近藤史恵のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
大阪の和菓子屋が舞台。ふわっと優しい当たり障りのないストーリーかと思ったら、良い意味で違っていて良かった。
つぐみの身体に曾祖母の魂が乗り移ってしまうという設定。その願いとは……。
まさかの展開でした。
曾祖母の願いの行きつく先も気になりますが、会話のあちこちにある私たちを取り巻く問題の描写や無自覚な偏見にハッとさせられた。
正反対の性格をした姉妹の関係性の変化や、大正時代を生き抜いた曾祖母のこと、姉・小梅の仕事への向き合い方。
いろいろなことに考えや感情をめぐらせながら読んだ。
そして、個人的なところでは、留学したいという小梅と親のやりとりに既視感。
芋あんのキンツバ、六方焼き、すずめ -
Posted by ブクログ
シェフの料理に対するこだわりのストーリーだと思って読み進めたが、思いのほか深みのある内容だった。
料理人を目指しフランスで修行し自信に満ち溢れた潮田だったが何度も店を潰し上手くいかず、オーナーの澤田にジビエの店を任されるが赤字続きで、今後の存続に悩んでいた。ヤマドリを目当てに犬を連れ猟を始めるが、山で遭難しかけたところ、狩猟を生業としてる大高に助けられる。
複雑な生き方をしたくないという大高を世間と距離を置いた世捨て人だと理解していた潮田だが、次第に大高の世界、生き物の命と直接向き合い、山や木々の声を聞く。捨てたから、社会と距離を置いたわけではない。大高の世界は、社会とは別の豊かさで満たされて -
Posted by ブクログ
「ことばが頭から消えていくんだ‥」 役者生命を奪いかねない 症状を訴える若手歌舞伎役者 中村銀弥。夫を気遣いながらも、別の男性に思いを馳せる若妻。 第一幕では、そんな危うい 夫婦像を描いてミステリーとしての興味をそそります。一転、第2幕では、上演中の劇場内で起こった変死事件にスポットが当てられます。 2ヶ月前、銀弥の相手役を務める小川半四郎の婚約者、河島栄が、舞台上演中の客席で不可解な最後を遂げたのです。
大部屋役者、瀬川小菊とその友人、今泉文吾は、舞台上演中に起きた変死事件を探り始めます。梨園という特殊な世界を巻き込んだ悲劇。変死の謎を解けるのか‥。
所々に 歌舞伎の演目の有名なセリフが -