【感想・ネタバレ】おそろし 三島屋変調百物語事始のレビュー

あらすじ

ある事件を境にぴたりと他人に心を閉ざしてしまった十七歳のおちか。ふさぎ込む日々を、叔父夫婦が江戸で営む袋物屋「三島屋」に身を寄せ、黙々と働くことでやり過ごしている。ある日、叔父の伊兵衛はおちかに、これから訪ねてくるという客の応対を任せると告げ、出かけてしまう。客と会ったおちかは、次第にその話に引き込まれていき、いつしか次々に訪れる客のふしぎ話は、おちかの心を溶かし始める。三島屋百物語、ここに開幕。

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布団に入った後になんか怖くなってきて、ホラーじゃん!って実感しました。時代ものだと読みにくいのかなと思ってましたがさすがの宮部みゆき、めちゃくちゃ入り込みやすいです。

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2025年11月13日

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ネタバレ

神田の三島町にある袋物屋、三島屋。
川崎の旅籠丸千の一人娘おちかは、父方の叔父伊兵衛の三島屋にて見習い奉公をする。
ある日叔父の留守にお客様藤兵衛の相手をすることになり、三島屋の白黒の間で彼の話を聴く。
おちかに話したことで、藤兵衛は心の中の棘が抜けておちかも丸千での過去に向き合うことに。
藤兵衛の心を癒した事から、伊兵衛はおちかに、
白黒の間で、お客様から不思議なはなしをかききあつめる
百物語を始めることに。

実際現代もある地名が出てきたり、想像しながら一気読みできた。
続編がまだまだあるので、楽しみです。

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2025年09月27日

Posted by ブクログ

ホラーは好きでも時代物はからきし苦手だったが、本好きの知人から再三勧められて遂に本書を。結果、めちゃくちゃ面白かった。怖さはさほどないけれど、江戸の生活とそこに生きる人が持っていたであろう矜持が小難しいことなく伝わってくる。小物や所作の描写もワクワクする。なんでもっと早く読まなかったのかという感じ。単純な短編集かと思ったけど主人公の過去を柱に全てが繋がり、最終話で予想以上のスペクタクルとなり驚いた。巣窟に挑む時の凛々しさにはしびれた。

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2025年09月01日

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ネタバレ

稲生物怪録の世界を宮部みゆきは生み出そうとしているのか?心を閉ざした「おちか」が江戸に住む叔父・三島屋の下に身を寄せるなか、心療療法なのか金を出し怪談話を集めて姪に聞かせていく日々、凶宅の謎の男が怪異に関わる、おそらく男がこの物語のラスボスで今回の凶宅は企みの手駒であり、他の人同様「おちか」は餌の一つだったが、おちかに芽生えた共感力が怪異の中から寄り添い力を貸す物の怪にめぐり合わせて、謎の男に対峙する存在になったのだろう

1巻時点では、謎の男が後の巻で似たような怪異の存在を手駒にまた出てくる気がする
おちかが「餌」として狙われたのは、彼女の心の傷が関係してる可能性が高い。凶宅の怪異は、弱ってる人や強い感情を持ってる人に引き寄せられる、おちかは男にとって「いいターゲット」だった
おちかが「対峙する存在」になったのは、彼女の内面の強さと、三島屋という「怪異と向き合う場」があったから、人とめぐり合いおちかが成長していったためシリーズ化が決定(冗談)

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2025年04月24日

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再読でござる。新刊が出たもので…。いやー、面白い。常に人の薄暗い想いだけを飲み込んで、だからこそ美しい人喰いの屋敷。生者と亡者が交錯するその場所に、呑み込まれた人々がいる。想いと屋敷を道連れにして去り行く人たちの姿が私にとっては物悲しいものに見えた。

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2025年03月01日

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読んでからずいぶんたつ。宮部みゆき初体験であり、時代物とホラーにはまるきっかけとなった。

自身の辛い体験から心を閉ざし、江戸で袋物屋を営む叔父のもとに身を寄せたおちか。叔父の代わりに相手をした客から、不思議な体験談を聞く。
その後、訪れた客の不可思議な話を聞くことになり、おちか自身が抱える心の闇とも向き合っていく‥。

