町田康のレビュー一覧
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町田康の多くの小説は、多彩な擬音・現在と過去の区別・実在なのか創造か・人間なのか動物か・死んでいるのか生きているのか等等 意味不明・摩訶不思議な調子で淡々と続くのです。結末も何だかスッキリしない読後感があったりするのですが、面白いいんです! 読みながら何故だか声を出して笑ってしまうんです。
この小説は、ある世界で師匠に仕えて暮らしているうだつの上がらない弟子”鋤名彦名”が主の指令で大刀を遠い国の神社に奉納する道中記ですが、いきなり大刀奉納って江戸以前?とか思うのですがやはり町田小説は凄いのです。現代ぽいテンションと江戸的な様相を呈した舞台となっていて何がなんだか判りません。。。
この彦名は各地を旅しながら不本意にも人を殺したり強盗を働いたり街を破壊したりと次々と犯罪を繰り返して行く、それでも主の命である大刀奉納を目的にどんどん障害を乗り越えたり逃避行したりしながらつき進んでいく。
一度は磔になって殺されながらも最後にはミッションを完了するのだが目の前に現れた現実は、、、
人生は”宿屋めぐり”です延々とぐるぐる廻るみたいです -
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ネタバレんー、なんか、怖いですね。怖いくらいにぶっ飛んでます。禍々しい、っていいますか、世の中ハンパなく憎んでる恨んでる、っていうか。
読んでて、読んでる人をイヤーな気分にさせてくれるミステリー小説の事を「イヤミス」って言うやないですか。この本も、それに近い、気はする。ミステリー小説ではなくて、分類的には普通の?小説、かと思われるので、「イヤミス」ならぬ「イヤノベ」ですかね?
この短編小説集を発表した時の、町田さんの精神状態って、、、どうだったんだろうなあ?なんでこんな、不気味な、後味悪い系の、ま、平たく言うと狂った感じの短編ばっかり、なんで書いていたんだろう?不思議だ。不思議でならぬ。
こんなおっとろしい小説を書きつつ、まっとうに社会生活、送ることができていたのか?できていたんだろう、、、なあ?だからこそ、2021年現在でも、町田康という存在は、日本文学界にしっかりと、その存在感を、示している訳ですし。
いやあしかし、ホンマに、禍々しい程になんというか、、、狂ってるよなあ、、、よおこんな作品を、作品として成立させたもんだよなあ、って思う。驚嘆。
「工夫の減さん」
コレ、なんか、好きですね。「くふうのげんさん」と読むのですが「こうふのげんさん」って、最初、読んじゃいました。「工夫」って、「くふう」とも「こうふ」とも読めますやね、って事を改めて教えて貰いました。面白い。
で、このタイトルは、おそらく昔々にアイレムが作ったアーケードゲーム「大工の源さん」(今のご時世では、ほぼ、パチンコの機種としての知名度の方が有名と思われますが)のパロディーですよね?と思うのですが、実際のところは不明です。ってか、町田さん、なんで大工の源さんをパロッたんだろう?謎だ。
物事を普通にこなす → プラマイゼロの損も得もない
物事を工夫してこなす → プラスの行為じゃんか!
って発想で、やることなすこと全てに工夫をこらす、減さん。でもその工夫が、ことごとく裏目に出て、全てがマイナスになってしまう。そんな悲しき男、減さん。
うーむ、、、実際に、いそうだ。いそうだぞ。そんな人。悲しきテーマだよなあ、、、なんか、深い。深い、気が、する。このテーマは、、、深い、気が、する。実際のところ、深いのかどうかは、謎ですが。しかし、結末も見事に、もの悲しい。うう、、、辛い話です。
「ふくみ笑い」
抜群に狂ってるなあ、という、なんともおっとろしい話です。いやあ、怖い。なんだか、なんもかんもが見事に狂っている。そしてなんの救いもない。怖いです。この世界観がとにかく怖い。「ふくみ笑い」、、、怖い。なんちゅう怖い笑いなんだ。
「逆江戸」
「水戸黄門」の世界観を、圧倒的に邪悪に皮肉った、これまたなんとも怖い話。いやあ、、、怖い。コレ、本家本元の水戸黄門の原作者の人(そんな人がいるのかどうか不明ですが)に、侮辱罪で訴えられないかどうか心配ですよ?というくらいの、すんげえブラックコメディー。コメディーですらないかも?なんちゅーか、人間の精神の暗黒面って凄いよね、って事を、ヒシヒシと感じます。いやあ、怖い。
町田さんの、なにかのエッセイで、「数年間、ほとんど仕事もしないで毎日時代劇ばかりみて過ごしていた。世の中でどんな事が起ころうとも、時代劇の中では、常に正義が行われ、悪は誅せられ、その世界は平和であった」みたいなエッセイがあった、気がするのです。気がするのです。
その時の町田さんが感じていたのであろう、現実の世界と時代劇中の世界に対するなんらかの違和感、みたいなもんが、こんなドエライ狂った作品を描かせたのかなあ?とか思うのですが、ホンマのところはどうなのでしょうかね?
