あらすじ
ドストエフスキーの未完の傑作、ついに完結……あのミリオンセラーの翻訳者が作者の遺志を継ぎ、現代日本を舞台に「父殺し」の謎に迫る。桁外れのスケールで贈る、著者初小説!
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Posted by ブクログ
『新カラマーゾフ』が新刊書の棚に並んでいるのを見て、正直鳥肌が立った。
しかも、訳者である亀山郁夫さんの小説。(私が読んだのは原卓也版だから申し訳ないけど)
それでも単なる焼き直しなら、先日『カラマーゾフの妹』を読んだことだし、しばらく待っていただろう。
舞台は1995年の日本。
阪神淡路大震災であり、地下鉄サリン事件のあった年をクローズアップして、カラマーゾフ家を送り込むなんて、凄すぎる展開じゃないか!
と、ここで誘惑に負けて購入に至ったのだった。
前巻だけで700ページ近い量に圧倒されながらも、一気に読めてしまった。
なるほど。本家カラマーゾフのような国家的広さは持ち合わせてはいない。宗教的下地も、日本だとどうしても薄まる。だが、セクト(コミューン)の中で共同生活を送る人々と社会を繋ぐ三男リョウと、ロシアの結び付きが上手い。
リョウの言う「グローバリズムへの恐怖」と、富の集中による世界の大審問官化。つまりは世界的システムによる、人間の支配。
また次男イサムの、人間の不死化と世界の破滅。
これら90年代以降の視点と、カラマーゾフの繋がりがとても魅力的なのは間違いない。
『父殺し』云々が何を示唆しているかは、まだハッキリ読み取れていない自分の脳みそが悔しい。
村上春樹『1Q84』とも重なる。壁と卵。
あとは、新版グルーシェンカと考えられる瑠佳はもちろん魅力的なのだけど、グルーシェンカには及ばない。あまり重ねない方が「読み」としては良いのか。
カラマーゾフの女たちも、なかなかしたたかで好きなのだけど。
下巻に続く、が、なかなか道のりは険しい(笑)
「社会主義のソ連こそが、大審問官の世界だったのじゃありませんか?」
「もちろん、ですとも。スターリンが、まさに、その、象徴、でした。ところが、これからの世界は、システム、という、世界に仕える、無数の、大審問官が、支配する、のです」
Posted by ブクログ
人物が薄かったり、幾らか説明的に過ぎたりと、小説としては粗が目立つところがある。
物語の本筋もカラマーゾフの兄弟の舞台を日本に移しただけのようなものになっている。
しかし、作者の死によって描かれなかったアリョーシャの後編での役割や、フョードル亡き後の父殺し、延いては前編では狂言回しに徹していたアリョーシャの人となりを、亀山郁夫氏ならではの解釈で読み進めるのは面白かった。
さらに長い小説にはなってしまうが、もっと各人物を描き、原典に寄りすぎず再構築する位の勢いで書かれていれば名著になっていたと感じる。
非常に残念であり、惜しい。
Posted by ブクログ
ドストエフスキーを齧った者なら、
書店で並ぶ本書を見て、ある種の驚愕が走ったであろう。
新カラマーゾフの兄弟。ここまで大胆なタイトル、著者はあの亀山郁夫。
なるほど、ここまで大胆なのにも納得できる。
カラマーゾフの兄弟と絡めながら読み解いていくも
上巻だけで相当な量である。一筋縄ではいかない。
現代の日本、とは言え時代は1995年。
阪神大震災、そしてオウム事件と日本が震撼した年。
時代設定にこの年代を選んだのも、なるほど納得である。
旧ソ連の崩壊、そしてロシアの誕生。
国家の滅亡と誕生を目の当たりにした黒木リョウは何を思う?
まだまだ壮大な下巻へと続く途中、先を急ごう。
Posted by ブクログ
難しかった。
カラマーゾフの兄弟を模して黒木家という一家にまつわる謎に迫っていく。
宗教の話も出てくるので抵抗のある人もいるかもしれない。
君が無関心なところで世界が動いているかもしれない、が印象的な言葉だった。
Posted by ブクログ
私もカラマーゾフの兄弟の新訳かと思っていた一人です。舞台も日本で時代も現代になり、読みやすいかと思いましたが、難解でした。登場人物の関係性も複雑で、時間も前後するので、混乱しました。一読では理解不十分という感じで、下巻も読むか悩んでしまいます。原作はもっと大変なんだろうな。名作って難しいのね。