亀山郁夫のレビュー一覧

  • 罪と罰 1

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    ドストエフスキーの歴史的名作。老女を殺害した青年の心理描写の変遷を描く。ロシア革命前夜のソドムのようなペテルブルクの様子や、そこで暮らす人々の品位水準や生活様式がよくわかる前半の描写が見事。外的要素や事実が発覚するたびに右へ左へ上へ下へ揺れ動く青年の心理はサスペンス要素が強く、いま読んでも全く飽きずにぐいぐい引き込まれる。

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    2023年12月03日
  • カラマーゾフの兄弟〈1〉

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    新訳だからか思ったより読みやすかった。アリョーシャが今時の男の子っぽく、フョードルが昭和の飲んだくれ親父のように思えた。
    この先何が起こるのかワクワクする展開ですね

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    2023年10月08日
  • カラマーゾフの兄弟〈1〉

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    亀山郁夫訳「カラマーゾフの兄弟」を長い間積ん読してきたが、遂に全5巻一気に読み終わった。
    詳細を読み込むと到底一回読むだけでは理解できない膨大で難解な小説。とは言え、大まかなあらすじを追った読み方でも十分に楽しめる。完璧に読み込むととても骨が折れると思う。各巻の巻末に「読書ガイド」が付いていてあらすじをさらってくれるのと、最終巻5巻の、「ドストエフスキーの生涯」「解題」を読むと、より深く内容を理解できる。特に「解題」は良い。
    各巻のしおりに主要登場人事物名が書かれているので便利である。登場人物の名前がよく置き換わるので、このしおりで確認しながら読むと読みやすい。
    世界十大小説の一つとも世界最高

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    2023年10月08日
  • カラマーゾフの兄弟〈3〉

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    この3巻から物語が大きく動いた。一気に疾走感溢れ、ページをたぐる手が止まらない。
    野蛮人のようなイメージだったミーチャの屈辱と嫉妬。だけどどこか真面目で憎めない奴でもありますね。だから彼の話をじっと聞いていたい気持ちになる。

    グルーシェンカは今ひとつ何考えているか分からない。
    アリョーシャとイワンはこの後どう絡んでくるのだろう?
    あと一瞬、芥川龍之介の『蜘蛛の糸』の一節が出てきて驚いた

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    2023年09月23日
  • 罪と罰 3

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    5よりの★4つです!
    もー、あれやこれや事件が多く起きすぎます!
    ただ③巻は「あっ!」という間に読み終えてしまいました。。咀嚼できるだろうか。
    『罪と罰』通してのヒットワードは“しらみ”です。

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    2023年09月18日
  • カラマーゾフの兄弟〈2〉

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    イワンの物語詩「大審問官」とアリョーシャの「ゾシマ長老の談話と説教」が対を成し、神は存在するのかしないのか大きな命題を突きつけられたような壮大な第2巻。
    壮大な宗教の経典を読んでるような重苦しさもあったが、巻末の読者ガイドが親切で理解も深まった。

    「自分の苦しみは他人にはわからない」「人間誰しも全ての人に対して罪がある」など突き詰めて考えればそういうことだなと双方納得させられるものがあった。
    ゾシマ長老の少年時代の逸話がなんとも微笑ましい。さてここから物語はどう展開してゆくのか?

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    2023年09月07日
  • カラマーゾフの兄弟〈5〉エピローグ別巻

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    読書として長い旅だった。数十年前は分からなかったことが少しはうなづけるようになり、ドストエフスキーの生涯と解題を読んでさらに理解が進んだ。
    キリスト教と社会主義、農奴解放後の混乱という19世紀のロシア特有の空気と、著者が実生活で持つ背景が作品に及ぼす強い影響。ミーチャ、イワン、アリョーシャという3兄弟と父親、スメルジャコフやコーリャ、女性たちとの会話など、どんなに分かりやすい翻訳でも、おそらく原語が理解できないとその面白さは半分以下なのだろうと、訳者の解説を読みながら実感。それでも他作品を間に挟みつつ3か月で読み通せたのは、活力ある言葉での翻訳に徹した訳者のおかげだ。
    著者が予定していた第二小

