あらすじ
大阪郊外の巨大団地で育った小学生の友梨。
同じ団地に住む里子が、家族内で性虐待を受けていたことを知り、衝撃を受ける。
助けられなかったという自責の念を胸に抱えたまま中学生になった友梨は、
都会的で美しい親友・真帆を守ろうとして、暴漢の男を刺してしまう。
ところが何故か、翌日警察に連れて行かれたのは、あの里子だった。
殺人事件、スクールカースト、子育て、孤独と希望、繋がり。
お互いの関係を必死に隠して大人になった3人の女たちが過ごした20年、
その入り組んだ秘密の関係の果てに彼女たちを待つものは何だったのか。
大人になった三人の人生が交差した時、衝撃の真実が見えてくる。
女たちが幼いころから直面する社会の罪、言葉で説明できないあやうい関係性、深い信頼。
ラストに用意された、ミステリファンも唸る「驚き」。
『サクリファイス』で大藪春彦賞を受賞した近藤史恵が描く傑作長編。
解説・内澤旬子
橋本環奈・葵わかな・吉川愛でWOWOW連続ドラマ化決定。
※この電子書籍は2017年11月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています。
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Posted by ブクログ
ミステリといっていいのか分からないが、一気読みできた作品。
三人の女性が、学生時代からの歪んでいて逃れられない縁のようなまるで呪いのようなもので縛られていた。
物語は主人公の女性が小説家の女性に、自分達3人の関係について語る、という形式で進んでいく。
Wowowでドラマ化もされ、Netflixでも観れるので是非観てみようと思う。
Posted by ブクログ
40代の女性小説家に、同い年の女性から手紙が届く。内容は、その女性(友梨)と友人2人の30年にわたる関係を小説にしてほしいというもの。
友梨の4歳から40代までの人生の話。
同じ団地に住む幼馴染の里子と、中学で転校してきた憧れの存在の真帆。3人の関係が複雑に絡みあい、罪が密かに重なり合う。そして大人になった3人の運命と驚愕の真実。
女子特有の独占欲や執着がリアルに描かれ、子供の頃の“友達が人生の全て”という感覚が呼び起こされた。三人はお互いのために罪を犯し、友情を封印する。もし悪意ある大人に出会っていなければ、彼女たちの関係は幸せだったかもしれない。この物語は、大人の無責任やその重さを強く感じさせる。
終始重い空気が漂う作品ながら、先が気になりページを捲る手が止まらなかった。非常に面白い内容で、ぜひお勧めしたい。
Posted by ブクログ
読んでてつらかったけど、最後の50ページくらいからは一気に読めた。
中学校時代のマンモス校で荒れてる感じが懐かしくもありキツさもあり読むのがしんどかった。
Posted by ブクログ
性的虐待、荒れる中学校をメインに書いた作品かと思いきや、中身はもっと深く読んでいて胸が苦しくなった……。
読み終わった後は「友梨も里子も真帆も救われるといいな」と思った。
Posted by ブクログ
結末が、バッドエンドなのか、それともある意味ハッピーエンドなのか、、、
何度考えても私には分からない。
でも、やっぱり哀しい。あと怖かった…
小学校から47歳まで描かれる3人の女性。
女ならではの群れる感じとか、その時仲が良くても学校が変われば疎遠になって、そのくせ久しぶりに会うと盛り上がれるところとか。
その辺りの「女子」ならではの描写が本当に上手で、特に中学校のあの感じは容易く想像できた。
もし3人が出会っていなければ、3人ともに殺人を犯すことなんてなかったのかもしれない。
やっぱり子供の頃に置かれている環境って大事なのかもと思わざるをえなかった。
どこかで引き返せなかったのかな、とも思うけど、3人が引き返すことを望んでいなかったようにも思う。特に友梨は。
友梨は自分のことを「罪悪感の薄いサイコパスなのかもしれない」と分析していたけど、私からみる友梨は全然違った。
真面目で、不器用。失うことが怖いから距離を取ってしまうけど、本当は誰よりも友達想いで、友達との縁を強く求めていたような気がする。
友梨が病気で亡くなってしまっていたのは悲しかった。天国で、3人でのんびりゆったり散歩できてたら良いな。
近藤史恵さんの作品は何作か読んでいるけど、こんな雰囲気のお話も描いていたとはイメージになかった。すごい…!
