宮部みゆきのレビュー一覧
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ネタバレ小説家って一句からこんなにも想像を広げられるんだなぁと、改めて尊敬してしまう。
どれも短いお話なのに読み応えあって、おもしろかった。
『異国より訪れし婿墓洗う』は、俳句もいいし、ストーリーもいい。
群を抜いて私の好みだった。その情景をイメージしただけで、グッとくるものがある。
『冬晴れの遠出の先の野辺送り』では、野辺送りというお葬式のやり方を初めて知った。
故人の馴染みある場所を歩いて火葬場まで行くなんて、見送る方法としてとてもいい風習に感じる。
(最近の葬儀のあまりの簡素化にショックを受けた私には尚更素晴らしいことに感じてしまったんだと思う)
ただ、ストーリーの中で裕子が小百合さんを恨ん -
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恐ろしい、切ない、微笑ましい、悲しい。
読む度にいろんな感情が引き出されて、結構な頻度で泣かされる三島屋シリーズ第四弾。
怪異の真相や各話の結末に驚かされる事も多い。
読み始めると先が気になって「今日はこのへんで止めておこう」がなかなかできない。
収録作全て面白いのが凄いよねえ。
表題作のような悲しくて恐ろしい話も良いし、笑って泣ける《ひだる神》の話も好き。
《おくらさま》の話は趣向が違って新鮮。
この話は怖い気持ちと切ない気持ちを抱えながら読んだ。
初期の塞ぎ込んでた頃のおちかを知っているせいか、年相応に振る舞う彼女を見れたのが切ないやら嬉しいやら。 -
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角川ホラーアンソロジーの「堕ちる」です。
コンセプトが割としっかりしている短編って「長編で読みたいなぁ」と思うことが良くある。
同じシリーズのアンソロジーで「潰える」「慄く」では、短編だからこそできる潔さがあったけれど、「堕ちる」に収録されている作品は、後を引く感覚があった。その後の出来事、前日、話が飛んだ間には何があったのだろうかと。
怖さで言えば「潰える」が1番だったけど、読後の感覚だと今作が1番だと言える。
なお、以下に個人的なランキングを書きました。
『怖さ』ランキング
1位 潰える
2位 慄く
3位 堕ちる
『読み応え』ランキング
1位 慄く
2位 堕ちる
3位 潰える
『コン -
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ネタバレ賽子と虻
灯庵の口利きでやってきた
貧相な身なりの餅太郎が語り手
餅太郎の故郷には、博打の神様の六面様と虻の神様が鎮守として祀られている。
貧しい小作人の松一の娘おりんは餅太郎の姉。おりんは玉の輿にのり隣村の猪鼻屋に嫁ぐが、虻が憑いたともどされてきた。苦しむ姉を助けた餅太郎は神様の賭博場の里で暮らすことになる。
賽子のキリ次郎とのやりとりや、元の世界に戻るための餅太郎の活躍が面白い。
土鍋女房
色の黒いおとびが語り手。
一年前に亡くなった兄喜代丸は渡し船の船頭。ある日船に謎の土鍋が置いてあった。喜代丸はいい話の縁談を頑なに断っているのは、粂川の主に魅入られていたからだった。
よって件のごとし
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ネタバレ火焰太鼓
美丈夫な中村新之助が10の時里の城下を、守るお太鼓様の伝誦を語る。
一途の念
焼き団子屋台のおみよと3人の兄、団子屋台を始める前の端末と母の悲しい話。
魂手形
亀甲縞の浴衣着た鯔背な老人吉富が語る。
木賃宿の跡取りだが幼い頃母親が客と駆け落ちし、祖母に曲尺で折檻されでいるところを、ガタイがよく口が悪い女中のお竹が祖母を一括して守ってくれ、そのまま父の拌吉の後妻となる。
15になった吉富はお竹の三味線仲間の別嬪を嫁に貰うこととなり浮かれていると、盆の最中鳥目の男が宿に入る。
その日布団を片付ける吉富とお竹は幽霊を見、男の部屋から真夏なのに寒い空気が。
幽霊は男の連れだった。
男は成仏し -
