【感想・ネタバレ】にわか大根~猿若町捕物帳~のレビュー

あらすじ

芝居小屋が軒を連ねる江戸は猿若町。上方への巡業から戻った人気女形が、なぜか突然大根役者になっていた。そんな折り、その幼い息子が不審な死を遂げて……。続いて起きた謎めいた出来事につながりはあるのか?(「にわか大根」) 南町奉行所の同心・玉島千蔭。男前だが女心にはちとうとい。けれども事件となれば名推理が冴える。江戸情趣溢れる連作時代ミステリー!

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Posted by ブクログ

猿若町捕物帳シリーズを読みたくて何冊か購入♪
近藤史恵さんの物語は好きで何作か読んでいるが、時代ものも現代ものも両方書けて、尚且つ面白いというのは才能豊かで凄いなぁと感心するばかりです。

感想は面白い!です。
登場人物像もわかりやすく、主人公は同心である玉島千蔭であり、その小者である主に語りの八十吉であり、でも歌舞伎役者の巴之じょうや花魁の梅が枝もなくてはならない。
千蔭の両親もまた大切なエッセンスであり…と書き出すと盛りだくさんな気がしますが、読んでいる時はそれを感じさせない近藤さんの筆力で私の脳裏に記憶されていきます。

今年の大河ドラマべらぼうを観ているせいか文中の町並みや吉原なども想像しやすく、より楽しめたのかもしれません。

「捕物帳」なので毎回事件は起きるし死人も出たり、やはりそこは哀しい原因があったりと切なさも残りますが、千蔭の派手ではない真面目な性格の描写で、着地点は重みあるきちんとした説得力で解決していると思います。

3作の短編だが読み応えはあります。
どれも報われない…と思いますが私は「片陰」が一番辛かったかも。
殺された円蔵さんのように、みんなに好かれたい、嫌われたくない、優しくしたい、力になりたい、波風たてずにいきたい…などと自分自身も少なからず"いい人"ぶりたい願望はあるので、それが万人に良いわけではないことを改めて教えられた気分で、もっと自分勝手に生きてもいいのかもなーなどとふと考えてしまいました。

続編もどんどん読もう!

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2025年10月13日

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無茶苦茶面白かったです。
主人公の玉島千景の性格が 面白くてチャーミング
女性に興味がなさそうな様子
千景の嫁さん候補だったお駒は なぜか父親の千次郎がいいと 夫婦になってしまった。
孫と爺さんくらいの夫婦
吉原の梅ヶ枝と 役者の巴之丞 なぜかよく似ている。
この売れっ子の梅ヶ枝と千景が 恋仲ではないのに 
ウマが合う。
吉原雀
にわか大根
片影
とお話しが続く。
私 片影が一番グッときました。
優しすぎる男って罪だねえ!
というお話しでした。
この捕物帳 登場人物がみんな魅力的
優しくて ちょっとぐっとくる話しです。

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2024年08月13日

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ネタバレ

 近藤史恵「にわか大根」、猿若町捕物帳シリーズ№3、2006.3刊行、2008.3文庫。吉原雀、にわか大根、片陰の連作3話。南町の同心玉島千蔭32歳と小者の八十吉が事件を追い詰めていく。千蔭の父千次郎は還暦を過ぎているが、後妻に17歳のお駒を。千蔭はお駒を母上と。お駒は従姉妹のおふくを千蔭の妻にといろいろ骨を折るが、千蔭は「据え膳を食わない男」w。

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2023年10月23日

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近藤さん上手いなぁとつくづく思います。さいきん、ラノベ風の本を読み、地の文のしつこさに凹んでいたのでより一層…。脇役の皆さんのキャラの立ち様も安定しており次巻が楽しみです。

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2022年02月14日

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 猿若町捕物帳シリーズ第3弾。今回は前作・前々作とは異なり、初の連作短編集。表題作含む3作品収録となっている。全て100ページ前後なので、短編と言ってもやや長め。
 前作までとは何となく雰囲気が異なっているかなと思ったのだが、それは主人公の脇を固める人物たちの描写が多いからなのかなと。そして読み進めていくと分かるが、地の文が主人公視点ではなく、常に主人公と行動を共にする人物からの視点であることも多い。なんとなく主人公を客観的にみることができ、少し面白く感じる。

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2021年04月04日

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2015.1/27 シリーズ3作目。主人公の千蔭とは対照的に脇役に役者や吉原の女たちが配置されているので、作品に艶を、事件には陰影をつけてくれています。最後には梅ケ枝との進展?までおまけしてくれているので先を読まずにはいられませんね(^_-)-☆

