あらすじ
団体戦略が勝敗を決する自転車ロードレースにおいて、協調性ゼロの天才ルーキー石尾。ベテラン赤城は彼の才能に嫉妬しながらも、一度は諦めたヨーロッパ進出の夢を彼に託した。その時、石尾が漕ぎ出した前代未聞の戦略とは──(「プロトンの中の孤独」)。エースの孤独、アシストの犠牲、ドーピングと故障への恐怖。『サクリファイス』シリーズに秘められた感涙必至の全六編。
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Posted by ブクログ
自転車に魅入られた人間の葛藤。
競技が終わって「生き延びられた」と実感するスポーツというのは壮絶だ。
石尾さんにまた会えたのが嬉しいが、引退したあとの彼が想像できない、というくだりが、その後を暗示しているようで、悲しい。。。
サクリファイスからの弱虫ペダルで、ロードレースに興味を持った私は、ツール・ド・九州とジャパンカップをYoutubeで観戦。本に出てくる用語にも、だいぶ詳しくなってきた(笑)
次は、本物見に行くかなー。クリテリウムみたいなー。
Posted by ブクログ
いろんな登場人物の内面を知れるのは短編集ならでは。
本当にこのシリーズの男達は良いなあ。
熱くて無謀な奴ばかりでヒヤヒヤさせられる反面、心は揺さぶられる。
特に一作目を読んだ後に、石尾と赤城の話を読んでしまうと泣けてくる。
この二人には“孤高のエースとアシスト”以上の繋がりがあったと信じたい。
胸を抉られそうになる話もあったけれど、やっぱり面白かった。
Posted by ブクログ
あなたはスポーツをしますか?そのスポーツは団体競技ですか?それとも個人競技ですか?
この世には数多のスポーツがあり、それぞれに競技者がいて、それぞれにその観戦を楽しみにしている人がいます。するのは嫌いでも見るのは好きという方含めて、スポーツには誰でも何かしら関心を持っているのではないでしょうか?そんなスポーツは団体競技と個人競技に分かれます。そのいずれを好むかは個人の嗜好や性格にも大きく左右されるものだと思います。
チームの勝利が全てと、お互いがライバルでありながらも一致団結して勝利を目指す団体競技。一方で自分を高めることに全てを賭け、孤独な日々の中に勝利を掴んでいく個人競技。こうして改めて考えてみても、そのいずれが自分に向いているかは人それぞれとも言えそうです。
しかし、この世の数多のスポーツにはそんな考え方だけでは分類できないスポーツが存在します。チームとして『最善の成績を残』すことを目的とするそのスポーツ。一方で『ひとりのエースと、その他のアシストたち』に分類されるそのスポーツ。そんなスポーツでは『アシストたちは自分の勝ちを目指』さず、あくまで『勝ちたいという本能を殺し、ただエースの勝利のために奉仕』すると言います。
さて、そんな特殊なスポーツの世界に生きる選手たちを描いた作品がここにあります。「サヴァイヴ」という書名のこの作品。それは、近藤史恵さんの代表作でありシリーズ化もされている「サクリファイス」の三作目、『自転車ロードレース』に人間ドラマを見る物語です。
ということで、「サクリファイス」シリーズの三作目として登場したこの作品は、六つの短編から構成された短編集となっています。では、そんな作品の中から最初の短編〈老後ビプネンの腹の中〉の冒頭をいつもの さてさて流でご紹介しましょう。
『ぼくを取材したいと言ってきたのは、日本の若い男性向けのファッション誌だった』という雑誌の取材のためにパリを訪れたのは主人公の白石誓(しらいし ちかう)。『フランスに移り住んで四ヵ月、まだパリは珍しく、観光客気分で楽しい』と思って出かけた取材の『結果は憂鬱なもの』となります。『ロードレースのことなどなにも知らなかった』というフリーライターの田辺は、誓のことも『取材にあたってはじめて知った』ようでした。『はじめて知ったというのは別にかまわない』と思うものの『会う前から、どんな記事にするかという青写真ができてい』たと思われる田辺は、『取材対象を刺激することで本音が引き出せる』という取材姿勢で誓を苛立たせます。『なぜ、勝つことができないのか』という質問にこだわり、『ロードレースがチーム競技である認識もない』田辺。そして『約束の一時間が終わ』って『時間がきたので』とさっさとその場を立ち去ろうとした誓の『携帯電話が鳴』りました。