亀山郁夫のレビュー一覧
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2巻は母と妹が上京(ではないのか)してくるところからスタート。私のイチオシラズミーヒン大活躍。そして妹の婚約者ルージンの小物感もすごい(笑)今でいうモラ夫だよな。
ポルフィーリーがラスコーリニコフの論文の話をするところは手に汗握る展開!うぉぉぉっ!ってなった(笑)やっとここでラスコーリニコフがなにを考え殺害に至ったかがわかる。そう言うことかぁ。
後半は私のもう一人の推しキャラであるスヴィドリガイロフ(名前が長い!)が登場。会話が成立していない感じが好き。ソーニャと聖書の朗読シーンは聖書がイマイチわかんないからアレだったけど、ラストのポルフィーリーとの対決は面白かった!
いやぁ、盛り上がり場面 -
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初のロシア文学。やはり世界に名だたる最高文学だけあって読み応えが半端じゃなかった。困窮した生活や屈折した感情が起爆剤となり殺しに手を出してしまう主人公。時間が経てば経つほど罪の意識が重圧となり正常な状態ではいられなくなっていく。個性激しい数多くの登場人物との交際を通じて変転しゆく精神の有り様。しかし大切な人々へ向けられた愛は決して変わることがない。のっぴきならぬ状態まで追い込まれた果てに導き出される境地に見事感じ入ってしまった複雑な人物図や小難しい背景知識が根底にあるために所々で混乱をきたすが、それでも最後まで心を掴まれた。重厚な筆致で描き出されたある夏の出来事。罪を犯してしまった者の内面描写
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ネタバレ□星5
岩波文庫と比較して、まず言葉遣いが現代寄りであるため、内容に入れる点で古典新訳の優位性が個人的に凄く魅力的に映った。
□内容・感想
正直、岩波文庫の上までは読んで、放置して古典新訳でちゃんと読もう!と思って読んでいたので大筋は知っていた。
ラスコーリニコフの狂気と人間味が混じる描写は、サイコパスとはまた異なった、理解に及ぶ範囲の心情を鋭く映し出していると感じた。
正直、登場人物と話の細かな要点等をメモしているわけではないので、見逃している点も多々あると思い感想を述べられるほどではないが、古典ならではの重々しさを漸次、感じた次第。 -
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最後の一文で鳥肌が立ってしまった。
なんか、気のせいか分からないけど、3巻だけ一気にいろんな感情が押し寄せる。1巻2巻は、ラスコーリニコフの陰鬱とした心の中での戦いがメインだったのに、3巻に入ると今まで出てきた人達が伏線を回収するかのように一気に押し寄せる。
ラスコーリニコフの弱さ、独白のシーン。わかる気がする。
弱くて仕方ない自分をどうにかしたくて、それで一歩を踏み出したくて、それが殺しの方向に向いてしまった。
そしてソフィアに独白するシーン、良い。不幸な1人の女に縋り出す感じが、凄くいいし、初めは崇高な目的の元に独白していたはずなのに、自分の弱さをどんどん曝け出していくシーンが心 -
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ネタバレ第2巻では、主人公・ムイシキン公爵について「黄金時代にすら聞いたこともない純真さ、無垢さを披露したかと思うと、今みたいにとてつもなく深い心理観察でもって、いきなり弓矢みたいにぷすりと人の心を射貫く」という人物評が語られる。その評は的を射ているが前巻のムイシキン像に近く、本巻でのムイシキンはそのように聖人然とした様子だけでいることはできず、懐疑や嫉妬といった人間的な感情に苦しんでおり、物語全体にも不安感が漂う。
本巻では、ムイシキンとロゴージンとの対話が印象的だった。特にロゴージンがどのようにムイシキンのことを感じているか語る場面が面白い。
「レフ、おれはな、あんたが目の前からいなくなると、と -
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上巻の感想でも述べたが、オウム地下鉄サリン事件が起きた1995年が、本作の舞台として選ばれたのはやはり意味深いという印象が強く残る。
90年代には、ソ連崩壊により冷戦も集結し、近代からの脱却を目指した我が国でも個人主義が進み、他者に無関心な人々が増殖した。インターネットが普及し、人々はネットを介した疎結合に依拠するようになった。国家間の覇権をかけた戦争は、むしろ局所的なテロリズムにその戦いの形態を変え、冷戦終結とともにそもそも世界の覇権はアメリカに一極化した。そうした世相の間隙を突くように起きたのが、地下鉄サリン事件だったのではないか。
1995年という時代を背景に、あるいは新興宗教集団に傾倒 -
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いよいよ、本巻ではラスコーリニコフが追い詰められていきます。本巻でのメインイベントは妹アヴドーチヤの婚約者である成金弁護士のルージンとの対決、ラスコーリニコフと娼婦のソーニャの密会、そしてラスコーリニコフと予審判事ポルフィーリィーとの2度の対決と盛り沢山。
まずは、ルージンですね。彼の人間性自体が今の時代ならセクハラ(笑)。大きく歳の離れたアヴドーチヤに対しての彼の歪んだ愛情(これは愛情と呼ぶよりも所有欲と言ってしまった方が近いかもしれない)が描かれます。
そのルージンの「愛情」とは、『金銭的に不自由している若くて美しく、それでいて不幸な女性に対して、自分と結婚することにより、大金と弁護士の