あらすじ
文字は怖いものだよ。遊びに使っちゃいけない――。江戸は神田にある袋物屋〈三島屋〉は、一風変わった百物語を続けている。これまで聞き手を務めてきた主人の姪“おちか”の嫁入りによって、役目は甘い物好きの次男・富次郎に引き継がれた。三島屋に持ち込まれた謎めいた半天をきっかけに語られたのは、人々を吸い寄せる怪しい屋敷の話だった。読む者の心をとらえて放さない、宮部みゆき流江戸怪談、新章スタート。
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泣きぼくろ
富次郎の幼馴染の八太郎が黒白の間にて語る、豆腐屋豆源の一家離散の話。義理姉と長姉が泣きぼくろに取り憑かれ淫らな行いをする。
姑の墓
お花の故郷は養蚕が盛んで、生家は棚主で大きく養蚕をしていた。その村では、桜が山一面に咲くと山の上の墓場で村をあげての花見が催される。しかし花の家は、男だけが参加し女は家で留守番と言うしきたりがあった。兄のところに城下町の絹糸問屋のお嬢さんのお恵が嫁いで来た。
お恵は花見に出れない事を不服に思い、しきたりなんて変えようと意見する。お恵の剣幕に負けそうなおり、祖父がしきたりの所以を語りだした。
祖父の曾祖母が、嫁いびりの末花見の際嫁を墓地の階段から突き落とし殺め、さらに曾祖母は亡くなり墓に入ってからと言うもの花の季節に山に登る女子は山から転げ落ちて命を落とす事が続いた。
亡くなった後まで嫁いびりを続ける恐ろしい姑。お恵は抗い、それならばと桜の季節墓の掃除に家の女たちで行くことにした。
ところがやはり曾祖母の祟りにて不幸に見まわれてしまい家族はバラバラになってしまう。
黒武御神火御殿
長い話
三島屋に質屋が質流れ品の着物と陣羽織を持ってくる。
その陣羽織の内側に謎の文字を書いた布が縫い付けてある。勘一に頼んで調べてもらうと、ご禁制の耶蘇教に、関する言葉とわかった。コレは引き取れないと質屋に連絡をすると、後で撮りに行くと。
数日後、黒白こ間に語りに来たのは、甚之助というおじいさん。その若い頃の経験と、陣羽織の謎を語り出す。
親の脛齧りで博打うちの甚之助は道に迷い神隠しにあい靄のかかった森からある屋敷に迷い込む。
そこで出会った質屋のお秋、薬屋の正吉、豪農の隠居の婆、大名家の家臣の堀口でなんとかここから抜け出そうと思案する。
屋敷の奥にすすむと、襖一面に描かれた火山の絵。
絵の中の火山は熱を発して溶岩を流れ出している。
屋敷の主人と思しき甲冑を着た亡霊が
5人のうち助かるのはひとりと。
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三島屋変調百物語の6巻
タイトルの黒武御神火御殿てなんぞや?と思ってたら
ラストに1番びっくり。
久々これでもか!ってくらいのゾクゾクする内容だったので
暑く寝苦しい時に寒さを感じるかも。
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このシリーズが好きで、一通り読んで手放したけど、文庫版をまた買い直している最中。
江戸時代の庶民のリアルがそこかしこにある。長屋に住んでいる人たちはほぼその日暮らし。お店に勤めれば主従関係がある。従者は一生上の立場になることはないし、従者を人間扱いしない主人も多く存在していたし、それが合法だった。
怪異というメインテーマを語るのに、当時の暮らしの様子が垣間見えて、段々とこの時代の庶民の話というジャンル自体が好きになった。
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やっぱり面白い。
人の気持ちをここまで描けるのかと。『姑の墓』は恐ろしかったなぁ。あそこまで嫁をいびれるもんなん。
『同行二人』は切ないけれど、ほっこりしました。
『黒武御神火御殿』は摩訶不思議な話ではあるけれど、人の怨念や恨みを描いていた。キリスト教、江戸時代ではヤソ教と呼ばれて御法度。そのヤソ教がベースになっていてめちゃ恐ろしい。キリスト教が嫌いなんかなと思ってしまった。笑
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主人の姪“おちか”から次男“富次郎”に聞き手が引き継がれたシリーズ6冊目。
表題作を含め4篇収録。
