亀山郁夫のレビュー一覧

  • 白痴4

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    ネタバレ

    完結巻。
    終幕近く、正気を失くしたムイシキンとロゴージンが、ナスターシヤの遺体とともに夜を明かす場面は、象徴に満ち絵画的で、美しいとさえ言えるかもしれない。しかしムイシキンの無垢さ、純真さ、聖性は、その場でも遺憾なく発揮されるものの、そこに至るまでの悲劇を思うと現実に生きる人間たちには(ムイシキン自身も含め)手に負えないものなのだろうと感じられる。

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    2020年05月22日
  • 賭博者

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    ネタバレ

    326ページの中編。
    とてもドストエフスキーらしいと感じた。
    亀山先生言うところの「カーニバル的な」熱狂的な部分だけでできているので一気に駆け抜けるといった印象で読みやすいのでは。

    解説によると『未成年』の中に、「金は、あらゆる不平等を平等にする」という一節があるらしく、まさにロシア人の金銭感覚を端的に言い表していて、金は労働から得るものではなく、贈与か、せがんで手に入れる、もしくは強奪するものらしい。

    知ってたけど…ロシア人おかしいよ!

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    2020年04月12日
  • 悪霊 1

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    ネタバレ

    <登場人物>
    ヴェルホヴェンスキー氏
    ワルワーラ夫人
    ニコライ・スタヴローギン  奇行がある。
    アントン・G  わたし 物語の語り手。
    リーザ リザヴェータ・ニコラーエヴナ
    ダーリヤ
    キリーロフ
    レビャートキン大尉
    シャートフ
    リプーチン
    ペトルーシャ  ヴェルホヴェンスキー氏の息子。
    プラスコーヴィヤ  リザヴェータの母。

    ワルワーラ夫人の性格
    ”夫人が何にもましてがまんできなかったのは、裏にまわってこそこそと陰口を叩くやり方で、つねに正々堂々とした戦いを好んでいた。” (p390)
    【物語】
    ワルワーラ夫人とヴェルホヴェンスキー氏との関係で話は進んでいく。
    ワルワーラ夫人の勧めで、ヴェルホヴェンスキー氏とリーザとの結婚話が持ち上がる。
    第1部の後半に一気に物語は急転回する。
    レビャートキン大尉がスタヴローギンを脅し、ワルワーラ夫人に匿名の手紙を出していたことが暴露される。
    スタヴローギンの帰国。
    シャートフが、いきなり、スタヴローギンを公衆の面前で殴る。
    [レビュー]
    ヴェルホヴェンスキー氏とワルワーラ夫人の会話劇が中心で、物語が中々動きださない。
    それが、後半、怒濤のように物語が進む。


    彼の物語るテクニックにおいて、この『悪霊』だけでなく、まず、行動、言動のその反響をまず書き、そして、その実際の言動、行動を書くというものがある。

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    2020年01月19日
  • チャイコフスキーがなぜか好き 熱狂とノスタルジーのロシア音楽

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    ロシアの作曲家を概観。

    グリンカは、ロシア音楽の西欧化の役割を果たした。ロシアの内容を西洋の形式によって、ロシア文化と西欧文化を融合した。バラキレフが音頭を取り、1860年代に登場した五人組は、より民族的な色彩の強い音楽創造をめざした。五人組は、国家のアイデンティティを強調するため、ロシア中世の歴史と、ロシアの文化が本質的に帯びている東方的な性格に注目した。彼らが共同戦線を張ることができた背景には、同時代の革命運動であるナロードニキ運動に共感を寄せていたことがある。その運動が1870年代に入ると、急激にラディカル化して、五人組は独自の道を歩み始めた。

    ボロディンはグルジア皇太子の非嫡出子として生まれた。作曲の世界に足を踏み入れたのは、30代半ばのこと。日曜作曲家を自称して、専門の化学に従事する傍らに作曲に励んだ。職務で多忙をきわめたため、「イーゴリ公」は完成に至らなかった。ポロヴェッツ人の踊りは補筆され、リムスキー=コルサコフが編曲。第三幕全体は、グラズノーフが再構成した。

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    2019年11月19日
  • 悪霊 2

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    二巻では、ピョートルとスタヴローギンかどんな人物なのかがわかってきてだいぶ読みやすく、面白くなってきた。

    特に『スタヴローギンの告白』がここに入っててよかったと思う。
    この章があるとないとでは全然スタヴローギンへの理解が変わってくると思うので読めてよかった。昔は削除されてたと聞いたので。

