亀山郁夫のレビュー一覧
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亀山氏が学生時代に「悪霊」に出会った衝撃は他のドストエフスキーの作品以上に強かったという思い入れの強い作品をロシアの第一人者と語った記録です。ラスコーリニコフとスタヴローギンの相違点、なぜ悪霊の主人公は醜悪な存在として著者は意識して書いたのか?ここまでリアリティがあるからにはモデルはあるのか?作者本人か?などと謎を二人で語っていくこの本はぞくぞくするほど魅力的です。登場人物の解き明かしも明快であり、また読みたくなります。この2人の読み方の違いもあるのが、一層興味を深めてくれています。キリストに対するスタヴローギン、ピョートル、キリーロフ、シャートフの4人主要人物の立場の違いの表現は一言が実に端
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Posted by ブクログ
僕は『悪霊』の中で最初に読んだのがここで取り上げられている『スタヴローギンの告白』の章です。そのあまりに反社会的内容のために雑誌の掲載を拒否され、国家からも睨まれるという理由が本当によくわかりました。
僕が現在読んでいるドストエフスキーの『悪霊』。その中でもハイライトでもあり、内容が『一人の少女を陵辱した上に自殺に追いやる』という反社会的なことこの上ないために当時連載していた雑誌の編集長から掲載の拒否を宣告されたことを始め、数々の『毀誉褒貶』やその他もろもろの要素に晒され、なんと百年近くも『お蔵入り』の憂き目に遭ったとされる、いわく付きのテキスト、大学時代からドストエフスキーに耽溺し、数々の -
Posted by ブクログ
チャイコフスキーは53歳でこの世を去っている。私と同じ年齢だ。これまで自分がなし得た事と1840年生まれのチャイコフスキーがなし得た事のあまりの違いに愕然とする。
本書は表題と中身の印象が少し違っている。著者の亀山氏が「チャイコフスキーがなぜか好き」なのであって、チャイコフスキーに深く入り込んだ解説書ではないのだ。
つまりロシア文学者としてロシア音楽が好きでチャイコフスキーも好き、そんな著者が好きなロシア音楽についての深い洞察とご自分の人生の懐古とロシア音楽への愛情を書き連ねたのが本書。
したがってチャイコフスキーに詳しくなれるわけではありません。
「ぼくたちがロシア音楽に聴き取っているのは、 -
Posted by ブクログ
[ 内容 ]
ドストエフスキーの全作品でもっとも危険とされる「スタヴローギンの告白」(小説『悪霊』より)。
作家の全人格が凝集されているこのテクストには、人間の“堕落”をめぐる根源的ともいえるイメージが息づいています。
文学のリアリティとは、人間の可能性とは?
一人の男がさまよいこんだ精神の闇をともに探究してみましょう。
[ 目次 ]
テクスト―「告白」(ドストエフスキー『悪霊』より)
第1回 なぜ『悪霊』なのか(『罪と罰』―憑依の体験;動機―なぜ『悪霊』なのか;『悪霊』とはどんな小説か ほか)
第2回 「神」のまなざし(「告白」とポリフォニー;壊れた文体;告白の意味 ほか)
第3回 少女は