『以前のチームメイトであるマルケス』からのその電話は、『パリのホテルで』旧友の『フェルナンデスが死んだという知らせ』でした。妻も向かおうとしているが『今日の飛行機の切符が取れない』、『時間があるのなら、警察に遺体を確認に行って』欲しいと言うマルケスに、『これからすぐに向かう』と電話を切った誓。そんな誓の電話に聞き耳を立てていた田辺は、『警察』という言葉が聞こえたことで『一緒に行っていいですか?』と聞いてきました。『人からの頼まれごとなんです。あなたには関係ない』と振り切って目的の警察署へと一人向かった誓。そして案内された彼の前には『見慣れた男が横たわって』いました。『いったい、どうして』と立ちすくむ誓に『ドラッグだろうと医師は言っている』と告げる警察官。そして二日後、『フェルナンデスの死のニュースが』流れると、田辺から電話がかかってきました。『ひどいですよ。白石さん… スクープが取れたのに』と、自分を振り切った誓にクレームを言う田辺に、『用があるんで切りますよ』と冷たく答える誓。そんな誓に田辺は『今週末のパリ・ルーベ見に行きます』、『白石さんの優勝を日本人として楽しみにしています』と告げました。『ぼくが勝てる確率など、ゼロに等しい』と思う誓が、『過酷すぎて、アシストが出る幕がな』く、『北の地獄』とも言われる『ワンデーレースの最高峰』『パリ・ルーベ』へと臨む姿が描かれていきます…という最初の短編〈老後ビプネンの腹の中〉。『ロードレース』について全く無知な記者とのやりとりを通じて、シリーズを読んできた読者の物語に対する記憶を呼び覚ますと共に、五十キロもの石畳を走り抜けるという独特なレースに挑む誓の姿を見事に描き出した好編でした。
『最近はファンも増えてきたが、まだ日本では自転車ロードレースはマイナースポーツだ』という『自転車ロードレース』に光を当てた近藤さんの大人気シリーズの三作目であるこの作品。それまでの「サクリファイス」、「エデン」のいずれもが長編小説として主人公・白石誓の活躍を描いてきたのに対してこの三作目ではそれぞれが独立した短編として構成されています。しかし登場するのは誓の他、今までのシリーズに名前が登場した面々なので順に読んできた方にはスーッと物語世界に入っていくことができると思います。そんなそれぞれの短編について、光が当てられる主人公と共に簡単にご紹介しましょう。
・〈老後ビプネンの腹の中〉: 白石誓が主人公。『不快な気持ちになる質問を次から次へとぶつけてくる』というフリーライター・田辺の取材の後、旧友フェルナンデスの死を知った誓は、『パヴェという石畳区間がある』『パリ・ルーベ』のレースへと出場します。
・〈スピードの果て〉: 伊庭和美が主人公。街中で『幅寄せ』をして自転車を煽るバイクと遭遇。『脇道から、ワゴン車が飛び出し』、『男は路上に叩きつけられた』という瞬間を目撃した伊庭は、『山梨で実業団のクリテリウム』に出場しますが、目撃した事故の『あの光景がフラッシュバック』し、『ペダルがうまく動かせな』くなります。
・〈プロトンの中の孤独〉: 赤城直輝が主人公。同タイミングでオッジに加入した『石尾の相談役になってやってほしい』と監督から言われた赤城。石尾と久米という新旧エースのぶつかり合いに悩まされる中、『ツール・ド・ジャポンと並ぶ』『北海道ステージレース』へと出場します。
・〈レミング〉: 赤城直輝が主人公。久米が去りエースとなった石尾。しかし、『献身的なアシスト』に『感謝の気持ちを見せることはない』石尾にチームの不満が燻ります。そして『沖縄ツアー』へと出場する石尾に『続けざまに二度の失速とリタイア』という謎のトラブルが発生します。
・〈ゴールよりもっと遠く〉: 赤城直輝が主人公。『去年は石尾が優勝した』という『九字ヶ岳ワンデーレース』へと出場予定だったオッジに、開幕直前に『書類不備』により出場できないという連絡が入ります。そんな中、石尾に他のチームのスカウトから接触があり移籍が噂されます。
・〈トウラーダ〉: 白石誓が主人公。リスボンにあるチームへと移籍した誓は、彼の地での『暮らしを満喫してい』ました。そんな中、闘牛観戦に誘われた誓は、『背中に突き刺さった銛が、少しずつ牛の力を奪っている』という場面に衝撃を受け『寝込んでしま』います。そんな誓を『ドーピング疑惑』をかけられたルイスが見舞います。
