亀山郁夫のレビュー一覧

  • 人生百年の教養

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    ロシア文学者であり東京外大学長である著者における教養とは?何が語られるのか、興味を持って読み始めた。人生百年と銘打ったタイトルから、どんな提言が出てくるのか、教養について、一般論的に本質論が展開されるかと思ったが、そんな期待は肩透かしにあった。著者の人生を辿る形で、ドストエフスキーとの関係性を底流に、個人史的な歩みの中で教養というものを捉えている。教養は個人の中で閉じるものでなく、他者との関係性をもって初めて生きるものである、という論旨は納得できる。
    還暦を過ぎたあたりからの教養に基づく人生観が語られ暗い印象が落ちてくるが、最後の段になって、ロシアのウクライナ侵攻に触れる段落には警句とすべき文

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    2022年08月19日
  • 新訳 地下室の記録

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    トルストイ(1828〜1910)、ドストエフスキー1821〜1881)と時代が重なり合う同士であったが、若い頃のドストエフスキーは社会主義の運動で逮捕、死刑執行直前で保釈、小説家となりこの「地下室の記録」をあたかも病んだ、意地悪い男として表現、社会に間接的に抵抗していたのである。巨匠二人ともに時代の背景にある合理化一辺倒の社会主義国ロシアで「幸福、希望、夢」を追った作品は現代では理解できない厳しい規制社会だったに違いない。

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    2022年07月11日
  • 人生百年の教養

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    亀山郁夫先生が、若い頃、賭け事やアルコールに依存したこともあったとは。そんな過去の苦い経験も含めて、これからこの困難な時代を生きていく後輩たちに送った書。
    温かく真摯な書だと思った。

    神という絶対的な存在を持たない我々には、芸術がそれに置き換わることができること。
    目から鱗!

    大人であるには、「公共の嘘」を受け入れるしたたかさが必要であること。
    リアルな助言。

    村上春樹や大江健三郎を読むにあたって、ドストエフスキーの知識が基礎となること。
    ドストエフスキーはやはり避けては通れぬか…。わかってはいるのだ(笑)亀山先生が言うのなら読もうではないか。

    「桃李成蹊」
    なにはともあれ、これからも

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    2022年06月19日
  • 人生百年の教養

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    あるロシア文学者の半生と教養との向き合い。今の流行りの教養論。自分のコンプレックスとかも正直に吐露している。
    音楽と外国語推し。文学との付き合い。自分という書物。一元化を強いるグローバリズムへの対抗として日本の伝統文化への回帰。実学志向への批判。

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    2022年06月03日
  • 未成年1

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    ドストエフスキー五大長編小説を、カラマーゾフの兄弟、白痴、罪と罰、悪霊、の順番で読んできて、いよいよ最後の作品。続きの2と3がいつ出るのか分かってないが、このいつも通りに複雑な人間関係を覚えていられるかやや不安だ。

    四大長篇の時には選から漏れる作品、とのことで、おもしろいのかどうか心配だったが、十分面白い。
    ヴェルシーロフの複雑そうな人格が、庶子のアルカージーには鬱陶しかったり、魅力的だったり、面倒臭い奴感満載のリアクションとなっているよう。


    P35 第1部第1章7
    もしもできることなら、ぼくのことはすっぱり忘れてほしい(むろん、ぼくのことを少しでも覚えていてくれていると仮定してのことだ

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    2022年03月29日
  • カラマーゾフの兄弟〈2〉

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    カラマーゾフ新訳、第二巻。ちょうど、NHKラジオの文学の世界で、ドストエフスキーの特集をしていて、彼が本書を書いた背景や時代を理解しながら読んだが、それでも難解。

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    2021年12月15日
  • カラマーゾフの兄弟〈1〉

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    いつかは読もうと思っていた「カラマーゾフの兄弟」。NHKの「100分de名著」放映も見た。再放送も見て、流石に潮時と思い、読み始める。

    亀山先生の解説のお蔭で、プロローグの「著者より」に書かれているように、書かれなかった第2の小説の構想があったこと、三男アリョーシャが主人公だということを頭に入れる。

    出鱈目な父親フョードル、直情型で破滅型の長男ドミトリー、ニヒルな無神論者イワン、修道院で長老ゾシマに仕えるアリューシャ。

    三人の息子について全く放任だった父親、フョードル。長男ドミトリーと二男イワン、三男アリューシャは育ての親も違う。だから、この四人の濃厚な関係が納得しがたい。小説も面白さと

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    2021年11月28日
  • 罪と罰 1

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    『『罪と罰』」を読まない』を読んでから、読もう読もうと思っていたが、ようやっと重い腰を上げた。

    ラスコにしろ、マメ父にしろ、クセが強すぎる。独り言を言いながら散歩しまくったり、やたら気絶したり。いきなり語り出したと思ったら、ドMだったり。

    まだ1冊目だから序盤でこんなもんじゃこれからどうなるんだろうという心配と、それと同時にこれからさらにクセの強いキャラが出るのか楽しみでもある。

    人気のあったスベが気になる。続きが楽しみ。

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    2021年09月23日
  • ドストエフスキー 黒い言葉

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    ドストエフスキーの人生から小説内の言葉を読み解き、それを現代に当て嵌める。
    このような内容だが纏まりに欠け、結論もない。箴言集でもなければ、ドストエフスキー解説でもない。中途半端な一冊。
    結果、亀山郁夫氏の言いたいことを聞かされたような感覚。

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    2021年09月16日
  • カラマーゾフの兄弟〈3〉

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    カラマーゾフも折り返し、後2冊です。
    絶望的な量だと思ったのですが、この一冊に救われました。

    ミーチャが中心になることで、話が早い早い。スピーディーなミステリーを読んでるようです。
    ただ、イワンの告白や、ゾシマ長老の話に比べると引き込みは弱かった。私にとっては一服の清涼剤になりました。

    ミーチャの今後が気になる終わり方です!

