『サクリファイス』で自転車競技の面白さと過酷さを教えてくれた著者。その鋭さとは対照的に、お腹も満たしてくれそうな日常系ミステリーの“ビストロ・パ・マル”シリーズも楽しかった。本作は後者に近い、ゆるっとタイプ。でも起こる事件はしっかり犯罪。
主人公はファミレスでバイトする21歳の七瀬久里子。常連客の老人とひょんなことから親しくなる。事件に巻き込まれた久里子に老人が謎解きをしてくれます。彼女が相談するのは事件のことだけでなく、家族のことだったり恋愛のことだったり。とても優しい気持ちに包まれる、安心の1冊。