宮部みゆきのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ565ページ
1800円
11月5日〜11月12日
三島屋の黒白の間、おちかのもとには語りたい人が訪れる。聞き手には、おちかに加えて三島屋の次男、富次郎も加わる。富次郎は、聞き終えた話を1枚の絵に表す。開けずの間の行き逢い神、だんまり姫のもとにいた一国様、面を封じている家、金目の猫、それぞれの話が悲しかったり苦しかったり、人情に溢れていたりする。おちかの縁談も決まり、これからの聞き手は富次郎が務めることになる。
一つ一つの話に引き込まれる。最後の富次郎と兄、伊一郎と語った金目の猫の話は、心温まりながらも少し悲しい話だった。おちかが瓢箪古堂の勘一に嫁ぐことになったのがスッと決まって、恋しいと -
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読んでからずいぶんたつ。宮部みゆき初体験であり、時代物とホラーにはまるきっかけとなった。
自身の辛い体験から心を閉ざし、江戸で袋物屋を営む叔父のもとに身を寄せたおちか。叔父の代わりに相手をした客から、不思議な体験談を聞く。
その後、訪れた客の不可思議な話を聞くことになり、おちか自身が抱える心の闇とも向き合っていく‥。
一筋縄では行かない、人の心、行い、すれ違う想い。基本的に怖いのだけど、深く、心に刺さる話ばかりだった。おちかも気の毒な身の上だけど、結果的に間違ってしまったことの描写にも容赦はない。そして、赦しにつながる出来事もあり、人っていいなあ、という気持ちにさせてくれる。
「凶宅」と -
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シリーズ一作目の『おそろし』も雰囲気・内容ともに好きでしたが、『あんじゅう』に収録されている話が圧倒的に好みです。
特に「藪から千本」のドロっとした生温い沼みたいな怖さ、次の「暗獣」の不思議さと切なさという緩急に、しばらく読後の余韻が引きませんでした。
一作目以上に人の内面にクローズアップした話になっていたように思います。
「どんな幽霊よりも結局生きた人が一番怖い」みたいな感想は怪談好きとして安直に言いたくはないのですが、今作は生きた人の浅ましく恐ろしい部分と、神仏や怪異の超自然的な恐ろしさのバランスが、私としてはとても丁度いい塩梅でした。 -
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三島屋主人の姪、おちかが聞き手を務める変わり百物語シリーズ4作目。
亡者が集まる「迷いの旅籠」
腹ペコ神がかわいい「食客ひだる神」
人が鬼か、鬼が人か「三鬼」
出会いと別れがある「おくらさま」
以上4作品を収録。→
「食客ひだる神」がとにかく好き!「あんじゅう」好きな方は間違いなくハマる!“「うんうん」する”に萌えること間違いなし(笑)
「三鬼」も怖かったけど、私は「迷いの旅籠」の最後、彼が放つ言葉にドキッとした。「いい人」「やさしい人」はそちら側から見たらそうじゃない場合もあるのだな、と。→
「おくらさま」は内容も惹きつけられるけど、シリーズ的に重要なお話。おちかちゃんがまた一つ経験を重 -
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多くの新聞には「書評」コーナーがありますが、我が家で購読している読売新聞のそれが毎週日曜日に掲載される「本よみうり堂」。そしてその読書委員の一人が私が大好きな宮部みゆきさんなのです。
ファンとしては、それだけで読売さんに感謝したくなるというもの。毎週楽しみに開く書評ページの中に宮部さんの名前を見つけると、より一層ワクワクしながら読んでいます。
宮部さんは本当に文章がお上手。
それがどういった要因から来るものなのか言語化するのは難しいのですが、とにかく時代小説でも現代ミステリーでもホラーを読んでも「上手い」と感じます。
そしてそんな宮部さんは、書評もとにかく上手い。
あらすじの文量や軽妙な語り -
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まさしく傑作揃いというしかないホラーアンソロジーです。全部再読だけれどどれもこれも全部素敵すぎる一冊でした。
なんといっても綾辻行人「バースデー・プレゼント」が最強です。これは今まで読んだすべての作品でトップ1だと思っているし、そもそも私がホラーとミステリにどっぷりハマるきっかけになった一作なので、何度繰り返し読んでも飽きることがありません。おぞましく、美しく、そしてどこかしら穏やかで静謐な印象が強く残ります。
鈴木光司「浮遊する水」、三津田信三「集まった四人」は本当に怖くって、嫌。ホラーは怖くても楽しいと思えるものが多いのだけれど、こういう質の怖さは本当に嫌。なのだけれどもちろん大好きです。