中野京子のレビュー一覧

  • 怖い絵 泣く女篇

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    ●1日の終わりを告げる晩鐘。耕作地で祈る夫婦。足元に置かれた手籠。いや、籠ではなく棺では?●現代技術でも修復できない。ベツレヘムの虐殺を描いた傑作。誰かの命令で手を加えざるを得なかった無名作家の気持ちを慮る。●近親交配の繰り返し。濃くなり過ぎた血に唯一の後継者となった少年王が受けた咎。…怖いのは絵そのものよりも描かれた背景。歴史を知る。世界を知る。人体解剖がショーになり、精神病棟が見世物に、障害者は慰み者にされる。そんなゾッとする時代もあった。人はそもそも怖いもの?絵画が残されてることに優しさも垣間見る。

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    2025年08月14日
  • 名画の謎 ギリシャ神話篇

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    面白かった。神話解説を読む前と読んだ後では絵画の印象が全く違って見える。不思議だ。
    神様も色んな諸事情があってあたかも人のように考えたり欲したりするのか。
    特に印象的なのは母デメテルが娘ペルセポネを溺愛するあまり婚姻を認めず帰らせた絵画。母子共依存って神話の世界でもあるんだな。

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    2025年08月10日
  • 虫を描く女(ひと) 「昆虫学の先駆」マリア・メーリアンの生涯

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    古くは『堤中納言物語』内の10話ある短編の一つとして、「虫めづる姫君」が紹介されている。化粧をすればそこそこなのに、、身なりに構わず昆虫に夢中である。ちょっかいをかけようとした若君は退散するが、西洋の虫めづる女性は結婚し、子供も産み、昆虫の絵を書くことを職業にさえした。しかしやはり、女性ならではの差別や理不尽とは無縁ではなかった。その女性とは、マリア・ジビーラ・メーリアンだ。

     メ―リアンは実家の姓だ。実家は銅版画で有名なメ―リアン一族で、マリアの父は版画工であり「メーリアン出版社」の経営者スイス人マテウス・メーリアンだ。マリアが生まれた3年後に死去し、亡くなる前に、マリアを指して「あれはメ―リアンの娘だ」と宣言するも、長男と母親の折り合いが悪く、あっけなくメ―リアン家を出されてしまう。オランダ人であった彼女の母は静物画家のヤーコブ・マレルと再婚。しかしマレルの死後、再び母親は婚家を追い出され、裁判沙汰になる。マリアもまた働かないぐうたらな夫を捨て、メ―リアン家で唯一マリアの面倒を見てくれた次兄カスパル・メーリアンの紹介で、ソンメルデイク家が所有するワルタ城のラバディ派のキリスト教コミューンに行く。近代の夜明け前、フンボルトやリンネ、ダーウィンより昔、昆虫学という学問が存在しない時代に、独学で研究を行う。メタモルフォーゼ(変態)の概念を絵によって表現し、大西洋を渡って南米を調査旅行。昆虫や植物の姿を生々しく描いた。彼女の絵は、かのピョートル大帝も好んで取り寄せたくらいである。次女夫妻はその縁でロシアに招かれた。「女性は引っ込んで家庭を守りなさい」と母親に何度言われても「いやでもあなた失敗してるからね…」とその逆を行き、成功した。但し金を持っていた割には無縁墓に葬られている。子孫に金を残すためと徹底している。

     2002年刊の『情熱の女流「昆虫画家」──メーリアン波乱万丈の生涯』復刊。

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    2025年08月09日
  • 虫を描く女(ひと) 「昆虫学の先駆」マリア・メーリアンの生涯

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    小さな虫の中に「神」を見た、植物画家で昆虫学者
    マリア・シビラ・メーリアン(1647~1717)
    ドイツ紙幣、500マルク札と切手の肖像画の女性。私は名前どころか、存在さえ知らなかった。

    今でこそ女性が堂々と昆虫好きなどと言えるが、
    昆虫どころか薬草を摘んで煮ていても怪しい女と
    見られ、魔女だと密告されるような時代、
    そんな時代に独学で虫を研究し、メタモルフォーゼ(変態)の概念を絵によって表現した、
    マリア・シビラ・メーリアン、
    彼女は52歳の時に、憧れの南米スリナムに娘と
    共に渡る(あの時代にその歳で!)マラリアで
    死にかけながらも精力的に研究を続け、昆虫や
    植物の姿を生き生きと描写した。
    恐ろしいほどのバイタリティだ。

    彼女が描いた生命力に溢れた細密画の植物や
    昆虫達を、本書の挿絵でぜひ見てもらいたい。

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    2025年07月24日
  • カラー版 西洋絵画のお約束 謎を解く50のキーワード

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     著者である中野京子の絵画の見方を50のワードで解説した本。西洋絵画はこれらのことがわからないと、ただ単に配色が綺麗だとか、構図が素晴らしいとか、感覚で捉えるしかない。この本には多くの西洋絵画がカラーで紹介されており、この1冊で西洋絵画通になれる。美術館に行く前には必読の本。

