町田康のレビュー一覧

  • この世のメドレー

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    「どつぼ超然」の待望の続編。毎度のことながら、独特のビート、言葉をチョイスする才能に痺れます。町田康さんは別の本で、「人間の無意識を書くのが文学だ」とおっしゃっていたと記憶していますが、たとえばこんな個所。
    「腹に穴があいたような顔をしてじとっとした雰囲気を醸成していた。腹の突き出たちょび髭をはやかした男が図面を手に俯いてじっとしていた。マラカイボ油田、という言葉が頭に浮かんですぐに消えた」(P30)
    なぜ、「マラカイボ油田」なんて言葉が突然出るのでしょう。でも、なぜか「ああ、こういうことってあるよな」と腑に落ちるんです。
    凡百の作家にはとても出来る芸当ではありません。
    ただ、何度も申し上げる

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    2012年09月17日
  • この世のメドレー

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     「どつぼ超然」の続編らしい。今回、超然たる“余”が流離うのは、なぜか沖縄。
     生意気な若造を伴っての沖縄道中では、なんとロックバンドのヴォーカルを務めることになるのですが、そのバンド、ポコランポコランズの楽曲での歌詞が秀逸であります。
     相変わらず言葉と思考のセンスに痺れる作品なのですが、特にこの歌詞のアホらしさにはうならされる。やはり、町田は詩人であります。

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    2012年09月03日
  • この世のメドレー

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    前半の熱海駅前?のようなところで食事をしているシーンまでは、笑いっぱなしでしたが、那覇まで飛んでいってしまったあとは、しばらくおどろおどろしい展開でした。年齢を重ねても超然とするって、結構難しい。塵芥だよね、とは割り切れない金をはじめ、我々にはとらわれているものがありすぎだと思いました。

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    2012年09月01日
  • 宿屋めぐり

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    長かった!
    不幸が起こると、何故自分だけこんな目に会うのか、好転するとこれは主の思召しだ、人殺しや盗み放蕩的な態度を全て贋の世界だからとなんたかんだと理由をつけて自分自身を納得させる。全てが因果応報という事も気付かずに。
    そんな人間の弱さやズルさを宿屋で会う奇怪な人に依って暴かれ、そんな時、人はどんな対応をするのかで人間性が問われる。人は嘘を着く唯一の動物だけど、他人には通じる嘘でも自分自身には決して通用しない。主はその自分自身を戒める本来の自分だったのかも。所々で、あっ、と思わせる。さすが町田さんです。

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    2012年09月04日
  • きれぎれ

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    ふざけた文体や内容がまさに世の中に対する強い批判であり、天邪鬼な人たちの気持ちを代弁しているように感じます。

    主人公の心の奥にある暗い感情が妄想を生み暴走していくのだけれど、しかいながら現実に生きているというジレンマをどのように消化していけばいいのか?みんな持っている心の叫びのように感じます。そして、みんなぎりぎりで消化しているだけなのでしょう。

    最後の一文
    「穴の手前で振り返ると、青空。きれぎれになって腐敗していて。」
    を読んだとき愕然した気持ちになりました。
    暗闇から覗く青空の美しさの描画の美しさに加えて、腐敗していてというギャップ。何より本の内容を集約した表現に胸が苦しくなり、余韻が

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    2012年08月13日
  • 宿屋めぐり

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    摩訶不思議、数奇奇天烈。時代考証滅茶苦茶のストーリーが章立てもなく続く。町田氏ならではの飄逸諧謔が随所に鏤められており厭きさせない。騙され追い落とされ七転八倒する主人公。虚偽欺瞞が何のひっかりもなく横行する現代に、正しい倫理観を打ちたてようと煩悶する著者そのものを見る。

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    2012年07月29日
  • 宿屋めぐり

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    ネタバレ

    こういう小説は初めてだ。何と名づけていいのか。一種のパロデイ小説か。はたまた、妄想小説と呼ぶべきか。これは純文学になるのか。前例を求めのなら、筒井康隆の小説にはちゃめちゃな小説があったと思う。言葉遊びの中で妄想が広がって行き、現実か夢か区別がつかなくなってくる。石松の金毘羅詣りを元にパロディ化しているのだと思う。ページはかなりあるのだが、最後まで読めきったのは、何かがあるのだろ。