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泣きぼくろ
富次郎の幼馴染の八太郎が黒白の間にて語る、豆腐屋豆源の一家離散の話。義理姉と長姉が泣きぼくろに取り憑かれ淫らな行いをする。
姑の墓
お花の故郷は養蚕が盛んで、生家は棚主で大きく養蚕をしていた。その村では、桜が山一面に咲くと山の上の墓場で村をあげての花見が催される。しかし花の家は、男だけが参加し女は家で留守番と言うしきたりがあった。兄のところに城下町の絹糸問屋のお嬢さんのお恵が嫁いで来た。
お恵は花見に出れない事を不服に思い、しきたりなんて変えようと意見する。お恵の剣幕に負けそうなおり、祖父がしきたりの所以を語りだした。
祖父の曾祖母が、嫁いびりの末花見の際嫁を墓地の階段から突き落と -
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ネタバレ三島屋百物語 その四
迷いの旅籠
鶴見川の北小森村の
13歳の女子おつぎが、名主さまに言われ語りにきた。
村の田畑を守る神あかり様のための行燈祭りを領主のお殿様の喪中のため禁じられた。田畑の凶作を恐れる小作人達と領主の怒りを恐れる名主、村長。間に入るふりをして自分の望みを叶えようとする絵描きが、あの世との道をあけてしまう。
食客ひだる神
三島屋の花見でとるお料理やの話。
秋から春の間だけ商いをするというだるま屋に興味を持ったおちかは、だるまやに話を聞く。
料理人を目指す房五郎は、旅の途中食い意地の張った「ひだる神」に憑かれてしまう。ひだる神を抱えて商売を広げる房五郎。
三鬼
取り潰しになった大 -
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今回の三話は、ハードでした(汗)
その中でも第一話は、ちょっとファンタジーな感じがしました。笑顔を失った餅太郎の健気な行動に、心打たれました。
第二話、三話は、なかなかの恐ろしさ。ホラー映画です笑
そんな恐ろしい話も、富次郎に聞いてもらい、そして、絵にしたためてもらう。
おちかちゃんから継いだ冨次郎も、たくましくすっかり聞き手として板につきましたね。
そして、冨次郎のおちかちゃんへの想いがあたたかくてほっこりします。
おちかちゃんの出産の準備のため、少しの間百物語もお休みするようですが、元気な赤ちゃんが産まれることを祈りつつ、再開を楽しみにしています♪
傷心のお兄さんも帰ってきて、今 -
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ネタバレ三島屋変調百物語其の三
魂取の池
おちかの黒白の間でどうしても聞いて欲しいと嫁入り前のお文がやってくる。母から聞いた祖母の不思議な話。
祖母の生まれ故郷にある猪神様はやきもち焼き、お宮の裏にある魂取の池でおきた奇譚からの戒め話。
くりから御殿
夫長次郎が語る間隣室でお内儀の陸が見守る中語られたのは幼少期山津波に襲われ身内や仲間を失った長次郎は
不思議な体験をする。
泣き童
ネズミ祭りの最中痩せ細った白髪の男が飛び込みて語らせてくれとやってきた。
小雪舞う日の怪談語り
赤半纏の半吉親分の誘いでおちかはお勝と青野利一郎と共に札差の井筒屋七郎衛門が肝煎役を務める怪談会に出かける。
まぐる笛
北国の武 -
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ネタバレ三島屋変調百物語其の五
開かずの間
口入屋の灯庵の案内で、飯屋どんぶり屋の慌て者の平吉が語り手。生家の金物屋三好屋での怪異。
松吉、竹蔵、梅吉、おゆう、おりく、おみち、平吉の兄弟で暮らすが、出戻りの姉おゆうが、生き別れた息子に会いたいが為に塩だちしたことで、神様を自称するあやしを引き入れてしまう。誰かの何かと引き換えに、願いを叶えてあげると納戸に住みついたあやかしに操られ、一家が不幸に見舞われる。話し終えた後、気丈な守役のお勝の黒髪が白髪になるほどの魔力だった。
けっこう真剣に怖い。日本にありそうな呪いとか憑き物の
類。人の弱みに漬け込んで取り憑く地縛霊、霊障も怖いが、追い詰められた人間の弱い