近藤史恵のレビュー一覧
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ネタバレ花音と真矢は今通っている高校で出会った親友同士だ。そんな二人には謎めいた力があった。それは、互いが体のどこかを触れあわせると、学校にわだかまる何かが見えるというもの。それは、時に恐ろしく、そして切なく少女達の瞳に映った。
青春ホラー・ミステリーもの。創立120年以上という歴史ある女子校を舞台にした作品。内容はホラーなので怪異や怖いものが出てきたりするが、真矢や花音、そして在校生が抱える思春期特有の悩みなどがつぶさに書かれていて、切なく懐かしい気持ちになった。限定的な力だからこそ、日常に差し込まれる怪異が何処かあいまいで、とてもおぼろげな存在として扱われ(作中でも何度もそのような描写が -
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帯には「梨園を背負うふたりと親同士の、白熱心理サスペンス」。
裏表紙のあらすじにも「幅広いジャンルで傑作ミステリーを発表しつづける著者が、子役と親の心の内を描く白熱心理サスペンス!」
「解説」でもこの作品がいかに「ミステリー」であるかが述べられている。
なんとゾクゾクすることか!
そのゾクゾクを感じながら、タイトル『胡蝶殺し』に思いを馳せれば、一体そこにどれほどのドロドロが待っているのか、楽しみで仕方がない。
思うに、ミステリーやサスペンスは、現実ではなかなかお目にかかれない(あるいは、目を背けている)ドロドロを味わうためにあるのではないか。
読み終わってみて、しかし、と思う。 -
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ネタバレ内容も何も知らずに読みました。
仲の良かった家族に一体何が起きたのか、真実が明らかになって行く度に、胸がギュッと痛みました。
「愛する人が、もう生きたくないと思うほど絶望して死んでしまった。そんな世界で自分も生きていくなんてつらすぎる試練だ」
妹の美和が抱えた試練は、そんなレベルのものではなかった。
今別の著書も読んでおりますが、近藤史恵さんは、どの立場の人間に対しても、すごく気持ちに寄り添った書き方をされる方だと思った。
姉である遼子が、妹の美和の味方でいてくれて本当に良かった。
「母は明らかに動揺していた。自分のことばを信じていない。いや、それともこの期に及んで、まだ信じているのだろ -
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小乃原笙子(おのはら しょうこ)は歌舞伎の家の娘。
母と兄を失い、大物歌舞伎役者の父とは折り合いが悪く、家を出ている。
笙子は、15年前に10歳で死亡した兄の音也(おとや)を絞め殺す夢を何度も見る。
ある日、子供の頃、音也とよく遊んだ、という若手歌舞伎役者・中村銀京(なかむら ぎんけい)が笙子の前に現れ、音也の死に疑問を抱いている、と言った。
“その子”が歌舞伎にかかわらなかったら、または歌舞伎の家に生まれなかったら、こんな悲劇は起こらなかったのかもしれない。
離婚をした母親に新しい恋人が出来た“その子”も、生物学的(?)医学的(?)に少し特殊なケースで生まれた“その子”も、話し合いや周囲の