亀山郁夫のレビュー一覧
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ついに最終章。
長く読み続けてきた甲斐のある、素晴らしい作品だった。
話はルージンの視点から。間借りしているレベジャートニコフとの場面から始まる。
そして次第にラスコーリニコフに戻り、ドゥーニャの元家庭教師先のスヴィドリガイロフへ。その後またラスコーリニコフに戻る。
カテリーナの乱心は目を覆いたくなるリアルさ。子どもたちの気持ちになってしまい、心乱された。
ポルフィーリーとの舌戦は相変わらず素晴らしい。
終盤のスヴィドリガイロフのシーンが美しすぎて、思わず読み返した。
6部のラストにかけてのラスコーリニコフも良いし、エピローグも良かった。
巻末の読書ガイドを読むとさらに理解が深まり、この作品の凄さに唸らせられる。 -
Posted by ブクログ
中盤からは、最高のサスペンス小説を読んでいるようだった。
ある人物の狂気で歪んだ心理描写は、150年も前に書かれたと思えないほど、今読んでも全く古くなくて驚く。
そして、裁判と判決。
弁護士の存在感が凄かった。
弁護士パートは心に残る言葉を次々と投げかけてくる。
これまで長い物語を読み進めてきて、最後に著者から自分に問いかけられているようにも感じた。
長男 ミーチャ:直感と情熱
次男 イワン:知性と懐疑
三男 アリョーシャ:信仰と人を愛する
自分の中にも彼らの要素が共存しているように感じる。
それぞれの危うさを意識しながら、どう生きていくか…読後もそんなことをずっとぐるぐると考えている。
押し付けがましさが一切なく、様々な立場や視点を提示しながら、読む側に考える余地を残してくれる。
難しいところもあったので時間はかかったけど、自分の見方を揺らされることも多くて、最後まで読んで本当によかった。
残すは5巻のみ。
5巻はエピローグと解説。
読後の余韻に浸りながら、最後のエピローグをじっくり楽しみたい。 -
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どうしてミーチャはこうもダメなんだ…。
第3巻は長男のミーチャが主役。
彼のあまりの計画性のなさと衝動的な行動に、同情の余地がなさすぎて好きになれず、3巻は少し長く感じた。
2巻の長老・次男・三男の話が好きだっただけに、今回はこの三人の出番が少なくて残念。
長老といえば、死後に起きた長老の"ある異変"。あんなに尊敬されていたのに周囲の人の手のひら返しのような仕打ちには胸が痛んだ。
そして、グルーシェニカの魔性の女っぷりに振り回される父と長男。あの潔癖な三男でさえ彼女の誘惑に少し揺らいだように見えた。
よっぽど彼女が魅力的なのか、それとも親子の好みが似てるのか…。
でも、あんなに奔放で手のひらの上で男たちを転がしていた彼女が、あるきっかけで「そんな急に性格変わる?」と驚くような態度に。
そんな中でつい登場を期待してしまうのが、ホフラーコワ夫人。
ゴシップ好きで、話がうんざりするほど長くて、イケメン好きなマダム。
気づけば全部自分の話にしちゃうんだけど、明るくて憎めない。
自分の周りにもこういう人いると思える彼女の存在で、150年前のロシアの物語が一気に身近に感じる。
作中の「一本の葱」のおとぎ話は、日本のあの有名な小説の設定にそっくりで驚いた。
てっきり日本独自の物語だと思っていたので、まさかここでルーツのような話に出会うとは思わず、思わぬ発見だった。
犯人は誰なのか?謎はまだ残ったまま。
次の第4巻は解説含めて700ページもある。
今のタイパでは考えられない進み方なのに、いろんな要素が絡み合ってどんどん面白くなっていく。
まだまだ続くカラマーゾフ。 -
Posted by ブクログ
まず1〜5巻全体の感想を。
1巻はキリスト教のなかでもドストエフスキーのロシア正教論のような立ち位置。
2巻は主人公や物語はあまり動かずに人物紹介。
3巻は2人の死と、とにかく大審問官!そしてスピード感あふれるミーチャの大宴会、餓鬼夢。
4巻は尊厳、恥辱、恋、知性、傲慢、真実など、人間の欲をこれでもかと抉り出す。
5巻の少しのエピローグで、物語が救済される。亀山氏の愛にあふれた解説。
物語についていうと、とにかく時系列が細かい!心の動きの描写>物語の描写、という感じだから、そう思ったのは何時何分?と整理しながら読みたい気持ちを抑えて、ぐんぐんと加速するそのスピードに乗る。
「ロシア的」「カラマーゾフ的」というキーワードが何度も出てくるが、読む前にはとんとピンとこない。読み進めていくうちに意味がひらけてきた。「ロシア的」というのは、ドストエフスキーの考えるロシアについての愛だったのかなと思う。
ミーチャ、イワン、アリョーシャの3人を、捻くれたキャラクターだとは思わない。冒頭でこの物語はアリョーシャが主人公だと書かれていたが、いわゆる主人公らしさはあまり見受けられなかった。ただどの場面にでも出没しており亀山氏いわく「第二の小説」にて明らかになったはず。それを読みたかったと、本当に思う。 -
