亀山郁夫のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
マイ“ドストエフスキーブーム”の中で、亀山郁夫さんのこの新刊に出会えたのはラッキーだった。亀山先生はNHKの「100分de名著」でもドストエフスキーを解説された専門家。温厚そうなお人柄と語り口調がそのまま著作にも表れている。とにかくドストエフスキー愛が半端ではない方だ。
ご自身の持論だけではなく、様々な研究家(有名無名を問わず)の指摘や発見も紹介されていて、ドストエフスキーが小説の中に仕込んだ謎を露わにしてくれる。
主人公ラスコーリニコフは、選民思想(しかしこれには矛盾が多く、実際は傲慢からくる誤った意志の力)により殺人を犯すが、その背景には宗教、歴史、政治のパノラマと、そして何より作者ドストエフスキーの自伝的要素が、象徴化され散りばめられている。が、それらディティールを全てつぶさにしたところで、この作品の持つカオスは簡単に語り尽くせるものではないだろう。読み手側も、自分が一生を生きてみても、到底、理解できるテーマではないのかもしれない。神への信仰があるかないかで180度読み方が変わってしまうと先生が語るように、完全に哲学の世界である。
ドストエフスキーが明快に示したメッセージは、この作品のラストシーンに象徴されるように、「生き続けよ」ということなのだろう。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ太宰治もそうですが、世間が言うほど別にさほど暗くはない。
大学の授業で「ドストエフスキーなんて読んでいる学生はこの中にいないと思いますが...」とか教授が言っているのを聞きながら読んでいました。
翻訳本に不慣れなときに読んだため、当時大分骨を折って休み休み読みましたが、ラスコーリニコフの心理描写は面白いです。彼の一見非常に矛盾した行動の数々を見ると、善人も悪人も大した区別はなくひとりの人間の中にどちらも同居しているのが普通なのだろうなと感じます。
結末が若干納得できておらず....直前まで神も信じず罪に対する反省もなかったラスコーリニコフが、ソーニャを愛し、神を愛したという結末になるのがどうも腑に落ちていません。後半息切れして読んだ私の勘違いなのか........機会があればもうすこし調べるなり読み返すなりして考え直したいです。 -
Posted by ブクログ
前半は個人的に心理描写系の場面が多くてちょっとつまらなかったけど、後半からはストーリーが大きく動いて面白かった。特に最後の方のポルフィーリによるラスコリーニコフの尋問はハラハラして面白かった。
ルージンさん、確かに嫌な奴だしウザい場面もあるけど、そこまで結婚反対するもんなのかな?一応は金持ちだし仕事出来るし。ラスコリーニコフが突っかからなければ形式上はそこそこ良い関係は続けられそうだけど、、、
それだけラスコリーニコフの妹に対する愛情が強かったの?それなら母は自分の娘をそこまで大切に思ってなかったって事にならない?それとも母は人の本性が分からないお人好しかバカって事?
罪と罰というタイトルは何を表しているのだろうか。ラスコリーニコフの犯した罪と、それに対しての罰のあり方を考えるという事?それならラスコリーニコフは最終的に捕まらず、罰として自殺するとか?
とりあえず続きが気になる。早く3巻を読みたい。 -
Posted by ブクログ
みんみん激推しの『罪と罰を読まない』を読むにあたり、『罪と罰』を知らなくてもめっちゃ面白いとのことでしたが、みんみんと同じじゃつまらないじゃないかねワトソン君
というわけで読まない言うてるのにあえて読むという天のジャッキーなスタンスで読み始めた『罪と罰』ですが思いのほか面白くてなんか得した気分
たまたま寄ったスーパーが特売日だった気分(違う)
久しぶりに着たコートのポケットに百円入ってた気分(違う)
さて罪も罰も続くといった感の第二巻ですが、なんといっても罪を犯したラスコーリニコフと対決する予審判事ポルフィーリーに惹かれましたよ
どこまで確信をもってラスコーリニコフと対峙しているかは伏せられたままですが、彼の方がすこい上手なような気がしますし、この二人の心理戦がすごい面白かったよね
また、この二巻ではラスコーリニコフが罪を犯すに至った潜在的な動機が明かされるんですが、選民思想的な感じがもうどんどんラスコーリニコフから心離れさせられます
同時にラスコーリニコフの善なる部分もこれでもかってほど押し付けてくるので、どう思ったらええねん!という迷路
そしてさらに重要度を増してきそうな登場人物たちがガンガン深掘りされていくことで物語は混迷の一途
どうなるの?! -
Posted by ブクログ
興奮した
面白いのだ!遠い昔の少年時代に読んだときはちんぷんかんぷんだった記憶が薄らとある
途中で投げ出してしまったような気もする
国語のテストの問題文でしかない物語だった気がする
しかし今回は分かる、分かるというかちゃんと面白い
すばらしい新訳のおかげなのか、自分が人生経験を重ね渋みのある大人の男に成長を遂げたのか
もちろん後者に決まっている
ミルフィーユのように経験を重ねいやミルフィーユは甘いからこの例えは違う
主人公ラスコーリニコフはとにかくいかれている
最初からそうだったのか、なにかの罰としてそうなったのかとにかく支離滅裂だ
その支離滅裂な心理描写がとんでもなく巧みだ
とてつもい説得力だ
いかれた男の心理など経験したことないので分かるはずもないのに、それはこういう心理に違いないと思わせる
すげーなドストエフスキー! -
Posted by ブクログ
ネットでHeveneseのラストトークを見ていて、本書に言及があったので購入。令和の語源である万葉集をほとんど知らなかったので、とても興味深く読んだ。8人の著者の、改元をきっかけに書かれた万葉集に関するエッセイ集。
鈴木大拙は「日本人の霊性」の中で万葉集を「稚拙」だとか「幼稚だ」とか、あまり良い評価をしていなかった。しかしながら本書から万葉集の他の歌集との違いがわかり、納得した。
曰く、万葉集には中近東的な雰囲気がある、とか、万葉集は文字ではなく大和言葉の響きを口にうたうための歌集である、とかなどと言うように書かれていた。また万葉集には代作という表現があるとの事。これについては日本人が原作を尊重しつつも模倣する、現代のコミケの同人誌の根底にあるものの起源のように感じた。模倣は多文化では真似や盗作だが、万葉の代作からくる日本の「なぞらえる」とか「あやかる」文化は、まねる、まなぶ、につながるのではないかと思った。
星四つ。