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    2023年09月02日
  • 罪と罰 1

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    威勢のいい会話、特に気の良い(いい人すぎてつらい) ラズミーヒンの存在が思いのほかこの作品を明るくしていて、個人的には「カラマーゾフの兄弟」よりも大分好き。犯罪前、現場、事後の嫌な感じをずっしりと追体験できる点で、無茶なことに走りかねないような状況に陥った人にぜひ読んでほしい。

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    2023年08月20日
  • 罪と罰 1

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    ネタバレ

    古典作品と呼ばれるものがどうして読み継がれているのか、この歳にしてようやくわかった気がした。
    ラスコーリニコフの苦悩、その時代に流行った思想を先鋭化しているという意味では、ロシアの帝政末期の人間しか持ち得ない苦悩なのかもしれない。けれど、普遍的な、簡単に言ってしまえば、自分という存在の価値を信じきれない人間の苦悩、がその根底にあると思った。キリスト教の思想を言語化できるほど理解をしていないので、ラスコーリニコフと宗教の関係性について深く考えられないことがとても悔しいが、ラスコーリニコフがソフィアに対して抱いていたある種の畏怖と乞いたい赦しは共感できる気がしており、罪を打ち明ける場面、自首をしに

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    2023年08月03日
  • カラマーゾフの兄弟〈1〉

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    243ページ、第三編までは「何でこの人達は下らないことでこんなに熱くなって、こんなに醜悪なんだ?」しか頭に浮かばず、面白さを感じないまま苦行のように読んでいた。そのまま止めたって良かったけれど、その「何で」の先が知りたい気持ちになる、させる絶妙な会話運びと、冷ややかにも思えるほどの作者、ドストエフスキーの傍観者的語り口の妙な心地良さがあってちびちびと読み進めた。

    第三編「女好きな男ども」から、個人的には一気に物語が転がっていく感覚に突入し、以降するすると読み終えた。
    特にスメルジャコフの登場が良かったなー。あの語り口、、「神」という存在、存在自体の曖昧さ、この時代この国ロシアにおいてのその存

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    2023年07月28日
  • 人生百年の教養

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    「変えられることと変えられないことの境界を区別できること」「そして変えられないことは受け入れること」
    この人の話を聞いていると、文学や音楽というものが、将来自分を振り返ってみた時、かなり大事なものになる、それらから何を得たのか、見ることができたのか、考えることができたのか。自分も後半に入ったのは間違いないのだから、大袈裟でなく、残りの一日一日を考えながら生きたいと思った。

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    2023年07月25日
  • 増補 『罪と罰』ノート

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    マイ“ドストエフスキーブーム”の中で、亀山郁夫さんのこの新刊に出会えたのはラッキーだった。亀山先生はNHKの「100分de名著」でもドストエフスキーを解説された専門家。温厚そうなお人柄と語り口調がそのまま著作にも表れている。とにかくドストエフスキー愛が半端ではない方だ。
    ご自身の持論だけではなく、様々な研究家(有名無名を問わず)の指摘や発見も紹介されていて、ドストエフスキーが小説の中に仕込んだ謎を露わにしてくれる。
    主人公ラスコーリニコフは、選民思想(しかしこれには矛盾が多く、実際は傲慢からくる誤った意志の力)により殺人を犯すが、その背景には宗教、歴史、政治のパノラマと、そして何より作者ドスト

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    2023年06月10日
  • カラマーゾフの兄弟〈5〉エピローグ別巻

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    読み終わった。この本は、何をテーマにしていたのだろう。多くのことが思い起こされるが、人生と同じく、一度は考え、悩むことがたくさん盛り込まれている。そこに、裁判という小説としてのエンターテイメントも加えられている感じがした。
    伝えたいのは、ドストエフスキーの思想。それをエンタメ作品にのせて吐き出した?
    あまりにも評価が高いだけに、どう言っていいのかわからないが、素直に言うなら、もう一度読みたい。訳もわからず読み進めた部分、得に登場人物の深層心理を理解を深めつつ、状況の進み具合を把握しつつ読んだら、もう少し物語に没入して楽しく読めそうだ。

