【感想・ネタバレ】ほおずき地獄~猿若町捕物帳~のレビュー

あらすじ

吉原に幽霊が出るという噂がたった。幽霊が出た後には必ず縮緬細工のほおずきが落ちているという。騒動のさなか、幽霊が目撃された茶屋の主人と女将が殺された。下手人は幽霊なのか。女性が苦手な“二枚目同心”玉島千蔭は「じゃじゃうま娘」との縁談話に悩む傍ら、事件の解決に乗り出すが……。『巴之丞鹿の子』に続く「猿若町捕物帳」シリーズ待望の第二弾。

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感情タグBEST3

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この猿若町捕物帳シリーズも3冊目。
本当に面白い。

いつものメンバー(千蔭や八十吉、巴之じょう、梅ヶ枝等)を除いた今回登場する人々にはもちろん何か意味があるのだろうと思いながら読んでいるけど、それぞれの繋がりや犯行理由、被害者の感情等々…脇役がいないというか、ひとりひとりの背景や気持ちが描かれていて、とても読み応えがあった。それに加えていつものメンバーの描写もしっかりとある。読み手を飽きさせない。
読みながら頭の中はぐるぐると犯人と犯行動機を考えながら、もうひとつの閉じ込められているお玉ちゃんパート、千蔭のお見合い…と楽しめる。

今作も事件の真相は哀しく切ない人間模様だった。
人を信じる気持ち、身勝手な思い、子供を思う心、恋心、自由に生きること。純粋は残酷なこともあり、やるせなくなる。でもそれを「娘道成寺」にかけて前向きに生きる結末にしてくれる近藤史恵さんの筆力に救われる気がする。
月を愛で風を感じるだけで幸せと。

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2025年11月19日

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猿若町捕物帳シリーズ、第2弾。
「にわか大根」から先を読んでしまってから、第一弾の「巴之丞鹿の子」を読んだので、これを持って、シリーズ全部つながったことになる。
ずいぶん間があいて、人間関係を忘れてしまっていたので、ちょうど良かった。
お駒さんのこと、途中から記憶がよみがえりつつありましたが…

一弾と同様、本筋の話の間に娘の一人称の話が挟まれる。
読み進むうちにだんだんと感情移入していくので、やりきれなくなったけれど…

長く閉じ込められていた者にとって、自由は何物にも代えがたい。
解放されたことで生きていけなくなる者もあるが、どちらになるかは魂の強さ弱さによるのだろう。
魅力的なシリーズだ。


…しかしこのシリーズ、特殊な趣味の人物が出てくる傾向にありますね。

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2017年07月09日

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ネタバレ

猿若町捕物帳シリーズ2巻、吉原に幽霊が出るという噂がたった。幽霊が出た後には必ず縮緬細工のほおずきが落ちているという。騒動のさなか、幽霊が目撃された茶屋の主人と女将が殺された。女性が苦手な二枚目同心玉島千蔭に見合い話が舞い込み、屋敷に訪れるじゃじゃうま娘お駒との縁談話に悩む傍ら、事件の解決に乗り出すが…。序盤、閉じ込められたお玉という少女と現場に残された縮緬細工のほおずきの謎、千蔭の縁談と内容は盛りだくさんなのに、ページ数が200ページ足らずに納める著者・近藤史恵凄さが読み取れる。

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2014年06月01日

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面白くて一気に読みました。登場人物に華があって、どれもいいです!謎解きもよかった。事件にまつわる人の情も赤裸々に描かれていて胸を打ちました。シリーズものなので他も読みたいです。

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2013年06月06日

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吉原に出現する幽霊も殺人事件の犯人も、ほおずきを落として姿を消したという。幽霊の正体は?殺人事件との関連性は…?
吉原を舞台に描いているせいか、現代ものにはない艶めかしさを感じます。合間に入る少女・お玉のモノローグと本編の視点が近づいていって真相にたどり着く展開は見事でした。

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2024年05月27日

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猿若町シリーズ第二弾
今回は吉原幽霊話です!