一筋縄では行かない、人の心、行い、すれ違う想い。基本的に怖いのだけど、深く、心に刺さる話ばかりだった。おちかも気の毒な身の上だけど、結果的に間違ってしまったことの描写にも容赦はない。そして、赦しにつながる出来事もあり、人っていいなあ、という気持ちにさせてくれる。

「凶宅」という話。このシリーズもたくさん刊行されて全て読んできたけど、今でもこの話がいちばん怖ろしかったと思っている。NHKでドラマ化されて波瑠が主演だったけど、この話はやっぱり怖かったなあ。

ちなみにこれを読もうと思ったきっかけは、新聞広告。もう忘れてしまったけど、とてもいい宣伝文句だった。大袈裟な煽り文句が苦手なので、(号泣!とか感動の嵐!とか)そうではない、静かだけど、心に訴えかけてくる感じだった。物語もその通りで、この本に出会えてほんとうに良かったと思っている。

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2024年02月23日

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最初は振り売りだった袋物屋の伊兵衛・お民の夫婦が神田三島町に店を構えて十一年。
伊兵衛の長兄の兄、ちか十七歳が心に傷を抱えてやってきた。

1話  曼珠沙華
曼珠沙華が怖くてたまらない老商人が語った、すれ違った兄弟の話

2話 凶宅
美しい女、たかが話す、この世のものではない豪華な屋敷(安藤坂の屋敷)に呼ばれた一家の話
※おちかのために黒白の間で変わり百物語を始めようと伊兵衛が思い立つ。

3話 邪恋
おちかちゃんがおしまさんへ話す、自分の目の前で起きてしまった悲しい話

4話 魔境
おしまさんの昔の奉公先のお嬢さん、今は若お内儀さんが話す、姉弟の禁断の恋とそれが引き起こした一家滅亡の話
※おちかちゃんの兄、喜一が会いに来るという知らせが三島屋に入る
・・・おしまさんというあったかくておせっかい焼きの人が三島屋の女中さんで居てくれてほんとにほんとに良かったね、って思ったエピソード


5. 家鳴り
おちかちゃんが安藤坂の武家屋敷に呼ばれるお話
※おちかが三島屋にきて三ヶ月が経った晩秋、喜一が訪ねてくる。

_______
2018.03 きっかけ:母に借りる。
ずっと気になっていた三島屋シリーズ。

シリーズものだとは知っていたけど、どの順番で読むのかが分からず。
そうこうしてたら、二巻目から読んでハマった母から借りれることになった。

短編集のようで、すべての物語が続いていて展開が気になってしまい、読み始めたら止まらなくて2日で読んでしまった。

この物語の感想をどう言葉にしていいのか分からない。

人は悲しく、他人と関わって生きるのは難しく辛い。でも、反面 人は優しくて、他人と関わることで救われることだってある。
辛くて悲しくて絶望的なことがあっても、立ち止まってはいけない。自分に出来ることをしていけば、人は誰かを助けることができて、誰かに助けてもられて進んでいける。
そんなことを思いました。

悲しい別れをしたおちかちゃんに今後素敵な未来があるといいな。

2025.06 再読
今私の中で一番好きな宮部作品。
宮部さんが一生をかけて書き続けたい‥とどこかでおっしゃっていましたが、私も一生かけて読み続けたい作品。
何度読み返しても夢中になる。涙流してデトックスするにはホントにぴったりの作品。悲しい涙、優しい涙、切ない涙、悔しい・やるせない涙色々出る(笑)最新刊を読んでる身で読み返すと物語の中の時の流れがとても感慨深い。どの話も秀逸でその中で三島屋の面々が日々を生きている様子が描かれるのがとても好き。
再読でふと思い立ち、各巻のお話と三島屋さんの年表的なものをまとめたいと思ったので、先頭にきさいしていく。

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2025年06月18日

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おちかが三島屋に身を寄せるようになったいきさつ、百物語を聴き始めるようになった経緯が記されています。
一冊読むのに時間がかかりました(内容が濃いしぎっしり詰まっているので)。でもそれぞれの話は短編集のようで読みやすいです。
霊や呪いがかかわる話が多いので、ドキドキしながら読めます。