六つの短編は、今までのシリーズに登場した三人の人物が主人公となって登場し、レースへと出場していく様子が描かれていきます。このシリーズを読むまで『自転車ロードレース』について一切の知識を持たなかった私ですが、「サクリファイス」、「エデン」と読んできてすっかりその世界に魅了されると共に、そんな特殊なスポーツの考え方にも馴染んできました。それは、
『自分の勝ちを目指すことだけが自転車ロードレース選手の目標ではない。ロードレースは団体競技で、たったひとりのエースを勝たせることが大事だ』。
というそのスポーツの特殊な立ち位置です。数多のスポーツは個人競技と団体競技に分けられると思います。前者で表彰されるのは当然に個人です。一方後者ではMVPという概念が入る余地があったとしても表彰されるのはあくまで団体です。このそれぞれの位置付けには疑問を挟む余地はありません。一方で、この作品が取り上げる『自転車ロードレース』では、団体としてチームの勝利を目指すにも関わらず、表彰されるのはあくまで個人であるという点が大きな特徴です。『ゴールを目指さない。ゴールなど見えない。たとえ、ゴールゲートに辿り着いても、それはなんの意味もない』という『アシスト』という存在が『エースがゴールに飛び込んでくれると信じて』献身的にエースを支えて彼を勝利に導くというその競技のあり方は他のスポーツ競技にはあまり見られないものだと思います。この作品では、そんな側面により光が当てられていました。そんな中でも特に強く印象に残ったのは、〈プロトンの中の孤独〉と〈レミング〉という密接に結びついた二つの短編でした。チーム・オッジのエースとして活躍する久米は、『専制君主』、『暴君』としてチームメイトに接してきました。それに対してエースを引き継いだ石尾は『アシストたちの動きにほとんど関心を示さない』という対極的な態度でチームメイトと関わっていきます。『彼にとってはエースもアシストも対等』と、それだけ聞くと一見何の問題もないと思える石尾ですが、このスポーツならではの感覚がそんな一般的な理解が間違っていることを示します。『自分の勝利のことを忘れ、エースのためだけに身を尽くす』という『アシスト』、『エースの風よけになって体力を使い、エースがパンクしたときには自分のホイールまで差し出すこともある』という『アシスト』の立場からすると、そんな石尾のクールな感覚には『アシストする側の気持ちはそれだけでは済まない』という思いが生まれてくるというドラマがそこには描かれていました。なんとも複雑な感情が交錯するそのスポーツ、一方でそんな深い人間ドラマが描かれるこの作品は、この国で決して知られているとは言い難い『自転車ロードレース』の魅力を私たちに垣間見せてくれるものだと改めて思いました。
『ひとりのエースと、その他のアシストたちだ。アシストたちは自分の勝ちを目指さない。勝ちたいという本能を殺し、ただエースの勝利のために奉仕する』。
『自転車ロードレース』なんて知らない、興味もない、それがこのシリーズを読む前の私の正直な気持ちでした。単に”本屋大賞”にノミネートされたことがある作品、それ以上に興味を持つわけでもなく読んだ「サクリファイス」。そこには、全く想像もしなかった奥深い人間ドラマが繰り広げられる世界を垣間見ることができました。このレビューを読んでくださっている方の多くは恐らく『自転車ロードレース』をあまりご存じではない、興味もないという方だと思います。そんなあなたにおすすめしたいのがこのシリーズ。上記した通り、団体競技なのに『リザルトに残るのが個人の名前なのだ』という極めて特殊なスポーツにきっと夢中になる、私の如く、二作目、三作目と手にして夢中で読んでしまう、そんなあなたの姿がきっとそこにはあると思います。
『後ろを走る俺たちには、エースがゴールを切る瞬間も見えない。それでもそれを思い描く。彼ならば絶対にやってくれると信じながら』という『自転車ロードレース』における『アシスト』の存在に光を当てるこの作品。六つの短編に取り上げられたさまざまなレースの場面が、手に汗握るようなスポーツ観戦の醍醐味を味わわせてもくれるこの作品。近藤史恵さんの「サクリファイス」シリーズの中でも傑作中の傑作だと思いました。
Posted by ブクログ
石尾さんと赤城さんの若いころの話、白石誓のパリ~ルーベの話等グッとくる話がたくさん。
読んでいる時、自分の心の状況で刺さってくるフレーズが変わる。
もう4、5回は読み返している。
心に残る一冊。
Posted by ブクログ
サクリファイス、エデンの過去と未来の物語。
短編集なんだけど、物語に引き込まれて余韻がすごい!