吉原という事で花魁・梅が枝も登場♪
女形・巴之丞、作者・利吉も引き続きいい味出してます(〃ω〃)

今作も二枚目同心・千蔭は素敵でしたが…
千蔭パパには驚きました( ̄▽ ̄)



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2023年02月02日

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千蔭が寡黙で渋くて良い。華やかで艶やかな巴之氶とのやりとりにギャップがあって、そのへんが良い彩りになっていると思う。
捕物帳らしいミステリーで、事件の結末のやるせなさが切ないが、救いもある。
とても楽しみなシリーズ。

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2022年03月01日

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ネタバレ

楽しくて読めます。展開とか文章とか近藤史恵さん上手なんですよね。つらい話の表題のラストはそう来るかと鮮やかに思い浮かびました。

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2022年02月12日

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 猿若町捕物帳シリーズ第2弾。本作も長編であるが、前作「巴之丞鹿の子」同様200ページほどの長さのため、割と短時間で読み切れてしまう。
 前作で親しい間柄になった巴之丞も活躍し、ますます賑やかになった感がする。時代推理小説なので事件解決がメインであるが、この作品は主人公やその近辺で起こるドタバタがサイドストーリーとして描かれている。それがよいアクセントになっており、事件解決への重苦しい感じを中和し、要所要所で笑いをもたらしてくれる。
 読後は、事件よりも個性豊かな登場人物が織りなす人間模様が印象に残り、次作以降の展開が楽しみである。

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2020年10月13日

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2015.1/5 シリーズ2作目♪吉原の幽霊騒ぎと殺人事件、そして千蔭の結婚話とさらっと読ませるのに盛りだくさんで大満足の巻でした(^^)近藤さんは、整体師合田力シリーズでも女性の背負う悲哀を上手く描いてましたが、舞台が吉原となると艶やかさも加わって筆がのるのでしょうか(^。^)

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2018年01月08日

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猿若町捕物帳シリーズ第二弾。堅物の千蔭と年若い少女との縁談話から始まりましたが、まさかの結末に驚いてしまい、肝心のミステリー部分を忘れるほどです(笑)吉原の茶屋に幽閉された少女の謎と幽霊話を追うのですが、表題のほおずきから遊女の堕胎に関わる話かと思っていました。ほおずきの実には流産させる毒があり、昔遊女は望まない妊娠処理のためにほおずきを食べたり、鏡の裏の水銀を舐めたりしたそうです。実際は全然物語には関係ありませんでしたが、昔読んだ吉原文化を思い出しました。

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2017年04月03日

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ネタバレ

猿若町捕物帳シリーズ第2弾。
幽霊騒ぎに乗じて茶屋の主人夫婦が殺された。下手人は夫婦を恨んでいる幽霊だと噂が立つ。
幽霊が出た後には必ず縮緬細工のほおずきが落ちているという。
女性が苦手な“二枚目同心”玉島千蔭はじゃじゃ馬娘との縁談話に悩む傍ら、事件の解決に乗り出すが…。

人の昏い部分に光を当てた、心を抉ってくる話ですが、とても良かったです。

前作同様、通常の千蔭の捜査とお玉という少女のモノローグの二つの物語が同時並行で進み、それらがひとつに融合した時に見えてくる悲しい真実に胸が締め付けられました。

お玉の一途に慕う想いの向かう先に恋の成就はなく、『安珍清姫』の清姫の心境になぞらえたお玉の胸中を思うとやるせなく、悲しくなってきます。

過酷な運命に翻弄されながらも前を向いて生き抜く彼女の姿には女性の強さを感じましたが、そうせざるを得なかった彼女の状況は残酷すぎて、暗澹とした気持ちになりました。

それしにてもちょいちょい挟まれる千蔭の縁談話のエピソード、面白かったです。
この縁談話のオチにはいい意味で膝がガクッとしました・・・。

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2016年11月20日

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ネタバレ

2016/7/7
読みやすい。
時代劇推理小説ってなんか新鮮。
意外となくない?
私が忘れてるだけ?
推理小説要素が結構濃いのでなんか新鮮なのかな。
千蔭さんはどんなお嫁さんもらうんだろうね。