「泣きぼくろ」「姑の墓」はしっかり怪談。「同行二人」で少しだけほっこりして「黒武御神火御殿」で畳み掛ける怪談集。→
「姑の墓」が怖かった。このシリーズはどうしようもない怖いことが普通に描かれるんだけど(時代的にそういうものなんだろうな)この話、マジでどうしようもない悪が描かれていてめちゃくちゃ怖い。防ぎようがないんよ。
「黒武御神火御殿」は、短編というよりしっかりとした中編。→
おちかちゃんが一巻で巻き込まれた事件とはまた違うんだけど、これも不思議。この展開を読ませる宮部みゆき氏の筆力はすごい。ボリュームが半端ない。聞き手が変わったぞ、と読者が再確認できるようなお話。
ほんと、宮部さんの文章は読みやすくて好きだなぁ。
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良き。
聞き手が変わったのでどうかな?と思って読んだが、そんな気持ちが吹っ飛ぶ内容の濃さだった。
今回は、大作の黒武御神火御殿他三作もけっこう恐怖系で、ほっこりした話はなかったのは残念。
泣きぼくろもお姑の墓もなかなかに容赦ない展開だったけど、御殿はさらに逃げ場がなく、いつ誰が裏切るかとハラハラしながら読んだ。最後は何となくすっきりしない後読感だったが、変調物語だからこその後読感だと思えばそれもしっくりくる。
お勝さん、もっと活躍してほしいなぁ。
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どの話もゾワゾワと恐ろしいのに黒武御神火殿の恐ろしさが際立ちすぎて、前の2話が霞んでしまう。
最初の亥之助の死に方が優しいと思うくらいにどんどん追い詰められ、死に方が残酷になっていく。
おしげの終わり方なんてイナゴに食われて死ぬんだよ?
怖すぎる。
堀口様みたいに振る舞えるの凄すぎる。
精神力がとんでもない。
甚三郎もお秋も凄いよ…。
生き残れたの凄いよ。
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最後のお話(表題のお話)がとっても怖かった~~
聞き手がおちかから冨次郎に代わり、本の中の雰囲気も変わったように感じます。おちかが出てくる場面もあり、その場面はほっこり安心しました。
まだまだ続きが読めていないので楽しみです。
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ぐぐっと引き込まれた黒武御神火御殿。
他よりも長く深い一話で、これだけで1冊書けるのでは、と思った。秋も甚三郎ももっと語ってほしかったし、九州の某藩の内情も詳しく知りたくなった。七之続が楽しみになった。
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重厚感のある一冊。
聞き手が移り変わり新しい舞台になってからのお話。
これまで通りに一話完結。
なのだが、今回はは表題作「黒武御神火御殿」がとても壮大で先が読めず、読み手を夢中にさせるすごいお話でした。このお話だけで一冊になっていても十分満足できそうです。
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安定の面白さ。
最後のエピソードが少し長かったが、途中ほんとにゾッとして怖い夢を見てしまった。
聞き手が、おちかから変わってどうなっていくのか、続編も楽しみ。
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シリーズの6作目、三島屋の変わり百物語の聞き手は、今まで務めていたおちかが嫁入りして家を出たので、叔父に当たる富次郎が聞き手に変わりました。この巻でも不思議、奇妙なお話が4篇収められています。
人の抱く情念が家族や縁者を跨ぎ、年代を超えて渦巻き、形を変えて姿を現す。恨み、妬み、嫉み、悲哀など負の感情が増大し、歯止めが効かなくなった時、現れるもの。
この巻の表題にもなっている「黒武御神火御殿」はそんな人の情念が遂に恐ろしい姿になるお話です。これを読むと、まるで映画の大スペクタクル場面を見ているような錯覚に陥ります。迷宮に囚われてしまった主人公のような気持ちで読みました。このお話が誰にも明かせない理由も江戸時代ならではのことでした。
