宮部みゆきのレビュー一覧
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「語って語り捨て、聞いて聞き捨て」が決め事、三島屋の姪、おちかが従兄弟の富次郎と共に聞き役を務める変わり百物語、シリーズ5作目。
五篇収録。第一期完結。
「だんまり姫」が一番好き。冒頭少し入りにくいけど、ラストは泣く→
じわりじわりとお話の中で時が進む。
三島屋の次男坊である富次郎が参加することにより、おちかをはじめみんなの時が動き出したように感じた。
富次郎が百物語で聞いた話をイラストにするというのが、とても良い。でもこれ、後々なんか大きな禍が起きそうでドキドキする。
「開けずの間」はダイレクトに怖い。「面の家」と「あやかし草紙」はなんとなく邪の種類が似ているような……?「金目の猫」は切 -
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ネタバレ三島屋変調百物語シリーズも7巻目、百物語としても三十四話と全体の1/3、前半を超えるところまでやってきた。
今回はいつもより1話少な目で本自体も薄めの3話収録…とはいえ、3作とも内容は薄くない…いや怖さは薄いか…中身はしっかり面白い。
荒神を彷彿とさせる1話目、人情妖怪話の3話目、しっかり読ませる中編の間にはさまる2話目の短編が一番好み。
舞台を昭和にして、怪奇大作戦の1話として撮ってほしいような良き話。母の愛を受け子供たちが素直に育ったというその結果だけでも、おじさんは涙する。
3作目の最後はマーベル映画の最後のような気の持たせよう…それもまた良し、早いこと八之続を読みたいもんだ。 -
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文庫化を心待ちにしている三島屋シリーズ。
本書『八之続』の収録作品は三編とも中編というべき長さで読み応えがあった。
『賽子と虻』は姉を想う少年の勇気、てちんと転がるキリ次郎の可愛らしさが心に残る秀作。報われたとは言い難い結末が悲しいが、含みを残した終わり方なので、餅太郎の再登場を期待したい。
続く『土鍋女房』は怪談らしい怪談。好きな人には刺さりそうだが、理不尽さがどうにも消化しきれず、第一話・三話ほどの好印象はなし。
表題作『よって件のごとし』は異色とも言えるゾンビ物だが、冒険あり、家族愛あり、恋愛ありと読みどころ満載で一番楽しめた。悲しみが通奏低音として流れているにも関わらず、読後感が良く、 -
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シリーズもので怪異譚の数もそこそこになってきたのに、雰囲気がどれも少しずつ違うのがすごいと何度も感じます。
今作はホラージャンルの中でも、いわゆる「洒落怖」みたいな現代ネット都市伝説が好きな人も好みそうな話が多かった気がしました。「くりから御殿」「泣き童子」「まぐる笛」辺りが特に。
個人的に、前作までは登場人物への感情移入はそれなりにしつつも、最終的には作中の怪異にばかり目がいっていました。どの話で語られた怪異が面白いか・好きか、という目線でしか見ていなかったけれど、3作目にもなれば登場人物も増えて、おちかの内面の変化も楽しみになってきました。
「まぐる笛」のラストのおちかの独白が好きです。 -
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ネタバレ1作目「震える岩」より俄然面白かった!と思う第2作。でもこれ、続きでてないのかー。読みたい!続き読みたいです!!!!
不思議なものが視えるお初と、算術な好きな右京之介のコンビで、神隠しの謎に挑む。
人間の怖さと、人外の怖さとが混ざり合い、しっかりミステリーをしてくれるのがよかった。しかもアクションもあり、猫と会話できちゃったり、まさに盛りだくさん。お初の気の強さと、取り巻く家族たち、古沢父も、六蔵兄ちゃんに和尚さま、全員キャラがよすぎる。
ストレートに口説いてくれる右京之介さん最高によかったな……はやくくっついてくれないか。お願いだから続きを読ませてくれないか。。。 -
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ネタバレ563ページ
1800円
5月9日〜5月10日
三島屋のおちかのもとに6つめの物語をもってきたのは平太という子どもだった。平太には白子様 (しろこさま)がついており、いく先々で水が枯れるという。7つめの物語は、お隣の住吉屋のお路さん。双子の姪
の片割れを引き取ったが、双方のお家に起きた人形に針が立つという不思議で悲しい話。8つめの物語は、紫陽花屋敷にいる暗獣、くろすけと夫婦の楽しくも悲しいお話。9つめの物語は、偽坊主の行年坊が語る館形 (たてなり)での木仏にまつわる話。おちかのもとには清太郎や青野の若先生と気になる存在も現れる。
平太と白子様の話は、最後に船頭になるというところから、あの話 -
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トラウマのあるお嬢さんが様々な人たちの不思議体験談を聞くという設定のファンタジー時代小説その2。相変わらず面白い。そして泣ける。今回は化け物達に共感するお話が多くて、アニメ『夏目友人帳』を見るたび泣いている自分など涙腺大崩壊だった。
「あんじゅう」とは何だろう?饅頭の仲間か?と思っていたら「暗獣」とのこと。読み終えた後にブックデザインのあちこちに隠れていた暗獣「くろすけ」に気づいて、またしても泣かされた。家屋敷に意識が宿るというアイデアは奇異なようで感覚として分かる。主客が渾然一体化した日本人(日本語)ならではの世界の捉え方だと思う。ちなみに単行本で読んだのだが、南伸坊氏による愛嬌たっぷりのイ