亀山郁夫のレビュー一覧

  • チャイコフスキーがなぜか好き 熱狂とノスタルジーのロシア音楽

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     数年前、急遽、チャイコフスキイの弦楽セレナードで舞台に乗ることになった。1カ月で合奏から脱落しない程度に難しい譜面をさらわなければならず、文字通り気が狂ったように練習した。自分のパートをさらうのはきつかったが、合奏練習に行くとそれは喜びに変わった。冒頭のノスタルジーをかきたてられる旋律、見たこともないのに「ロシアの大地」などという言葉が頭に浮かぶ。他方、第1楽章主部のテーマの何たる典雅。あるいは通俗に堕ちそうで堕ちないワルツ。エレジーのセンティメント。そして快活でも優雅なフィナーレの最後に戻ってくる冒頭の旋律の感動。チャイコフスキイとの蜜月を過ごしたのである。
     でもチャイコフスキイはなぜか

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    2016年02月04日
  • 新カラマーゾフの兄弟 下

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    西ヶ原の回想が懐かしい。東京外語OBには必読かも。亀山先生と原卓也先生とはこんな関係だったのかと思うと、改めて興味深い本である。

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    2016年01月11日
  • 新カラマーゾフの兄弟 上

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    西ヶ原の回想が懐かしい。東京外語OBには必読かも。亀山先生と原卓也先生とはこんな関係だったのかと思うと、改めて興味深い本である。

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    2016年01月11日
  • 悪霊 3

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    一番好きな小説。自分が歳をとったからなのか、亀山さんの訳が分かりやすいのか、これまで何度も読んできた本のはずなのに、新たな気づきも多く、世界も広く感じられた。

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    2015年09月23日
  • 磔のロシア スターリンと芸術家たち

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     中国でのプロパガンダを喧伝する手段として、学術・芸術の粛清と利用。その参考となったのがスターリンの粛清と言われていたので、手にした。
     ロシア・ソ連の基本的な知識がないので、ハードルが高かった。社会主義の理想である集団化が、階級闘争、世代対立、さらに一人の指導者を父として崇めていく社会の矛盾を深めていく。批判を受けずに、これらを芸術でどう表現していくのか? 作者でいうところの「しかけ」「二枚舌」の推論を展開している。
     または世界的な名声を立てに、その時期をやり過ごすか。
     芸術家たちの苦悩、その作品が残されて来た事の意義は大きい。

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    2015年07月27日
  • カラマーゾフの兄弟〈3〉

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    ミーチャの出番が多く、350ページあたりからやっと父殺しが発覚する三巻。
    その辺りからはテンポもよく、かなり読みやすくなったように感じた。

    ミーチャは高潔なのかもしれないけど、身近にいたら断じて関わりあいにはなりたくないタイプだと思う。
    素直で純粋な面も多いが、それ故にかあまりに直情的すぎて危険に感じる。
    それが今後の裁判にどう響いてくるのかが気になるところ…。

    (2022/03/28に再読。感想は再読記録のほうに。)

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    2015年03月17日
  • ドストエフスキー 父殺しの文学 (上)

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    【読書その104】ドストエフスキーの数多くの著書の翻訳を手がけた亀山郁夫氏の父親殺しというテーマwp中心に分析した本。当時の時代背景や著者の人生の歩みを知るとこんなにも小説に深みを感じることができるのかと感動。

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    2014年04月12日
  • 悪霊 3

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    「スタヴローギンの告白」だけは3種類の訳を読んだ。
    しかし、現代はもうスタヴローギンさえ「悪」とはいえない時代。

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    2014年01月05日
  • 悪霊 2

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    高校からかれこれ5回は読んだ。
    そのうち4回は江川氏の訳
    亀山訳はすこしセンチメンタリズムに走っているような気がする

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    2014年01月05日
  • 悪霊 別巻~「スタヴローギンの告白」異稿~

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    『永遠のロストナンバー』という宿命を持ち続けるドストエフスキーの『悪霊』の中にある「チーホンのもとで」の中にある『スタヴローギンの告白』ここでは世界初の試みとして現存する3つの告白を収録しております。

    「<告白>のない『悪霊』は丸屋根のない正教寺院である」

    これはロシアを代表するドストエフスキー学者の一人であるユーリー・カリャーキンの言葉です。『永遠のロストナンバー』という宿命を持ち続ける“スタヴローギンの告白”を含んだ『チーホンのもとで』。これは小説『悪霊』の劇中で重要なクライマックスのひとつとして第2部9章、もしくは第3部1章に収録される予定ではありましたが、掲載誌である『ロシア報知』

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    2013年09月12日
  • 悪霊 3

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    ドストエフスキーが後年に著した『五大長編』の内、政治的な意味あいが最も強いといわれる『悪霊』その完結編です。全ての物語上の複線が回収され、狂乱と崩壊に向かって疾走する様子が描かれております。

    登場人物の実に3分の1が何らかの形で死を迎えるという陰惨極まりない小説であるドストエフスキーの『悪霊』その完結編です。しかし、改めて思うのはストーリー全体の時間軸が秋から冬にかけての「一季節」であるということに衝撃を受けた、ということです。ようやくこの第3部で全ての複線が回収され、物語は一気に崩壊へと突き進んでいくのです。『革命組織の内ゲバリンチ殺人事件』と美貌。知力。腕力に加え、貴族という特権的な身分

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    2013年09月07日
  • ドストエフスキー 父殺しの文学 (下)

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    亀山郁夫教授によるドストエフスキー文学の解説および伝記です。下巻では人生の後半部に表した『悪霊』『未成年』『カラマーゾフの兄弟』の解説を中心に波乱に満ちた人生から穏やかな晩年に至るまでを追います。