題名や装丁の雰囲気からホラーかなと思いましたが、ミステリになるのかな。
殺人ミステリですが、関係者の行動が少々荒唐無稽で、ともすると違和感ありまくりのストーリーになる所が、すっと自然に入ってきて先が気になりどんどん読み進んでしまいます。
近藤史恵さんの作品は、突拍子のない要素が含まれていても違和感を感じさせずスッと入ってくる作品が多いなと感じます。そこが好きです。
本作の主人公は 1960 年代後半生まれのようですが、同世代でなくても十分楽しめると思います。
教師をしています。今の学校の描写とあまりに違い、驚きました。では、内容の感想を書きます。
クラスの子には「彼氏はいない」って言う。悪いことじゃないんだけどめんどうくさいから。学区内のスーパーに行って、クラスの子にだけは会いたくないって思っていると、何故か会ってしまう。なぜだろう。
この本はそんな感覚です。何十年にわたる話ですし、舞台も団地・大阪・東京・福岡と点々としているのに、ずっと3人が絡み合っていく。3人と『死』というものが、ですね。人間、意識しているとだめです。普通に生きていれば、そう簡単に『死』に直面することないと思うんです。1回目の死だけで済んだんじゃないかって思ってしまいます。はじめの殺人から、異常ルートに運命が傾いてしまったような気がします。殺人ですから当たり前かもしれないですが。でも、最初の殺人だけでしたら、正当防衛で済みましたよね?
わたしは、本当にあった話として、読ませていただきました。話に出てくる人殺しをした子よりも、よっぽど団地で噂話をしているだけの大人が醜く感じてしまいました。
夜中1時から、一気読みでした。
Posted by ブクログ
3人の友達関係が
ある事をきっかけにどんどん変わっていく
お互いの為を思っての行動が
後に重荷になり
あの出来事がいつも心の中にある
苦しみと憎しみと愛情
団地
秘密を共有
祖父
お互いのため
Posted by ブクログ
近藤史恵さんのちょいとイヤミスな作品、相変わらずいいですねぇ。
ライトな作品もよいですが
このなんとも言えない粘着質な女ごころ?。
しかも、昭和から平成初期のヤンキーが
もてはやされた時代を過ごした主人公たち。
ワタシには刺さりました!
表紙も内容を表現していて雰囲気◎。
作品の印象は解説から引用すると、
インフルエンスを訳すと『影響』、ピンとこないが『影が響く』と訳すと、3人がお互いの影を踏みあう絵が浮かぶ、と。 まさにそれ。
いわゆる交換殺人なんですが、3人の女子が
それぞれ仲良くなり、好きになり、でも嫌われて、また惹かれ合って?
交差していく人生、面白いのですよ。
10年以上会ってもいないのに、声を聞くと
惹かれあっちゃう。親友とかで片付けられない、
相手のために・・・。
登場する大人や、男たち、ジジイは碌な人が出てきません。この割り切りは作品を読みやすく、読者を没入させてくれますね。近藤史恵さん、素晴らしいです。
なぜか2冊文庫が本棚にあるというミスをおかしております。誰かにあげたいけどこの世界観楽しんでくれる友達がわたしにはいないなぁ。
Posted by ブクログ
おもしろかったです!!最後、えどゆこと?どうなってるの?となったのでまた再読したいです。ちょっとモキュメンタリーっぽくなってて、と言うか実際の事件を題材にしてるの?本当に、真帆のモデルになった人が作者の近藤史恵さんに連絡してきて語った、とかなのかモキュメンタリーなのかほんとにわからなくて混乱。
Posted by ブクログ
久しぶりに近藤さんの小説を読んだ。そして、どうなっていくのだろうとストーリーの先が気になってしまい、最後まで一気に読んでしまった。
主人公の友梨たちとまさに同じ世代なので、彼女たちの幼少からの時代背景が手に取るようにわかり、当時のことを懐かしくも思い、自分もその中に生きて存在しているうちの1人のような感覚におちいってしまった。
本当に、小学校、中学校時代の当時の大人や先生たちの価値観が、いい面も悪い面も、とても忠実に描写されていたと思う。
また、女友達の関係も成長につれて変化していく、その一言で表せない不安定さもすごく共感できた。
予想外の結末に、彼女のことを思うとちょっぴり悲しい気持ちになったけど、彼女自身はどうだったのだろうと、聞いてみたい気もした。
Posted by ブクログ
団地や荒れた中学校の情景がありありと目に浮かび、私の地元でも起きていたかもしれないと思えてきた。
性虐待、強姦、DV…彼女たちを苦しめるものからお互いを守るために闘ったシスターフッド小説なのでは。
Posted by ブクログ
続きが気になりすぎてページをめくる手が止まらなかったです!!ずっと主人公(小説家)が何か関係あるドンデン返し系かと思っていたので、最後そっちかー!と騙されました。笑
女性の友情特有のドライなベトベト感(?)といい、終始付きまとう罪悪感の気持ち悪さといい、完全に友梨に感情移入して読むのがどんどん苦しくなりました。ほんとリアルすぎてこわい…
こちらの作者の方の本は初挑戦でしたが、
他の作品も読んでみたいと思います!!