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    2023年06月12日
  • カラマーゾフの兄弟〈2〉

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    ヒットワード連発の巻でした!
    「いかがなもんです、いかがなもんです!」
    “さくらんぼのジャム”
    「一粒の・・・」
    後はゾシマさんの話が染み入ります。

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    2023年06月09日
  • カラマーゾフの兄弟〈4〉

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    ここまで読んできた内容が全て回収されて行く爽快さと、二転三転する展開のジレンマで、読む楽しさを味わえる4冊目だった。
    余りにも細かく、記憶の片隅にあった、今までの事柄も引っ張り出され、証言され、論告される。読み返したくなった。

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    2023年06月05日
  • 罪と罰 3

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    ネタバレ

    太宰治もそうですが、世間が言うほど別にさほど暗くはない。
    大学の授業で「ドストエフスキーなんて読んでいる学生はこの中にいないと思いますが...」とか教授が言っているのを聞きながら読んでいました。
    翻訳本に不慣れなときに読んだため、当時大分骨を折って休み休み読みましたが、ラスコーリニコフの心理描写は面白いです。彼の一見非常に矛盾した行動の数々を見ると、善人も悪人も大した区別はなくひとりの人間の中にどちらも同居しているのが普通なのだろうなと感じます。

    結末が若干納得できておらず....直前まで神も信じず罪に対する反省もなかったラスコーリニコフが、ソーニャを愛し、神を愛したという結末になるのがどう

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    2023年06月03日
  • 罪と罰 2

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    最後の方のラスコーリニコフと予審判事との腹の探り合いがなんとも面白かった。おかした罪から仮に事実上逃れられたとしても、心理的にはどこにも逃げ場がないというポルフィーリの一言に戦々恐々とするラスコーリニコフの青ざめた感じが目に浮かぶ。一旦は罪から逃れられたように見えても、さらに嘘に嘘を重ねることで、この後どんどん追い詰められる様が想像される。

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    2023年04月30日
  • 罪と罰 2

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    前半は個人的に心理描写系の場面が多くてちょっとつまらなかったけど、後半からはストーリーが大きく動いて面白かった。特に最後の方のポルフィーリによるラスコリーニコフの尋問はハラハラして面白かった。

    ルージンさん、確かに嫌な奴だしウザい場面もあるけど、そこまで結婚反対するもんなのかな?一応は金持ちだし仕事出来るし。ラスコリーニコフが突っかからなければ形式上はそこそこ良い関係は続けられそうだけど、、、
    それだけラスコリーニコフの妹に対する愛情が強かったの?それなら母は自分の娘をそこまで大切に思ってなかったって事にならない?それとも母は人の本性が分からないお人好しかバカって事?

    罪と罰というタイト

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    2023年04月17日
  • カラマーゾフの兄弟〈5〉エピローグ別巻

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    何が起きたのかは何とか理解できたが、そこから宗教や心理学、哲学に繋げることは非常に難しかった。もう一度読んだらもう少し深く理解できるのかもしれないが、そんな元気はもうない…(゚∀゚)

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    2023年04月10日
  • 罪と罰 1

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    罪と罰と聞くと今まで何やら堅苦しい感じがして敬遠していたが、思っていたよりは簡単に読め、ハラハラしながら読む事が出来た。

    ただリザヴェーダを殺すところがピークで、その後は若干眠くなった。細かい心理描写とか古典作品が好きな人は面白いんだろうけど、、、
    ブリヘーリヤならレベシャートニコフやら人の名前が覚えにくいけど、登場人物とその概要が書いてあるしおりがあって助かった。

    1巻ではラスコーリニコフが病気から復活する所で終わった。最終的には捕まるのか逃げ切るのか。それとも自殺エンドなのか、、、
    2巻を早く読みたい

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    2023年04月07日