中野京子のレビュー一覧
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人の美しさとは、もちろん顔の造形だけではない。仕草や表情、行動や言葉など様々な要素から美しさは作られる。
ただ、顔を見ただけで目を奪われる、ただただ見つめていたい美貌というものは、大半の人にとっては手に入らないもので、その貴重性は時代を超えて人を惹きつける。
様々な美貌の人を見てきたが、やはり最後の「忘れえぬ女」が心に残っている。
冷たそうでいて、どこか哀しげにも見える、なんとも言えない表情の、まさに忘れえぬ女だ。
最後に心に残った言葉、
「美貌は確かにチャンスを引き寄せるが、それを活かせるかどうかその先には、意志と知力と官能が必要だ。それらすべてを備えた女性に、太刀打ちできる男などいない。」
夢の女でいるためには、美貌に加え、努力も必要。_φ(・_・ -
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本のカバーに「19世紀末のウィーンは黄昏時の美しさに輝いていた。ハプスブルク大王朝崩壊の予兆に怯えながら、誰も彼もそれに目を背けてワルツに興じていた。」と書かれてあり、惹かれて買った。
読んでみて、19世紀末ヨーロッパ(特にハプスブルク)は、特異的な時代だったように感じられた。華やかながらも、不安定さが漂っているような感じが、何とも言えず興味深い。
ゾフィー、フランツ・ヨーゼフ一世、エリザベート、フランツ・フェルディナントなどの、ハプスブルク帝国末期の人物についても、程よく解説してくれていた。
絵画の解説が、もう少し多めでも良いかもとは思った。 -
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展覧会場などで肖像画を見て、一体何を思うだろう。
画家の画法や技量の巧拙はもちろん考えるとして、モデルの表情、姿勢、着衣などから、この人物は一体誰なのだろう、画家とはどういった関係にあるのだろうといったことを推し量ろうとするだろうか。
本書は、『怖い絵』で有名な著者が、画家とモデルの関係を巡るエピソード18編の文章をまとめたものである。
ゴヤ、ベラスケス、レンブラントといった大画家から、モデルと言えばすぐ連想されるシャガール、モディリアーニも紹介されているが、あまり観ることのない画家たちも取り上げられている。一編一編のエピソードを通して、この絵にはそういう背景があったのか、モデルとはそのような関係があったのかということなどを知ることができて、とても興味深かった。
マネの絵に描かれたことでも有名なベルト・モリゾ、強烈な差し色と曲線が特徴的なタマラ・ド・レンピッカ、長年にわたり密かに一人の女性 ”ヘルガ” を描き続けたワイエスに関するものなどは、実にドラマティックだ。
一番印象に残ったのは、多毛症に生まれた少女、トニーナ(アント二エッタ・ゴンザレス)をフォンターナが描いた一枚の絵に関する文章。多毛症の人間が半獣半人の存在として見世物の扱いを受けたことは文化史の本などで取り上げられており、この絵も挿入図版として見たことがあった。著者はこう語る。「二人の会話がどの程度通じたのかもわからない。しかし本作を見れば言葉はいらない。彼女たちの心は触れ合ったのだ。この人は優しい。この子は可愛らしいーそれが互いの結論だった。そうでなければどうしてこのような愛らしい肖像が生まれるだろうか」。絵に描かれている、つぶらな瞳、思春期の少女らしいはにかみを漂わせた小さな赤い唇、ふっくらとしたやわらかな手を描写した上で、こう結論する、「画家とモデルがいっしょに創り上げた、幸せな一枚」。そうであったことを祈りたい。 -
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目次
第一話 ハーメルンの笛吹き男
第二話 マンドラゴラ
第三話 ジェヴォーダンの獣
第四話 幽霊城
第五話 さまよえるオランダ人
第六話 ドッペルゲンガー
第七話 ゴーレム
第八話 ブロッケン山の魔女集会
第九話 蛙の雨
第十話 ドラキュラ
第十一話 犬の自殺
第十二話 ホワイトハウスの幽霊
第十三話 エクソシスト
第十四話 貴種流離譚
第十五話 デンマークの白婦人
第十六話 大海難事故
第十七話 コティングリー事件
第十八話 十字路
第十九話 斬られた首
第二十話 ファウスト伝説
第二十一話 ディアトロフ事件
余話 「怖い」に魅かれる一因
あとがき
奇憚年表 -
Posted by ブクログ
西洋美術について興味はあるものの知識は殆どないので、良い刺激になった。踊り子などは私でも知っている超有名な絵だが、この画面は劇場のどの座席からみたステージか、後ろの黒いスーツの男は何者か?などの推察が面白かった。
中にはこじつけというか、人の嫌な面を見ようとすれば誰でもそう思うだろうという、その絵としての説明から離れすぎた部分も感じられた。
しかし、紹介される絵の数も多く、超有名どころだけではないところに好感が持て、総じて絵画への興味が増した。
“怖い絵“というタイトルは本当は恐ろしいグリム童話のような印象だったが、本書はもっと現実的な人間の嫌な面を取り上げている。
怖い絵というからには、もっとホラーやグロテスクを期待してしまう。
我が子を喰らうサトゥルヌス、ベラスケスによる習作、ホロフェルネスの首を斬るユーディト、の3作などは見るからにグロテスクで印象通りだったが、確かにこうゆう絵ばかりが続くのも疲れるかもしれない。が、見たい笑
文庫本の構成上、難しいのかもしれない(絵がカラーであるだけ有難いのかもしれない)が、絵の後に解説ページが続くので、絵のこの部分は〜と言われる度にページを戻って確認しなければいけない手間が少し煩わしかった。
西洋絵画に興味を持つきっかけとして、良い本だと思った。
本作では、老婆の肖像が一番印象に残った。