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4編収録だが表題の「黒武御神火御殿」は長編と言っても良いボリューム。
三島屋の聞き手が交代しての最初の巻。
富次郎にとってはなかなかにつらいお話ばかりだったように思う。
様々の怪異が今回も出てくるけれど、イメージしやすくすんなり受け入れることができるのはやはり宮部さんのなせるわざ。
大変面白かったです。
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呪いにしろあやかしの類にしろ、そのせいで一家のものが次々と取り殺され、破滅し、離散する話は重苦しい。前巻にもそんな一つ話があったが、今回も「泣きぼくろ」、「姑の墓」とそんな話が続いて気が滅入る。表題作長編も圧巻の恐怖と迫力で、唯一「同行二人」ののっぺらぼう幽霊が愛嬌があるように感じられるくらい。怪談が重苦しいのは当たり前と言えば当たり前なのだが。民俗学者小松和彦の解説も良い。
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☆4.8
宮部みゆき氏のもしかしたら、最高傑作と云えるシリーズになるのかもしれない。
「火車」が宮部氏の作品を知るきっかけでした。
この作品には度肝を抜かれ、直後財前さんの2時間ドラマで、観てまた震えた。
本作は、実に緻密に作り込まれたものかたりで、油断をしていると、これが伏線だったのと思うことが多い。
隠れキリシタンの大名のものかたりなのだが、ここに述べられている宗教観は日本人の私にはなかなか理解に苦しむ。深い考え方の数々に、改めて、読み返すことがあるだろうと思う。
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富次郎編第一巻。
おちかは絶望を経験したからこそのぐっと話を落とし込むような聞き手だったけど、富次郎さんはそういう経験がない分、おっかなびっくりビクビクしながら聞いているのも人間性が見えて面白い。
『黒武御神火御殿』は大作。クローズドサークルのような閉ざされた空間でのやりとりがとても緊張感があるし、正体の分からない屋敷の主があやかしな分、一層ゾクゾクしてワクワクした。
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おちかじゃなくなったから興味が無くなり、続きを読むのを止めていた。だけど今回何となく何年ぶりかに読んでみることにしたら、あっという間に物語に引き込まれた。前の方が恐ろしい話があって怖い思いをした記憶があったけど今回は人情の話に寄った感じで読みやすかった。おちかももっと出て来てくれたら嬉しいな。
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三島屋怪談語りの百物語、第6作。聞き手が三島屋次男坊の富次郎に変わり、話し手もやや通俗・老獪な人々に?
4編収録。中でも表題作は300ページ超とスケールも大きく、謎も妖もたっぷりのハラハラドキドキ読み応え十分な大作でした。
また、「同行二人」は悲しく寂しい背景があるにも関わらず、飄々とした力強さが感じられる良作でした。
短編も中編も、高いレベルを維持し続ける宮部先生はやはりすごい。
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三島屋変調百物語シリーズ六冊目。
「姑の墓」が・・・ここまで障りがあるのかと恐ろしかった。
「同行二人」は切なかった。
「黒武御神火御殿」が320ページ。これだけで1冊でも良いくらい。気持ち悪くて不可思議で面白かった。
第二十八話「泣きぼくろ」
→再会した友が語り始める一家離散の恐ろしい運命。
第二十九話「姑の墓」
→とある家の女たちだけが〈絶景の丘〉に登ってはならない理由。
第三十話「同行二人」
→妻子を失った走り飛脚が道中めぐりあう怪異。
第三十一話「黒武御神火御殿」
→異形の屋敷に迷い込んだ者たちを待つ運命。
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なるほど
黒武御神火御殿、、、
上手くいかないからと
信じた神様に信仰の見返りを求めて逆恨みした怨念に巻き込まれた6人は無事に逃れることが出来るのか?
