近藤史恵のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
整体師・合田力シリーズの第2弾。
キーワードは「白馬に乗った王子様とストーカーとは、どう違うのか?」。
合田力先生、アシスタントの恵・歩姉妹、週刊誌の記者・小松崎くんが前作からの引き続きの登場人物。前作と同じように、小松崎くん視点と、今回の主人公の女性の視点が交互に語られ、いつの間にか接点ができていて、結局、整体師の合田先生が事件に首を突っ込んで解決する、というお話。
今作は、従順で素直な「いい子」な女性が主人公。従順で素直…でも、実は彼女は周りの人すべてを否定しながら生きてきたんじゃないの?みたいなお話。
小松崎くんの恋バナや、女性主人公の周りの人たちのキャラクタが活き活きと書かれてい -
Posted by ブクログ
「これは、ものすごい悪人は出てこないミステリーです。」
解説の松尾たいこさんの第1声が、この小説の内容をスッキリ説明してくれてる。悪意のある悪人が出てこないミステリー。日常、誰にでも起こりそうな、ささいな事件と、その出来事で成長していく主人公の物語。そして、ほんのり恋愛小説でもあったりする。
『賢者はベンチで思索する』の続編。3つの短編から成り立っているのだけれど、最終的には最後の物語に繋がる伏線が用意されている物語。『賢者〜』ではフリータだった主人公・久里子が就職。けれど、そこを突然解雇されるところから始まる。そして、ずっと会うことのなかった、あの老人に偶然再会する。久里子の仕事の話と、 -
Posted by ブクログ
歌舞伎界の抱える業。
一子の夫、優は歌舞伎界の御曹司であり名女形として期待を寄せられている。そんな彼が日常から言葉を忘れ始め、ついには声まで失ってしまう。
一方、歌舞伎座では葉月屋の若旦那、半四郎の婚約者が殺害された。事件を追う怪しげな探偵と、探偵の友人で歌舞伎の女形を務める小菊が犯人を突き止めようと動き出す。
馴染みのない歌舞伎の世界に最初は圧倒されていたが、舞台と日常の差異や不公平で公平な歌舞伎界に惹かれていった。
芸の道に生きる。それは生半可な心構えでは太刀打ち出来ない場所で、努力だけではどうにもならない道である。
その道に全てを捧げて生きる者の厳しさとやるせなさを感じた。
生きて -
Posted by ブクログ
近藤さんの話はいつも淡々としていながら美しい。
大学時代の友人、河合瞳子の自殺により動揺する仲間たち。
それぞれの視点から描かれた瞳子との関係。
登場人物のキャラクターが確立されていたので、すごく読みやすかった。
ただ疑問点が二つあり。(以下少しネタばれあり)
1.ブリュッセルで写した4人の写真が残っていること。
→普通あんなことが起こったあとでは、そんな写真は現像さえもしないのではないか。なんで持っているの?加代ちゃん。
2.どうして瞳子は彼らとの旅行を嫌がらなかったのか。
→自殺につながる事件に発展するだけに、ここはハッキリさせてほしかった。
読書中この二つが気になって仕方がなかった -
Posted by ブクログ
笙子は大物歌舞伎役者の娘。
15年前に、跡取り息子として期待されていた音也がなくなった後に引き取られたが、女の子では役者にはなれない。
音也の首を絞めようとする悪夢を見る笙子は、何があったのか不審に思っていた。
子供時代に別荘で音也と仲良くしていたという中村銀京という大部屋役者に出会い、奇妙な点のある音也の死について調べ始める。
おりしも子役の少年が劇場でなくなるという事件が起きる。
女形・瀬川小菊の知り合いの探偵・今泉文吾に調査を依頼することになるが…
桜姫東文章の舞台をからめながら展開する〜封印された過去を巡る切ない恋の物語。
平成14年単行本化された物の文庫。
2007年の大ブレイクにつ -
Posted by ブクログ
「愛情という名で押しつけられるものは、決して拒むことができないのだ」っていう文章が、やはりこの作品全体を通じて貫かれているテーマだとは思うのですが、やっぱり人って愛情なしではなかなか生き抜いていくこと(いきることではなくて)って難しい一方で、愛情によって傷つきやすいっていうのは人の心も脆さというか儚さのようなものを感じさせますね。
一番印象に残っているのは、自分が瞳子に対して示していた態度や見方が、彼女が巻き込まれたフランス旅行中の事件の犯人である日本人の男二人と同等に位置づけた瞬間ですね。ここまでの発想というか、思いを巡らせる展開は驚きでもありました。読み終わって感動する作品ではありませ