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1巻よりもさらに引き込まれて一気に読んだ。
ただ、「大審問官」の章だけは難解で、2回読んでも全然理解できなくて考えるのを諦めた。
「神」の名を使わず「彼」としていたり、「イワンの創作」という作中作の形をとって核心を語ろうとしているように感じる。
頑張ったけどキリスト教の知識がないのでよくわからない。
巻末の解説を読んでも、『黙示録』の基礎知識が書いてあってさらに混乱した。
一方で、イワンが語った子どもの凄惨な話は、想像したくないほど胸が苦しくてたまらなかった。
悪いことも知らない何の罪もない命が、なぜこれほど残酷に苦しまなければならないのか。
自分で自分を守れない子どもや動物たちが辛い目に遭うのを見るのが本当に耐えられない。(その類の小説もテレビのニュースも辛くて見たくない)
その不条理をどうしても許せないイワンの怒りは、まさに私が日頃感じている憤りを代弁してくれているようで、深く共感した。
心に残ったのは、長老の教えの中で語られる「一粒の麦」の一節。
『一粒の麦は、地に落ちて死ななければ、一粒のままである。だが、死ねば、多くの実を結ぶ。』
この一節が浮き上がって見えるような不思議な感覚で、今の自分の心に染みた。
大切な人の死も決して終わりではなく、残された者の中で形を変えながら続いていくのだと受け取った。
そして、ミステリー好きとして1番面白かったのが「謎の訪問客」のエピソード。
一編の短編ミステリーを読んでいるような見事な構成で、中盤の展開には「えっ!」と衝撃を受けた。
完璧な紳士だと思っていた人物が抱えていた、あまりに深い闇。心理戦のような緊迫感と最後の驚き。引き込む力がすごかった。
作中のあちこちに、不穏な伏線が散りばめられていて「何かとんでもないことが起きる」という気配が充満している。
第1巻、第2巻と時間をかけて、ジェットコースターがカタカタとゆっくり頂上まで登ってきたような感覚。
いよいよ次の3巻で事件が起きるのか。
早く続きが読みたい。
(Audibleだと理解しにくいので2巻からは本のみ) -
Posted by ブクログ
ネタバレ『罪と罰』に衝撃を受けて読み始めたけど、驚くことに、150年も前のロシアの物語の中に、今の自分の心と重なる部分があった。
※あくまで私個人の感想なので、人によって受け取り方は違うと思います。
ドストエフスキーは作中で安易に「神はいる、いない」と結論づけたりはしない。
「疑う心」を次男イワンに、「信じたい心」を三男アリョーシャや長老に託し、物語の中で本気で戦わせているように思う。
だからこそ、どちらも作者自身の血の通った本音としての圧倒的な重みがある。
最近母を亡くし、あんなに頑張ってきた母の願いが最期に叶わなかった理不尽な現実への「なぜ」という問いが、ずっと棘のように心に刺さっていた。
「神様は本当にいるのか?死んだらどこに行くのか?」という感情と、「神様は存在しないのではないか。死後は無である」という理屈。
これまで特に信仰を意識してこなかったのに、葬儀で知った家の宗派のお経を母のために唱えたり、母に話しかけてしまう自分もいる。
そんな矛盾をずっと抑え込んできたけど、ドストエフスキーは、矛盾したままの人間の姿をそのまま差し出してくる。
「それでいいんだ」と語りかけてくるようで、今の自分の気持ちを丸ごと肯定してくれているように感じた。
苦手な「著者の押し付け」を感じないので、自然に自分の心で向き合うことができた。
子を亡くした母親に長老が寄り添う場面は救いだった。まるで自分も長老に話を聞いてもらっているような感覚になり、心が軽くなった。
もちろんストーリーとしても、キャラクターが一人ひとり濃くて面白い。
はっきりと個性が描かれる3兄弟に比べて、どこか得体の知れないスメルジャコフの存在が特に物語を際立たせていて気になる。
ミステリー好きとしては余計にその動向が気になって引き込まれてしまう。
ストーリーを追うだけではなくて、ドストエフスキーの魂が削り出されたような一文一文の裏側にある意味を考えながら読み進めたので、第1巻だけでも読み終えるまでにずいぶん時間がかかった。
この作品をこの時代に世に出したこと自体、ものすごいことだったのではないかと感じる。
Audibleの音声だけではとても理解しきれないので、光文社の新訳を本で読んでから、追いAudibleで聴いて、2回味わった。
光文社の新訳のわかりやすさにも、かなり助けられた。
まだまだ読みきれていないところばかりだと思う。それでも、この本に出会えた幸せを噛み締めながら、自分なりに第2巻へゆっくり進んでいきたい。
本+追いAudibleにて。 -
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ネタバレ最初から読むのに2ヶ月かかった。場面描写が冗長でなかなかきついものがあったが、あの最終章を読ませられたら黙るしかない。面白かった。
最終章の弁護人カッコ良すぎる。裁判の小説も面白いな。あの駆け引き。検事がかわいそうだったが仕方ない。