新しい推し作品が見つかって嬉しい!
Posted by ブクログ
重い作品で読み終わったあとに装丁を眺めて
ゾッとした。
罪を罪で重ねていくことが読んでいて苦しくなったし、どこかでなにかのきっかけで負の連鎖が止まって欲しいと思いながら読み進めた…。
でもさすが近藤史恵先生。最高でした。
Posted by ブクログ
三人の少女の思惑により三つ巴の連鎖殺人が行われる。ただ利用してやろうとかじゃなく、衝動的に助けたい思いからくる行動なので、あまり気分は悪くないが悲しくなる。
本格警察小説ならこんなにうまくいかないだろうなと思うがここは上物のサスペンスとして、深く考えず楽しめた。
この小説家は作者の近藤さんがやはりモデルなんだろうな、名乗っていないけど。
Posted by ブクログ
面白かったです!
読んでも読んでも拭えない不安感と息苦しさの中、あっという間に最後まで読んでしまいました。(褒めてる)
語られる罪の連鎖の結末が一体どうなるのか気になる一方、目の前で語る友梨は果たして何者なのか。
物語が進むにつれ、私は今どの辺まで騙されてるのだろう?ととても不安でした。読み終えた今でも、まだ何か騙されてるのでは…?と反芻してしまっています。
Posted by ブクログ
3人の女性の長期的交換殺人?とでもいうのかな…
しかもはじめの2回は頼まれたわけではない。
こんな展開あるんだ…と心をざわつかせながらページをめくるうちに、あっという間に読み終わっていました。
現在の一人語りと過去の描写がところどころ入れ替わって、面白い作品でした。
インフルエンスを読んで
先にドラマを見て、面白かったので購入したのですが、原作は原作で面白かったです。3人の人生がひとつのことでここまで悲しい物語を生んでしまったのかと思いました。友梨は死ぬ間際は幸せであってほしいです。
Posted by ブクログ
なかなか区切りが見つけられず、続きが気になり一気読み。80年代後半ごろの中学生がモデルとなっていて、そんなに学校が荒れていたのか…と驚いた。
登場人物3人の女の子が、それぞれに変わってお互い殺人をして、関係が疑われないように連絡手段を交換しない…。それは大人になってからも、ずっと繋がっている関係で、既に友達ではなく秘密を共有している仲間、同志、共犯者?…といった感じ。
内容には引き込まれるけど、スッキリはしない。
なんとなく『白夜行』の暗い関係を、女3人バージョンにしたストーリーみたいだなと感じた。
Posted by ブクログ
近藤史恵さんって、ちょっとイヤミス系とコージーミステリーに大きく別れるのかな。
この作品はイヤミス系。
団地で出会った3人の少女たちが、近付いたり離れたり、愛しんだり憎んだりしながら過ごす半生の物語。
とても重くて壮大だった。
大事な友達の為に何でもしてあげたい。という気持ちは分からなくもないけれど、それが自分の人生に傷をつけても構わない。という覚悟までは共感出来なかった。
読んでいて楽しい気分にはなれないけれど、傑作だと思う
Posted by ブクログ
大きな団地で過ごした友梨は友達が祖父から虐待されていることを知りながら、助ける事ができなかった事が心残りだった。そんな時同居から引っ越して来た子が暴漢に襲われた時に揉み合い殺害してしまう。なぜ正当防衛にならなかったのか…人生が大きく変わってしまった。
Posted by ブクログ
初めて読む作家さんだった。
けんごさんが紹介しててすごく読みたくなった本。
短いし面白くて2日で一気に読んだ。
休みの日に半分以上時間を忘れて没頭できた。
昭和時代の話から始まって団地に住む3人の女子中学生の不思議な繋がりが主の話でミステリっぽいかんじだった。
主人公は地味な友梨、そして顔のいい里子、都会的な真帆の三人の話。
里子の受けた虐待が性被害で祖父と寝てたってだけで(当時まだ小学生)そんな恐ろしいことになる?って信じられなかったけど本当に起きてたみたいで気持ち悪さと話としての信じられなさが強かった。
隣の部屋で他の家族寝てるのに?しかも両親もわかってた上で?そんなことあるのか?未だに理解できない、、異常な世界線過ぎてここだけリアル感がないように感じた、、
中学校の荒々しさも印象的だった。
障害のある子が特別学級とかではなく、普通のクラスに数人いて凄惨ないじめ、暴力を受けて一人は死んでしまった。
よく考えたらこれもなかなかやばくて信じ難い、、昔はこんなこともあったの?
