宮部みゆきのレビュー一覧
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ネタバレ三島屋伊兵衛夫婦に世話になっている姪のおちか。おじが与えた百物語の聞き手、その役目を得て過去の自分と向き合う1歩を踏み出せた。そしてまた次の話に向き合う。
「逃げ水」:金井屋の丁稚平太と彼に付いた神様お旱さんの話。人間とは身勝手だ。必要となれば頼り、無用となれば存在そのものを忘れる。人に必要とされなくなったお旱さんの怒りと悲しみ、彼女に付かれ厄介者扱いされながらお旱さんの気持ちを理解し共感し寄り添う平太。孤独を分かち合う2個1の1人と1柱、金井屋に来て新太と行動を共にするようになってからの無邪気なやり取りが微笑ましい。
「藪から千本」:三島屋の隣、針物問屋住吉屋一家の話。双子は凶事。これまで平 -
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ネタバレ私だけの所有者「ミスター」
主人公のナルセに対する呼び方を見て、曲名はここからきてるんだなと思った。
アンドロイドと人間が混在する世界のは、いつか私たちの世界が人間のようなアンドロイドの開発を突き詰めていったときに到達するかもしれない、もしもの世界たりえるような気がした。
「きみたちの権利は最低限、保障されている。ただし〜人であると同時にものである、とようにしか言いようがない」は言い得て妙だと思った。確かにロボットと言うには人間味がありすぎるし人間とするには機械的だしはたして生命と言えるのか、と疑問に思う。アンドロイドの権利を保障しようとしたら、結局、モノ扱いとヒト扱いのどっちつかずになるしか -
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ネタバレ亘の旅が無事に終わってよかった。目先の幸運だけを追いかけず、これから起こるいろんな経験を一つずつ乗り越えようとする逞しさに成長を感じた。
上巻から下巻にわたり、コントローラーを握りしめながらワタルとキ・キーマとミーナと、自分の4人で冒険をしているような感覚で楽しかった。
下巻の始まり、システィーナ聖堂の石像(ダイモン司教)との闘いは手に汗握ったし、トニ・ファンロンに龍の鱗から笛を作ってジョゾの背中に乗りアンドア台地の頂上まで飛行したことも心が躍った。終盤の幻界滅亡の危機には、もうダメなんじゃないかと諦めそうになり、歯を食いしばり、消えゆく仲間の命に涙が流れた。カッツが最期まで信念を貫き通して闘 -
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ネタバレ三島屋変調百物語も8冊目、35~27話目を収録。
「賽子と虻」に「土鍋女房」はどちらもこの国に八百万の神さまがおられるからこその怪異譚。人間は神さまの気まぐれに翻弄されつつしたたかに生きる。一神教にはない土着信仰の味わいが十分に生かされていて、怖くて悲しいけど昔話的に良い物語だった。
そして表題作「よって件のごとし」はまさかのゾンビ譚かつマルチバースもの。アクションが冴えわたる活劇だったことにもびっくり。そういえば宮部みゆきはキングの信奉者でもあったねぇ。
まだ1/3過ぎたとこやのに、三島屋の流れにもなんとなく不穏な空気が立ち込めだした本作。百話まで読みたいねんけどなぁ…(次回作はとりあ -
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主人の姪“おちか”から次男“富次郎”に聞き手が引き継がれたシリーズ6冊目。
表題作を含め4篇収録。
「泣きぼくろ」「姑の墓」はしっかり怪談。「同行二人」で少しだけほっこりして「黒武御神火御殿」で畳み掛ける怪談集。→
「姑の墓」が怖かった。このシリーズはどうしようもない怖いことが普通に描かれるんだけど(時代的にそういうものなんだろうな)この話、マジでどうしようもない悪が描かれていてめちゃくちゃ怖い。防ぎようがないんよ。
「黒武御神火御殿」は、短編というよりしっかりとした中編。→
おちかちゃんが一巻で巻き込まれた事件とはまた違うんだけど、これも不思議。この展開を読ませる宮部みゆき氏の筆力はすご -
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ホラーアンソロジー。これもまた最強の布陣ですよねえ。
やはり一番怖いのは三津田信三「湯の中の顔」。タイトルから連想した通り田中貢太郎「竈の中の顔」がモチーフなのですが、私としてはこっちの方が怖い! 下がっていく生首が想像するだけでぞぞっとしました。
宮部みゆき「あなたを連れてゆく」、良いなあ。これ、この後の物語もぜひとも読みたいと思います。
小池真理子「オンリー・ユー」、これは怖いというよりも切なくて、だけど素敵な物語だと感じました。孤独な主人公が幸せな家庭に惹かれるところが「夜顔」と似ているな、と思ったけど。「夜顔」ほど怖くなく、そして寂しく切ない結末です。
内藤了「函」、芦花公園「月は空洞 -
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ネタバレ宮部みゆきさんのファンタジー、王道にしてとても精密に設定、世界観作りが施されていて終始楽しんで読んだ。彼女がゲーマーでRPGにも精通していることがよく分かり、丁寧で優しい宮部作品の中に遊び心があった。
元々幼い頃映画で見て好きな話だったのだが、小説と全然違った。嘆きの沼やリリスは出てこないし、ジョゾは最初から2mくらいあって喋るし、カッツが亡くなるし、ロンメル隊長もハルネラも出てこない。物語を省かれ過ぎていて、改めて映画を観ると小説の世界観を省いて描いていることに少し憤りを感じた。でも、原作を読んだことで大好きなブレイブストーリーへの理解が深まり、より作品を好きになることかできた。
二つ目の