亀山郁夫のレビュー一覧
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亀山郁夫訳「カラマーゾフの兄弟」を長い間積ん読してきたが、遂に全5巻一気に読み終わった。
詳細を読み込むと到底一回読むだけでは理解できない膨大で難解な小説。とは言え、大まかなあらすじを追った読み方でも十分に楽しめる。完璧に読み込むととても骨が折れると思う。各巻の巻末に「読書ガイド」が付いていてあらすじをさらってくれるのと、最終巻5巻の、「ドストエフスキーの生涯」「解題」を読むと、より深く内容を理解できる。特に「解題」は良い。
各巻のしおりに主要登場人事物名が書かれているので便利である。登場人物の名前がよく置き換わるので、このしおりで確認しながら読むと読みやすい。
世界十大小説の一つとも世界最高 -
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読書として長い旅だった。数十年前は分からなかったことが少しはうなづけるようになり、ドストエフスキーの生涯と解題を読んでさらに理解が進んだ。
キリスト教と社会主義、農奴解放後の混乱という19世紀のロシア特有の空気と、著者が実生活で持つ背景が作品に及ぼす強い影響。ミーチャ、イワン、アリョーシャという3兄弟と父親、スメルジャコフやコーリャ、女性たちとの会話など、どんなに分かりやすい翻訳でも、おそらく原語が理解できないとその面白さは半分以下なのだろうと、訳者の解説を読みながら実感。それでも他作品を間に挟みつつ3か月で読み通せたのは、活力ある言葉での翻訳に徹した訳者のおかげだ。
著者が予定していた第二小 -
Posted by ブクログ
ネタバレ古典作品と呼ばれるものがどうして読み継がれているのか、この歳にしてようやくわかった気がした。
ラスコーリニコフの苦悩、その時代に流行った思想を先鋭化しているという意味では、ロシアの帝政末期の人間しか持ち得ない苦悩なのかもしれない。けれど、普遍的な、簡単に言ってしまえば、自分という存在の価値を信じきれない人間の苦悩、がその根底にあると思った。キリスト教の思想を言語化できるほど理解をしていないので、ラスコーリニコフと宗教の関係性について深く考えられないことがとても悔しいが、ラスコーリニコフがソフィアに対して抱いていたある種の畏怖と乞いたい赦しは共感できる気がしており、罪を打ち明ける場面、自首をしに -
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243ページ、第三編までは「何でこの人達は下らないことでこんなに熱くなって、こんなに醜悪なんだ?」しか頭に浮かばず、面白さを感じないまま苦行のように読んでいた。そのまま止めたって良かったけれど、その「何で」の先が知りたい気持ちになる、させる絶妙な会話運びと、冷ややかにも思えるほどの作者、ドストエフスキーの傍観者的語り口の妙な心地良さがあってちびちびと読み進めた。
第三編「女好きな男ども」から、個人的には一気に物語が転がっていく感覚に突入し、以降するすると読み終えた。
特にスメルジャコフの登場が良かったなー。あの語り口、、「神」という存在、存在自体の曖昧さ、この時代この国ロシアにおいてのその存 -
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マイ“ドストエフスキーブーム”の中で、亀山郁夫さんのこの新刊に出会えたのはラッキーだった。亀山先生はNHKの「100分de名著」でもドストエフスキーを解説された専門家。温厚そうなお人柄と語り口調がそのまま著作にも表れている。とにかくドストエフスキー愛が半端ではない方だ。
ご自身の持論だけではなく、様々な研究家(有名無名を問わず)の指摘や発見も紹介されていて、ドストエフスキーが小説の中に仕込んだ謎を露わにしてくれる。
主人公ラスコーリニコフは、選民思想(しかしこれには矛盾が多く、実際は傲慢からくる誤った意志の力)により殺人を犯すが、その背景には宗教、歴史、政治のパノラマと、そして何より作者ドスト -
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ネタバレ太宰治もそうですが、世間が言うほど別にさほど暗くはない。
大学の授業で「ドストエフスキーなんて読んでいる学生はこの中にいないと思いますが...」とか教授が言っているのを聞きながら読んでいました。
翻訳本に不慣れなときに読んだため、当時大分骨を折って休み休み読みましたが、ラスコーリニコフの心理描写は面白いです。彼の一見非常に矛盾した行動の数々を見ると、善人も悪人も大した区別はなくひとりの人間の中にどちらも同居しているのが普通なのだろうなと感じます。
結末が若干納得できておらず....直前まで神も信じず罪に対する反省もなかったラスコーリニコフが、ソーニャを愛し、神を愛したという結末になるのがどう -
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前半は個人的に心理描写系の場面が多くてちょっとつまらなかったけど、後半からはストーリーが大きく動いて面白かった。特に最後の方のポルフィーリによるラスコリーニコフの尋問はハラハラして面白かった。
ルージンさん、確かに嫌な奴だしウザい場面もあるけど、そこまで結婚反対するもんなのかな?一応は金持ちだし仕事出来るし。ラスコリーニコフが突っかからなければ形式上はそこそこ良い関係は続けられそうだけど、、、
それだけラスコリーニコフの妹に対する愛情が強かったの?それなら母は自分の娘をそこまで大切に思ってなかったって事にならない?それとも母は人の本性が分からないお人好しかバカって事?
罪と罰というタイト