町田康のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
町田康の作品を読むとなんだかほっとする。こんなアホ臭い人間が世の中にいるんだなあと。何をやっても駄目な自分が勇気付けられるというか、優越感に浸れるというか、俺なんかよりよっぽど下層でバカな人間がいたもんだなと安心する。が、実際はそうでもないようで。
町田康の作品をいくつか読んできて、作品を重ねるごとに感じるようになってきたのだが、そこには常に笑いをもぎ取ろうとする緻密な計算と思考があるようにしか思えてならない。このエッセイ集もそう。自然体のように見せかけて、天才的なアホのように見せかけて、実は裏で入念な笑いの仕掛けを施し、読み手を見事にその罠にハメ込んでいる。そして俺もハマる。ハメられる。
そんな町田康の詐欺的な計算力といい、緻密な努力といい、その生真面目さといい・・・優越感に浸り、馬鹿笑いしていた自分こそが本当のアホにしか見えてこなくなってきた。苦々。 -
Posted by ブクログ
とってもステキなマーチダさんの、痛快うくくなエッセイ集第3弾。
人間の慢心の恐ろしさを説く「実るほど頭が反り返るあほんだらかな」、
軟派になることができずについには絶望する若者にまで見放される「人間の絶望」、
他人に嘗められやすい体質ゆえの苦悩をつづる「なめとったらあかんど」、
マーチダさんの十八番である誤変換シリーズ「極悪なメール」、
身も心もずたずたにされてしまう「傷だらけの青春」、
最後の一行が秀逸すぎる「言い訳」、
温泉玉子に翻弄される「納得したいなあ」、
自他の区別のつかぬ人たちにまたしても翻弄される「あうときにはいつも自分のふたり」、精神の弱体化を促すスリッパ&サンダルを呪う「サンダルを禁止します」など。
思わず「この人は何を書いているんだ、かっこワラ」みたくツッコミを入れたくなる文章が鏤められた、楽しい1冊です。 -
Posted by ブクログ
『「まあ、あの、まあ六月ぐらいからですねぇ、ひどいっていうか、あんまり無茶苦茶な、ちょっとあれが続くものですから、どんなものかなー、って思ったっていうか、まあこんな感じが、いつまで続くんだろうか、みたいなことがちょっとあれだったものですから」自分でもなにを言っているのか分からない。』
「私はあなたと別れます。なぜならあなたが途轍もない馬鹿だと分かったからです。私はあなたのことがほとほとに嫌になりました。足は臭いし、チンポが臭いくせにフェラチオしろと言うし」
「わかりました。足とチンポも洗います。だから別れないでください」
「一日何回洗うのですか」
「足が一回、チンポが二回でどうでしょうか」
「やはり別れます。フェラチオ自体が面倒くさいのです」
「ではフェラチオは我慢します。その際、チンポは洗わなくていいですよね」
「別れます。そういう交渉をしてくること自体、腹が立ちます」
「では。フェラチオなしでチンポも足も洗いますよ」
「そういう問題ではないのです。考えてみればあなたは経済力もないし将来性もないし、この先つきあってもなんのよいこともないでしょう。だから私はあなたと別れます。さようなら」
『役所の窓口などでしばしば見かける、はるか年上で自分よりもずっと地位も収入も高い相手をもっぱら自らの無知と無教養によって自分のところに懇願、請願に来た劣った人間として見下してなめた態度をとる高卒・元ヤンキーのネエちゃんそっくりな尊大かつ横柄な口調で言ったらしい。』 -
Posted by ブクログ
笑いたい時には『テースト・オブ・苦虫』。
ということでちょっとずつ読み進めたので、最初の方はどんなことが書かれていたかうろ覚えになっている。
変なことわざとか載っていた気がするなぁ。
忘れたのはつまらなかったからではなくて、すごく面白かったのです。
またも外で読んで(懲りない)、突然笑い出す不審者になってしまったくらい。
そんでもって読んでる時には、なるほど、そうだったのかぁ、なんて感心したりもしているのです。
なのにちょっと経つと面白かったという感覚以外はぼんやりしている。
とても不思議。
たぶんごちゃごちゃ考えすぎの脳を「ベンチャン(湖南省の方言で掃除の意(笑))」してくれるのだと思う。
本のこともだけど、ちょっと前にあった嫌なことも一緒にぼんやりしているような気もする。
こちらは思い出す気もないので、知らんふりしておくけれど。
そんなわけで、笑いたい時には『テースト・オブ・苦虫』を合い言葉に、最終巻までちびちび読み続けたいなと思う。