宮部みゆきのレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
再読。
若い頃に読んだ時より、歳を経た今の方が沁みる。
上巻の謎解きより、事件の真相がわかったその後の下巻の方が胸に響きました。
特に丸助さん視点の「転び神」が好き。
「〜で」、口癖になりそう。
日々の一つひとつを大切に積み上げて生きる市井の人たち。一方で思いもかけず道を違えてしまう人たち。それでも乗り越えて慎ましく生きていく人たち。江戸人情ものといえ、今に生きる私たちにも何ら変わらず通じると思います。
そしてぼんくらといえど、平四郎もやる時はやる。
みんなの間を取り持ち、いい塩梅に落ち着けてくれる彼はなんだかんだこのシリーズの心。
読んでよかった。 -
Posted by ブクログ
怪談やあやかし話とは切っても切れないものがある。それは『理不尽』 だ。この三島屋シリーズでも同じで、人知を超えた哀しい理不尽が作品ごとにたくさん詰まっている。
「なんで私が」「なんで我が家が」と苦悶するけれど、理不尽に理由はないものだから何かに八つ当たりすることもできない。だから人は理不尽なことが起こると思い悩んで現在過去全ての記憶を手繰って反省点を探したり自分を責めたりし始める。
それでも結局理不尽な出来事から逃げることはできない。そして人の心には重い感情が残り、その記憶に苛まれ続ける日々を生きることになるのだ。
人は弱いものだからずっと重いものを背負って生きていくことはできない。だから誰かに理不尽な出来事を語り、聞捨ててほしいと思うのだろう。怪談、あやかし話を持った人間の駆け込み寺である三島屋。私も少し離れたところからいつも話を聞いている。
本作では『同行二人』が好きだ。理不尽と不運を同時に背負いながらも懸命に生きている人。自棄にならず厄介な存在と連れ立って悲しみが支配するこの世を駆けていく姿に泣けた。悲しみに沈んでも、支えあって共に立ち上がることができれば同類相哀れむことはそんなに悪いことではないのだと感じた。 -
Posted by ブクログ
宮部みゆきの小説は読むべきものがあまりに多すぎるので、このシリーズはまだ手をつけていなかった。シリーズ物を読むのはあまり気乗りしなかったのだが、読んでみてビックリ!傑作だった!
まず怪談としての品質が高い!とくに「曼珠沙華」「魔鏡」は本当いい塩梅であるとしか言いようがない。
シリーズであるのにこの一冊のみで一応の完結がされている。これも実に有難い!百物語とのことなので、てっきり松太郎の話はてっきり最後かなと思っていたが、まさかの一冊目でしっかりやってくれるとは、、
客人の話をきき、心から同情することで自らの過去と向き合い成長するおちかと、おちかに許されることで自らの過ちと向き合う事ができた怪談の登場人物達を描いている。この辺はえらくキリスト教的かと思った。
この後のシリーズも非常に楽しみ! -
Posted by ブクログ
ネタバレ久々の三島屋変調百物語シリーズ、もう9冊目41話にもなるんかぁ、なんとか生きている間に完結まで読みたいなぁ、と思っているシリーズ。
久々に読んで思ったのは、やっぱり一番怖いのは人間で、妖怪なんてのは人間の怖いところ弱いところにブーストをかけるような存在なんだろうなぁと。権力のあるところ、財力のあるところ、濁った欲望のあるところに出てくる存在。出汁全の精霊であったり八百万の神であったりもそうなんだけど、良きにせよ悪きにせよ、周囲の人間がどうするかで、ブーストの方向が変わる。
政治家を観てみたらよーくわかるよな。
3つ目に収録されている「自在の筆」が一番怖いのは、きっと誰にでもそういう欲望があるのが分かるから。 -
Posted by ブクログ
宮部みゆきさんが本を紹介しています。新書の見開き2ページで大抵1冊の本を紹介しています。コンパクトな文章で、紹介する本の魅力を伝えるという凡人には難しいと感じることを、宮部さんはおそらく淡々とこなしているのだと思います。
そして、本書を読むことで、「これは是非読んでみたい!」と思うものが、わんさかと生まれてくるのです。私に取っては、とても危険な書物です。積読本がさらに積み上がることになるからです。2015年〜2019年に紹介している書籍なので、書店ではすでに手にすることができないものもあります。紹介されている書籍は128冊です。
あなたの手に届くのを心待ちにしている書籍の数々に出会える素敵な本でした。