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Posted by ブクログ
怪談やあやかし話とは切っても切れないものがある。それは『理不尽』 だ。この三島屋シリーズでも同じで、人知を超えた哀しい理不尽が作品ごとにたくさん詰まっている。
「なんで私が」「なんで我が家が」と苦悶するけれど、理不尽に理由はないものだから何かに八つ当たりすることもできない。だから人は理不尽なことが起こると思い悩んで現在過去全ての記憶を手繰って反省点を探したり自分を責めたりし始める。
それでも結局理不尽な出来事から逃げることはできない。そして人の心には重い感情が残り、その記憶に苛まれ続ける日々を生きることになるのだ。
人は弱いものだからずっと重いものを背負って生きていくことはできない。だから誰かに理不尽な出来事を語り、聞捨ててほしいと思うのだろう。怪談、あやかし話を持った人間の駆け込み寺である三島屋。私も少し離れたところからいつも話を聞いている。
本作では『同行二人』が好きだ。理不尽と不運を同時に背負いながらも懸命に生きている人。自棄にならず厄介な存在と連れ立って悲しみが支配するこの世を駆けていく姿に泣けた。悲しみに沈んでも、支えあって共に立ち上がることができれば同類相哀れむことはそんなに悪いことではないのだと感じた。
Posted by ブクログ
泣きぼくろ
富次郎の幼馴染の八太郎が黒白の間にて語る、豆腐屋豆源の一家離散の話。義理姉と長姉が泣きぼくろに取り憑かれ淫らな行いをする。
姑の墓
お花の故郷は養蚕が盛んで、生家は棚主で大きく養蚕をしていた。その村では、桜が山一面に咲くと山の上の墓場で村をあげての花見が催される。しかし花の家は、男だけが参加し女は家で留守番と言うしきたりがあった。兄のところに城下町の絹糸問屋のお嬢さんのお恵が嫁いで来た。
お恵は花見に出れない事を不服に思い、しきたりなんて変えようと意見する。お恵の剣幕に負けそうなおり、祖父がしきたりの所以を語りだした。
祖父の曾祖母が、嫁いびりの末花見の際嫁を墓地の階段から突き落とし殺め、さらに曾祖母は亡くなり墓に入ってからと言うもの花の季節に山に登る女子は山から転げ落ちて命を落とす事が続いた。
亡くなった後まで嫁いびりを続ける恐ろしい姑。お恵は抗い、それならばと桜の季節墓の掃除に家の女たちで行くことにした。
ところがやはり曾祖母の祟りにて不幸に見まわれてしまい家族はバラバラになってしまう。
黒武御神火御殿
長い話
三島屋に質屋が質流れ品の着物と陣羽織を持ってくる。
その陣羽織の内側に謎の文字を書いた布が縫い付けてある。勘一に頼んで調べてもらうと、ご禁制の耶蘇教に、関する言葉とわかった。コレは引き取れないと質屋に連絡をすると、後で撮りに行くと。
数日後、黒白こ間に語りに来たのは、甚之助というおじいさん。その若い頃の経験と、陣羽織の謎を語り出す。
親の脛齧りで博打うちの甚之助は道に迷い神隠しにあい靄のかかった森からある屋敷に迷い込む。
そこで出会った質屋のお秋、薬屋の正吉、豪農の隠居の婆、大名家の家臣の堀口でなんとかここから抜け出そうと思案する。
屋敷の奥にすすむと、襖一面に描かれた火山の絵。
絵の中の火山は熱を発して溶岩を流れ出している。
屋敷の主人と思しき甲冑を着た亡霊が
5人のうち助かるのはひとりと。
Posted by ブクログ
主人の姪“おちか”から次男“富次郎”に聞き手が引き継がれたシリーズ6冊目。
表題作を含め4篇収録。
「泣きぼくろ」「姑の墓」はしっかり怪談。「同行二人」で少しだけほっこりして「黒武御神火御殿」で畳み掛ける怪談集。→
「姑の墓」が怖かった。このシリーズはどうしようもない怖いことが普通に描かれるんだけど(時代的にそういうものなんだろうな)この話、マジでどうしようもない悪が描かれていてめちゃくちゃ怖い。防ぎようがないんよ。
「黒武御神火御殿」は、短編というよりしっかりとした中編。→
おちかちゃんが一巻で巻き込まれた事件とはまた違うんだけど、これも不思議。この展開を読ませる宮部みゆき氏の筆力はすごい。ボリュームが半端ない。聞き手が変わったぞ、と読者が再確認できるようなお話。
ほんと、宮部さんの文章は読みやすくて好きだなぁ。
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