あらすじ
団体戦略が勝敗を決する自転車ロードレースにおいて、協調性ゼロの天才ルーキー石尾。ベテラン赤城は彼の才能に嫉妬しながらも、一度は諦めたヨーロッパ進出の夢を彼に託した。その時、石尾が漕ぎ出した前代未聞の戦略とは──(「プロトンの中の孤独」)。エースの孤独、アシストの犠牲、ドーピングと故障への恐怖。『サクリファイス』シリーズに秘められた感涙必至の全六編。
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Posted by ブクログ
サヴァイヴ、即ち「生存」。今回は白石誓、伊庭、石尾が命と人生を賭けてロードレースに臨んだ内容だった。時速70キロで一気に駆け降りる下り、まさしく命懸けで、何人も怪我をし死亡している。これを恐怖と思った瞬間、真のロードレーサーではなくなる。この恐怖への回避がロードレーサーに付きまとうドラッグになるが、日本人の真面目な大和魂は本当に嬉しいし、誇りに思う。ロードレースはチーム戦であり、サポート役に徹することでサヴァイヴする者もいるが、そこで生じる葛藤や妬みをチーム内で消化しなくてはならない。本当に奥が深い。
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日本においてはまだマイナーだけど、ヨーロッパではサッカーの次にメジャーなスポーツ、自転車ロードレース。たった1人のエースを勝たせる団体競技。近藤史恵「サヴァイヴ」、シリーズ№3、6話、2011.6刊行、2014.6文庫。あの「サクリファイス」に続く若き日の石尾豪の化け物のような走り、そして新人時代のスプリンター伊庭和実、ダウンヒルが得意な名アシスト白石誓が描かれています。ゴールを目指さない「アシスト」の役割、奥が深いけど、その役割は厳しすぎますね!
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今作は白石さんだけじゃなく、伊庭さんや石尾さん、赤城さんの話もあって楽しめた。これを読んだ上でサクリファイスを再読したらさらに楽しめそうと思った。まさか今作も死者がでるとは思わなくて驚いた。
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第3弾
「老ビプネンの腹の中」ドラッグで死んだ選手の話。エデンに出て来るミッコとの出会い。
「スピードの果て」伊庭の恐怖との戦いと乗り越えて、さらに強くなるところ。
「プロトンの中の孤独」赤城と石尾の出会い。仲間は本物だと楽しい。
「レミング」赤城の影響で変わりつつある石尾。頭いいけど言ってよ、って思っちゃう。ハラハラした。
「ゴールよりもっと遠く」どこまでも、目指し続けて行ければいい。赤城石尾コンビは最高。
「トゥラーダ」誓仲のよい選手のドーピング疑惑。ラストは悲しすぎた。
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老ビプネンの腹の中
白石誓
フランスのチーム、パート・ピカルディの選手。二十七歳。クライマー。
田辺
フリーライター。
マルケス
白石の以前のチームメイト。
フェルナンデス
薬物の過剰摂取が原因で死亡。
マリア
フェルナンデスの妻。
ミッコ・コルホネン
パート・ピカルディのエース。
アレックス
パート・ピカルディの選手。
スピードの果て
伊庭和実
日本選手権で優勝した自転車選手。チーム・オッジ所属。
沙耶
伊庭の妹。
高梨
チーム・オッジ所属。
吉岡
チーム・オッジ所属。
玉置
チーム・オッジ所属。二十一歳。
斎木
チーム・オッジの監督。
赤城
チーム・オッジの監督補佐。元選手。
山下
世界選手権の日本代表監督。ミノワ・サイクルチーム。
村瀬
世界選手権の日本代表選手。
白石誓
プロトンの中の孤独
赤城直輝
スペインから日本に戻ってきた。
石尾豪
チーム・オッジの新人。
熊田
チーム・オッジの選手。
久米
チーム・オッジのエース。
山下
チーム・オッジの監督。
佐野
チーム・オッジの選手。久米の腰巾着のような男。
遠野
チーム・オッジの選手。久米の使い走りをやらされている男。
塩谷
レミング
石尾豪
赤城
山下
木元
チーム・オッジのコーチ。
久米
オッジを去った。
安西
今年オッジに移籍してきた選手。
熊田
山中
ミノワ
川越
中山
ゴールよりももっと遠く
赤城
石尾豪
山下
伊庭
新人。
七原
中堅どころのスプリンター。
白石
安西
古家
元自転車雑誌の編集者。
神尾
エクリュのオーナー。
渋谷
元タレントでエクリュの選手。
トウラーダ
白石誓
マルセネイロ
白石のチームの監督。
ルイス・パオロ・クレスカス
白石のチームメイト。
アマリア
クレスカスの母親。
パオロ
クレスカスの父親。
ミッコ・コルホネン
ヤンセン
チームマネージャー。
ミシェル
ルイスの妻。
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「サクリファイス」シリーズ第3部。
タイトルはサヴァイヴ(生き残る)。
本作は「サクリファイス」シリーズの主人公である白石誓が主人公の物語ではなく、ロードレースの選手として白石の近くにいた選手たちの視点で描かれた6編の短編集。
「サクリファイス」から始まり、「エデン」、「スティグマータ」へと繋がるロードレースを舞台にした白石の物語にどハマりした私には、斬新な視点の物語であったが、やはりどこか物足りなさを感じてしまった。
本作では白石以外の多くの違った個性を持つ主人公が登場するが、近藤先生の心理描写には驚かされる。
それぞれの心理を描ききるのみならず、自転車の上で感じる風や音、雨の描写等といった自然の描き方の旨さにも毎度のことながら感心させられる。
夢を追う男とそこに集うライバルや友の存在。
そして自然の素晴らしさを改めて感じさせてくれる一冊でした。
説明
内容紹介
団体戦略が勝敗を決する自転車ロードレースにおいて、協調性ゼロの天才ルーキー石尾。ベテラン赤城は彼の才能に嫉妬しながらも、一度は諦めたヨーロッパ進出の夢を彼に託した。その時、石尾が漕ぎ出した前代未聞の戦略とは――(「プロトンの中の孤独」)。エースの孤独、アシストの犠牲、ドーピングと故障への恐怖。『サクリファイス』シリーズに秘められた感涙必至のストーリー全六編。
内容(「BOOK」データベースより)
団体戦略が勝敗を決する自転車ロードレースにおいて、協調性ゼロの天才ルーキー石尾。ベテラン赤城は彼の才能に嫉妬しながらも、一度は諦めたヨーロッパ進出の夢を彼に託した。その時、石尾が漕ぎ出した前代未聞の戦略とは―(「プロトンの中の孤独」)。エースの孤独、アシストの犠牲、ドーピングと故障への恐怖。『サクリファイス』シリーズに秘められた感涙必至の全六編。
著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
近藤/史恵
1969(昭和44)年大阪府生れ。’93(平成5)年『凍える島』で鮎川哲也賞を受賞し、作家デビュー。2008年『サクリファイス』で大藪春彦賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)