新カラマーゾフの兄弟 下
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新カラマーゾフの兄弟 下

小説・文芸
2,310円 (税込)

11pt

4.0

遺産と女、兄弟の葛藤、そして謎の教団……135年の時を経て、あの名作の謎が解かれる。続編でもパロディでもない「完結編」の行方は?驚愕のノンストップ・ミステリー巨篇!

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新カラマーゾフの兄弟 の一覧

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新カラマーゾフの兄弟 下 のユーザーレビュー

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感情タグBEST3

    Posted by ブクログ

    上巻の感想でも述べたが、オウム地下鉄サリン事件が起きた1995年が、本作の舞台として選ばれたのはやはり意味深いという印象が強く残る。
    90年代には、ソ連崩壊により冷戦も集結し、近代からの脱却を目指した我が国でも個人主義が進み、他者に無関心な人々が増殖した。インターネットが普及し、人々はネットを介した疎結合に依拠するようになった。国家間の覇権をかけた戦争は、むしろ局所的なテロリズムにその戦いの形態を変え、冷戦終結とともにそもそも世界の覇権はアメリカに一極化した。そうした世相の間隙を突くように起きたのが、地下鉄サリン事件だったのではないか。
    1995年という時代を背景に、あるいは新興宗教集団に傾倒し、あるいはアメリカに目を向けるカラマーゾフ家ならぬ黒木家の面々は、本当に『カラマーゾフの兄弟』のあの壮大な物語をなぞるように行動し、会話する。その物語に通底するのが、「父殺しの謎」であることは言うまでもない。本作はやはり「父殺しの謎」を軸にした古典的エンターテイメント小説として楽しむのが本流であるという思いを、あらためて強くした。
    しかしその謎に、パラレルワールド的に進行するK教授のエピソードや、黒木家三兄弟のエピソードが次々とカットインされるように物語は進行する。そうしたエピソードの合間から、本当の謎の真相が少しずつ立ち昇ってくる構成は、エンターテイメントとして極上である。だが、著者の来歴を拝見するに、私小説のような気もしてくる。
    ともあれ、以前読んだとある新興宗教の物語とつい比較したくなるが、重厚感といい、完成度といい、カラマーゾフを下敷きにした本作の圧勝というほかない。

    0
    2019年09月18日

    Posted by ブクログ

    西ヶ原の回想が懐かしい。東京外語OBには必読かも。亀山先生と原卓也先生とはこんな関係だったのかと思うと、改めて興味深い本である。

    0
    2016年01月11日

    Posted by ブクログ

    あの亀山郁夫さんが書かれたのだから、カラマーゾフの兄弟の続編かな、と思ったけど違った。1995年という阪神大震災とオウムに激震が走った年の日本を舞台に変え、カラマーゾフの兄弟のオマージュとして登場人物もストーリーも重なりながら進んでいく。どこかカラマーゾフの兄弟というより、シンボル的に現れるアイテムだったり、登場人物の精神的な旅の様子が村上春樹のようだ。
    最初はなんだかカラマーゾフの兄弟の同人誌みたいだ、と正直気恥ずかしく読んだ。だが読み進めるうちに、これはオマージュであり、リライトであり、ドストエフスキー論であり、カラマーゾフの兄弟の講義であり、亀山さんの自伝であり、アバンギャルドな実験小説だと気づかされる。下巻くらいからは物語に引き込まれた。
    読んでいるうちに、カラマーゾフの兄弟自体への理解が深まった気がした。

    0
    2015年12月20日

    Posted by ブクログ

    全く付いて行けず。
    理論建てて理解しようとするほど熱意が沸かない。
    ミステリーとして読もうと頑張ったが、結局よく分からない話だった。
    妙に面白くスラスラ読めるのだか、時代が違うからか頭に入らず。

    0
    2018年10月23日

    Posted by ブクログ

    「カラマーゾフの兄弟」の続編のいよいよ完結。教団の位置づけや湯田たちの動機、女性たちの気持ちなどがよく分からない。しかし、作者の熱気はよく伝わってくる。特に、「使嗾」と「黙過」の考えは現代人にも迫ってくる。

    0
    2016年10月30日

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    ものすごいボリュームだけど、読み進めることは全く苦ではなかった。

    私としては、結末よりもクライマックス、K先生の最終講義にとても惹かれた。

    ドミートリー、イワン、アレクセイ。
    それぞれの心に宿る「父殺し」の罪の共有。願望それ自体は、正常な生き方だと言われる。そこで手を下すことになったスメルジャコフは異端なのか。
    幸司は、イサムの許しがなくとも「父殺し」を行ったか。恐らく行わなかっただろう。

    「神がいなければ、全ては許される。」
    その言葉に縋り、彼の欲望を開花させたのはイワンなのだと思う。
    そうして、現代社会にはイワンを代弁する存在がきっと無数にいる。自ら「父殺し」を行うではなく、それを本能として許してしまう代理人。
    そのため、父は実際に「殺される」。
    しかし、正しくはないものの、ある意味それが為されたことで、カラマーゾフは黒たりえた。
    ミツルは瑠佳を追うことが出来、イサムは香奈と心を共有させ、リョウは担う覚悟を決めた。それぞれに罪を背負うことと、生きることが再確認されるわけである。

    レビューしながら、まとまりもしないのだけど。
    上巻ではリョウによってグローバリズムへの恐怖が語られていた。
    神が「不在」と見なされ、全能の源である情報過多と生命存続が無限になりつつある世界。
    精神的成長である「父殺し」を歪んだ形で封じられたことによる人間的な鬱屈は、地下鉄サリン事件のようなカオスを引き起こす(ということか)。

    これは上巻レビューでも述べたが、村上春樹の言うコミットメントとデタッチメントというキーワードに密接に関わっていると思う。『1Q84』や『アンダーグラウンド』との関わりについては省くけれど……。
    私は父性とは基本的にデタッチメントであり、母性とはコミットメントなのではないかと思う。
    ただ、カラマーゾフの場合、本来コミットメントするべき母親が充分でないまま子供たちを見捨ててしまう所に原罪がある。(しかし、瑠佳は敦子に本当の母を感じるわけだが)

    リョウが最後に決めた覚悟とは、自身が守ると決めた多くの子供たちからいずれデタッチメントされることへの覚悟なのだろうか。

    「古い世代の父親なら、黙っていても父親としての威厳を保つことができましたが、これからはまさに「それにふさわしいこと」の質が問われることになるのです。翻って、少子化時代に父親になる若い親たちは、どのような愛情でもって子どもたちに接するのか。彼らにとって「ふさわしいこと」とは何かを、真剣に考えてほしいと思います。」

    0
    2015年11月24日

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