まあ、そんな感じで、間違いなくなんらかの「こりゃ狂ってる」感をヒシヒシと感じる怪作だと思います。いやあ。凄い。面白いか面白くないか、で言うと、個人的には、そんなに面白い、とは思えなかったんですが、なんちゅーか、なんらかの凄みエグみは、ヒシヒシと感じられました。おっとろしいなあもう、って感じ。うむ。凄いですね。それは間違いない。そんな一作でしたね。 -
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ネタバレ世界観が全く謎な一冊
超人的刺客の掛十之進はある日
腹ふり党と勘違いして男を刺し殺し、
盲目の娘を逃す。
そこに居合わせた黒和藩の長岡主馬は
腹ふり党について聞こうとするが、その
依存的態度が気にくわないと、情報を、あげるかわりに自分を黒和藩で雇うよう条件を出す。
内藤帯刀の元に迎えられ、内藤は腹ふり党を弾圧し、功績をあげようと目論むが、いつまでたっても腹ふり党は姿を見せない。
そこで、密偵である江下レの魂次を使いにいかせる。
そこで腹ふり党は既に消滅したという事実を知り、内藤はインチキでいいから腹ふり党を結成しろと掛に指示する。
掛は魂次、オサム、幕暮孫兵衞とともに
元腹ふり党幹部である茶山半郎の元へ訪れる。そこにはろんという綺麗な女性がいた。
この世は蟯虫の腹の中であり、何も考えずただ腹を振っていればあまりの意味のなさに蟯虫が苦悶し、体内から排泄される。これをおへどと言い、恵愚母のお導きだという。
茶山は腹ふり党結成を引き受け、掛が思っていた以上の勢力を増し気付いた時には取り返しのつかないほどになっていた。
喋る猿の大臼(でうす)の案で、日本中の猿を率いて、少数の黒和藩と腹ふり党と戦をするも収集がつかず、掛は逃げる。
その先にろんと再会し、一緒についていくといわれ喜びに浸るも肝臓を竹ベラで刺され掛けは絶命する。
ろんは父を殺された復習をずっと目論んでいたのだった。
1回目見たときは全くクソな内容だと思ったけど、映画も見てるうちに中毒性があるのに納得した。
ピストルズのアナーキーの曲もこの話に合ってて良かった(^^)
2019/06/29 08:08 -
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「夫婦茶碗」と「人間の屑」の2編。
どちらも屁理屈だけはいっちょまえな無職の男が主人公。なんとなく太宰のことを思い出した。
いざ働こうと言ってもそれはメルヘン作家だったり、小劇団主宰の役者くずれだったり、うどん・串カツ・鉄板焼のミオちゃんだったり、もうさっぱり何がなんだか。
脈絡もなくてすべての流れも展開も意味不明で突飛なんだけれど、期待を裏切らないその突飛さを今か今かとすでに待っちゃってる自分がいる。
初めて読む町田康さんの小説、面白かった。以前知人に「文体にすごくクセがあって読みにくいよ〜」と言われたことがあって、気になりつつも少し敬遠してたんだけど、機会があり手に取ってみたら意外と私には合ってたみたい。
確かに独特ではあるけどリズムにさえ慣れたら小気味よくどんどん読める。全然詳しくないけど、こういうのって落語っぽいのかな。 -
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ネタバレうーむ。うーむ。うーむ。わからん。わかりませんでした。でも、ま、分からなくても良いか、と思った自分もいる。正直、ホンマに正直言いますと、そこまで面白いとは、思いませんでした。あくまでも自分基準で。俺には合わんなあコレ、って感じ。
でもアレだ。合わないんだけど、合わないなりに好き、という変な感想。ああ、町田さん、ぶっとんでんなあ~、ってのはヒシヒシと伝わったし、別の作品で、十分に「町田康、マジすげえ!!」って驚愕驚嘆感嘆感動させていただきまくっているので、別に合わない作品があってもね、そんなこたあ、俺の町田さんに対する尊敬の気持ちは一向変わらんね、って感じ。
