【感想・ネタバレ】『悪霊』神になりたかった男のレビュー

あらすじ

ドストエフスキーの全作品でもっとも危険とされる「スタヴローギンの告白」(小説『悪霊』より)。作家の全人格が凝集されているこのテクストには、人間の〈堕落〉をめぐる根源的ともいえるイメージが息づいています。文学のリアリティとは、人間の可能性とは? 一人の男がさまよいこんだ精神の闇をともに探究してみましょう。

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Posted by ブクログ

『悪霊』神になりたかった男 (理想の教室)。亀山郁夫先生の著書。世の中の全ての人間が抱える心の闇、精神の闇の存在について真剣に考えさせれらる一冊。『悪霊』神になりたかった男というタイトルそのものの内容。

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2019年07月07日

Posted by ブクログ

僕は『悪霊』の中で最初に読んだのがここで取り上げられている『スタヴローギンの告白』の章です。そのあまりに反社会的内容のために雑誌の掲載を拒否され、国家からも睨まれるという理由が本当によくわかりました。

僕が現在読んでいるドストエフスキーの『悪霊』。その中でもハイライトでもあり、内容が『一人の少女を陵辱した上に自殺に追いやる』という反社会的なことこの上ないために当時連載していた雑誌の編集長から掲載の拒否を宣告されたことを始め、数々の『毀誉褒貶』やその他もろもろの要素に晒され、なんと百年近くも『お蔵入り』の憂き目に遭ったとされる、いわく付きのテキスト、大学時代からドストエフスキーに耽溺し、数々の新訳でその作品を現在によみがえらせた亀山郁夫氏による解説で紹介する、というのが本書の基本的な内容です。

それにしても…。本書は三部構成になっていて、なぜ『悪霊』なのか、ということに始まり、主人公のスタヴローギンが「神のまなざし」に自らを持っていこうとすることで、自らが『神』に成り代わろうとするかということが解説されます。そして最後の『少女はなぜ死んだのか?』ではスタヴローギンに陵辱されたあと、マトリョーシャが熱にうなされながら、『私は神を殺してしまった』とうわごとのようにつぶやき続け、小屋の中で縊死という形で自らその幼い命を絶つまでのプロセスが記されており、詳細に関しては実際にお読みいただきたい所ですが、『14歳』という年齢がいかに『危険』な年齢であるということと、あいまいにぼかしたような表現の中にこれほどの『倒錯性』を盛り込んだドストエフスキーの手腕に恐ろしさすら感じてしまいました。

スタヴローギンの『告白』は『福音書』に体裁をなぞらえ、舌足らずなロシア語で書かれているという(あくまで亀山氏の解説からですが)文体から、それとはかけ離れた『黙示録』的な内容で、スタヴローギンという人間の中にあらゆる『悪』というものを詰め込みに詰め込み、神になろうとした男が最後に自らに課した運命がこのマトリョーシャと同じものであるということがなんとも皮肉というのかなんというのか…。彼は最期を遂げるときに絹紐に石鹸をべっとりと縫っていた、という記述があって、それが気になって仕方がないのですが、このディテールの意味をご存知の方はぜひとも、僕にお教えください。

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2013年08月10日

Posted by ブクログ

[ 内容 ]
ドストエフスキーの全作品でもっとも危険とされる「スタヴローギンの告白」(小説『悪霊』より)。
作家の全人格が凝集されているこのテクストには、人間の“堕落”をめぐる根源的ともいえるイメージが息づいています。
文学のリアリティとは、人間の可能性とは?
一人の男がさまよいこんだ精神の闇をともに探究してみましょう。

[ 目次 ]
テクスト―「告白」(ドストエフスキー『悪霊』より)
第1回 なぜ『悪霊』なのか(『罪と罰』―憑依の体験;動機―なぜ『悪霊』なのか;『悪霊』とはどんな小説か ほか)
第2回 「神」のまなざし(「告白」とポリフォニー;壊れた文体;告白の意味 ほか)
第3回 少女はなぜ死んだのか?(「完全」と「欠損」、神への近さ;「奇跡」を求めて―スタヴローギンの世界遍歴;二重写し―黄金時代とマトリョーシャ ほか)

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2010年06月07日

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