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2025年10月18日

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宮部みゆきの江戸時代もので女の子が変わった話を次々と聞いていく、そんなストーリーで面白くないわけがない。またシリーズを始めないといけないものが増えた。

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2025年09月20日

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時は江戸時代。
半年前に起きた事件をきっかけに自分の中に塞ぎこむようになった17歳のおちか。
腫物を触るように気を遣われるのも、周囲に気兼ねして生きるのにも疲れたおちかは三島屋という商店で商いをする叔父夫婦に働かせてくれと頼みこむ。

初めは女中見習いとして働いていたおちかだが、叔父の計らいで新たな仕事を申し付けられる。
それが様々な人々の奇怪な話を聞いて、現代版の百物語を創り上げる事。

こうして三島屋にて不思議な語り場が出来上がった。
という感じに奇妙な話のアンソロジー。

どれも怖すぎなくていい。
2話目の蔵の話はオチも含めて結構、怖かった。

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2025年08月21日

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さすが宮部みゆきさん。文章がうまくて、内容がスイスイ頭に入って来て読みやすい。私にとっても新しいジャンルで楽しく読めた。

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2025年08月07日

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時代小説でハマったの、この作品が初めてだ。
二作目を読んでみたいと思ったのも。
怖くて優しくて泣ける怪談か…面白いな。
百物語形式のため当然ながら怪異は登場するけど、面白いのはそこではない。
語り手の心の暗部を抉り出して浄化するようなストーリーが魅力なんです。

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2025年05月20日

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ネタバレ

①曼珠沙華 藤吉、兄:吉蔵のお話し。
②凶宅 父:辰二郎、娘:おたかさん達家族、鍵の師匠:清六、その孫:清太郎のお話。
③邪恋 おちか、松太郎、良助のお話。
④魔境 お福、お彩、市太郎、鉄五郎、おかね、お吉のお話。
⑤家鳴り 蔵のお話。

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2025年05月04日

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ネタバレ

江戸の袋物屋三島屋、そこの主の伊兵衛と妻のお民の元には姪のおちかという娘が預けられていた。おちかには家を出て叔父夫婦に世話になる深い理由があった。
「曼珠沙華」:この百物語の始まり、藤兵衛とその兄である吉蔵の話。尊敬する大好きだった兄が人を殺し、身内の犯した過ちに自身が苦しめられる。どうしても兄を恨んでしまうのは仕方ない感情だ。弟に苦労をかけた罪悪感を持つのも当たり前の感情だ。どちらの罪の意識にも共感できるだけに辛い話。
「凶宅」:おたかとその家族が巻き込まれたお化け屋敷の話。おたかの話は過去の出来事だが、読んでいる方としてはダメぜったい!と何度止めたことか。お父さんがお金に目が眩んだせいで、身内も周りも巻き込むバッドエンドだ。お金の誘惑に勝つのは難しそうだ。
「邪恋」:主人公であるおちかの過去の話。おちかをはじめ、兄の喜一、両親誰も悪気がないのが質が悪い。誰も悪気はない、だがそれが松太郎を苦しめ、悩ませ、悪い方へ悪い方へ転がっていった。思わせぶりは相手を傷つける行為だ。
「魔鏡」:三島屋の女中頭のおしまの知り合い、お福とその姉と兄の話。惹かれ合ってしまうその気持ちを心を止めることは困難だろう。理性ではダメだと分かっていても感情は相手を求めてしまう。恋心を止めるのはとても難しい。
「家鳴り」:これまでの話がつながる話。まさにここに繋がるのかと、一部の元凶はここなのかと納得してしまった。この1冊を通じておちかの成長が感じられた。
おそろしという題名でいろいろな怪談話を読めるのか思った。確かに、この物語は幽霊も出てくれば、怪しい場所、呪いの道具、など怖いものが登場する。だが、個人的に1番おそろしいと感じたのは人の心だ。人の心も自分の心もつねに何かを感じ、動いている。それは時に優しく、時に醜く、1人1人の物語を作っている。私はどんな物語をこれから作っていけるだろうか。