ま、平たく言うと、町田康、という作家を、無条件で尊敬信頼する自分がいるのです。それだけ好きな存在なんですよね。で、ちなみに、町田町蔵時代のパンクバンド「INU」は、、、正直、、、わからん、、、ありゃあ、わからん、、、でもなんだか凄いよな、って感じ。
町田さんの作品で以前に読んだ中で、この作品になんだか近い感じ?って思ったのは「真実真正日記」でしょうか。アレの意味不明さとコレの意味不明さは、なんだか似ているなあ、とか、ザックリ思いました。でも「真実真正日記」を読んだのは、えれえ大昔なんで、今読んだら「全然ちゃうよね」って思うかもしらん。それはまあソレ、って感じですね。
まあ、ぶっ飛んでるなあ、というか、ホンマに有体に言うと、狂ってるよなあ、って感じなんですが、まあその、怒涛の狂いっぷりを楽しむ物語、でしょうか。個人的には、登場人物の誰にも感情移入することなく、単なる傍観者として、淡々と物語を読み進めました。「ああ、、、みんな、アホばっかやなあ、、、」みたいな感じで。
いわば神の視点でこの物語を眺めたのです。高みの見物、ってヤツですね。傲岸不遜過ぎる。そんな俺はマジでクソみたいな人間なのか?とも思いつつ、まあ、すまん。感情移入して「自分の身にこんな事が降りかかったらどうしたらいいんだ!!マジ辛い!!なんとか助かりたい!!」とか全然思わなんだ。すまん。
物語の終盤で、なんだか軽佻浮薄なポップスソングを世間に矢鱈乱発しているクソみたいなプロデューサー、みたいな人物が登場して、主人公目線で「あいつはクソ。死んでいい。だから暗殺」ってなるんですが、あっこらへんの流れは、うーん、、、どうだろう。個人的には、納得できないなあ。
誰かが誰かを、死んでも良い人間だと断定する。アイツがいるのはこの世の中のためにならない。だから暗殺するのは正義。って思うのは、「あなたにとって都合の良い世界にアイツはいらない」ってことですよね?それは、絶対に誰の目線から見ても「アイツは死んだ方が良い」では無いですよね?ということを、常に、思ってしまうのだ。「(誰にとっても)真の悪」とは何か?「(誰にとっても)真の正義」とは存在するのか。それは、永遠に問い続けるべき問題ですよね。
そういう意味では、あの最後らへんの展開は、ブランキー・ジェット・シティーの「人殺しの気持ち」という曲を思い出させてくれてサンキュー、って感じでした。自分にとっては、とても大切な曲です。あの曲は。あの曲の存在を思い出させてくれたってだけでも、この本を読んで感じた事があったね俺はラッキーだね、ってことですよね。 -
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お恥ずかしながら、高校生のとき、軽音楽部で筆者の「INU」の曲を演奏したことがあります。正確に言えば、練習をしたことがあって、本番ではやらなかったかも知れません。何しろ私は、ロックとはほど遠い高校生で、ましてやパンクとは全然縁のない感じでしたが、軽音楽部の中でベースをやっているのが私しかいなかったため、強制的に演奏させられたわけです(笑)。
その曲の入っていたアルバムのタイトルが「メシ喰うな!」で、そのアルバムの中に入ってた曲が「つるつるの壺」です。本屋さんでこのタイトルを見つけて、思わず買ってしまいました(ずいぶん前ですが)。
さて、この本ですが、読み始めは実に読みにくいです。悪い言い方をすると、簡単なことをわざと難しく、しかもわざと明後日の方から書いている文章です。もっとも、それが現代的なレトリックなのかも知れませんが。一文がやたら長くて、なかなか句点にたどりつかないのも、いっそう読みにくさを感じます。が、読み進めて慣れてくると、筆者の語り口が楽しめるようになるから不思議です。特に、後半の誰かの本の解説か何かの文章は、もとの本を読みたくなるほど、いい感じのひねくれ加減です(爆)。ただ、中原中也著『中原中也詩集』にも書いているようなのですが、これはややはてなでした(^^;。