学校が荒れているっていう自分の中にあるイメージよりもだいぶ上をいった荒れ具合で昭和やばいなって思った。先生も悪い状況ガン無視でびっくり。
三人の友情とも言えないなんとも奇妙で歪な関係性が不思議だった。
結局三人ともお互いのことを守るため?に人殺しだったりあえて罪を被ったりしていて、でもその関係は綺麗とも言えない、、
感動もしないし共感もできないただ不思議な気持ち。
多分三人の気持ちが理解できないから上手く入り込めなかったのかなと思う。話としては面白かったけど。
もっとスッキリする終わりかなと思って期待して読んでたからなんか呆気なく終わったように感じてしまった。
でもドキドキするところが所々にあって全体としては面白かった。
Posted by ブクログ
友達の基準って一体なんだろうと思わせてくれる作品でした。
あらすじと書き出しだけだと女同士のドロドロが始まるのかなと思ったのですが、良い意味で裏切られました。周りの大人達が手を差し伸べていたら、あるいは彼女たちの気持ちを汲み取ることができていたら、三人はもっと幸せで犯罪とは無縁の人生を送ることができたのかもしれません。
でも裏を返せば3人の歪な友情は成り立たなかったでしょう。
彼女たちの友情が歪かどうかはきっと当事者じゃなければわからないと思います。少なくとも私にはみんな良い友達だねとは言えない。ただ、友達同士なら一方的に尽くすことは正しいことではないと思うけど、お互いがお互いに救われていたということだけは分かりました。
誰かを救おうとすることに正解も不正解もない。友達の基準は分からないけど、3人は間違いなく友達だったんだろうな。
重たい内容だったけど、不思議と嫌な気分にはならず、むしろ読み終わったあとはどこか爽やかな気分にすらなりました。ミステリーというよりサスペンス色の強いヒューマンドラマを見た感じです。
Posted by ブクログ
同じ団地に住む少女達の、互いに断ち切れない関係性。この時代じゃなければ、大人達が気づいて助けてあげていれば…と読んでいてやりきれない気持ちになりました。
不良を美化する文化は、今思うと巻き込まれる大多数には迷惑でしかなかったと思う。
Posted by ブクログ
一気に話に引き込まれて読み終わった。
有り得ないような、有り得るような、そんな話。
最初から不幸な境遇があって、どんどん悪い方に悪い方に人生が絡み取られていくのが辛かった。
この先に少しでも希望があればいいのだけれど。
Posted by ブクログ
2024.3.23
ひとりがひとりを守るために殺人を犯し、ひとりがそれを庇うことをきっかけに、誰にも言えない秘密を重ねていく。
“幸せか、価値があるかということを、誰かの基準にゆだねたりはしない。行けるところまで三人は走って行く。立ちはだかるものを破壊し、なにものにも従わない。
少しは悔やんだり、反省したりはするかもしれないが、すぐに忘れてしまえばいい。傷つこうが、しくじろうが、失おうが、年を取ろうが、未来はいつだってわたしたちの手の中にあるのだ。”
Posted by ブクログ
団地に住む少年少女。
その団地内で起こる事件。
大人になってからも、過去を引きずりながら生きる登場人物。何も感じていない登場人物。
3人の少女にまとわりつくしがらみ。
登場人物のほとんどが幸せになれなかった、そんな物語でした。
せめて、物語のその後は一人一人が幸せになっていてほしいなと思いました。
Posted by ブクログ
彼女たちのいる環境が少しでも違っていれば、出会わなければ、それぞれが違う運命を辿っていたのかな。
"殺人"がこんなにも彼女たちの身近に存在しているという点においては、なかなか現実味が感じられなかったけれど。。
Posted by ブクログ
勉強を頑張っていた子供の近くで他の子がゲームを始めると、今まで頑張っていた勉強を嘘のようにやめて子供はゲームに夢中になることがあります。
環境が全てではありませんが、自分や人生を作り上げていく中で欠かせない要素であるのは間違いないと感じました。
「人は自分を語ることばを欲しがるものなのかもしれない。」
「未来など、いいものであれ悪いものであれ、思い通りにはならないもので、それならば曖昧な方がいいのだ。」