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2025年02月16日

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 ある事件をきっかけに心を閉ざしたおちかの心を、訪れる人々の不思議話が溶かし始める。(オーディブル)

 久しぶりの宮部作品でしたが、読み始めたら一気に百物語の世界に浸かっていました。

 おちかだけではなく、不思議話を持ち込んでくる人々は、いずれも心に傷を負っており、話すことでその傷が癒えていくようでした。

 そして、それは聞いているおちかの心の傷も癒し、同時に読んでいる自分の心にも同じような救いが届いてくるように感じました。

 最後のエピソードによって、これまでの不思議話がつながっていく展開も読みごたえがあり、心に残る結末となりました。

 現代のように科学の発達していない時代だからこそ、人の心の闇が不思議な現象となって表出するのでしょう。

 この作品は、百物語の事始めなので、これから長い付き合いになりそうで、とても楽しみです。

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2024年12月31日

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宮部みゆきの時代小説を初めて読んだんだけど、この人はめちゃくちゃすごい作家さんなのでは?
いやもうそれは誰もが知ってる当たり前のことなんだろうけども。
去年初めて宮部みゆきの本を読んで思ったよりも面白くて、もっと読みたいと思いながらも何を読むべきか迷っていた。
「さて、百物語の始まりです。」という帯の文句に惹かれてこの本を選ぶ。
百物語ってことは昔から伝わる怖い話を宮部みゆきが語るのかなと思ったけど全く違う。
ホラーだとか、おどろおどろしい話が出てくるかと少し怖かったんだけど、そういう怖さとは違う怖さ。
ああ、語彙力!
人を殺めるだのはあるけれども、不可思議で哀しくて切ない。
解説で「怪談による心療内科」と書いてあったけど、ふむふむなるほど。しかしなかなかの荒治療。
主人公おちかの叔父さんは他人の怪談をおちかに聞かせて、おちかの辛く悲しい過去の出来事への苦しみをなんとかしようとしている。
こりゃ吉と出るか凶とでるか、じゃないか?
シリーズになっているのが嬉しい。
続きも読んでいくぞ。

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2024年12月15日

Posted by ブクログ

このシリーズも前後して読んでいる。それでも、問題なく楽しく読めた。
うーん、そういうことかと気づかされる話も盛りだくさん。
良かった。

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2024年09月24日

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納涼第三段は『このホラーが凄い!』でも紹介されている時代物ホラーです。
宮部みゆきさんはミステリー作家さんのイメージしか無かったのですが、実は時代物がお得意だと土瓶さんに教えて頂き、こちらをお勧め頂きました。

納涼レベルは0ですが、良質な和ホラー雰囲気5の切なさが4…。
そうです、怖いより切なさ溢れるホラーでございます。
和ホラーって悲しいイメージも強いんですが、これはまさに物悲しい…。

主人公のおちかは、生家の旅籠屋で非常に悲しい事件に遭遇してしまい、それが自身のせいであるとずっと苦しんでいました。
そこで叔父の家、三島屋へと預けられる事に。江戸で袋物屋を営んでいる主人と女将はおちかを本当の娘のように迎え入れ、いずれはお嫁に出そうと思っているものの、本人は結婚するつもりはなく女中のように働きたいと志願します。
人前に出るのも苦手になってしまったおちか。あんな過去があったらそりゃあそうなるよね…。
働いている時は自身の辛い悩みも忘れられると無我夢中に働いています。
そんな折、不思議な幽霊話をたまたま客人がおちかに話す事になりそれがきっかけで叔父は百物語を集める事に。
蝋燭も無ければ百話連続で話すわけでもなく、一人ずつやって来ては怪談話をして行く。この一風変わった百物語の聞き手役に抜擢されたのがおちかです。

おちかちゃん、何とも聞き上手!!
どのお話も悲しい事情を伴っているのですが、一人一人の悲しみに寄り添うようにして、そんな馬鹿な、と一蹴せずに丁寧に聞き取って行きます。
カウンセラーみたいにも思えて来ますが、この一見バラバラな話が最後に驚きの繋がりを見せる事に。
おちかはなるべくして聞き手役になったのですね。

