近藤史恵のレビュー一覧
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猿若町捕物帳シリーズ4作目。
猪鍋屋で食中毒事件が起こり、その後死人まで出てしまうという「猪鍋」、巴之丞が娘に襲われ犯人を捜す「清姫」、北町の堅物同心・大石が金貸を襲った一味の仲間と疑われる「寒椿」という3編を収録した連作短編集。
男前だが女心に疎い堅物の同心玉島千蔭、人気女形役者の巴之丞、聡明できっぷのいい吉原の花魁・梅が枝、千蔭の義母お駒などなど、前作までに登場した人が今作でも総動員し、それぞれ活躍しています。
どのキャラも脇とはいえないくらい存在感があふれていて、かつ物語も高いレベルで安定しているので安心して読み進めることができました。
どの短編も事件が起きてその謎を解く、という流 -
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猿若町捕物帳シリーズ3作目。
前作までの長編とは違い、今回は「吉原雀」「にわか大根」「片陰」の3編収録の中編集。
どの話もどこか心に引っかかりが残り、苦い味わいがたまらないです。
吉原の花魁、女形の役者といった一見華やかな世界で生きる人々が見せる哀切や鬱屈の凄みに魅せられます。
謎の背景にある人間関係を丁寧に明らかにしていくことで見えてくる悲しい真実に、心を揺さぶられました。
どのお話も良かったのですが、最初のお話の「吉原雀」が好みでした。
吉原で3人の遊女が相次いで死に、連続の死に不審を抱いた同心の千蔭は死因も異なるそれに関連性を見出すことはできず。
しかし、彼女たちを結ぶ「雀」という -
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ネタバレ猿若町捕物帳シリーズ第2弾。
幽霊騒ぎに乗じて茶屋の主人夫婦が殺された。下手人は夫婦を恨んでいる幽霊だと噂が立つ。
幽霊が出た後には必ず縮緬細工のほおずきが落ちているという。
女性が苦手な“二枚目同心”玉島千蔭はじゃじゃ馬娘との縁談話に悩む傍ら、事件の解決に乗り出すが…。
人の昏い部分に光を当てた、心を抉ってくる話ですが、とても良かったです。
前作同様、通常の千蔭の捜査とお玉という少女のモノローグの二つの物語が同時並行で進み、それらがひとつに融合した時に見えてくる悲しい真実に胸が締め付けられました。
お玉の一途に慕う想いの向かう先に恋の成就はなく、『安珍清姫』の清姫の心境になぞらえたお玉 -
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歌舞伎役者・市川萩太郎は、急逝した先輩役者の息子、7才の少年の後見人を任される。
後見人と言っても世間一般のそれとは違い、名ばかりではなく、実際に歌舞伎役者として育て上げることも意味する。
萩太郎には、少年と同じ学年の息子がいた。
梨園という特殊な世界では、伝統芸能を後世に伝えていくために、男子は生まれた時から、役者として生きることを運命づけられ、幼児の頃から、必要な稽古をみっちり仕込まれる。
学校よりも家業が優先されるという、これも今時特殊である。
そこに生まれた男子に、芸能の才が無かったら?
向いていなかったら?
実の息子と、託された「義理の息子」を抱え、萩太郎はさまざまに悩むこととな -
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オペレータールームに配属された新入社員の梶本大介。
この会社には一風変わったキリコという女性の清掃作業員がいた。
ミニスカートや、ピアスをいくつもつけた派手な外見。
それでいて彼女の掃除後には塵一つ残らないという一流の腕。
彼女は社内で起きた様々な謎を次々と解決していくが・・・。
ホームズ役のキリコとワトソン役の大介が、オフィスで起こる様々な事件をキリコの職業柄身についた洞察力と情報収集力で次々と解決していくという、テンポの良い流れに乗ってさくさく読めちゃうミステリ短編集です。
謎も小粒で一見ライトなのですが、その動機や背景にはシビアで重いものが隠されています。
女性社員活躍を阻む保守的な -
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一緒に暮らすことになった伯母と従妹の存在は、
これまで普通に平凡に暮らしてきたと思っていた
高校生の光介の生活に風を起こす。
光介が祖父母の心中の真相に迫る。
とても衝撃的なことだと思うのだけれど、
意外と淡々とことに当たっていくように思うのは
光介が祖父母に会ったことがないからなのか。
真相を知ることは心の澱みをクリアにすることなのか、
もっと澱んでしまうことなのか
それでも調べずにはいられない、
そいういう若い光介の心情はよくわかるし、
伯母の気持ちもよくわかる。
高校生の目線で書かれているので必要以上にドロドロせず、
彼が大人に成長してく様が伝わってきた。