近藤史恵のレビュー一覧
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ネタバレ猿若町捕物帳シリーズ第2弾。
幽霊騒ぎに乗じて茶屋の主人夫婦が殺された。下手人は夫婦を恨んでいる幽霊だと噂が立つ。
幽霊が出た後には必ず縮緬細工のほおずきが落ちているという。
女性が苦手な“二枚目同心”玉島千蔭はじゃじゃ馬娘との縁談話に悩む傍ら、事件の解決に乗り出すが…。
人の昏い部分に光を当てた、心を抉ってくる話ですが、とても良かったです。
前作同様、通常の千蔭の捜査とお玉という少女のモノローグの二つの物語が同時並行で進み、それらがひとつに融合した時に見えてくる悲しい真実に胸が締め付けられました。
お玉の一途に慕う想いの向かう先に恋の成就はなく、『安珍清姫』の清姫の心境になぞらえたお玉の胸中を思うとやるせなく、悲しくなってきます。
過酷な運命に翻弄されながらも前を向いて生き抜く彼女の姿には女性の強さを感じましたが、そうせざるを得なかった彼女の状況は残酷すぎて、暗澹とした気持ちになりました。
それしにてもちょいちょい挟まれる千蔭の縁談話のエピソード、面白かったです。
この縁談話のオチにはいい意味で膝がガクッとしました・・・。 -
Posted by ブクログ
歌舞伎役者・市川萩太郎は、急逝した先輩役者の息子、7才の少年の後見人を任される。
後見人と言っても世間一般のそれとは違い、名ばかりではなく、実際に歌舞伎役者として育て上げることも意味する。
萩太郎には、少年と同じ学年の息子がいた。
梨園という特殊な世界では、伝統芸能を後世に伝えていくために、男子は生まれた時から、役者として生きることを運命づけられ、幼児の頃から、必要な稽古をみっちり仕込まれる。
学校よりも家業が優先されるという、これも今時特殊である。
そこに生まれた男子に、芸能の才が無かったら?
向いていなかったら?
実の息子と、託された「義理の息子」を抱え、萩太郎はさまざまに悩むこととなる。
子育てが父親の視点で描かれるのは、現代物では珍しいだろう。
一般的な父親は、子育ては妻に任せきりだから。
義理の息子には、天才的な踊りの才と共に、子供を守りたい一心の病的なまでに神経質でヒステリックな母親という疫病神が付いて来る。
彼女の浅はかな行動が問題を起こす。
萩太郎の誠実な性格、少年たちに注ぐ真摯な視線が、ドロドロになりそうなストーリーを浄化している気がする。
やはり、近藤さんの伝統芸能物は好きだ。
少年たちの今後も見たい。 -
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オペレータールームに配属された新入社員の梶本大介。
この会社には一風変わったキリコという女性の清掃作業員がいた。
ミニスカートや、ピアスをいくつもつけた派手な外見。
それでいて彼女の掃除後には塵一つ残らないという一流の腕。
彼女は社内で起きた様々な謎を次々と解決していくが・・・。
ホームズ役のキリコとワトソン役の大介が、オフィスで起こる様々な事件をキリコの職業柄身についた洞察力と情報収集力で次々と解決していくという、テンポの良い流れに乗ってさくさく読めちゃうミステリ短編集です。
謎も小粒で一見ライトなのですが、その動機や背景にはシビアで重いものが隠されています。
女性社員活躍を阻む保守的な会社組織、不倫、セクハラ疑惑、摂食障害、マルチ商法などなど、見本市のごとく女性社員を巡るありとあらゆるトラブルが陳列されています。
女性が働く上でのトラブルが事件のカギとなっているのですが、キリコを通してあらわになる作者の女性たちへの視線は優しく、さりげないエールを贈ってくれているようで温かい気持ちになれました。
やはり会社組織って未だに男性中心の論理で動いているので、女性はその中で働いていると思うようにいかないことも多く忸怩たる思いを抱えたり諦めも感じることも多いんですよね。
すごくわかります。
その上、女性同士の僻み嫉みにさらされ、ままならない状況につき動かされて事件を起こしてしまったり歪みを他人にぶつけてしまうこともあるかもしれない。そんな気持ちもわかります。
でも作者は、単純明快な解決には至らないものの僅かでも希望の道筋を登場人物たちに用意してくれるのです。
受け止めてくれる安心感をもって読むことができました。 -
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ネタバレ6人の人気作家が異なる職業を持つ女性をテーマに書いたアンソロジー。漫画家、通信講座の講師、プラネタリウム解説員、ディスプレイデザイナー、スポーツライター、ツアーコンダクター。
この仕事にはこんな裏側があるのか、と素直に新鮮に感じて面白かったし、何より、働く女性として、「あー、わかる!」という部分がいくつもあった。ツアーコンダクターの小梅ちゃんのように、気持ちに蓋をしながら、ときには仕事しなきゃいけないことだってある。嫉妬することも。
最後に、ちょっとした希望があるのがそれぞれ、とても良かったな。
あとがきが素敵だったので、メモしておく。
「好きで選んだ仕事なのに、やっぱり疲れるときもある。
嫌なことも、思うようにいかなきことなんてしょっちゅう。
他人をひがんだりねたんだりして、でもそんな自分も嫌で、自信なくして。もう休んじゃおうかなって思うこともある。誰だって、あります。
そんなときに読んでほしい本を作りました。
頑張るあなたへ、応援のアンソロジーです。
うん、働くって大変だし、嫌なこともいっぱいあるけど、でもまあ、とりあえず、また明日から元気出していこうかな
読み終わったとき、そう思っていただけたらいいな、と願っています。」