弁護人の先進的な考え方に民衆(陪審員)が着いて来なかった。残念。まぁでもリアルだろう。この不条理さはカミュの「異邦人」を読んだ後の感覚を思い出させる。ちょっと違うのだが
罪と罰が最終的に救われる小説(弁護人の台詞にも罪と罰を思い出させる一説があった)だったのとは対照的。ドストエフスキーに何があったのか。エピローグも楽しみ。イワンの大審問官読み直したい。というか1巻2巻は読み直したいかも。
尊属殺人の不合理さを100年前に指摘していたとは -
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ああドストエフスキーを読んだ、とまた思えて良い
ドストエフスキーの長編小説群が「五大長編小説」という括りで呼ばれることがあるなんて、恥ずかしながらこの小説に出会って初めて知った。『罪と罰』『カラマーゾフの兄弟』は自分の読書経験の中でも最高峰に入り、『白痴』『悪霊』も非常に好きな作品だが、ほかに長編があるとは知らなかった。残り一つがこの『未成年』である。順番で言うと『未成年』に始まり『白痴』『悪霊』『未成年』『カラマーゾフの兄弟』となる。『悪霊』と『カラマーゾフの兄弟』の間の作品ということであれば、これを読まずに死ぬわけにいかない。しかも、こなれた日本語を操る亀山郁夫氏の翻訳である。 この作品は、世に「失敗作」と言われているらしい。しかし、読後感想を率直に言えば、非常に面白かった。他の四つの長編小説の登場人物を彷彿とさせるキャラクターが出てくる。例えば主人公は私には『罪と罰』のラスコーリニコフを感じさせる。若い時分に特有の妄想に近いような独自の社会正義感に基づき行動するからだ。主人公の父も、なぜか『カラマーゾフ』の父を思い出さずにはいられない。いつまでも青年の心を抱える知識人ではあるのだが、その行動を見れば無節操に母親の違う子どもを相次ぎつくるような過去を持つからだろう。さらにドストエフスキーらしいというべきか、当時の賭博場の場面が生き生きと描かれているのも感心した。 とにかく主人公が忙しい。朝起きて夜寝るまでに、いったい何軒の家を訪問するのだろうと思う。今なら路上でタクシーを拾う感覚で橇に乗って駆け回る。それを毎日繰り返す。訳者が解説するように、物語が複雑で一人称で語るという小説の形をとっているため、あちらこちらで起きている事件の節目に主人公が顔を出さないと、読者に話を紹介できないためだと思われる。 盗み聞きの場面も目立つ。高視聴率だったNHKの朝ドラ『あさが来た』(主演:波瑠)も、盗み聞きが多かった。制作担当者がその理由について何かの番組で「短い時間で話を進めなければならないから」というようなことを話していたのを思い出す。例えば、語り手がそこにいない話は、語り手が誰かから報告を受ける場面が必要となる。盗み聞きは、そうした報告の場面を省ける効果を持つ。 とにかく、みんなよくしゃべる。そして、くどいくらい言葉も豊かだ。各々の性格がぶっ壊れているのもいい。ああ、ロシア文学を読んだ、ドストエフスキーを読んだ、という気になる。先のドフトエフスキー「四大小説」を既に読んでいて、またこの読後感覚を再び味わいたいなと考えている人には、最後の贈り物となる作品なのだと思う。 -
Posted by ブクログ
大審問官のところの思想が難しく、読み取れなかったので、色々と整理しながら読み進めた。
分かるところ(自由の重荷の部分)があったり、逆に霧がかかっているように全く分からない(3つのなんちゃらこんちゃら)に苦しめられた。
トロッコ問題で考えたら理解しやすかったかな。
神様は自由を与えた。
それは「このままだと5人の老人を殺してしまうが、レバーを切り返せば若者を1人助けることができる。さぁ君はどうするか。」
という問いを与えた神様は悪いやつだ。
レバーがなく、選択もなく、仕方がない、俺のせいではない、誰であっても同じだ。と思えたら楽だったのに。
だけれども、神様はこの選択を与えて俺を苦しめた。
っていう考えに、自由は与える、君は罪に苦しむかもしれない。でも、そうなったら私が愛で救うよ。って返しをする。
これは、トロッコに轢かれた若者のお母さんが、「君は5人の老人を救おうとしたんだ。それは立派なことだよ。仕方がない、仕方がない。」
選択の自由→苦しむ→愛し、一緒に苦しむ
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Posted by ブクログ
罪と罰を読み終わり、変身、地下室の手記、異邦人、白夜で哲学の修行を積んだ後に挑んだ小説です。
哲学を理解するのが難しい。話自体はトントン拍子で進んでいくのは、見ていて飽きは感じないが、置いていかれるところがちまちまとある。たまにボーッとして読んだら急に分からなくなっている感じ。
そして一人一人の人物に謎というか含みがあるのが面白い。哲学をキャラクターとして落とし込んだ感じかな。キャラの哲学に一貫性があるように感じる中、そのキャラというもの自体が一貫性のない存在であり、それを含め一貫性が生まれているみたいな。あまりに言語化が下手ですが、、、
この先もワクワクして読み進めていきます。