p.31に執筆活動のことが書かれていて、エッセーや小説はワードプロセッサー、歌詞や詩はボールペンというのが面白い。確かに、浮かんでくる言葉も違うのかも知れない。筆者は、p.35「パーソナルコンピュータは、一瞬、一瞬を決定・整理していくための道具であり、紙とボールペンは、一瞬、一瞬をなるべく混乱させる、決定を先送りさせるための道具である。」と説明している。
アルバムを発表すると、宣伝のためにインタビューを受ける話が出てくる。p.222「で、あーたがこのアルバムで訴えたかったこと、主張したかったこと、リスナーに伝えたかったことは結局のところなんなんです?」というインタビュアの質問に対して、「音楽というものは論文ではないのであって、言いたいことなどあるわけがないし、一言に要約できるような種類のものではない。」と一刀両断にしているところが清々しい。では、なぜそんなことをインタビュアが聞くのかといえば、p.223「大多数の読者、及び彼自身が愚劣なテレビ番組によって物語ジャンキーになっているからで、需要があるからに他ならず、…(後略)」ということになるのだが、私はこれを読んでいて、今の、スポーツにやたらと感動を求めているのと同じだなと思ったわけです。
p.264からは講演が採録されていますが、こちらは実に読みやすい。これくらいのテイストが、ロックでも、ましてやパンクでもない私には、ちょうどいいようです。
最後に、中島らもさんが解説で、p.290「という訳で本書「つるつるの壷」も、E7である。町田康は本当はCもFもGもEmも知っている。絶対に知っている。でもそんなもの出さない。E7。気持ちがとってもE7。」と書いています。単に駄洒落が言いたかっただけなのか知れませんが、このE7というのが、もちろん、和音、コードネームだということはわかりますが、これの意味するところがピンとこないまま読み終わりました。 -
Posted by ブクログ
同時収録の「人間の屑」の書き手もそうだが
とにかく主人公(語り手)、働かないので困窮しまくり
なんだかかだと理屈をつけ、仕事をしても続かない主人公
困る困るといいながらだらだらと暮らしているので
妻ともども食べるのにも事欠くのであるが
そのことで喧嘩しながらも
野草をゆでて食にする妻ものんきそう
(そんなこと、わたしだって趣味でしてるわい)
あげくのはてにメルヘン作家を目指そうなんて
いわゆる現代社会の貧困スパイラルの問題提議でもなく
じゃ、夏目漱石時代の高等遊民とも違うような
なんともおもしろい落語を聴いているような語り口で
寓意も読み取れるし、文章も巧みなのだ
芥川賞作家の所以であるな~と思うのだけれども
わたしなど「いいかげんにせよ!」と怒りたくなるのもほんとう
ま、芸術を理解できないのだろうけど
やっぱりこのままいったら破滅じゃないかと思うわたしは
まともなんだか、無粋か? -
Posted by ブクログ
ネタバレ語感と勢いというような文章でするする読める。独特。
登場人物はみんなくだらなく、みみっちく、その癖プライドは高そうな感じ(でもいかにもリアルに感じる)なのだが、突拍子もない展開でそいつらが揃いも揃って悲惨な目に遭いまくるというお話が多い。でもそれは懲悪ではなく自虐であって、突き放した白けた感じが漂う。
石投げられてどぶに頭から突っ込んで意識を失うとか、突然現れた怪獣にスナックのごとく食べられるとか、頭がぐるぐる回転してちぎれて同僚にゴミ箱に捨てられるとか、ああ、こいつも自分も死なねえかな、今すぐ、みたいな妄想が書き連ねてある印象。どぶさらえは、ちょっと面白かった。