宮部みゆきさんのお江戸の話し、百物語シリーズは外れた試しがない。
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シリーズ6作目。聞き手が替わった第一段。
すごい面白かった!ですが、ホラーがそもそも苦手な私にとっては怖すぎた…
宮部みゆきさんのホラー(特に時代小説)は、怖いけど、哀しくて優しい。「優しい」が強めのものが多い気がしていたのですが、今回、特に最後のお話は怖過ぎて。
夜読みはじめて、怖すぎて止められなく…ん?やっぱり面白いのか!(笑)
自分としては「同行二人」が好きでした。
Posted by ブクログ
2023/12/5
今回はなかなか怖かったよ。
時間もめっちゃかかったよ。
なんか理不尽なんだもん。私すっきりしたいのに。
「同行二人」だけは救いのあるいい話だった。
次の強烈なのの前の中休みだ。
新人の聞き手の試練なのでしょうか、私まで試練のご相伴に。
あ、同じ苦労を共にしたような気がして小旦那さんに好意を感じる作戦?
まあ感じてますよ。好意。
お上手。
次作もまんまと楽しみです。
Posted by ブクログ
オーディブルにて。
おちかから富次郎に聞き手が変わり、お手並み拝見といったところ。
表題作はまるでゲームの中のよう。理不尽に囚われモンスターと戦って脱出を試みる。これまでのぞっとするような恐ろしさとは違い、大味で、あまり好みではなかった。
Posted by ブクログ
三島屋の変わりひゃく物語の聞き手が おちか から富次郎にかわって
おさななじみの豆腐屋の店じまいの顛末ー泣きぼくろ
素晴らしい桜景色が自慢の岡にこの家の女は登ってはならないー姑の墓
流行り病で女房と子供を亡くした飛脚の亀一の悲嘆の道行きに同行した者はー同行二人
神隠しにあった放蕩息子におこったことはー黒武御神火御殿
おちかちゃんの時と違って なんだか救いのないお話ばかりでしたが、これこそ怪異のお話なのかもしれないですね どのお話もへぇーと読みはしたけれど、ただただ災難だったなぁと思うしかなく。全部読みましたけど読後感はよくない。最後のやつなんかインシテミルみたいだったもの。
おちかちゃんが瓢箪古堂で幸せにやってるのが見れたのでそこがほっとできました。
このシリーズにしては珍しく読むのが遅かった。
Posted by ブクログ
百物語の6巻目。黒武はこれまでの百物語と書き振りを変えている。異界に引きづり込まれるもので、宮部小説では「ファンタジー」に分類されるものに色合いが似ている。伊豆大島三原山の火山、耶蘇教(禁教)。悔い改よ、が精神的テーマ。聞き手と話し手の語りの部分が少ない。テーマが重厚なためこの書き振りでないとテーマを描ききれなかったのでは。百物語のスタイルを貫いた方が良い。
Posted by ブクログ
聞き手が替わった第一弾。
三つの短編と本題でもある長編。
文庫本で六百頁越の厚さは、もはや容易に携行できない。
二分冊にして欲しいものだ。ここで★一つ減。
読後感は相変わらず、行き着くところ怖いものは人!
それと人の力では解決できない理不尽ともいえる何か
だから怖かったりホッとしたり納得したりしなかったり
新聞連載なのに話の切れ目がハッキリせず
「読み始めたらとことん最後まで一気に」
覚悟して読み進めるしかない。
「泣きぼくろ」
「姑の墓」
「同行二人」
「黒武御神火御殿」くろたけごじんかごてん
Posted by ブクログ
怖かったです。今回は恨み辛みが強い話が多くて気持ちも重く怖かったです。百物語とは言え食いしん坊のあやかしが取りついたお話しみたいなのが間に入るとまた違うのですが。