近藤史恵のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ花音と真矢は今通っている高校で出会った親友同士だ。そんな二人には謎めいた力があった。それは、互いが体のどこかを触れあわせると、学校にわだかまる何かが見えるというもの。それは、時に恐ろしく、そして切なく少女達の瞳に映った。
青春ホラー・ミステリーもの。創立120年以上という歴史ある女子校を舞台にした作品。内容はホラーなので怪異や怖いものが出てきたりするが、真矢や花音、そして在校生が抱える思春期特有の悩みなどがつぶさに書かれていて、切なく懐かしい気持ちになった。限定的な力だからこそ、日常に差し込まれる怪異が何処かあいまいで、とてもおぼろげな存在として扱われ(作中でも何度もそのような描写がった)誰かの想いや夢の残滓のようで、怖いのだけれど、儚さも感じさせられた。とはいえ、残された思いや夢のカケラは恨みや辛みを孕んでいるものもあり、怖い話は怖かった。特に3話目の肩に小さくてフワフワさせた小動物を乗せているという話は怖かった。もともとそれ自体にいわくがあったのか、大切にするあまり、念がこもってしまったのか分からないが、結末がわかった瞬間真矢たちと同じ気持ちになった。よいものだと思っていたので、余計その感情が強くなった話だった。ふわっとした感想しか書けなくて大変申し訳ないのだが、私はすごく好きな作品。怪異自体も怖いのだけれど、怪異の真相を突き止める過程でわかる真実がどれも物悲しく、切なかった。 しかし、これはホラー小説という事を忘れてはいけないのだ、という事をエピローグで思い知らされる。ワッと声を上げるような恐怖ではなく、忍び寄る恐怖であり、読んできて読者が感じた違和感をそこに集めたような感じだった。 -
Posted by ブクログ
帯には「梨園を背負うふたりと親同士の、白熱心理サスペンス」。
裏表紙のあらすじにも「幅広いジャンルで傑作ミステリーを発表しつづける著者が、子役と親の心の内を描く白熱心理サスペンス!」
「解説」でもこの作品がいかに「ミステリー」であるかが述べられている。
なんとゾクゾクすることか!
そのゾクゾクを感じながら、タイトル『胡蝶殺し』に思いを馳せれば、一体そこにどれほどのドロドロが待っているのか、楽しみで仕方がない。
思うに、ミステリーやサスペンスは、現実ではなかなかお目にかかれない(あるいは、目を背けている)ドロドロを味わうためにあるのではないか。
読み終わってみて、しかし、と思う。
本書は果たしてサスペンスなのだろうか。ミステリーなのだろうか。
たしかに、ドロドロはあった。ミステリーやサスペンスの文法に則った作品だという評価も嘘ではない。
しかし。
読後のこの爽やかな気持ちは何であろうか。
違う。求めていたのはこれではない。
しかし。今はこの心地よさにしばらく浸っていたい。
ジャンルというものの大切さを思い知った一冊。本書はサスペンスでもミステリーでもない。ドロドロを求めるのではなく、人間賛歌を求めて本書を手に取ってほしい。それでこそ、本書は真価を発揮する。
【目次】
胡蝶殺し
第一幕
第二幕
エピローグ
文庫版あとがき
解説 佐久間文子