亀山郁夫のレビュー一覧

  • カラマーゾフの兄弟〈5〉エピローグ別巻

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    ネタバレ

    日本列島が最強寒波におおわれている頃、この凍てついたロシアの地で繰り広げられる物語もまた、クライマックスへーー。
    昨秋から4か月におよんだ読書の旅も、ついに完結。
    いやあ、それにしても長かった。
    まずはおつかれ、私!!

    3巻から徐々にスピードアップしていた展開は、4巻でさらに凄みをまして、5巻のエピローグまで一気読みでした。
    ミーチャ、有罪になってしまったのか、うわあ……。
    そしてイワンはこれからどうやって生きていくんだろうか。

    それにしても話が長くて読むのが辛くて、途中で何度も投げ出しそうになったけれど、なんとか最後までたどりついたいま、この作品と出会えて本当に良かったと思っています。

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    2023年02月04日
  • カラマーゾフの兄弟〈5〉エピローグ別巻

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    エピローグそのものは短いが、その後に訳者による年譜と外題があるため、1冊分になっている。それが理解のためにとても役に立つ。

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    2023年01月22日
  • カラマーゾフの兄弟〈3〉

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    ネタバレ

    狂乱と喧騒の第3巻。

    途中まで、ミーチャの魅力がまったくわからん……と思いつつ読んでました。
    思い込みで突っ走るし、浪費家でお金にだらしがないし。
    なんで、作者から「高潔な」と人物描写されるのか、他の登場人物からなんだかんだ言いつつ好意をもたれているのか、理解できん、と。
    でも、終盤で彼が絞り出した
    「親父の血にかんして、ぼくは無実です!  罰を受け入れるのは、親父を殺したからじゃない、殺したいと思ったから、ひょっとするとじっさいに殺しかねなかったから、なんです······」
    というセリフで、今までの彼の支離滅裂な行動も、性格の甘い部分も、ぜんぶが反転して人間らしく思えてくる、見事さよ!

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    2023年01月18日
  • 罪と罰 3

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    再読
    エピローグでのソーニャの存在が際立っている
    エンディングもとても良くて、訳の良さなのか全体を通じて小難しい文学という感じではなく、物語にしっかり入り込めた
    自分としては、罪と罰は、この光文社版が一番好き

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    2022年12月24日
  • 罪と罰 3

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    ドゥーニヤのスヴィドリガイロフへの発砲を最後のクライマックスとして、物語は徐々に終焉へと向かう。エピローグが感動的である。

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    2022年12月12日
  • 罪と罰 2

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    殺人の動機が徐々に明されていく第2巻。ラスコーリニコフが語るその主たる動機の根拠となる思想は、先般ウクライナを侵略したロシアの大統領も、同様に持っているのではなかろうか。

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    2022年12月06日
  • 罪と罰 3

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    圧巻の最終巻。真実が次第に漏れていく中、愛する者たちに困難が降りかかる。犯罪者の苦悩と決断に感動は必至!

    分厚いが一気に読める500ページ。ヒロインふたりに襲いかかる危機に白熱。ドラマチックな展開に夢中になるあまり、ラスコーリニコフの心理的な変化を見落としがちだった。なし崩し的にあの結末に向かうが、彼の信念そのものには変化がないことに不安をおぼえる。しかし、ラザロの復活を暗示するラストシーンに希望の兆しをみて感動。筋書きの面白さに駆け足で読み切ってしまったせいで、細かい考察はできていない。普遍的な内容を持つ本作は、まだまだ深掘りする価値があると思った。魅力的な登場人物たちは深く心に残る。

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    2022年10月22日
  • 罪と罰 2

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    母と妹の登場、予審判事や妹の婚約者との対決、そして明らかになっていく犯罪の理由。福音書が彼に寄り添う。

    加速感のある第3部と第4部を収録。追い詰められていくラスコーリニコフ。愛する母と妹に再会しても喜ぶ余裕もない彼の横で展開する家族ドラマ。超絶美人な妹の、傲慢な婚約者やストーカーとのすったもんだ、親友ラズミーヒンの人物像など、人間描写が魅力的で引き込まれる。

    いっぽうで事件の方も進行しており、予審判事ポルフィーリーとのやり取りでラスコーリニコフの選民思想が明かされる。『非凡人』には犯罪の権利がある――良心にしたがった殺人を許容する、という結論は極端だとしても、命の価値を判断する=軽い命があ

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    2022年10月21日
  • 罪と罰 1

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    命の価値によって殺人は許されるか?普遍のテーマに切り込む永遠の名作。あちこちで使われてしまうタイトル……元ネタはこちら。椎名林檎でもNintendo64でもないぞ!

