいるわけだが、この本の著者が仕事の中で出会った様々な「外道」とのカラミとそこから考えることを綴ったエッセイ。地獄のボランティアには多くのことを考えさせられた。
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大好きなエッセイの一つ。
この人も真面目でなかなか痛い人です。
でも、こんなに面白く日常を書けるのはやっぱり才能なんだろうか、それともこの人に特異な災難が降りかかってるだけなんだろうか。
松尾さんと同様そこが疑問。
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許さん。復讐の鬼と化した俺は三年間洞窟にこもって本稿を書き綴った−。
約束の場所に行ってもおらず、携帯に電話してもつながらない記者。
撮影現場で目もあわせず、紹介されても挨拶もろくにできないヘア&
メイク。などなど以下延々と続く。鞭無能な各種マスコミ、業界人へ
怒りの町田節!
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マーチダ節が素敵に炸裂しよる逸品ですな。久方ぶりの町田文章にヤラレタ。
その脳髄から紡ぎ出される意思・判断・言論が、コチラが何歩となく譲りまくっても歩み寄っても、まったくもって理解不能かつ、当の本人は真面目も真面目・大真面目に己の言動の正しさを信じて疑わないのだけども相手をするコチラとしては大迷惑な方々を総じて「外道」と称し、我らが町田康が、曇りなき眼でコレを見定め、其の上に、その方々の思考回路のなんたるかを我々に解る形で分析・解読・解説するとともに彼らの被害にことごとく遭い、苦悩し、心の悲鳴を上げ、理性的な判断を泣く泣く下し、何故だか独り損な役回りになっているのは何故だろう主人公であらせられるはずなのに、なぜ、なに、どーして。とまぁ、こんな感じの悩ましい文章を洗練して精錬したら、こうなる。みたいな一冊なのではないかな、と。
養老 孟司先生の『バカの壁』を、町田テイストに焼きなおした感じ、と表現してもよろしいかと。
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流れ流され、あっちうろうろこっちうろうろ。
シロート目から見て「勝ち組パンクス」だと思ってた町田康(しかもコワモテかと)ですら、こんないいように扱われてるんだと思うと、ますます真面目に仕事やるのが馬鹿らしくなります。
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これ、小説っていうか、実話体験エッセイよね?ホンマにあった話、町田さんが実際に経験しちゃったノンフィクションやろうなあ、きっと。
という感じの、実話モノ、って言ったらいいんでしょうかね。でも、一応、小説の体裁。で、バッチバチおもろいです。
全4編の短編集なのですが、それぞれ、1995年5月~1998年7月、まで、日付が付記してあるので、この時期に、町田さんは、こんなにとんでもねえ目にあってたんだなあ、とか思う次第ですね。ホンマに、ご本人にどれだけ大変だったのか、質問してみたいですね、うんうん。
で、まあ、芸能界という世界には、とんでもねえ外道なかたがたが、たっくさんたっくさんいるんだろうなあ、とか思う次第なのですが、そんな外道な人にとっては、多分、外道その人・自分自身こそが正常で、町田さんの方が「融通きかんおもろないヤツ。ちゃんと仕事してくれないヤツ」っていうように、映っているのでしょうねえ。「悪いのは俺じゃない。相手だ。ぜってえ。それはもう間違いないぜ」という思い。それは、とてつもなく、怖いものなのだなあ。
いやしかし、この世の中に、どれだけ沢山の人々が生きていることか。そんな世の中には、人間の数だけ真実があり、人間の数だけその人だけの価値観があるのだな。すっげえなあ、とか思いますね。なんだか、生きる勇気が湧いてくるのは、何故かしら。
まあとにかく、この小説も、いつもの町田節炸裂の素晴らしい文体ですので、面白い事は間違いない。ホンマ、すっばらしい文章だよなあ。
あと、町田さんの小説の登場人物、ものすっげえ適当な名前、っていいますか、普通、小説の登場人物にそんな名前つけませんでっしゃろ?っていうね、滅茶苦茶なネーミングセンスなのですが、小説の登場人物に、こんなハチャメチャな人名を名づける人って、町田さん以外知らないのですが、コレもある意味、町田さんの発明なんだろうか?だとしたら、ほんま、凄いお人やなあ、とね、思う次第です。
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基本、全ページに渡って"愚痴"なのだがオモロイ(笑) その目の付け所や、一般人の目線を保つ町田に対して"業界"という所の特殊さが浮き彫りで、その外道さに頭掻き掻き対処する自分は"下層エンターテイナー"であり、これまた外道だと見る客観性もオモロイ。それを表現するけったいな文章がまた最高!!