おちかは三島屋の縁側で話を聞くのですが、庭を挑めます。庭には彼岸花が。黄泉の花と知られているので本作でも世間では忌み嫌われていますが、叔父は敢えてそのままにしています。この彼岸花が良い具合に物語を彩ってくれており、百物語の前座としても非常に重要な役割を果たしています。

余談なのですが(珍しく早めに来た)中学生の頃、祖母の家に遊びに行く道中に彼岸花が大量に咲いている道を通った事があります。
運転していた父に「真っ赤で綺麗だね」と感想を述べた際に「なんであんなに赤いか知ってるか?人の血を吸ってるんだぞ。彼岸花の下には生贄の死体が…怖いぞ~」と安っぽい怪談話をしてくれたものでした。
父の怖いぞ~は、洒落にならなかったり(医者である父の友人が勤め先の病院で体験した話などは頼むからやめて!!と懇願した程)この人何歳だっけ?大丈夫?と思うレベルのものまで多岐に渡っていたのですが、こうした怪談話を聞く、話す、という事が日本の文化のようにもなって来ていますね。

話を戻しましょう。

時代物という事で、島流しや身売りなどが出てきます。非常に詳しく書かれてあるのでこの時代に明るくない私でも情景がありありと浮かんで来ました。宮部さんはこちらが真骨頂なのでしょうか?こんなに素人(というのも変な表現ですが)にも分かりやすく、かつ面白く書ける宮部さん、流石の筆力!

百物語、記念すべき1話目は不思議な屋敷の話。土蔵に付いている鍵が触り物で、人に噛み付くらしい。
ホーンテッドマンション?!と、つい愉快めに想像してしまいますが、とんでもない。
ここには座敷牢の存在があったのです。

1話目の最後に意外な展開が待っており、また、冒頭でも書きましたがこれが2話目以降に関係してくる非常に重要な始まりでもあります。
ですが読んでいる時は一切そんな事は気付きません。次の話は鏡の話です。
鏡の話がこれまた…辛い…
人が愛し合うとはこんなにも大変な事なのか…。

話を聞く事で少し自身も浄化されていくおちかが、最後にはより強くなっている姿が良かったです。
おちかが皆を救い、そして彼女も救われる。本作に登場するのはどれもベーシックな和ホラーなのに、最終的にはちょっと新しい時代物ホラーに変身。まだまだ色々なホラーの見せ方があるなあと感心してしまいました。

ホラーが苦手とか、あまり怖いのはちょっと、という方にもお勧め出来る作品です。
土瓶さん、宮部さんの時代物、堪能出来ました!ありがとうございます。
調べてみると、宮部さんファンの方は最近はまた時代物が多いけど現代ミステリーに帰って欲しいという声も多いみたいですね。

これもシリーズ物のようですが、単品としても十分楽しめました。現在シリーズ物が渋滞しておりますので一旦、百物語はこれにて終了いたします。

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2024年09月01日

Posted by ブクログ

あさのあつこのおいちを同時期に読んでいた。どちらも怪異系の時代もので、主人公も同じ年頃で似ているがそれぞれに作家の個性が出ている。
一番好きな話は魔境。ありがちだが最後によくつながっている。伏線回収はお見事。

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2024年06月09日

Posted by ブクログ

おもしろかった〜!!
昔話を聞いているような…というような、彼らのことを覗き見ているような、江戸の芝居小屋で観ているような、内容は不気味なのに楽しい時間でした。
やむを得ない理由で罪を犯した人のために心を痛める主人公。では被害者はどうなる?加害者に同情の余地があると皆が心を痛めたら被害者は…?そこまで踏み込んだ話だった。

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2024年06月08日

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ネタバレ

ぞわぞわするような話が続いていったあとのラストはまさに救いの話だった。
それにしても凶宅の恐ろしさよ。
でも、家守り?商人?の口ぶりからまだ縁がありそう。
これがまだ6巻も続くんです!?