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    2012年07月28日
  • どつぼ超然

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    ネタバレ

    飄然から超然を目指す著者。俗事を遠ざけ田宮にて超然主義を唱える。人間のエゴ、人間の矛盾に疲れ自ら死にゆく場を求め渉猟する。あてどない逍遥の先にあったものは、しかし、生であった。洗練された美しい文章で人間の深奥を鋭く描く。心が浄化されたような空気にどっぷり浸ることができた。

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    2012年07月06日
  • 浄土

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    初町田康。何の前知識もなく読みました。そしてびっくりした。
    面白い!読みながら何回も笑いました。
    特に「一言主の神様」の「目玉ぽーん」の下り、思わずむせ込んだ。でも一番のお気に入りは「ギャオスの話」。サイコーです。

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    2012年06月20日
  • 実録・外道の条件

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    パンク歌手マーチダ・コーが見舞われた、業界外道どもとの齟齬の数々を活写した、短編小説。

    フィクション。だったらいいな。であってほしいな。じゃないと怖すぎるものな。でも、嗚呼、多分半分以上実話なんだろうな。と、次から次に巻き起こる食い違いすれ違いコミュニケーション不全の嵐に戦慄。
    松尾スズキが解説にて「ぬる~い悪夢」と表現しているのが言いえて妙。

    自分の芸術的センスに自家中毒を起こしているとしか思えないアーティスト外道や、誇大妄想にどっぷり浸かってもはや現実が見えなくなっているプロデューサー外道などなど、とにかく芸能界とは恐ろしい所だべ。んだんだ。

    「地獄のボランティア」における「ボランテ

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    2012年06月20日
  • 真実真正日記

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    帯に騙され、裏表紙の文言にも騙され、結末で初めて騙された事を知り、そして本を閉じた瞬間表紙の写真にぎゃっとなり。凡そこの本の仕掛けの全てを楽しみ尽くした感がある一冊。

    町田康の慟哭エッセイがそのまま小説になったようで、ファンには堪らないのではなかろうか。

    作家・長薗安浩による慧眼の解説も素晴らしく、過去の町田作品を引っ張り出して読んじゃう読んじゃう。

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    2012年06月17日
  • きれぎれ

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    文体について行けず一旦積読。

    暫く置いて、再読。 今度は読めた、しかも面白い。笑いのつぼもかなり好み
    オフィスをオフィースっていうなんか明治、大正っぽい表現とかかなりすき。

    町田さんは、凡人の僕らが記憶できない脳の活動って言うか
    夢とか想像の部分を見たりしてるひとなのかなーって、何冊か読んでると
    より感じます。 それくらい、高速で次々と展開して気づくと元の場所に戻ったりしてる、すんごく集中力のいる小説。 

    あと、100冊くらいほかの本を読んだらもう一度よんでみよ。 楽しみだな

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    2012年08月28日
  • へらへらぼっちゃん

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    町田節を追いながら読んでいくのが心地よい。まだ読者を笑わしたろか精神がわかるような初期町田康の佳作随筆集。

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    2012年05月13日
  • 真実真正日記

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    ノンフィクション風フィクション。
    でも、作中の気持ちは、本当に町田さんが感じたことがあるんじゃないかな?
    と思ってしまった。

    基本悪態ついてるんだけど、
    いいように周りにぶん回されていて面白い。
    独特の言い回しとか、私はこれ好きだね!