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主人公の名前は「マーチダ・コー」
職業はパンク歌手で作家。
自伝的な小説なのか、「マーチダ・コー」は町田康なのか…
っていう、主人公が作者本人と思わせるっていう小説のテクニックを知った思い出深い一冊。
周りに振り回されてごたごたなってぐちゃぐちゃんなるお話。なんだかいつも収拾つかない。
ところで表紙の町田康いけめんすぎ
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パンク歌手マーチダ・コーが見舞われた、業界外道どもとの齟齬の数々を活写した、短編小説。
フィクション。だったらいいな。であってほしいな。じゃないと怖すぎるものな。でも、嗚呼、多分半分以上実話なんだろうな。と、次から次に巻き起こる食い違いすれ違いコミュニケーション不全の嵐に戦慄。
松尾スズキが解説にて「ぬる~い悪夢」と表現しているのが言いえて妙。
自分の芸術的センスに自家中毒を起こしているとしか思えないアーティスト外道や、誇大妄想にどっぷり浸かってもはや現実が見えなくなっているプロデューサー外道などなど、とにかく芸能界とは恐ろしい所だべ。んだんだ。
「地獄のボランティア」における「ボランティア」考には大変に考えさせられた。いるよね、こういうボランティア。
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『しかしながらみんながみんなエンターテイナーになってしまっては国が立ちゆかないので、子供には家庭で学校で、アリとキリギリスの話をするなどして、ともすればエンターテイナーを目指そうとする子供に、そういう面白おかしい生活は人間としてはおろか、昆虫としても間違っているのだ、という教育を施し、一丸となって、子供のエンターテイナー化を防止してきたのだけれども、それがこのところおかしくなってきた。』
『確かに木原の話は魅力的である。がんがん宣伝をやってがんがんCDが売れれば、収入もがんがん、みんながんがん、わたしもがんがん、人生が明るく豊かになるに違いないのだけれども、ひとつ問題があるとすれば、木原の話にはなんの裏付けもない、ということである。』
『わたしは、出演料、印税、原稿料などによって生計を立てている。そしてそれらはときに、健康で文化的な最低限の生活を営むために必要な額を下回っていた。』
『現場に通ったわたしは、どういうわけか顔面を真っ黒に塗られ、結局のところヒーローが救助に現れたため未遂に終わるのであるが、ヒロインをマンションの一室に連れ込んでレイプに及んだ挙げ句、その一部始終をビデオに撮影してこれを売り捌かんとする悪漢の役を誠実かつ真摯に演じたのである。』
『すなわち、人間、土下座さえしていればおのずと道は開ける、という様田の乞食哲学は完全に破綻、蹉跌を来したわけである。』
『僕はそういう立場にない、と説明したが、しかし、土下座が生き甲斐の様田は聞く耳を持たない。彼女はこの世に土下座が嫌いな人が居るということに思い至らぬのである。』
『それからまた一週間。月曜日はししゃも食って火曜日は眼鏡を失くして水曜日はたにし採って木曜日は根津権現にお参りをして金曜日は靴下の片方がねぇじゃねぇか、と言って大暴れ、自暴自棄になって外出を取りやめ、大酒を飲んで、土曜日は二日酔。』
『なんだか荒涼として貧寒として、木やなんかも赤茶けてたり、白っぽかったりして元気なく、その配置もまた、戦場に拵えた公園のように味気がなく、風情がなく、ものの五分もいたら気持ちがささくれ立って自殺したくなりそうな公園なのである。』
『おおっ、とどよめきのような感嘆の声をあげ、そうなんですか。ちっとも知りませんでした。蒙を啓かれた思いです。積年の疑問が氷解しました。目から鱗が落ちました。ぼーん。と、これは鱗が落ちた音です、といった反応を期待していたのだろうか』
『この茶淹れ機たるや、スイッチを入れた途端、がしゅっ、がるるるるるるる、がじゅがゅがしゅ、ぎゃああああああ、という野獣の咆哮のごとき大音響を発し、初めてスイッチを入れたとき私は、てっきり機械が故障したものだと思いこみ、終始狼狽のあまり、軽く踊ったくらいである。』
『死のうと思った。こんなところでこんなつまらない品書きを眺めしゅず子ずれと食事をしているような腐った人生を生きるなら死んだ方がましだ。俺はムール貝を注文した。ムール貝などといって気取っているが、この店のこと、必ずやいい加減な、おそらく目と鼻の先の川でガタロが鉄屑と一緒にさらえてきた、訳の分からぬ毒に汚染された、それも一ヶ月くらい前の貝に違いないと確信、その貝の毒にあたって死んでやろうと決意したからである。』
『僕の死骸はごみ焼却場で紙屑と一緒に焼いて遺灰をリスの躰に塗りつけて下さい。』
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ゲラゲラ笑いながら読んだ。
これにヌノブクロさんが出てくるとすれば、どのようにデフォルメされるのかなぁ、などと余計なことは考えなくて良い。
十分面白い。
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限りなくノンフィクションに近いフィクションであろうと思います。
「ああ、いるよね、こんな人間」
といった感じを受けるのですが、そのような面々に対する主人公の諦観を含んだ洞察がとても面白い。
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ロック商売の不条理、ボランティアの高慢、各方面の外道を語り尽くしています。とにかく皮肉たっぷりで面白い。芸術の熱い息吹を感じよ、と強要される町田康。文化ブローカー、略してブンブロの説明も面白い。ブンブロって、悪いやつやなぁ。ひとつ賢くなったよ。
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町田康を読むのは久しぶり。
外道あるあるというか、居るいる。何処にも誰にも。
最後のしゅず子はいい気味だと思いつつも不気味なエンディング。仄暗い余韻を遺す。
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「なにゆえかくも話が通じないのであろうか」。『新説・外道の潮騒』を読もうと思ったので、復習がてら再読を。世の外道どもに翻弄される、人間「マーチダコー」」の姿に瞠目せよ。うくく。
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半ノンフィクション。
マーチダさんは、現実のなかにちゃんと生きようとしているから、好きだ。
すべてのことと真剣に向き合おうとするその真面目さが、好きだ。
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初作品。
本作ではまだ作者の味がフルに出ていないのかもしれませんが充分面白いです。
文体が独特なので好き嫌い分かれるかも。
もっと他の作品も読んでみたいな、と
思いました。(音楽も)
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大国町の交差点、あの角にあるトミヤマシューズの前を通る度必ず呟いているのです、知らず知らずのうちにトミヤマシュズコと。そうするとしゅず子は今、どうしているのかナ。なんて思ったりアメリカってあっちかナ。と空を見上げたりするのです。そうしたら家に帰ってマーチダ氏の本を手に取ったりするのです。