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    2025年07月10日
  • カラー版 西洋絵画のお約束 謎を解く50のキーワード

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    聖書や神話などの知識がないので耳慣れない神々の名前だらけだったけれど内容は面白かった。少し勉強して繰り返し読み返したい本。

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    2025年06月30日
  • 展覧会の「怖い絵」

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    絵はそれだけでも力を持つものだけれど、パッと見ただけではわからない絵画は、どんな解説を読むかでも魅力度が変わってきますよね。
    中野京子さんが語る絵画の時代背景や注目ポイントはわかりやすく、面白い。そして通常の説明より文学的な表現で、私は好きです。

    あと、「怖い絵」展開催までの裏話も面白かった。上野での「怖い絵」展、すごく混雑しているというニュースは見たけれど、開催するまでは不安が大きかったんだなぁ。

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    2025年06月27日
  • 怖いへんないきものの絵

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    中野先生の解説の上手さにはいつも驚かされる。難しい宗教画もさらりと頭に入って来る。今回は「へんないきもの」の早川氏のオファーでこの本が誕生したと書いてあった。2人の絵の解説が軽くて楽しくて、じっくり読んだ後、解説なしで絵を見たらまた別の面白さを感じた。初めて観た絵もありまた世界が広がった。

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    2025年06月24日
  • フェルメールとオランダ黄金時代

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    フェルメールが好きで手に取った一冊。
    オランダが地続きのヨーロッパ諸国と比較してもちょっと違った文化を持っていたこともとても興味深かった。
    カラーで絵画が載っていてそれに対する説明がされていて、学芸員さんに案内してもらいながら美術館で絵画を眺めているような気分になれた。

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    2025年06月19日
  • 名画の謎 ギリシャ神話篇

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    まさに絵画は読み物。
    西洋の様々や知識があると、より楽しめる。
    文化を知る事で、その国の歴史や国民性を垣間見ることもできる。

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    2025年06月13日
  • 虫を描く女(ひと) 「昆虫学の先駆」マリア・メーリアンの生涯

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    17世紀、ゴシック期のドイツに生まれたマリア・メーリアン。
    彼女の虫を愛で、描き、探究する、波乱の、不屈の人生を
    精密で美しい作品を添えて紹介する。
    ・はじめに
    第一章 フランクフルト時代(~18歳)
                   ――小さき虫に神が宿る
    第二章 ニュルンベルク時代(~38歳)
                 ――科学と芸術の幸福な融合
    第三章 オランダ時代(~51歳)――繭の中で変化は起こる
    第四章 スリナム時代(~54歳)――悦びの出帆
    第五章 アムステルダムでの晩年(~69歳)
                  ――不屈の魂は何度も甦る
    ・あとがき ・主要参考文献 ・復刊に際してのあとがき

    「すごい博物画 歴史を作った大航海時代のアーティストたち」
    デイビッド・アッテンボロー/著 グラフィック社で
    初めてマリアの絵に出合い、驚き、興味を抱いて探した
    「マリア・シビラ・メーリアン作品集 Butterflies」
    グラフィック社で、彼女の作品を堪能していました。
    で、更にマリアの人生が知りたいと思っていたところ、
    復刊したのが、この人物伝でした。
    著者ならではの、マリアの人生の歩みを辿りながら、
    彼女の内面や心理を深く探ってゆく内容になっていました。
    時は17世紀。メーリアン出版工房を営む父の後妻の娘に
    産まれたマリアは、心身共に複雑な家族関係の中で育った。
    だが彼女は虫に出会う。虫愛でる娘は、
    蚕の飼育から虫のメタモルフォーゼを知る。
    亡き父の出版工房と義父の絵画工房での学びも、彼女の基盤に。
    結婚後、フランクフルトからニュルンベルクへ。
    処女画集「花の本」出版。第二作目「虫の本」出版。
    夫との別居でフランクフルトに戻り、
    次兄の影響でオランダのラバディストのコミューンへ。
    そこでスリナムの動物や昆虫の標本と出会う。
    離婚と母の死からアムステルダムで再始動。
    52歳で娘とスリナムに渡り、精力的にフィールドワークを
    行うが、体調を崩して53歳でアムステルダムに戻る。
    その成果は大センセーションを巻き起こす。
    58歳で最高傑作の「スリナム本」を出版。
    69歳での死。1771年頃までが最盛期で、その後18世紀に
    批判が起こるが、20世紀半ばに再評価され、現代に至る。
    昆虫学の先駆であり、研究者、画家。更に商人としての才。
    バロック期、女性の第一の仕事が家事の時代に、
    見たい・知りたい・集めたいをこれほどまでに追求した
    生涯は、力強いものでした。そう、作品もインパクト抜群!
    ただ、一度忘れ去られた彼女がどのように再評価されて
    いったのかの言及が無かったのが、少し残念。

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    2025年06月04日
  • 虫を描く女(ひと) 「昆虫学の先駆」マリア・メーリアンの生涯