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2018年01月08日

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猿若町捕物帳シリーズ3作目。

前作までの長編とは違い、今回は「吉原雀」「にわか大根」「片陰」の3編収録の中編集。

どの話もどこか心に引っかかりが残り、苦い味わいがたまらないです。
吉原の花魁、女形の役者といった一見華やかな世界で生きる人々が見せる哀切や鬱屈の凄みに魅せられます。
謎の背景にある人間関係を丁寧に明らかにしていくことで見えてくる悲しい真実に、心を揺さぶられました。

どのお話も良かったのですが、最初のお話の「吉原雀」が好みでした。
吉原で3人の遊女が相次いで死に、連続の死に不審を抱いた同心の千蔭は死因も異なるそれに関連性を見出すことはできず。
しかし、彼女たちを結ぶ「雀」というキーワードにやがて千蔭は気がつき、真相にたどりつく…というお話です。

吉原という特殊で閉鎖的な空間でしか起こりえない真相の意外性には驚かされます。
読み手をミスリーディングに導く手腕もさることながら、男性優位の社会に生きる現代の女性にも通じる「籠の中の鳥」というままならぬ悩みを描いており、うまく現代を照射していると思いました。
こうした点は前作の「ほおずき地獄」にも見られたので、今後も複雑な縒り合された謎解きを楽しむとともに、様々な事情を抱えた女性キャラクターたちの心情の変遷を描いてくれるものと思われます。
わたしは女性なのでそういう展開が大好物なのです。次巻も楽しみです。

それにしても、カタブツの千蔭が新たな女性キャラに毎度振り回されておろおろしてるのは読んでて楽しいですね~。
次巻でも新たな恋?のお相手が現れるんでしょうか。。

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2016年12月14日

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時代ミステリー。
猿若町捕物帳第三弾ですが、前の2作は未読。
それでも楽しめました。
近藤史恵さんの本がかなり好きなのだと実感しています。

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2015年01月12日

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3作目。ここからは連作短編集になりました。
シリーズ自体は安定した面白さでした。今まで長編とはいえ中編ぐらいの長さだったため、短編となってもまったく物足りなさはありません。
父親にお駒が嫁いだことで、家の中自体が明るくなったような。ただ、おふくの考え方はちょっと...うーんという感じでした。

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2014年08月06日

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今までの二作品は長編としては短めだったので、
短編になってぎゅっと締まった感じ。
これはこれで良い感じ。

堅物の千蔭の嫁はいかに。

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2014年05月08日

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近藤史恵時代小説シリーズ第三弾。

いや今まで読んだことなかったんですがたまたま3作目から読み始めてしまいました。一回読むのやめて第一作から読みなおそうかと思ったんですがなんとなく最後までよんでしまいました。
結果、これまでの話の下敷きとするところはちょこちょこ見られたもののそれほど気にすることもなく楽しく読めました。

時代小説ではありますが、堅苦しく気負ったところがないので読みやすいです。ちょっとキャラもの的な書き方なのが気になりますが、それでもおもしろかった。

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2011年11月21日

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「吉原雀」「にわか大根」「片影」の3編。
新キャラに絵師の歌川国克、登場。
私は、最後の「片影」が一番面白かったかなぁ。

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2011年06月12日

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再読しました。最初にこれを読んだときも面白かったのですが、本シリーズの前2作を読んでからだと一層おもしろく、千蔭さんや、特にお駒さん・梅ヶ枝さんに感情移入できてよかったです。

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2010年05月04日

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いばら姫、天使はモップを持ってなど、ほんわかしたドリーミーなストーリーが好きな女子にはぜひ勧めたい。

とりたてて珍しい設定でもない捕物帳なのだが、主人公が自分よりも若い継母に振り回されたり、いやになるほど乙女ゴコロがわからなかったりと、ほのぼの要素満載。
さらさらと方の力を抜いて読めるし、難しい時代考証も不要。

時代物が苦手な人にも、オススメ。

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2010年01月26日

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シリーズ3作目。本作は短編集となっている。
「吉原雀」
吉原で立て続けに(見世の違う)3人の遊女が病気でなくなっているという。気になった千蔭が調べてみると,3人共何か「雀」に関わりがあったらしいことがわかる。そして巴之丞が吉原雀を演じたときの錦絵にその3人にそっくりの女が描かれていた。3人の遊女の死は本当に病気なのか? 巴之丞との関わりは?
「にわか大根」
大阪巡業から戻ってきた市村座のかつての人気若手女形達之助が,何故か大根役者に成り果てていた。周囲が首をひねる中,ある夜達之助の一人息子が転落死する。すると不思議なことに達之助の演技が元に戻った。達之助の演技の変容と息子の事故死には何か関連があるのか?
「片陰」
人混みでまんまと金の詰まってそうな財布をスりとった掏摸の常習犯が発覚を恐れて手近な天水桶に財布を隠し,後で取りに戻ったところ同じ天水桶に死体があるのを発見する。その死体は折しも巴之丞が探していた船芝居の役者与四郎の相方円蔵だと判明する。誰からもスカれ恨まれるはずがないという円蔵はなぜ殺されたのか?