サクリファイスで、私の心を熱くした石尾という人物の謎に、少し近づけた気がする。石尾さんはミステリアスで真っ直ぐな人なんだなぁ。
石尾さんと赤城さんの話、ずっと読んでいたい…。
信頼関係だとか、友情だとか、形にはまった関係ではなくても、こうやって二人の関係性が築き上げられていったんだなぁ。
サクリファイスがとても悲しい物語なので、読みながら切ないような、悲しい気持ちにもなりました。
また「サクリファイス」が読みたくなってしまった。
このシリーズ大好き。
Posted by ブクログ
私は、好き。
これまで読んだシリーズの中で一番好きな「サクリファイス」に出てきた石尾さんの若かりし時代が知れたことが嬉しい。
赤城さんとの知られざる友情、石尾さんがエースとしての自覚に目覚めた瞬間は、サクリファイスファンとしては嬉しかった。
Posted by ブクログ
サヴァイヴ、即ち「生存」。今回は白石誓、伊庭、石尾が命と人生を賭けてロードレースに臨んだ内容だった。時速70キロで一気に駆け降りる下り、まさしく命懸けで、何人も怪我をし死亡している。これを恐怖と思った瞬間、真のロードレーサーではなくなる。この恐怖への回避がロードレーサーに付きまとうドラッグになるが、日本人の真面目な大和魂は本当に嬉しいし、誇りに思う。ロードレースはチーム戦であり、サポート役に徹することでサヴァイヴする者もいるが、そこで生じる葛藤や妬みをチーム内で消化しなくてはならない。本当に奥が深い。
Posted by ブクログ
日本においてはまだマイナーだけど、ヨーロッパではサッカーの次にメジャーなスポーツ、自転車ロードレース。たった1人のエースを勝たせる団体競技。近藤史恵「サヴァイヴ」、シリーズ№3、6話、2011.6刊行、2014.6文庫。あの「サクリファイス」に続く若き日の石尾豪の化け物のような走り、そして新人時代のスプリンター伊庭和実、ダウンヒルが得意な名アシスト白石誓が描かれています。ゴールを目指さない「アシスト」の役割、奥が深いけど、その役割は厳しすぎますね!
Posted by ブクログ
今作は白石さんだけじゃなく、伊庭さんや石尾さん、赤城さんの話もあって楽しめた。これを読んだ上でサクリファイスを再読したらさらに楽しめそうと思った。まさか今作も死者がでるとは思わなくて驚いた。
Posted by ブクログ
シリーズ3作目。全く自転車のロードレースに興味ない私でも、毎回ドキドキしながら読んでしまう。
エースのためにアシストに徹する選手、そして全力でアシストしてくれる選手の為にゴールを取りに行くエース。それは各チーム同じだからこそのギリギリの勝負が面白い。またそれをただの青春小説ではなく、自分が狙える時はアシストがゴールを取りに行くことを常に狙っていたり、自分の評価を上げるためにアシストに徹するのだ、と言ってしまったり、自分のエースの座を守るための嫌がらせや嫉妬なんかもまたこの物語のプラスになっていると思う。次回作も楽しみ
Posted by ブクログ
石尾さんの物語
アスリートの孤独と死との恐怖 重圧 普通の人には考えられないくらいの苦悩と葛藤
何気なく TVで見てる試合も 読んだ後だと見方が変わる
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第3弾
「老ビプネンの腹の中」ドラッグで死んだ選手の話。エデンに出て来るミッコとの出会い。
「スピードの果て」伊庭の恐怖との戦いと乗り越えて、さらに強くなるところ。
「プロトンの中の孤独」赤城と石尾の出会い。仲間は本物だと楽しい。
「レミング」赤城の影響で変わりつつある石尾。頭いいけど言ってよ、って思っちゃう。ハラハラした。
「ゴールよりもっと遠く」どこまでも、目指し続けて行ければいい。赤城石尾コンビは最高。
「トゥラーダ」誓仲のよい選手のドーピング疑惑。ラストは悲しすぎた。
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「サクリファイス」シリーズ短編6作
孤高の天才・石尾のルーキー時代
エースの孤独、アシストの犠牲、故障、ドーピング…
天才石尾は知るほど好きになる…