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2024年06月02日

Posted by ブクログ

ネタバレ

【2024年54冊目】
変調百物語――通常の百物語は人々が一堂に会して行うが、三島屋で行われているそれは、語り部がやってきて、話が済めば帰ってしまう、まさに変調の百物語だ。とある事情で三島屋に身を寄せている「おちか」は、叔父の伊兵衛の依頼でその百物語の聞き手となるのだが…。

外れなしの宮部みゆきさんの三島屋変調百物語シリーズ第一作目です。やはり外れなし!五つの連作短編集をドキドキしながら読みました。

章が進む度に主軸となる主人公のおちかの過去のあれそれも明らかになっていき、最終章の五章では過去話となっていたこれまでのお話が一つになりました。見事!

おちかの成長ぶりも良いですし、最終章で姿を見せたラスボスも良いですね。いつか彼の話を聞くことにもなりそうな気がします。

なんとシリーズは9作目まで出ているようで二作目以降を読むのが楽しみです。

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2024年03月14日

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長いシリーズになっているから、今から読み始めるのに抵抗があったが、なんのことはない。
この巻でちゃんと広げた風呂敷がとりあえず畳まれている(大団円がちゃんとある)。そして次巻以降を読む価値もある、と思わせる面白さもある。なので、とりあえず一巻だけ…で全然よいのでした。
どの話にも、語り手が「わざわざ三島屋に語りに来る」事情があって、それが怪談に語り手の後悔や恐怖心を乗っける仕掛けになっているから、ただの怪異短編集とは違う、新感覚の「ものがたり」として読める。

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2024年02月25日

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辛い経験をきっかけに心を閉ざしてしまった17才のおちかは、袋物屋「三島屋」の主人である叔父の元に身を寄せる。

叔父はおちかに三島屋を訪れる客から「変わり百物語」を聞くよう言い付ける。

三島屋を訪れる客達から辛く不思議な話を聞くうちに、おちかの心境にも変化が、、、。

 三島屋シリーズ第一弾。
一話『曼珠沙華』
第二話『凶宅』
第三話『邪恋』
第四話『魔鏡』
第五話『家鳴り』

 江戸時代を舞台にしたお話しなので、慣れるのに時間がかかりましたが、内容自体はとても面白かったです。あと、昭和の死語だと思ってた言葉が江戸時代からの言葉だったと知りビックリしました。《おきゃん》《おちゃっぴぃ》《こんこんちき》、、、知らない事がいっぱいあるなぁ。

☆おきゃん
活発な女性をさす言葉。
昔は男性にも使ってたらしいです。
感じで書くと「御侠」。任侠の侠。すごい意外な感じ。

☆おちゃっぴぃ
意味 
→お喋りで活発な女の子やその様。
 
語源
→遊郭で暇な遊女にお茶挽きをさせていた
 お茶曳き→おちゃっぴぃ
→暇な遊女はおしゃべりばかりしていて、
 しとやかさに欠ける事から上記の意味で使われるように。

☆こんこんちき
→狐のことらしいです。
 めっちゃバカにする言葉らしい。

こんこん憑きって事かと思ったら、そんな事はないらしい。

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2024年02月23日

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江戸の袋物屋で働く娘が、店に訪れる客から不思議な話を1話ずつ聞いていく、という形で進むホラー歴史小説。
ホラーといいつつ、ただ怖いという話ではなく、人の心の機微が丁寧に描かれていて、気づくとあらゆる人物に感情移入しながら読んでしまいました。

怪異譚としての肌触りは、創作怪談や都市伝説ホラーとはまた違った感覚。実話怪談を聞いた時のような、不気味さと「説明のつかなさ」がじわりと滲んでいるように思います。

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2024年02月17日

Posted by ブクログ

心の闇、あやかし、どちらもおそろしい。
枠物語は枠でなく存在感あるメインストーリー。
ふくよかでこまやかな文章に、ええもん読んでる気分になれます。

事情あり他者と接したぁあらへんおちかに叔父の染物屋三島屋伊兵衛は、松田屋藤兵衛と曼珠沙華のできごとののち、変わり百物語を集めたいと言い出し訪ねてくる人々から怪談話を聞き出すよう命じる(おちかのリハビリ目的でしょう)。
心閉ざすおちかが他者の怖い話を聞くうち、なんやしらんけどいつの間にかタフになってもうてて怪談の方を救う。
メフィスト的なキャラが登場、おちかのライバルとなる?