    ピョートルの「ぼくはあなたに寄生する蛆虫だ……」はピョートルの不気味さと相まって名言だなあと。

    三巻はさらに大きく展開が動きそうなので楽しみ。

    (2024/02/06:再読)

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    2019年10月13日
  • 万葉集の詩性 令和時代の心を読む

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    文学や編集に携わる8名の手による万葉集エッセイ集、といえばよいか。
    出だしから中西進氏による『旧約聖書』と『万葉集』のリンクが展開され、度肝を抜かれる。良き文学とはほかの文学と共鳴するものとはいうが、まさかそんなところと響き合うとは。しかも万葉集の第一人者の一人中西進氏からそんな。おみそれしました。
    川合康三氏の「山上憶良と中国の詩」、高橋睦郎氏の「いや重く謎」あたりは若干硬めの印象を受けるかもしれないが、基本的には一流の文化人たちによる平易な万葉集エッセイである。いや平易と言ったが完全に万葉集知りませーん何書いてあるんですかーな人には向かないかもしれない。ちょっとは齧った人向け。だが、ちょっと齧って関心がある人には気軽な万葉集読み物として勧められると思う。個人的にはこの本で松岡正剛氏を少し見直した(?)。
    難点があるとすれば取り扱われる歌に多少の偏りが見られる気がすること。ただ明らかなほどではなく、寧ろ私の気のせいかもしれない。総合的にはバランスの取れたよい本です。

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    2019年08月15日
  • 白痴4

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    怒涛の展開だった。なんともやりきれない話なのだけれど、引き込まれた。
    相手のことを思うがゆえに、二人にとってよくない方向に進んでしまうのは、どこに原因があるのだろうと考えてしまう。素直に享受すればよいのに、どこかで自分を卑下してしまうのか、傷つくことに快を得るからなのか。

    純粋な気持ちにも、いろいろな表れ方があるのだなあとも思った。周りの人にとって気持ちのいい表れ方もあるし、表裏がなくても苛立たせる表れ方もあるし、陰湿で苛烈な表れ方もある。表面だけでは内面はわからないし、内面が同じでも表面は異なることがある。

    そういう人間の性質も、小説が尽きない要因なのだろう。

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    2019年06月21日
  • 新訳 地下室の記録

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    言い回しを現代風にするなど、読みやすさに特化した新訳です。
    うだつが上がらない地下室人の雑記がひたすら続くという内容ですが、この整然としていない点に人間性があります。
    普通の人間が無理矢理に自分の思いを書いている勢いを感じました。
    引っ込み思案で苦労する彼の手記には続きがあることになっていますが、その後の人生を色々想像してしまう一冊。

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    2019年06月16日
  • 悪霊 1

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    以前別の出版社のものを読もうとしたら訳が馴染めず序盤でリタイヤしてしまったけど、こちらは読みやすい訳なので読みきれた。
    この訳者の訳は批判されることもあるようだけど、細かいところは一旦おいておいてまず読みきることを前提とするなら一番向いてる気がする。
    しおりに登場人物表もついてるのでわかりやすいし。

    それでも後半までは話があまり進んでる感じがしなくてしんどかったけど、キリーロフの話は引き込まれるものがあったし、終盤やっとスタヴローギンとピョートルが登場してからは展開が気になって楽しく読めた。
    ここからだいぶ話に勢いがつきそうな気がするので2巻も楽しみ。

    (2024/01/22 再読)

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    2019年01月26日
  • 白痴4

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    ネタバレ

    Wikipediaで登場人物の確認をしていたら、うっかり結末が目に入ってしまったのが悔やまれる。オチを知らない状態で読みたかった。。
    ナスターシアとアグラーヤのどちらを選ぶか?と問われたら、世間の男子の意見は割れるでしょうが、私はナスターシアかな。。

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    2018年11月17日
  • 白痴2

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    「貧しき騎士」の朗読前後の、A.M.D. A.N.D. A.N.B. N.F.B. の違いのくだりは、亀山さんの解説を読まない限り絶対に分からない。。。

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    2018年10月27日
  • 白痴1

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    感想は全巻読後に。(主人公って本当に白痴?、十分知的な人に見えるが? が初巻の印象。ナスターシアの方が余程。。)

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    2018年10月22日
  • ロシア革命100年の謎

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    読み始めてすぐに緊急手術・入院、退院後の自宅療養と続いて
    読み終わるのにめちゃくちゃ時間がかかってしまった。