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2016年07月10日

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捕物帳第二弾。登場人物のそれぞれのキャラクターが少しずつ見えてきた。壮絶な環境の中でも、自分にとっての幸せを見つけようとするお玉の生き方が潔いようで切ない。月がきれいで、風が心地よく感じられることもひとつの幸せ。そして、見合い話の結末にはびっくり。お駒の世界もこれから広がるといいな。

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2014年12月09日

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2作目。お玉の視点と八十吉の視点が交互に進む。前作同様、どうつながるのだろうと思っていたけれど、お玉の正体がわかった後では、なんとなく展開がわかったけれど、違ってほしいと思ってしまうほどの結末でした。事件はとても悪質で後味の悪いものだった。

シリーズ自体は、主要な登場人物も固定されて、雰囲気もわかったせいか、千蔭のキャラクターも雰囲気が出てきて、とても好みになってきました。千蔭の縁談のまさかの結末に驚かされました。次作も楽しみ。

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2014年08月06日

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思いのほか、前回と登場人物が重なっていて、
でも、面白かった。

筋書きも面白かったけど、
もうちょっとふくらましてボリュームを持たせても
良いんじゃないのかなー。
なんだか、もったいない。

見合い話の転がった先も、面白い。

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2014年04月30日

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ネタバレ

シリーズ2作目。今回も短い長編。って矛盾だな。解説にもあったけど、この時代にロリコンを犯人役とするなんて斬新。でも昔の方が早くから結婚なりしてたんだから皆ロリコンっちゃロリコンだよな。幽閉されてたお玉は本当にかわいそうだ。総白髪の人がお玉の母親なんじゃ、と思ってたけど、お玉本人だったとは。一晩で総白髪になるってのは本当にあるんだろう。しかし好きな男にそそのかされたとはいえ、嫌いでなかったであろう両親を殺せるもんかね。13歳というのはまだ単純なんだろうか。自分とは合わない母親のことはやっぱり嫌いだったんだろうか。1作目よりこっちの方が好きだな。

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2011年10月30日

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ネタバレ

  近藤史恵「ほおずき地獄」、猿若町捕物帳シリーズ№2、2009.6発行。青野与力から、与力の妹の末娘、お駒16歳が堅物同心玉島千蔭に紹介される。千蔭が渋っていると、千蔭の父、千次郎がいろいろ世話をして・・・。その顛末は、千次郎とお駒が結婚することに(^-^)

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2023年10月25日

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猿若町捕物帳シリーズ第2作。
第1作に登場した面々も引き続き登場する。

吉原に若い女の幽霊が出るという噂を中村座の若手作家・桜田利吉が玉島千蔭の耳に入れる。
千蔭には与力・青島が姪との縁談を持ちかけていており,円満に破断にすべく,吉原で遊び呆けてる姿を偽装するために吉原の茶屋・叶屋に行って,知り合いの花魁,梅が枝を呼ぶ。しかしそこで千蔭は幽霊騒動に出くわす。そしてその後,叶屋の主人と女将が揃ってめった刺しにされて殺されるという事件が起こる。幽霊の仕業だと噂になる理由がその女将にはあったのだ。しかし本当に犯人は幽霊なのか。そして川岸に出没する謎の白髪の老婆の夜鷹の正体とは一体。千蔭の破談は無事達成できるのか。200ページ程度のコンパクトな作品ながら様々な要素が盛り込まれ読み応え十分,ラストには思わぬところから(いや実は途中から予感はしていたのだが)サプライズも用意されている。緻密に計算されたエンターテインメントになっている作品。

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2023年08月25日

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やはり僕はこの作者が好きだ。 とりわけビックリするようなトリックやどんでん返しがあるわけではないが、ストーリーの流れ、文体、描写の仕方などとても心地いい‼ 最後の結末なんて憎らしい! 他の作品も色々読んでみようと思う。