死んじゃったけど(´°̥̥̥̥̥̥̥̥ω°̥̥̥̥̥̥̥̥`)
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『エデン』に続き、近藤作品五作目。サクリファイスシリーズ、三作目。一作目に出ていたキャラたち(石尾、赤城やチカなど…)の前日譚みたいな作品。
石尾さんと赤城さんの馴れ初め(?)、また石尾さんの過去が知れて、前々作を少し読み返してしまいました笑
個々がロードレースに掛ける思いがこちらにまで伝わり、読んでいて熱くそして悲しくもなる作品。ツール・ド・フランスが絶対観たくなりますよw 星四つ半。
Posted by ブクログ
ロードレースの世界をこれほどリアリティをもって表現した小説は今まで読んだことがない。レースの展開のみならずプロレーサーとしての心の葛藤も手にとるように訴えかけてくる。このシリーズは何度も読み返してしまいそうだ。
Posted by ブクログ
相変わらず面白いシリーズ。
短編集ということで小粒感は否めないが、
どのお話もきれいにまとまっており読後感も良い。
前作、前々作を読んでから時間が経っていたので、
登場人物の人物像を忘れてしまっていたのが悔やまれる。
チカは今日もどこかの空の下を走っているのだろうか。
続編が楽しみでしょうがない。
Posted by ブクログ
自転車ロードレース、サクリファイスシリーズの3作目。
スピンオフの短編集となっているが、結構登場人物忘れてたなぁ…サクリファイスから連続して読んだら何倍にも面白くなる作品だと思う。
ロードレースにかける日本人の想いが熱く伝わって来た。
シリーズ毎に、誰かしら死ななければならないのは少々ワンパターンで悲しくなる。
Posted by ブクログ
老ビプネンの腹の中
白石誓
フランスのチーム、パート・ピカルディの選手。二十七歳。クライマー。
田辺
フリーライター。
マルケス
白石の以前のチームメイト。
フェルナンデス
薬物の過剰摂取が原因で死亡。
マリア
フェルナンデスの妻。
ミッコ・コルホネン
パート・ピカルディのエース。
アレックス
パート・ピカルディの選手。
スピードの果て
伊庭和実
日本選手権で優勝した自転車選手。チーム・オッジ所属。
沙耶
伊庭の妹。
高梨
チーム・オッジ所属。
吉岡
チーム・オッジ所属。
玉置
チーム・オッジ所属。二十一歳。
斎木
チーム・オッジの監督。
赤城
チーム・オッジの監督補佐。元選手。
山下
世界選手権の日本代表監督。ミノワ・サイクルチーム。
村瀬
世界選手権の日本代表選手。
白石誓
プロトンの中の孤独
赤城直輝
スペインから日本に戻ってきた。
石尾豪
チーム・オッジの新人。
熊田
チーム・オッジの選手。
久米
チーム・オッジのエース。
山下
チーム・オッジの監督。
佐野
チーム・オッジの選手。久米の腰巾着のような男。
遠野
チーム・オッジの選手。久米の使い走りをやらされている男。
塩谷
レミング
石尾豪
赤城
山下
木元
チーム・オッジのコーチ。
久米
オッジを去った。
安西
今年オッジに移籍してきた選手。
熊田
山中
ミノワ
川越
中山
ゴールよりももっと遠く
赤城
石尾豪
山下
伊庭
新人。
七原
中堅どころのスプリンター。
白石
安西
古家
元自転車雑誌の編集者。
神尾
エクリュのオーナー。
渋谷
元タレントでエクリュの選手。
トウラーダ
白石誓
マルセネイロ
白石のチームの監督。
ルイス・パオロ・クレスカス
白石のチームメイト。
アマリア
クレスカスの母親。
パオロ
クレスカスの父親。
ミッコ・コルホネン
ヤンセン
チームマネージャー。
ミシェル
ルイスの妻。
Posted by ブクログ
近藤史恵さん『サクリファイス』ロードレースシリーズ3作目は短編集
ちょっと気分転換
語り手がチカ、チームメイト伊庭、赤城とそれぞれ変わる
チームエース石尾の駆け出しの頃の話や赤城が石尾のアシストになるまでの話が面白い
そして勿論ロードレース人生の過酷さ、ドーピング問題も描かれている
個人的には、いつも何を考えているのかわからないエース石尾が語り手の話を読んでみたい
いや、読まない方が謎があって今後も楽しめるか。。。?