    昨年はロシア革命から100年ということで関連書籍がいくつか出ている。
    本書もそのうちのひとつ。

    ただ、タイトルにこそ「ロシア革命」と入っているが全体としては革命
    前夜からのロシアの芸術・文学史を基礎において、ロシア民族を語る
    という感じかな。

    トルストイ、ドストエフスキー等の作家をはじめ、芸術家・音楽家の
    名前がわんさか出て来るので、ある程度のロシア文化の知識がないと
    ふたりの話について行くのが大変。

    ロシア文学を読み漁ったのって10代後半から20代にかけてだもの。
    細かいところなんて既に忘却の彼方なので、記憶を呼び起こすのも
    一苦労だったわ。

    それでも、ロシア文化おたく(?)ふたりの対談は面白かった。頭のいい
    人の話というのは予備知識がない人間が読んでも理解しやいんだなと
    思った。

    後半部分では「え、そんなこと言っていいの?」と若干、読んでいる側
    が引くような発言もあるが、これもおふたりのロシア愛なのだろうな。

    読み終わってロシア人作家の作品を読みたくなった。革命を念頭に置いて
    読むと、以前とは違った読み方が出来そうだ。

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    2018年02月24日
  • 新訳 地下室の記録

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    正直に言うと、前半は読み進めるのがしんどかった。
    読み進める度に、「こんなに自意識過剰なのでは、どうやって生きていけるのか」と頭を抱え、思考がそこにとどまってしまった。
    しかし、後半を読んでなぜ主人公がこうなってしまったのか、納得ができた。
    「罪と罰」の主人公には、助けようとする友人や家族、恋人とのやり取りがあり、他者へと開かれている部分があり、それが救いにつながっているような印象を受ける。
    そういった他者への希求が全て内向きになってしまっているから、救いのなさのようなものを感じさせるのだろう。
    風穴という言葉の大切さに気付かされた。

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    2017年10月29日
  • 磔のロシア スターリンと芸術家たち

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    六人の芸術家の在り方を通して時代とスターリンが浮かび上がってくる.ブルガーコフやマンデリシタームは全く知らなかった人だが,面白く読めた.

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    2017年06月17日
  • ドストエフスキー 父殺しの文学 (下)

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    ドストエフスキーの世界にどっぷり。登場人物を掘り下げる。ドストエフスキーを全部読んだからこそ、楽しめた論だったが、あの横溢したエネルギーの神秘には、迫れなかった気がする。

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    2016年12月20日
  • 悪霊 3

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    『悪霊』というタイトルのくせに上巻のワルワーラ夫人の庇護の元生活しているヴェルホヴェンスキー氏の高等遊民みたいな話で「このおっさん、好き勝手に暮らしてんなー」と気楽な雰囲気がある。
    ところが、下巻に進むにつれてヴェルホヴェンスキー氏は脇によけて不穏な動きが出てきて事件が起こし、ラストの方は悲惨。

    「ルカの福音書」の引用にからめて、スタヴローギンを中心として(表面的にはピョートルだけど)悲劇に向かっていく展開の仕方、書き方は好み。

    神(またはそれぐらいすごいもの)を信じるか、信じないかで全然違う。信じている人は平穏。信じてない人はなんで生きてるのか意味を見つけようとして苦しむ。そんな図式が古典文学にはよく見かける。

    キリーロフの考え方も理解できない。だって、〜することで自分が神になるって⁉︎ うーん、大人なんですから妙な考え持たないで下さい…って思ってしまった。
    自分自身でもやっぱり自信がなかったのか、揺らぎが見えてたけど。

    日本では信仰を持たない人が多いので、自分を信じろ!という感じで、キリーロフとは全く違う。

    それにしても、わかりにくい。
    何回も何回もじっくり読まないと理解しがたいことだらけ。

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    2016年06月26日
  • 新カラマーゾフの兄弟 上

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    なかなか読みづらいようにも感じますが、地下室の手記よりは読めます。
    あっちこっちと寄り道するところも含めて、群像劇的だと感じました。

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    2016年06月20日
  • 悪霊 2

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    スタヴローキンの抱えている秘密が明らかになり、
    ピョートルが走り回って物語は大きく動き出す。
    そして何も起こらないわけがない3巻へと続く。

    巻末の解説がないともやもやしたまま終わりそうかも。
    主要人物以外が誰だったっけという感じなる。

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    2016年02月20日
  • 悪霊 3

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    ステパンヴェルホベンスキーと、ニコライスタヴローギンの2人の主人公を親子として解釈する、亀山先生の解釈はとても面白い。

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    2016年02月14日