    これは面白い。難解な内容を想像していたが、犯行前後のサスペンスと犯人が心理的に追い詰められていく過程、深みのある人間関係のドラマに夢中になってしまった。

    第1巻を読み終えた時点では、殺人の動機がまだぼんやりしているもののおそらくは、「多数の若者のために死んでくれこの老害!」ということだろうか。これは高齢化社会のなかで老人が命の価値をはかられる現状の日本にとってもリアルなテーマだし、犯罪を正当化する心理という意味では普遍的なテー

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    2022年10月20日
  • カラマーゾフの兄弟〈2〉

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    圧巻の読み応えの2巻。
    めちゃくちゃひきこまれました!

    有名な大審問官のパートはつきささったし、それ以外にも印象的なくだりが盛りだくさん。
    スネギリョフとイリューシャの、貧しさと闘うなかでの鬱屈とプライド、それから親子愛。
    若かりし日のゾシマ長老を訪ねる謎の訪問者も面白かったなあ。
    あと意外だったのが、若いアリョーシャとリーズが想いをかよわせる場面!
    うそ……これ……60近いドストエフスキーが書いているんだよね?
    読んでいるこちらがムズムズしてしまうくらい、甘酸っぱいんですよ。
    文豪の知らない顔を垣間見た気がして、なにげに好きなところでした。

    ところで、今回、読んでいる途中でちょっと失敗し

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    2022年10月17日
  • ドストエフスキー 父殺しの文学 (下)

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    ネタバレ

    ドストエフスキーの癲癇と父殺し  -2006.03.27記

    以下、フロイトの孫引きになるが、
    「少年フョードルは、ライバルでありかつ支配者である父親を憎み、その反面、強者である父親を賛美し、模範にしたいというアンビバレントな感情に苦しめられていた。しかし、ライバルたる父親を亡き者にしたいという願いは、父親から下される罰、すなわち、去勢に対する恐怖によって抑圧されていた。そして、その父親が、彼の支配下であった農奴たちによって殺されたことで、図らずもその願いが現実化したため、まるで自分が犯人であるかのような錯覚にとらわれた」というのである。
    「ドストエフスキーの発作は、18才のときのあの震撼的な

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    2022年10月13日
  • ドストエフスキー 父殺しの文学 (上)

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    ネタバレ

    ドストエフスキーの癲癇と父殺し  -2006.03.27記

    「罪と罰」や「カラマーゾフの兄弟」の文豪ドストエフスキーが、癲癇性気質だったことはよく知られた話だろうが、
    本書によれば、フロイトが1928年に「ドストエフスキーと父殺し」と題する論文で、ドストエフスキーの生涯を悩ました癲癇の発作について、彼の持論である「エディプス.コンプレックス」を適用してみせている、とこれを引用しつつ論を展開しているが、なかなかに興味深く惹かれるものがあった。

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    2022年10月13日
  • 罪と罰 3

    A

    購入済み

    おもしろかった

    半分も理解できてないだろうけど
    ともかく読み終わった。おもしろかった。
    なぜそうなったのかと思うところもあるが
    世の中理屈で割り切れるものではないということからすると
    とても現実的な物語なのかもしれない。
    気力があれば読み返してみたいところだが
    今はちょっと無理。

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    2022年10月02日
  • カラマーゾフの兄弟〈5〉エピローグ別巻

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    最終巻はエピローグが数十ページ。残りの大部分は解説となり、ドストエフスキーの生涯、解題、訳者あとがき。

    エピローグのみ別巻とする配分は初めてらしい。気になる登場人物たちのその後は、アリョーシャと少年たちの未来を予感させて終わる。続編が予定されていた本作だが、刊行直後に作者が亡くなってしまい執筆されずに終わった。13年後のアリョーシャを見てみたかった……。

