亀山郁夫のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
以前別の出版社のものを読もうとしたら訳が馴染めず序盤でリタイヤしてしまったけど、こちらは読みやすい訳なので読みきれた。
この訳者の訳は批判されることもあるようだけど、細かいところは一旦おいておいてまず読みきることを前提とするなら一番向いてる気がする。
しおりに登場人物表もついてるのでわかりやすいし。
それでも後半までは話があまり進んでる感じがしなくてしんどかったけど、キリーロフの話は引き込まれるものがあったし、終盤やっとスタヴローギンとピョートルが登場してからは展開が気になって楽しく読めた。
ここからだいぶ話に勢いがつきそうな気がするので2巻も楽しみ。
(2024/01/22 再読) -
Posted by ブクログ
読み始めてすぐに緊急手術・入院、退院後の自宅療養と続いて
読み終わるのにめちゃくちゃ時間がかかってしまった。
昨年はロシア革命から100年ということで関連書籍がいくつか出ている。
本書もそのうちのひとつ。
ただ、タイトルにこそ「ロシア革命」と入っているが全体としては革命
前夜からのロシアの芸術・文学史を基礎において、ロシア民族を語る
という感じかな。
トルストイ、ドストエフスキー等の作家をはじめ、芸術家・音楽家の
名前がわんさか出て来るので、ある程度のロシア文化の知識がないと
ふたりの話について行くのが大変。
ロシア文学を読み漁ったのって10代後半から20代にかけて -
Posted by ブクログ
『悪霊』というタイトルのくせに上巻のワルワーラ夫人の庇護の元生活しているヴェルホヴェンスキー氏の高等遊民みたいな話で「このおっさん、好き勝手に暮らしてんなー」と気楽な雰囲気がある。
ところが、下巻に進むにつれてヴェルホヴェンスキー氏は脇によけて不穏な動きが出てきて事件が起こし、ラストの方は悲惨。
「ルカの福音書」の引用にからめて、スタヴローギンを中心として(表面的にはピョートルだけど)悲劇に向かっていく展開の仕方、書き方は好み。
神(またはそれぐらいすごいもの)を信じるか、信じないかで全然違う。信じている人は平穏。信じてない人はなんで生きてるのか意味を見つけようとして苦しむ。そんな図式が古 -
Posted by ブクログ
あの亀山郁夫さんが書かれたのだから、カラマーゾフの兄弟の続編かな、と思ったけど違った。1995年という阪神大震災とオウムに激震が走った年の日本を舞台に変え、カラマーゾフの兄弟のオマージュとして登場人物もストーリーも重なりながら進んでいく。どこかカラマーゾフの兄弟というより、シンボル的に現れるアイテムだったり、登場人物の精神的な旅の様子が村上春樹のようだ。
最初はなんだかカラマーゾフの兄弟の同人誌みたいだ、と正直気恥ずかしく読んだ。だが読み進めるうちに、これはオマージュであり、リライトであり、ドストエフスキー論であり、カラマーゾフの兄弟の講義であり、亀山さんの自伝であり、アバンギャルドな実験小説 -
Posted by ブクログ
ドストエフスキーを齧った者なら、
書店で並ぶ本書を見て、ある種の驚愕が走ったであろう。
新カラマーゾフの兄弟。ここまで大胆なタイトル、著者はあの亀山郁夫。
なるほど、ここまで大胆なのにも納得できる。
カラマーゾフの兄弟と絡めながら読み解いていくも
上巻だけで相当な量である。一筋縄ではいかない。
現代の日本、とは言え時代は1995年。
阪神大震災、そしてオウム事件と日本が震撼した年。
時代設定にこの年代を選んだのも、なるほど納得である。
旧ソ連の崩壊、そしてロシアの誕生。
国家の滅亡と誕生を目の当たりにした黒木リョウは何を思う?
まだまだ壮大な下巻へと続く途中、先を急ごう。 -
Posted by ブクログ
夏はスターリン。肝を冷やしてくれるから。なかなか骨の折れる大著だった。というのも取り上げられている6人の芸術家の作品に触れたことがまったくないので、そもそも読む資格なかったかもしれない。にもかかわらず各章ずしんときたのは亀山郁夫先生の筆のなせる技か。スターリンという恐怖の時代に作品を出すことと生きようとする本能とが激しくせめぎ合い、気持ちはヒリヒリしたし、頭のなかはぐるぐるした。なお残念ながらゴーリキーの章(熱狂を見つめて)だけ挫折。あとがきに、ショスタコーヴィチとエイゼンシュテインについては門外漢といった事が書かれており驚愕。とてもそうとは思えなかったのですが…。
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Posted by ブクログ
さっぱりわけがわからない、というのが正直なところ。
「わけがわからない」というのも何がわからないのかわからないみたいな、もうかなりぐちゃぐちゃにわからない。
僕はよく作品をとおして作者の性格や考えてることを想像してしまう。あまりいい癖じゃないかもしれない。ドストエフスキーは過去に何作か読んだことがあるから顔見知りぐらいにはわかるつもりだった。だけどこの本からは作者ってものがまったく想像できない。予想できない。何考えてこんなもの書いたんだ? いやもうさっぱりわからん。
ひたすら企みと悪意が描かれる。「同志仲間で」の混乱や、カルマジーノフの朗読みたいな、戯画化され誇張された滑稽さにカタルシスを