亀山郁夫のレビュー一覧
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ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン2012の会場で手にして、
待ち時間の間に読み終えた…途中で著者本人の
講演も聴いて…それまで、やや退屈にも感じていた本書が
俄然面白くなったんです!
もともと本人は、あまりチャイコフスキーがお好きではないらしく…
副題の「熱狂とノスタルジーのロシア音楽」に思い入れがあったのです。
新書のタイトルは、版元の意向で、よりキャッチーなものへと
替えられることが多く、多くは内容にそぐわないタイトルになっている…
もしかしたら、本書も、よくあるそんな一冊であるのかもしれません。
ただ、著者本人がロシア音楽が大好きであるのは疑いようもなく、
そんな熱気は、本書からも -
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ドフトエフスキーの五大長編の中で、もっとも解釈に苦しむ「悪霊」。この作品につき新訳で知られる亀山氏、ロシアの研究者サラスキナ氏の討論と質疑応答を中心に組み込んだ、文学好きには必読の書。
特に主人公スタヴローギンの「告白」の取り扱い方と解釈。また、彼のエルサレムからヨーロッパを縦断し、アイスランドに至る放浪をどのように位置づけるのか。という二点がヤマ。
ロシア正教とその異端、ここのところが事前の知識として必要である。正直、自分はスタヴローギンのアイスランドへの渡航を、作者はどのようなバックボーンを得て作品に入れたのかを解説した終盤の部分にもっとも興味をそそられた。
「悪霊」そのもの -
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なぜ父は殺されるのか?
それは復活のために。
アリョーシャ実行犯説は聞いたときからピンと来なかった。
モチーフである父殺しの反復といえど、ガリラヤのカナで目覚めたアリョーシャが皇帝を、というかキリストを象徴的にでも殺すということがピンと来なかった。
で、本書。読む前は、イワンが無意識にスメルジャコフをそそのかしてフョードルを殺しミーチャが巻き添えをくらったように、アリョーシャが無意識にコーリャをそそのかして皇帝を殺しイワンが巻き添えをくらうのかな、なんて思ってたけど、ガチョウの下りを読んでたときにはたとひらめく。
コーリャがバカをそそのかしてエサに夢中なガチョウの首をはねたように、アリ -
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ネタバレ[ 内容 ]
未完に終わった大長編の新訳から浮かび上がった驚くべき「続編」の可能性。
ドストエフスキー最晩年の思想がいま、蘇る。
[ 目次 ]
第1章 作者の死、残された小説(残された手がかり 空想のための九つの条件 友人、妻……同時代人の証言)
第2章 皇帝を殺すのは誰か(序文にすべての秘密がある 「始まる物語」の主人公たち 思想の未来)
第3章 託される自伝層(年代設定とタイトル アリョーシャはどんな人間か テロルと『カラマーゾフの兄弟』と検閲)
第4章 「第二の小説」における性と信仰(リーザと異端派 「第二の小説」のプロットを空想する 影の主役、真の主役)
[ POP ]
[ お -
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[ 内容 ]
崩壊への道をひた走る帝政ロシア。
貧困、凶悪犯罪、性の退廃、革命の夢と挫折。
世界の変革を夢見る若いドストエフスキーに死刑判決が下る。
八年のシベリア徒刑、賭博、恋愛の修羅場から『罪と罰』『白痴』が生まれた。
青春時代の内面に刻まれた四つの事件=トラウマの深層に迫り、自己犠牲と欲望に引き裂かれた主人公たちの悲劇的な運命を通して、隠された「父殺し」の謎を焙り出す。
[ 目次 ]
第1部 若き魂の刻印(楽園追放;引き裂かれた夢想家;回心、神をはらめる民;地下室の誕生)
第2部 聖なる徴のもとに(観念という狂気;聖なるものの運命)
[ POP ]
[ おすすめ度 ]
☆☆☆☆ -
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作者の予告が有りながら、死去により未刊となった「カラマーゾフの兄弟」の「第二の小説」。そのストーリーを新訳文庫の訳者が組み立てる試み。
新訳本出版社の企画ながら、奇を衒わずに公表されている資料に忠実に、解明・組み立てを行っている。
最大の注目は、ドストエフスキーの死後一ヶ月余りで、予想されたストーリーである「皇帝暗殺」が実際に「行われて」しまった事だ。ここをどう片付けるかに注目だ。
作者の予告は「一つの伝記に、二つの小説」。よって、アリョーシャが主人公、エピローグ前に出てくる「少年たち」が物語の中心になることは言うまでもない。
「空想」は資料・史実に照らして、蓋然性有りと -
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登場人物がやたらと多い。
フョードルは、なんと軽率で信頼のおけない放蕩な父親なのだ。
口が嘘をつくままにする。
面倒くさいだけの関わりたくない人間だと感じた。
ミウーソフも、単純で押さえの効かない性格で、損をしている。
第2編の会合、いる?
意味ある?
根本的にそこがおかしい。
しかし、この場面で、それぞれの人物のキャラクターが浮き彫りになったと感じる。
父親と長男で女を取り合う、その壮絶なさまが滑稽ですらある。
お盛んなことで。
なんというか、日本ではなかなか生まれない筋の話だという気がする。
様々な視点から読み解き考えることのできる作品なのだな、と感じる。
名作たる所以だ。
★ -
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ネタバレ破滅する話なんだろうかと恐る恐る読んだ。
お金をめぐって、ごちゃごちゃとした人間関係がややこしいと思っているときに登場した、アントニーダおばあさんの印象は強烈だった。竹を割ったような性格で、これは好きになってしまう!
でもそのおばあさんですらルーレットに魅入られてしまったのはショック。ギャンブルにのめり込んでしまう人の心理とはこういったものなのかと恐ろしい思いがした。人はこうやって依存症になっていく。嵐のように登場して去っていった、一番記憶に残る人物だった。
アレクセイは自らをポリーナの奴隷と言ったり、口だけはさも愛しているかのように言うのだが、実際は大して愛していないことは見るも明らかだった -
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先に『カラマーゾフの兄弟』を読んでいたので、比較的読みやすかった。
内容としては、様々な「罪」と「罰」が登場し、罪とは何か?罰とは何か?を常に考えさせられる作品。
俗世界における「罪」は、ラスコーリニコフが犯したような強盗、殺人といったものが先行するが、作中においては、キリスト教や聖書の中での「罪」も登場する。
ラスコーリニコフは殺人を犯すが、強奪した金品には一切手をつけることがなかった。殺人を犯した瞬間から精神に異常をきたしたためであるが、良心の呵責に苦しんだというよりも、罪の露呈を恐れたというふうに見える。ラスコーリニコフの罪は、アリョーナを殺したことよりも、リザヴェータを殺したことにあ