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    2012年05月07日
  • 耳そぎ饅頭

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    町田康のうくくなエッセイ。

    偏屈にだけはなりたくないと誓って生きてきたにもかかわらず、パンクに目覚めて爾来、偏屈な急坂を只管、転げ落ちるばかりであったという人生。

    このままではあかん、脱・偏屈と、大嫌いなカラオケを歌い、厭悪する温泉旅行に向かい、忌諱するミュージカルを観劇し、北海道で蟹を喰らい等々、あらゆる試みをするも撃沈。事はちくとも捗捗しくならぬ。

    そんなマーチダさんの当エッセイは、なんだか小説のようにも読めて、僕の中ではかなりお気に入りの作品。

    「自由ってアホだよね。」、「虚ろ飯、うつけ飯」、「俺をなめるな。侮蔑すな。」、「ちゃんとしたいと思ってね。」、「個人の暴れん坊」など傑作

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    2012年04月09日
  • 笛吹川

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    武田信玄ものはいろいろ読んだが、
    この作品は甲斐の国の領民を描いている。
    領民と言っても笛吹川沿いに暮らす最下層の農民たちの
    六代にわたる物語である。
    日常の中に飢えがあり、自然死があり、農民の逞しさあり、
    洪水で家が流される・・・・
    若い時読んだ印象に比べ。、いま再び読んでみると「笛吹川」が問題作、名作と言われる所以が少しはわかる気がした。

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    2012年03月23日
  • 実録・外道の条件

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    『しかしながらみんながみんなエンターテイナーになってしまっては国が立ちゆかないので、子供には家庭で学校で、アリとキリギリスの話をするなどして、ともすればエンターテイナーを目指そうとする子供に、そういう面白おかしい生活は人間としてはおろか、昆虫としても間違っているのだ、という教育を施し、一丸となって、子供のエンターテイナー化を防止してきたのだけれども、それがこのところおかしくなってきた。』

    『確かに木原の話は魅力的である。がんがん宣伝をやってがんがんCDが売れれば、収入もがんがん、みんながんがん、わたしもがんがん、人生が明るく豊かになるに違いないのだけれども、ひとつ問題があるとすれば、木原の話

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    2012年02月16日
  • どつぼ超然

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    もーーーなんなんすか、この人ーーーー!!
    面白いよ!!

    十数年ぶりに町田康さんの文章を読んだ感想です。
    「余」の一人勝ち。

    私は本書を病院の待合場所やカフェなど、公共の場所で読んだのですが失敗でした。数ページに数回は声をあげて笑いたくなる箇所が訪れるため、笑いをこらえるのに苦労しました。

    ひとり、心置きなく声をあげて笑うことができる環境で読むことをおすすめします。

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    2012年02月01日
  • 残響―中原中也の詩によせる言葉

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    知っている詩がある。結構たくさんある。
    そうだ、こんな詩を読んで、こんな詩に惹かれていたのだったな、と思う。
    勘違いして覚えていた詩もある。「月夜の浜辺」など、「月夜のボタン」というタイトルだとずっと思っていた。ボタンではなく、浜辺のほうが主役なんだな。

    時空を超えて、2人の言葉が響き合う。セッションのようだ、と言いたいところだけれど、たぶんそんなサッパリした形容は似合わない。
    ごつごつしている。ごつごつが響き合う。
    この世との相容れなさ、身の置き所のなさ、だろうか?

    町田の言葉は古風だし、中原のそれは若々しく、青々しい。どちらが今の人か?と思うほど。

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    2011年12月21日
  • 浄土

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    2011年の本、56冊目。

    町田康を補充。うむ、快感である。

    圧倒的一人称で突き進んでいくスタイルで貫かれているものの、
    それぞれの短編を形作るものは、それぞれ違っていて、
    でも最後はそれっとオチがぶっ飛んでいく、それがそれぞれ面白い。

    短編なので、試みに内容を短くまとめてみる。
    決してふざけないつもりだが、そうとられても仕方がないかもしれない。
    ただまとめようとすると、とてつもなくワケわからなくなってしまうのだ。

    それと、野暮とは思いながら、各短編で述べられてると、
    自分なりに解釈したことを添えたり添えなかったり。


    【犬死】
    ひどいことがうち続くので、豚田笑子の紹介でジョアンナ先

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    2011年11月29日