曼珠沙華:曼珠沙華の影になにが見える?
凶宅:安藤坂の屋敷。おたかが語る。
邪恋:おちかの事情、あまり引っ張らず早くも明かされる。
魔鏡:お福と、超絶美女の姉お彩と、美形の兄市太郎。
家鳴り:兄の喜一が来る。安藤坂の屋敷ふたたび。対峙することになる。これまでに話を聞いたことにも意味があり「おちか講」結成。今度はおちかが怪談を救う番だ。

■メモ

おちか。三島屋伊兵衛(叔父、染物屋)。お民(伊兵衛の妻)。おしま(女中頭)。八十助(使用人)。喜一(兄)。松太郎(微妙な位置づけ)。良介(婚約者だった)。松田屋藤兵衛。おたか。安藤坂の屋敷。清太郎(草履問屋越後屋の跡取り)。お福。お彩(石倉屋の娘)。市太郎(石倉屋の息子)。石倉屋鉄五郎。おかね(鉄五郎の妻)。宗助(石倉屋の奉公人)。清六(錠前職人)。お吉(市太郎の妻)。春吉(おたかの弟)。家守。

世の中には、恐ろしいことも割り切れないことも、たんとある。答えの出ないこともあれば、出口の見つからないこともある。(p.193)

病というより、呪いみたいなものでございます(p.292)

ひとつひとつの話は、忘れられてゆく。(p.460)

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2024年01月27日

購入済み

さすが宮部みゆきさんの作品。

久々の宮部みゆきだったのですが、予測のつかない展開、謎めいて魅力的なキャラクター、正確な時代考証ながらわかりやすい語り口、とても面白い作品でした。読み終わって知ったのですが、5巻まである続きものだったんですね!もちろん一冊目だけで十二分に楽しめますが、5巻まで読んだらどんな展開が待ち受けているかも気になるところです。

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2023年10月14日

Posted by ブクログ

同作者の「あやし」を読んだときにも思ったが、やはりホラーと時代小説は相性がいい。
幽霊や鬼、妖怪など現代よりも江戸時代の方が違和感なく受け入れられるし、なんとなく洋室よりも和室のほうが怖い感じもする。

鼻緒が切れると縁起が悪いといった、昔ながらの俗信が実際の出来事として起きるのも面白い。

基本オムニバス形式で、各章それぞれ面白いのだが、最終章だけ、現実味を欠いた展開になり、個人的には好みに合わなかった。

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2025年09月20日

Posted by ブクログ

宮部みゆきさんの「よりすぐり短篇集」に入っていた「邪恋」が面白かったことから、どうにもほかの話が気になりまして本作を手に取りました。今回はプロの朗読者による朗読音源を聴くという形で楽しんだところ、まるで自分が“おちか”さんと一緒に黒白の間に並んで座って、来客の百物語を聞かされているような気分で、恐ろしさが倍増するのでした。対話が多い本作のような作品にはオススメの楽しみ方かもしれませんね。

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2025年06月03日

Posted by ブクログ

物語の中に物語が多く現れ、見えない敵と対峙する緊張感のある展開。人間の真意とは?を問いかけ続ける展開と、その本質を突くからこそ結論が出ていない点が、奥深い。

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2024年11月17日

Posted by ブクログ

宮部みゆきお得意の時代物。
不思議でちょっと怖いお話を、三島屋の姪である主人公のおちかが聞き集めるというお話。
おちかも心に傷を負っていて、他人の経験した不思議な話を聞きながら少しずつ心を開いていく様子は微笑ましい。
だけど毎日少しずつ読み進めたせいかもしれないが、世界に入り込めず感情移入できなかった。
なんとなく消化不良な感じなので評価は3。

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2024年08月31日

H

購入済み

ちょっと

面白いことは、面白いのですが、私には、おちかの感覚・考え方が、すんなりと入らず、読み進める際に、立ち止まるようになりました。その為か、これまでの宮部みゆきさんの作品と比較して、☆3つとしました。

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2023年10月16日

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