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    2021年07月07日
  • カラマーゾフの兄弟〈2〉

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    ロシアの文学の天才が残した文学史上最高と言われる作品。当時のロシアの歴史的背景や宗教等が重なり合い、主人公たちの物語を描く。
    世の理や恋物語についても述べており、宗教観についても触れている作品。長いが人生で一度は読んでもいいと考える。
    登場人物が多く、複雑であるため、あらかじめ簡単に予習してから読むべし。

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    2021年05月07日
  • 白痴2

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    ネタバレ

    1巻と違って2巻はやや話が停滞気味でしたが、中二病みたいな集団の不毛なやり取りも、段々と彼らの言い分にも同意は出来ないけど共感は出来なくもないような不思議な感情が芽生えてきたりしたところが面白かったかな☆

    一見すると明らかに間違っているように思われるデタラメな主張も、言ってる本人からしてみたら正当な主張である可能性もあるので、まずはそれに対して最後まで耳を傾ける事の大事さみたいなのもちょっぴり感じました♪

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    2021年03月16日
  • 罪と罰 3

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    ネタバレ

    古典文学を読むのが初めてで、人の名前とか愛称が変わるところがなかなか読みづらく、読み終わるまでに長いと思ってしまった。

    名作として残っているだけあって考えさせられる内容だったとは思う。
    人を殺すのは悪いことなのか?世の中に蔓延る悪い奴らを殺すことも?
    (ラスコーリニコフが殺したのは世の中の為を思ってが何割くらいあったかはなんともいえないが)

    最後、彼は愛を知る。という神の救いには感動した。

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    2021年01月18日
  • そうか、君はカラマーゾフを読んだのか。 仕事も人生も成功するドストエフスキー66のメッセージ

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    「そうか、君はカラマーゾフを読んだのか。」と言われても…すいません、読んでません。NHK Eテレ 100de名著でやったカラマーゾフの兄弟の回を見ただけです。そのシリーズの講師の亀山郁夫さんのカラマーゾフ愛に圧倒された、という会話を大先輩にしたら、この本を送ってくれたのです。その先輩のカラマーゾフ愛も圧倒的でした。きっといつか読もうと心に誓いました。近いうちに、いつか、は来る予感。これもテレビですが天皇誕生日にやっていた塩野七生さんが高校生に語る番組でもドフトエフスキーが引き合いに出されていました。「まず山に登ってみよう。アンドレ・ジイドは「麓から見ると トルストイという山が見える、しかしその

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    2020年02月29日
  • 罪と罰 2

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    第二巻。いよいよ盛り上がってきた。ラスコーリニコフは、秀才でありながら、殺人を犯した罪悪感には耐えられない弱いメンタルの持ち主だと判明。ソーニャも動きはじめたし続きが気になる。

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    2020年02月08日
  • 悪霊 2

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    ネタバレ

    <登場人物>
    ユーリヤ夫人
    スタヴローギン
    ピョートル・ヴェルホヴェンスキー
    ワルワーラ夫人
    マリヤ
    リプーチン
    シャートフ
    キリーロフ

    舞台

    【物語】
    スタヴローギンは、マリヤ・チモフェーエヴナと結婚している。


    [レビュー]
    狂言回しとしてのピョートル・ヴェルホヴェンスキー。
    会話劇が面白くもあるのだが、婉曲的な物言いが、具体的に何の事を意味しているのか、僕にはわかりづらかった。

    名作とされている作品の一つであるが、当初、内ゲバを描いた作品であるとの予想の激しい描写は無く、物語は会話劇を中心にゆったり動き、亀山氏の翻訳は読みやすいのだが、僕には面白味がわからなかった。

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    2020年11月27日
  • 罪と罰 2

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    【由来】


    【期待したもの】

    ※「それは何か」を意識する、つまり、とりあえずの速読用か、テーマに関連していて、何を掴みたいのか、などを明確にする習慣を身につける訓練。

    【要約】


    【ノート】


    【目次】

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    2018年10月28日
  • 新カラマーゾフの兄弟 下

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    全く付いて行けず。
    理論建てて理解しようとするほど熱意が沸かない。
    ミステリーとして読もうと頑張ったが、結局よく分からない話だった。
    妙に面白くスラスラ読めるのだか、時代が違うからか頭に入らず。

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    2018年10月23日
  • 新訳 地下室の記録

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    筑摩版小沼文彦訳に較べると、亀山訳の主人公は、やや男性的な感じ。

    ただ、主人公は、もっとだらしなくみっともない、卑小な人物のはずなので、小沼訳の方が、本来のイメージに近いのではないかと思う。

    それから、亀山訳では、「まったく」を「ったく」と訳すなど、ウケを狙っているのか、妙な言葉遣いが違和感。
    こういう「新しい」コトバは、すぐに古びるし、作品の品格も落とすので、やめた方がいいと思う。

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    2017年09月16日
  • 新カラマーゾフの兄弟 下

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    「カラマーゾフの兄弟」の続編のいよいよ完結。教団の位置づけや湯田たちの動機、女性たちの気持ちなどがよく分からない。しかし、作者の熱気はよく伝わってくる。特に、「使嗾」と「黙過」の考えは現代人にも迫ってくる。

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    2016年10月30日