    エピローグ部分は短いのですぐ読み終わる。その後の解説などは必ずしも読む必要はないのかもしれないが、読み飛ばす人は意外に少ないのではないか。圧倒的なエネルギーを持つ本作を読み解くには、何がしかの思考補助が有用で、訳者・亀山郁夫先生の「解題」

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    2022年09月17日
  • カラマーゾフの兄弟〈3〉

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    長老の遺体による腐臭騒ぎで、迷いが生じるアレクセイ。一方、ドミートリイは愛人のため金策に走り回っていた。

    グルーシェニカの人柄と背景がよくわかる深掘りと、アリョーシャ(アレクセイ)の信仰が新生する第7編。第8編ではミーチャ(ドミートリイ)が奔走するなか、ついに事件が起こってしまう。続く第9編では、ジャンルが変わったのかと思うほどミステリー小説な展開に。疾走感のあるこの第3部で物語は一気に加速した感がある。相変わらず会話文の分量が多く、読みやすいが長い。とはいえ、思想性や哲学性の高かった第2部と比べるとよりエンタメ性が増し、それぞれの人物への感情移入も深まって、夢中で読み切ってしまった。

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    2022年09月15日
  • カラマーゾフの兄弟〈2〉

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    さらに泥沼化するかに思える複雑な人間模様のなか、兄イワンと高僧ゾシマ長老がそれぞれに神学的テーマを展開。

    キリストにケンカをふっかけるイワンの創作叙事詩『大審問官』の衝撃と、ゾシマ長老の愛に満ちた談話・説教のコントラストが印象深い。いずれも難解で普遍的なテーマを含んでいるため、ざっと一読では消化不良に終わってしまった。とりあえずネット上にある解説や考察などを調べてみているが、ここは宗教に疎い人はつらいところかも。

    とはいえ、主人公アレクセイを中心に起こるトラブルの数々は筋書きとして面白いし、各人物の魅力や思想的な深みも相まってものすごく重層的な世界が出来上がっているなぁと圧倒された。

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    2022年09月05日
  • 悪霊 3

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    一、二巻は展開が冗長でまどろっこしい印象を抱いたが、この三巻で『悪霊』の筆舌に尽くしがたい面白さが一気に畳み掛けてきた。この面白さを味わう資格のある者は一、二巻を辛抱強く読み終えた者達だけである。『罪と罰』や『カラマーゾフの兄弟』に散りばめられた“救い”の部分がこの作品からは殆ど感じられないぐらい陰惨めいている。人物の“死”が多く描かれるが、その描写自体は淡白な印象を抱いた。革命事件に主軸を置きながらキリスト教と無神論(人神思想)といった宗教哲学が濃厚に詰まった作品である。殊に人神思想が登場人物によって語られる描写に魅了された。

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    2022年08月12日
  • カラマーゾフの兄弟〈5〉エピローグ別巻

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    ネタバレ

    完結巻。長い長い物語の終わり。訳者の解説で続編の存在に触れられている通り、シナリオとしては未完、アリョーシャの物語はまだ始まったばかりだ。それなのに読後は爽やかな気分になる。快晴の冬の朝のようだ。

    劇的なシーンは前巻の裁判で最後であり、主要キャラクターの顛末を考えても決してハッピーエンドとは言えない。それでは物語の終わりと第二の小説への序章として必要だったのだと思う。

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    2022年08月03日
  • カラマーゾフの兄弟〈1〉

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    長い長い物語の序章。ドタバタコメディ的な魅力があるため、世間で言われてるほど読みづらくはない。

    「東大生〇〇が選んだ〜」だの「世界最高峰の〜」といったレッテルが手に取るまでの敷居を上げてしまうが、感触は「銀魂」みたいなもんだ。気軽に挑め。

    序盤だけあって人物紹介やドストおじさんの語が多くてダルいセクションもあるが、物語を最後まで読んだ上で戻ってくると、この巻の濃さ、面白さに驚く。

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    2022年07月30日
  • カラマーゾフの兄弟〈4〉

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    凄まじいカタルシス。物理的にはいちばん分厚いけれど、体感時間はいちばん短いと思う。散りばめられた細かいサイドストーリーが思わぬところでつながり、異様な説得力を伴って胸に迫る。この物語に賑やかしのモブなんていないことがよくわかる。

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    2022年07月30日