中野京子のレビュー一覧
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エリザベス女王の崩御とチャールズ王の即位のタイミングで読んだ。イギリスを中心とした王室の歴史が、肖像画を見ながらダイジェストで学べて、興味深かった。
複雑な家族構成、他の国の王室との国際政略結婚、身内ですら脅威になり幽閉したり暗殺したりと、ドラマチックだ。
有名な人しか知らなかったが、歴代の王や女王、そしてその配偶者たちがどんな人たちだったのかが説明されていて、おもしろかった。同じような名前が次々と出てくるが、系譜を見ながら理解できる。
中野京子さんの本は以前も読んだことがあるが(怖いシリーズ)、絵画もとに歴史をたどるという趣旨が好きだ。他の著作もいろいろ読んでみたい。 -
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ネタバレ面白かった。先日読んだ「残酷な王と悲しみの王妃2」に重なる部分もあり、興味深かった。
知っている絵がイリヤ・レーピンくらいしかないのが残念。でも彼の「イワン雷帝と息子」や「公女ソフィア」は圧巻だし、エピソードも凄いので忘れられない絵だ。ロマノフは他のブルボンやハプスブルク、イギリスと違って、よく言えばドラマティック悪く言えばどぎついエピソードが多い。父の息子殺しや偽物の皇位継承者、娼婦上がりの女帝など、一代記が何人も書けそう。
その中でもピョートル大帝とエカテリーナ1世、エカテリーナ2世は波瀾万丈で面白い。ヨーロッパの王家のように高貴になってしまってからのほうが、ロマノフ王家自体は弱くなったのではないかと思える。 -
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件の「怖い絵」展は実際に観に行ったし、あの重くて分厚い図録も買って帰った組だが、新たな発見も多い一冊だった。
こうして改めて展覧会後の反応等を交えて絵を振り返る、この楽しさと興奮よ。
当時本物の絵を間近にした時の感動を追体験しつつ、更なる解説に興奮しっぱなしという。
(図録の解説は中野先生ばかりではなかったこともあって)
先生がTwitterの反応をかなり気にしておられたのと、その反応を受けての解説文にもなっていたのが、特に面白かった。
まさに新感覚の、今の時代の展示だと思ったので。
巻末には「怖い絵」展の裏側を知れるエッセイも。
別のところでも読んだが、改めて数々の縁と奇跡でもって開催された凄い展覧会だったのだなと感謝しきりである。 -
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とにかく分かりやすくて面白い。テューダー朝、スチュアート朝、ハノーバ朝と変遷したイギリス王室の歴史がよく分かる。現在のウィンザー家はハノーバ家がドイツ系であるために第一次世界大戦後、邸宅があるウィンザー城にちなんで家名変更したなど知らないことばかり。イギリスとドイツの関係の深さには驚くばかりだった。要はヨーロッパの王侯は結局は、政略結婚、非常事態に対する備え(子孫が途絶えたときに海外の子孫を確保できるように)として血脈関係を張り巡らせていたようなのでみな親戚関係となっていたようである。それでもその親戚同士で戦争をするのだから人間は本当に分からない。先に同じシリーズの「プロイセン王家」を読んでいたので、ドイツ側から見たヨーロッパとイギリス側から見たヨーロッパが対比して考えることができたので良かった。しかし、専制君主の王(女王も)と言うのはつくづく理不尽でわがままだ。今の専制君主国家も同様であるが、現代のヨーロッパの民主主義国家も100年前には大して変わらなかったというのはいろいろと示唆するものがある。まあ、そこから変わることができずに滅びた王室(ブルボン王朝、ロマノフ王朝、ハプスブルグ王朝、プロイセン王朝)がいる一方で、イギリスと日本で王朝が残ったのは過去の時代の功徳ではなくその時の王がいかに柔軟に対応できたかが全てのようだ。イギリスでは第一次大戦時の王がジョージ五世で本当に良かったと思う。
そういえば、イギリスという国名は日本でだけ通用するもので実際にはイギリスという国名はないというのは今まで考えたことがなかった。 -
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中野京子さんの本は、膨大な歴史と芸術に関する知識をテーマ縛りで解説してくれるので大変わかりやすく面白い。
この本も、王と女王の関係をテーマにオムニバス形式でまとめられている。
プリンセスと聞いてディズニー映画を想像したらとんでもない。
ハプスブルク家の血縁結婚、幽閉される王女、イワン大帝の顔の見えない妻達など
どれもこれも女性の視点から見ると、今の感覚では到底許されない人権侵害が必須条件としてまかり通っている世界。ホラーです。
同時にそうまでして血を繋がなければならなかった王の側の苦しみもあったんだろうなと。
当時のヨーロッパ王族が血縁を駆使して国の存続や領土拡大という国家事業をやっていたというグロテスクな現実にドン引きするとともに、この本では彼らの人間的な感情を想像し共感することもできる。
それは肖像画や歴史画の存在が大きい。
とくに印象に残ったのは、ベラスケスの才能によって生きているように描かれた肖像画達や、のちの時代に資料と画家の想像を交えて描かれた「イワン大帝とその息子」の衝撃的な姿。
単に歴史を知る為だけでなく、生身の人間を通して現代と共通する部分を見出す力が絵画にはあるのだと改めて思った。 -
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キリスト教について浅い知識しかないけれど、なぜだか興味はひかれる私のような人に向けて書かれた一冊。
著者の方はあとがきで「自分はキリスト教徒ではない」と書かれていて、それがこの本の良さを生んでいると思う。もし敬虔なクリスチャンの方が同じテーマで本を書いたら、神の子ではなく人間としてのイエスにここまで焦点を当てられたかどうか。
私が思いつく宗教画といえば、エル・グレコが描いた「受胎告知」。岡山県倉敷市にある大原美術館に収蔵されていて、絵画鑑賞の後は隣接する喫茶店、その名もエル・グレコで一服するところまでがワンセット。
また行きたいなぁ。
(同じくエル・グレコ作の「神殿を潔める」はこの本にも収録されている。これも素敵。) -
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いやあ面白かったなあ。中野京子さんの本は期待を裏切らない。名画に描かれた美貌の人々のドラマチックな人生がバラエティーに富んでいて、ページを繰る手が止まらない。とにかくみんな美しい!