    ようやく読み終えることができました。亀山郁夫教授によるドストエフスキーの解説書。その下巻です。ここでは人生の後半部に起こった出来事や彼の人生および作品に重大な影響を与えた事件などを取り上げ、詳細な解説を行ったものです。作品では革命組織の内ゲバリンチ殺人とニコライ・スタヴローギンという『善悪の彼岸』に立ち続ける人間を描いた『悪霊』ひとりの『運命の女性』をめぐって父と子が相争う(どこかで聞いたことがあ

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    2013年09月04日
  • 悪霊 1

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    『ネチャーエフ事件』に発想をえて綴られたドストエフスキーによる政治小説です。『内ゲバリンチ殺人』という陰惨なテーマとスタヴローギンという悪魔的な主人公に『人間とは何か』ということを突きつけられます。

    ロシアの誇る文豪、ドストエフスキーが後年に発表した『五大長編』のうち、内容的にはもっとも『危険』とされる小説である『悪霊』それが亀山郁夫氏の新訳によって現代の社会に甦りました。

    この小説の構想を得たものは1869年に発生した『ネチャーエフ事件』と呼ばれる内ゲバリンチ殺人事件で、架空の世界的革命組織のロシア支部代表を名乗って秘密結社を組織したネチャーエフが、内ゲバの過程で一人の学生イワン・イワノ

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    2013年08月30日
  • 謎とき『悪霊』

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    ドストエフスキーの小説の中でも『政治小説』という意味あいでは最大の問題作といえる『悪霊』。長年この小説に魅了され続け、『罪と罰』『カラマーゾフの兄弟』の新訳を手がけた亀山郁夫氏による解説の決定版です。

    『一切はスタヴローギンの性格にあり、スタヴローギンがすべて』

    『私は彼を自分の魂から取り出してきました』

    世界文学史上にその名をとどめる屈指の問題作。ドストエフスキーの『悪霊』。『ネチェーエフ事件』という当時起こった内ゲバリンチ殺人事件に材を採り、ロシアに蠢いていた革命家たちを徹底的にパロディ化することを目的に描かれた小説は、現代の世の中にとっても決して色あせることなく、その禍々しいまでの

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    2013年08月20日
  • 『カラマーゾフの兄弟』続編を空想する

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    ベストセラーのカラマーゾフの5冊が読み終わりましたが、まだまだ楽しみが残っていました。訳者だった亀山氏がその続編を空想するという何とも素晴らしいファンタスティックな本を用意してくれたのです。カラマーゾフの中に隠された謎の数々、そして妻アンナ他に語った言葉、他作品の中のヒント、そしてドストエフスキー自身の生涯、ロシアを騒がせた事件・思想家たち。それらを組み合わせ、大胆な推理になりますが、実に説得力に富む粗筋が展開しています。あまり解き明かすのも野暮ではありますが、アリョーシャとコーリャそしてリーザの3人が中心に展開し、皇帝暗殺事件へつながっていくのです、その中でアリョーシャは一体どのような役割を

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    2013年08月18日
  • チャイコフスキーがなぜか好き 熱狂とノスタルジーのロシア音楽

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    Network audioの音のすばらしさから最近音楽づいています。音楽づいているといっても、ただ訳もわからず聞いて興奮しているだけですが・・・

    今回は訳もわからず聞いている中でもなぜか惹かれる傾向があると気づいたロシア音楽をテーマにした入門書。まぁタイトルは実に軽くふられていますが、内容は素人にはゴッツイです。音楽という芸術も歴史と宗教の影響を強く受けていて、その背景を把握することがより深く感動することにつながっているという主張です。その仮説と主張が正しいかどうかは僕にはわかりませんが、その熱い思いや、何を言っているかわからないけど、こういうのめりこんでいる感じが刺激的で楽しい(「超半音階

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    2012年10月07日
  • 悪霊 3

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    新潮文庫で以前読んでから10年ぶりくらいの再読。

    観念にとりつかれた人々の織りなす陰惨な悲劇。愛さえも、より大きな悲劇を引き起こすだけなんだけど、それでも観念と同時に愛にも取り付かれていた人たちの悲劇にはまだ救われる気持ちがする。
    愛と縁がない登場人物たちの殺伐さたるや!

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    2012年06月02日
  • 罪と罰 3

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    ネタバレ

    辛いときには幸せな物語を読むより、同じように辛い物語を読む方が救われたりするので一気に読んでみました
    ラスコーリニコフの考えは完全に理解するのは難しいけど、似たように苦しんでる立場だったりするとポルフィーリーに追い詰められる辛さや、大切なのに疎ましく思ってしまう家族や友達への感情は痛いほど理解できた

    それにしても彼はあれで救われるのでしょうか?
    でもどんな状況になっても少しは希望は見えるものなんだなぁと思った


    最後の一行は私も気に入ってます

    (2023/10/25:再読)

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    2023年10月25日
  • 悪霊 3

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    難解だったが、2巻の途中から引き込まれてあっという間に読めた。先に読んだマンガも面白かったが、全体の描写はされていなく、原作は非常に深い。歴史的背景などを勉強すればもっと面白いだろう。

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    2012年01月29日
  • 悪霊 3

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    待望の3巻を読む。1→2→3と進むにつれて深みが増す。堰が切れたように、死んでいく人々の描写が圧巻で、一気に読めた。ロシアの当時の世情に疎く、何が起こっているのか詳細はわからないのに、圧倒的に押し込まれる気持になった。

    今年読んだ中でベストの本。解説などは、これから読むけれど素直にそう思う。

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    2011年12月19日