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    植物昆虫学者としてまた画家として素晴らしい業績を残し、また2人の女の母としての行動力など生命力に溢れたマリア・メリーアンの人生。
    沢山の挿画ありその素晴らしさが伝わってきました。

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    2025年05月31日
  • 名画に見る「悪」の系譜

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    テーマ別絵画の見方。写真もテレビもなかった時代の表現媒体としての絵画、と考えると見方も変わってくるのかなと思います。

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    2025年05月26日
  • 虫を描く女(ひと) 「昆虫学の先駆」マリア・メーリアンの生涯

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    葉を食べる芋虫が、蛹となり、蝶や蛾になり飛び立つ。メタモルフォーゼ。本能の赴くままに動いて、時が来て、変態する。偶然おかれた環境で、生き物がそれぞれ行動し、自然界を成り立たせている。…フランクフルトの版画工の後妻の子として生まれる。父の死後、実家を追い出され、母の再婚相手の元で暮らす。孤独な少女が出会ったミクロな世界。虫さえ追っていれば幸せだった。成長し結婚する。出産し離婚する。その後、スリナムを目指す。娘とのフィールドワーク。歴史に残る「虫の本」の出版。バロック期の女性。それぞれの中の1人として生きた。

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    2025年05月08日
  • 名画で読み解く ハプスブルク家 12の物語

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    名画がとても綺麗で何度も見直してしまいました。アルチンボルドの絵を昔、美術館で見たことがあるのもあり、こんな裏側があったのかと改めてじっくり見てしまいました。教養が身につきそう。

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    2025年05月06日
  • 怖いへんないきものの絵

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    絵画に登場する奇妙で怖い生き物。いったい画家は何を考えてこのような絵を描いたのか?
    『怖い絵』の著者『中野京子』と『へんないきもの』の著者『早川いくを』との対談を通して、その絵が描かれた時代背景を踏まえながら解説する。

    やはり何と言っても印象的なのは、装丁になっている恐れおののいている赤ずきんちゃんの絵でしょうか。初め、捲って現れた狼にビビっているのかと思いきや、添い寝していたんですか。そりゃあんな嫌悪感丸出しの顔にもなるか。
    他の絵は怖いというよりヘンテコリンなものが多かったです。そしてお二人のやり取りが面白すぎ。特に『カニに指を挟まれる少年』。なんでそんな絵?少年というかおっさんに見える、などなど絵自体が面白いのに、語りが上回って面白くて噴き出してしまったほどです。

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    2025年05月04日
  • 虫を描く女(ひと) 「昆虫学の先駆」マリア・メーリアンの生涯

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    売り文句として「昆虫学の先駆」、「リンネ、ダーウィンよりも昔に研究を行い~」という人物の伝記であり、「マリア・メーリアン」という名前は一切知らない状態で読み始めたが、非常に興味深く読むことができた。
    まだ近代科学が発達する前で昆虫学もない(おそらく生物学もなく、博物学が大勢を占める)時代に、変態含めて自然観察を前提として書籍を作成した女性であり、その生涯の業績だけでなく、関係者や親類とのやり取り方から、時代の背景を知ることができ、興味深く読むことが出来た。
    レーウェンフックとの関係とやり取りはちょっと笑ってしまった。

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    2025年05月04日
  • 怖い絵

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    ●取っ手のない玄関扉。人を拒む建物。かつてそこで起きた悲劇。内部に死を抱えたまま海に沈んでいく。●38歳のかつての王妃。刑が確定し一夜にして白髪になる。動物死体運搬用の荷車で後ろ手を縛られ大きく市中を引き回される●部屋の中央でうずくまる男がふたり。身を崩れかけている若者。抱き寄せる老人が左手で噴き出る血を止めようとする。傍らに長杖が横たわっている。…恐さの源、それは死。肉体の死、精神の死である「狂気」。抗いたいが、垣間見たい。皮肉にも死の恐怖は楽しみにもなる。見て感じ、知って味わい、生きてる実感を得る。

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    2025年05月04日
  • 展覧会の「怖い絵」

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    怖い絵シリーズ4冊目。これまた面白かったです。今回は展覧会のー ということで2017年に神戸と東京で開催された「怖い絵」展にて展示された作品がピックアップされています。
    いつも文庫のちっちゃな絵でしか見ていない作品を実際に見られる機会があったなんて…!レディジェーングレイの処刑の大きな作品もあったとか。見てみたかった。
    巻末では展示開催までの過程が綴られていて、興味深かったです。もっと詳しく聞いてみたい。

    20250422

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    2025年04月25日
  • 怖い絵 泣く女篇

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    どの作品も印象的で、どんどん読めてしまいました。
    本当に中野京子さんの本は面白い!!
    最後の「泣く女」は読む前から知っていてもハッとさせられる絵だと思いました。ドラマールとの関係は激しくも終わったけど、そのことは後世にこのような傑作を残してくれたことに繋がり、複雑だけど、人間味のあるアートで面白いと思いました。

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    2025年04月17日