・裸で馬に乗り町を練り歩いたレディ・ゴダイヴァ。チョコのゴディバのマークはここから来ている。
・形の良い乳房を宮殿の中で見せびらかしたというアニエス・ソレル。彼女をモデルにした「ムーランの聖母子」は妖しい魅力に満ちている。公式寵姫の第一号。
・画家のウォルター・シッカートは切り裂きジャックではないかと言われた。
・マリー・アントワネットのお抱え画家だったヴィジェ・ルブランの自画像は可愛い。逞しく生き抜いた人。
・椿姫のモデルのマリー・デュプレシ。薄幸の人。
・オスカー・ワイルドを破滅に追い込んだアルフレッド・ダグラス卿。男性版ファムファタル。
・コンピューターの母と呼ばれるバイロンの娘のエイダ・ラブレス。彼女を称えて、特殊プロミラミング言語Adaは名付けられた。
・才能も美貌も抜群だったのに、遅咲きのドニゼッティに嫉妬しまくった作曲家ベッリーニ。
・ルードヴィヒ一世を虜にし、傾城の美女と言われた元スペインダンサーのローラ・モンテス。
・あのエリザベート皇后の5人の姉妹たちの数奇な運命。みな、絶世の美女。
・「アニーよ、銃を取れ」のアニー・オークレー。かっちょいい女性ガンマンだが、腕前は凄まじかったらしい。
とまあ紹介しているとキリがない。他の人々の人生も興味深い。美貌が武器になったり、逆に仇だったり。 -
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絵画とともに歴史を辿っていく本。
フルカラーなのがとても嬉しい。
歴代プロイセン王の名は、九代全てが「フリードリヒ」と「ヴィルヘルム」の組み合わせからできていて大変覚えづらく、歴史書を読むときも大変苦労する。
(あなたさっきも出てきませんでした?と何度もなる)
〜プロイセン王〜
初代 フリードリヒ一世(猫背のフリッツ)
二代 フリードリヒ・ヴィルヘルム一世(兵隊王)
三代 フリードリヒ二世(大王)
四代 フリードリヒ・ヴィルヘルム二世(デブの女たらし)
五代 フリードリヒ・ヴィルヘルム三世(不定詞王)
六代 フリードリヒ・ヴィルヘルム四世(ひらめ)
七代 ヴィルヘルム一世(白髭王)
八代 フリードリヒ三世(我らがフリッツ)
九代 ヴィルヘルム二世(最後の皇帝)
しかしこの本では、絵画とともにエピソードやあだ名なども紹介してくれているため、大変分かりやすい。
また、難しい言葉を使っていないのも、この本の分かりやすさに繋がっていると思う。
新しく得た気づきは、バイエルンについてだった。
バイエルンはプロイセンを嫌っている、というイメージがずっとあったのだが、なぜなのかは知らなかった。
バイエルン(を含む南部)はカトリックであり(プロイセンはプロテスタント)、バイエルン・ヴィッテルスバッハ家はハプスブルク家との婚姻も多かったという。
それを読んで、なるほどとなった。
印象深かったのは、大王についてだった。
大王(フリードリヒ二世)が王太子だった頃、カッテ少尉と国外逃亡を企てたときのことだ。
二人は捕まってしまい、フリッツは要塞に幽閉され、少尉は死刑(斬首)となったのだが、本にはその処刑直前の絵が載せられいる。
窓から両手を伸ばすフリッツと、それを見上げる少尉。
その二人の姿が痛々しく、小さく載せられた絵だったにも関わらずどうしても忘れられない。
男性が好きだった大王は、少尉と恋人同士だったのではと本には書かれている。
プロイセンの歴史については詳しい本を読んだことがあるが、覚えるのが苦手な私は忘れてしまうこともしばしばある。
この本は大まかな流れを確認したいときにかなり重宝しそうだ。
読めて良かったと思う。
参考文献の本も読んでみたい。
ざっくりと歴史を知りたい人や、歴史が少し苦手な人にもおすすめの一冊。 -
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ロシアの遍歴、ロマノフ家の苦悩
ヨーロッパには◯◯家という政治と財力に物言わせ国の行く末さえ変えてしまう歴史に名を刻む家が多い。
ロシアもそんなヨーロッパの家と関わり交わりながら
戦い現在に近いものになって行く。
名家との婚姻は日本人が考えるより遥かに大変なものだっただろう。
歴史の背景には革命や伝染病もあり、ロマノフ家も翻弄されて行く。
特に目を引くのは、ロシアと言う極寒の地にありながらナポレオンとの度重なる戦い。
アレクサンドルはロシアを救うために自尊心を捨てたとあり涙腺が緩んでしまった。
ロシアでは最高権力者が突然失脚し、夜明けに乱暴にドアを叩く音に怯えたという。
罷免や財産没収に留まらず苛烈な拷問、シベリア送り、四肢切断などの公開処刑が妻子一族までを巻き込んでと言うのは、本当に恐ロシアと言わせる所以なのだろうと思う。
かつては親日と言われた大津事件にも触れており、ロシアの乾いた空気と魅力的な国土も感じられる大変読みやすいボリュームの良書。