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2020年10月22日

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かなり薄く、さらりと読めてしまうのに、
長編を読んだ読後感。

シリーズ2作目、間違って3作目から読んでしまったのでラストの展開には惜しくも驚かなかったけれど、
お馴染みメンバーが事件を丁寧に紐解いていくのは安定の面白さ。

ほおずき事件が起きている現在と、
幽閉されている少女の話がクロスカッティングしつつ、
徐々につながっていく。

夜鷹として生きる女性の強さが印象的なラスト。

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2019年10月12日

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猿若町捕物帳シリーズ第二弾。
花魁の梅が枝、巴之丞と利吉、目明しの惣田と
おなじみのキャラがさりげなく活躍する
幽霊騒動が起きた茶屋の殺された夫婦
祖母と暮らす一人娘、白髪の夜鷹、
外に出ることが許されないお玉・・・
これは悲劇としか言いようがないなぁ~
吉原だからとも言えるんだけど
それにしても、意外な結末に吐き気がした
そして縁談の結末も笑ってしまった

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2018年09月17日

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ネタバレ

先に、にわか大根、寒椿ゆれるを読んでいたが、違和感なく読めた。お駒のことは驚きがなく、先にこれを読みたかった。この時代ならではのミステリーと感じた。

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2017年08月02日

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江戸時代の捕物帳。
堅物の同心が幽霊騒ぎを解き明かしていく。犯人を下手人と言ったり、岡っ引きが出てきたりと、時代物のサスペンスは言葉も楽しい。
最後ちょっとした愉快などんでん返しもあり、スピーディーに楽しんだ。

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2016年03月23日

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猿若町捕物帳シリーズ第二弾。お玉の人生を達観したような姿が哀しい。でもそう思うのは巴之丞の言う通り愚かなこと。欲の塊みたいな自分を反省。「我も五障の雲晴れて、真如の月を眺め明かさん」

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2015年10月14日

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上手に実写化してほしい。
NHKの連ドラとかで少し遅めの時間に。

千次郎さんは中村吉右衛門さん
千蔭さんはヒガシとか?もーちょっと強面のほうがいいかな

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2013年04月04日

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幽霊が出現すると、その場所に転がっている、作られたほおずき。
奇妙な怪談と同時に、持ち上がったお見合い話。

最後まで読んで、という事はあれもこれも、自力でやったのか…と。
しかし最後、というか、次がなければ同情かとも思ったのですが。
まったく出てこない、見も知らない人物の視点が
まさかそこに繋がるとは…。
猫とかいう落ちだったらどうしよう、と思ったのですが
きちんと(?)人、でした。

『最初』がトラウマになった、とも言えますが
そちらに走れば、確実に期限が近い。
どうしようもない、という感じです。
そんな決意だけを納められても、神様としてもどうしたものか。

そしてほとんど放置されていたお見合い話。
そうきますか、そうですか。
でも丸く収まったというか、きちんとした場所にはまった、というか。
年季明けまで頑張った方が、奥様貰えるかもしれません(笑)

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2013年02月14日

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なんだかダークな事件だった。けど、主人公のお見合い話がおかしいので、差し引きぜろという感じか。巴之丞の妖艶さは簡単に想像できるんだけど、千蔭の男前ぶりは全く影が薄くわからない。下戸で面白みに欠けるという印象しかない。でもストーリーが面白いので、次に行こう。

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2012年09月25日

Posted by ブクログ

堅物の同心。ふってわいたような縁談。
売れっ子花魁、人気女形。
茶屋に現れる女幽霊の噂、そして白髪の夜鷹。

宮部みゆきさんの時代物シリーズと趣は似ているが、こちらは花魁や女形が活躍する分あだっぽい雰囲気。

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2012年07月09日

Posted by ブクログ

堅物同心千蔭と芝居町の人々と花街の人々のバランスがいいなぁ。二つの話を平行して最後にあわせる手法は毎回だとちょっとあれだけれどね。

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2011年08月19日

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