中野京子のレビュー一覧
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本のカバーに「19世紀末のウィーンは黄昏時の美しさに輝いていた。ハプスブルク大王朝崩壊の予兆に怯えながら、誰も彼もそれに目を背けてワルツに興じていた。」と書かれてあり、惹かれて買った。
読んでみて、19世紀末ヨーロッパ(特にハプスブルク)は、特異的な時代だったように感じられた。華やかながらも、不安定さが漂っているような感じが、何とも言えず興味深い。
ゾフィー、フランツ・ヨーゼフ一世、エリザベート、フランツ・フェルディナントなどの、ハプスブルク帝国末期の人物についても、程よく解説してくれていた。
絵画の解説が、もう少し多めでも良いかもとは思った。 -
Posted by ブクログ
展覧会場などで肖像画を見て、一体何を思うだろう。
画家の画法や技量の巧拙はもちろん考えるとして、モデルの表情、姿勢、着衣などから、この人物は一体誰なのだろう、画家とはどういった関係にあるのだろうといったことを推し量ろうとするだろうか。
本書は、『怖い絵』で有名な著者が、画家とモデルの関係を巡るエピソード18編の文章をまとめたものである。
ゴヤ、ベラスケス、レンブラントといった大画家から、モデルと言えばすぐ連想されるシャガール、モディリアーニも紹介されているが、あまり観ることのない画家たちも取り上げられている。一編一編のエピソードを通して、この絵にはそういう背景があったのか、モデルとはそのような関係があったのかということなどを知ることができて、とても興味深かった。
マネの絵に描かれたことでも有名なベルト・モリゾ、強烈な差し色と曲線が特徴的なタマラ・ド・レンピッカ、長年にわたり密かに一人の女性 ”ヘルガ” を描き続けたワイエスに関するものなどは、実にドラマティックだ。
一番印象に残ったのは、多毛症に生まれた少女、トニーナ(アント二エッタ・ゴンザレス)をフォンターナが描いた一枚の絵に関する文章。多毛症の人間が半獣半人の存在として見世物の扱いを受けたことは文化史の本などで取り上げられており、この絵も挿入図版として見たことがあった。著者はこう語る。「二人の会話がどの程度通じたのかもわからない。しかし本作を見れば言葉はいらない。彼女たちの心は触れ合ったのだ。この人は優しい。この子は可愛らしいーそれが互いの結論だった。そうでなければどうしてこのような愛らしい肖像が生まれるだろうか」。絵に描かれている、つぶらな瞳、思春期の少女らしいはにかみを漂わせた小さな赤い唇、ふっくらとしたやわらかな手を描写した上で、こう結論する、「画家とモデルがいっしょに創り上げた、幸せな一枚」。そうであったことを祈りたい。 -
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目次
第一話 ハーメルンの笛吹き男
第二話 マンドラゴラ
第三話 ジェヴォーダンの獣
第四話 幽霊城
第五話 さまよえるオランダ人
第六話 ドッペルゲンガー
第七話 ゴーレム
第八話 ブロッケン山の魔女集会
第九話 蛙の雨
第十話 ドラキュラ
第十一話 犬の自殺
第十二話 ホワイトハウスの幽霊
第十三話 エクソシスト
第十四話 貴種流離譚
第十五話 デンマークの白婦人
第十六話 大海難事故
第十七話 コティングリー事件
第十八話 十字路
第十九話 斬られた首
第二十話 ファウスト伝説
第二十一話 ディアトロフ事件
余話 「怖い」に魅かれる一因
あとがき
奇憚年表 -
Posted by ブクログ
「ディアトロフ事件」が気になって、ネットで広告避けながら読むより紙媒体で読みたくて調べたら中野京子さんの著作を発見。読み読み。
名画シリーズはかなり読んでたつもりだけど、切り口を変えても変わらぬ面白さ。
「ブロッケン山の魔女集会」では「魔女狩りの実相を知れば知るほど人間であることが嫌になってくる……。」「もうすぐフランス革命という時期まで魔女狩りがあったことに、暗澹たる思いを抱かぬ者はいないだろう。魔女と認定されて殺された者の総数は、正確にはわかっていない。研究者によって4万、数十万、数百万と、大きな開きがある。いずれにせよ、拷問中に死んだものはカウントされていない。」など、ただ残忍な奇譚を書き連ねて満足しているだけではない著書の人柄が伺える。ドヤッと残酷話を書き連ねて満足してるような一冊ではないのが良い。