短編集ということでそれぞれはシンプルな話になっているが,一方で前作から続く,お駒の従姉妹おふくの話も縦筋として展開される。さらに,たびたび強制的な迎えの駕籠をよこす,吉原の花魁梅が枝もちょくちょく登場し,千蔭の調べにヒントを与える。シリーズ物の楽しみの一つと言えるだろう。

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2023年09月06日

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猿若町捕物帳シリーズ第3弾。3部の話から来ていて、その中でも大根役者が面白かった。中々味のあるキャラばかりで楽しく読めた。

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2023年05月12日

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3編の連作。タイトルは2編目。

吉原雀 ー 連続遊女不審死、「雀」が鍵のミッシングリンク。
にわか大根 ー 人気役者が突然大根役者になり、その息子が死亡。するとまた演技が上手になり…
片陰 ー 誰が見ても「優しくて良い人」が殺された。殺された動機とは…?

水戸黄門的な安定感がありつつも、
事件は一級の本格ミステリー、
でもどこかほのぼのとした温かさを感じる。

「おしげは、亭主の帰りが遅いからといって、腹を立てて拗ねるような可愛い女ではない。さっさとひとりで布団を敷いて、大きな尻を引き戸に向けて寝てしまうような女である。」
事件と無関係なこんな記述にも、脇役への愛が溢れていてほんわかした気持ちになる。

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2019年06月16日

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猿若町捕物帳シリーズ第三弾。
「吉原雀」「にわか大根」「片蔭」の3つの短編集。
どれもサクっと読めるミステリに仕上がってます
何と言っても、常連のキャラがいい
まぁ、同心に吉原の花魁に、人気女形となったら
現実から離れすぎてますからねぇ~
それぞれの話の結末も、いい余韻を残してくれます
吉原のしきたりとか、恋の話とか、捕物以外にも
色々と楽しめました。
いい人・・・って、色んな捉え方があるけれど
どっちに転がるかわからないというのが
よーくわかりました

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2018年09月17日

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猿若町捕物帳シリーズ第三弾。安定の面白さ。千蔭と巴之丞が、対照的なんだけど気の置けない友人?ぽくなってきてて面白い。

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2015年10月14日

Posted by ブクログ

短編、というよりは中編?

表題のものよりも、最初の話の落ちにびっくりでした。
心意気というよりは、単なる維持の張り合い、という感じですが
まぁ女性が集まればこうなるものです。
これが男性だと、体力勝負になるだけですし。

3つ目の話は、そういえばそうだった、という感じが。
この時代は、普通にどちらも大丈夫だったのを思い出し
あっちもこっちも守備範囲なら、もてる旦那を持つと
ものすごい気苦労がたたりそうです。

そして全てを通して問題だった、従姉妹さん。
そんな理由で結婚を決定するなら、あちらの理由でも
あまり変わらない気がします…。
極端な話、お金のある生活か、ない生活か、という状態ですし。

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2013年02月04日

Posted by ブクログ

この捕物帳では、実際に有りそうな事件が起こる。単純に人間の憎愛が発端。結局こういった現実に近い事件、そしてその解決から、人間、一種の諦めと前向きな態度が培われるのかもしれないな。
お駒がちょっとうざい。17歳で自分の親の年齢以上の男に嫁いだから一生懸命背伸びしてるんだろうけれども、その話し口調も落ち着きを持たず、長屋のおかみさんみたい・・・。後半千次郎さんがたしなめてくれてこっちはほっとした。
千蔭の今後が楽しみだぁ!

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2012年10月06日

Posted by ブクログ

人を殺めてしまう、ということが軽く描かれているように思う。
話自体は面白くても、どこか納得しきれないものが残る。

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2012年03月31日

Posted by ブクログ

シリーズ3作は前作までと変わって中篇三本の連作。中篇なのに密度が濃くて読み応えがある。謎解きは「トリック」ではなくて事件の構造が明らかになる形の物で、得心のいかせ方が上品だな。八十吉のキャラクターが、あまり時代物に登場しないキャラでいい味を出している。

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2011年08月19日

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