Posted by ブクログ
サクリファイスシリーズのスピンオフと言った感じ。サクリファイスの登場人物には不思議と親近感を感じている。小説を読んだだけで、なんか勝手に一緒にレースを戦った仲間の様に思っちゃってるのだ。丹念な人物描写のなせる技だろう。
そんな彼らの前後譚。ヨーロッパに渡ったチカや日本に留まった伊庭の気になっていたその後が取り上げられており、うれしい限りだ。
しかしなんといっても出色は謎に包まれていた石尾豪の若かりし頃。それが3話も描かれている。なんて贅沢。
本人ではなく赤城が語るスタイルも良い。修験者のような振る舞いの中、時たまみせる人間臭さ。友達にはなれないが、石尾豪は小説の主人公としてかなり魅力的な人物だ。自転車との出会いや、少年時代などもっともっと知りたくたってしまう。
チカはいい奴だ。ずっと応援したい。伊庭はクセが強いけど活躍を期待している。新世代の彼らは先人達よりもずっと先まで進む。でも、最もカリスマ性があるのは石尾豪だ。今後の活躍を期待できないのは悲しいが、また小説の中でお目にかかりたい。
Posted by ブクログ
チーム・オッジでの石尾、赤城の強い絆が出来あがるまてには、色んな物語があったんですね。チームを勝利に導くための「エースの孤独」、「アシストの犠牲」に耐えるタフな2人のメンタルに感動をしました。チカのワールドクラスのアシスト力は、この2人の先輩が背中を見せてくれたおかげですね。
Posted by ブクログ
(サクリファイス)「エデン」での主な登場人物のそれまで&その後を描いた短編集です。
一冊で一つの物語かと思い、いつこの断片的な世界が繋がるのかと期待していましたが、当然繋がるそとはなく。
前作のような長編を読みたかったので、個人的にはあまりハマりませんでした。
石尾と赤城の関係はこの時から築かれていたのですね。
楽しげに話したり、石尾の将来を案じる赤城を見ていると、この後の結末を知っているだけにやるせない気持ちになります。
Posted by ブクログ
「サクリファイス」シリーズ第3部。
タイトルはサヴァイヴ(生き残る)。
本作は「サクリファイス」シリーズの主人公である白石誓が主人公の物語ではなく、ロードレースの選手として白石の近くにいた選手たちの視点で描かれた6編の短編集。
「サクリファイス」から始まり、「エデン」、「スティグマータ」へと繋がるロードレースを舞台にした白石の物語にどハマりした私には、斬新な視点の物語であったが、やはりどこか物足りなさを感じてしまった。
本作では白石以外の多くの違った個性を持つ主人公が登場するが、近藤先生の心理描写には驚かされる。
それぞれの心理を描ききるのみならず、自転車の上で感じる風や音、雨の描写等といった自然の描き方の旨さにも毎度のことながら感心させられる。
夢を追う男とそこに集うライバルや友の存在。
そして自然の素晴らしさを改めて感じさせてくれる一冊でした。
説明
内容紹介
団体戦略が勝敗を決する自転車ロードレースにおいて、協調性ゼロの天才ルーキー石尾。ベテラン赤城は彼の才能に嫉妬しながらも、一度は諦めたヨーロッパ進出の夢を彼に託した。その時、石尾が漕ぎ出した前代未聞の戦略とは――(「プロトンの中の孤独」)。エースの孤独、アシストの犠牲、ドーピングと故障への恐怖。『サクリファイス』シリーズに秘められた感涙必至のストーリー全六編。
内容(「BOOK」データベースより)
団体戦略が勝敗を決する自転車ロードレースにおいて、協調性ゼロの天才ルーキー石尾。ベテラン赤城は彼の才能に嫉妬しながらも、一度は諦めたヨーロッパ進出の夢を彼に託した。その時、石尾が漕ぎ出した前代未聞の戦略とは―(「プロトンの中の孤独」)。エースの孤独、アシストの犠牲、ドーピングと故障への恐怖。『サクリファイス』シリーズに秘められた感涙必至の全六編。
著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
近藤/史恵
1969(昭和44)年大阪府生れ。’93(平成5)年『凍える島』で鮎川哲也賞を受賞し、作家デビュー。2008年『サクリファイス』で大藪春彦賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
Posted by ブクログ
シリーズ三作目。
相変わらず、選手の倫理描写は巧みだ。
数十キロの速度でかっ飛ばし、落車すれば命を落とすこともある自転車レース。
団体競技でありながら、レコードに残るのはエースの一人のみ名前。その他のアシストはエースを勝たせるために、ひたすらに支え続ける。
秀逸な作品ではあると思うものの、多少マンネリ化してきた感は否めない。
やはり、シリーズものにするのは楽な芸当ではないな。スポーツネタでシリーズ物って、そういや、あんまり読んだことないな。