あらすじ
美が招くのは幸運か破滅か? 肖像の奥に潜む、秘められたドラマとは。絵画のなかの美しいひとたちは、なぜ描かれることになったのか。その後、消失することなく愛でられた作品の数々。本書では、40の作品を中心に美貌の光と影に迫る。――美を武器に底辺からのし上がった例もあれば、美ゆえに不幸を招いた例、ごく短い間しか美を保てなかった者や周囲を破滅させた者、肝心な相手には神通力のなかった美、本人は不要と思っている美、さまざまですが、どれも期待を裏切らないドラマを巻き起こしています。それらエピソードの数々を、どうか楽しんでいただけますよう。(「あとがき」より) 《本書の構成》●第1章 古典のなかの美しいひと ●第2章 憧れの貴人たち ●第3章 才能と容姿に恵まれた芸術家 ●第4章 創作意欲をかきたてたミューズ
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Posted by ブクログ
美貌だけでは済まない
美貌に理由がある有名絵画
ダイアナ妃の祖先の伯爵夫人など
どの絵画も有名で 一度は見たことあるものも多く
また 絵にまつわる逸話も
とても興味深いものばかりです
ただ絵を純粋に楽しむよりも
絵の背景を知ることを
教えてくれたのが
中野先生の功績ですね
一つ一つの解説を
じっくり見てしまいがちな
日本人には ぴったりの
楽しみ方です
Posted by ブクログ
美貌のひとに選ばれたのは男女を問わず24名。
『吸血鬼ドラキュラ』を読んだ直後なので、バイロンの肖像画に感銘を受けた。ポリドリ『吸血鬼』ルスヴン卿のモデルがバイロンというのは定説である。
パルミジャニーノの自画像は澁澤龍彦のエッセイで先に知っていた。
リストの肖像画も印象深い。ピアニストからエクソシストに転職した時期があるはずだが、ご本人が悪魔だよ。
『忘れえぬ女』、カバーガールが同時に大トリをつとめている。レンピッカといい、中野京子はこうした意思的な顔つきがお気に入りなのだろう。
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やっぱり中野京子さんの文章は情熱が溢れてて読み応えがある。クリムトのユディトを見たばかりだからアルテミジアのユディトは胆力のある女性として描かれていて、違いが面白い。ローランサンの憂いげなシャネルの肖像画を注文主のシャネルは送り返した。何もないところからのし上がったシャネルからしたら気骨が足りなかったのかも。タラマの自画像を初めて見た。無機質なかっこよさの中に色気がある。
Posted by ブクログ
読書記録です。
表紙の絵は「北方のモナリザ」と異名をとる『見知らぬ女』。画家、クラムスコイが名付けたタイトル。でも、展覧会で来日した際に日本人が『忘れえぬ女(ひと)』とタイトルを付けたらしい。誰か知らないけど、すごい!画家が描いた時期からすると「アンナ・カレーニナ」のアンナの可能性もなきにしもあらずだったのに『忘れえぬ女(ひと)』が一番タイトルとしてしっくりくる。
リアルにこんな目で見下されたら、嫌悪感のほうが先に立って相手のことをもっと知りたいなんて思わないだろうけど、平積みにされてた表紙を観て思わず手に取ってしまった。
Posted by ブクログ
「怖い絵」シリーズで有名な中野さんが、古今男女を問わず、「美しい」容貌を描き出した絵画とそれをめぐるエピソードを紹介するエッセイ集。面白かったです。
Posted by ブクログ
絵の素養が全くないので、どの絵画も新鮮な気持ちで読めました。
絵もただそのものを鑑賞するだけでなく、本書のような背景を知ってからの方が、心に残ると前々から思っていました。
著者の他の本も読んで、これまで以上に、絵の世界にも興味を持ってみようと思います。
Posted by ブクログ
驚くほどの美貌を備えたダイアナ妃やジョージアナが、夫に愛されなかったというので、美貌はチャンスを増やしはするが、真の魅力は内面に宿るということを再認識。
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人の美しさとは、もちろん顔の造形だけではない。仕草や表情、行動や言葉など様々な要素から美しさは作られる。
ただ、顔を見ただけで目を奪われる、ただただ見つめていたい美貌というものは、大半の人にとっては手に入らないもので、その貴重性は時代を超えて人を惹きつける。
様々な美貌の人を見てきたが、やはり最後の「忘れえぬ女」が心に残っている。
冷たそうでいて、どこか哀しげにも見える、なんとも言えない表情の、まさに忘れえぬ女だ。
最後に心に残った言葉、
「美貌は確かにチャンスを引き寄せるが、それを活かせるかどうかその先には、意志と知力と官能が必要だ。それらすべてを備えた女性に、太刀打ちできる男などいない。」
夢の女でいるためには、美貌に加え、努力も必要。_φ(・_・
Posted by ブクログ
古本屋にあったので買ってきた本です(中野京子さん、作品数が多すぎてどれが手元にないのか判らなくなってます……)。いつものように1枚の絵を元にどんどんと話を膨らませて、その人やその時代の見えにくい一面を出していく、その手法が鮮やかだし、これだけ書くには膨大な蓄積があるのでしょうね。
しかしルノワールのモデルとユトリロの母は結びついてませんでしたわ。言われてみれば同時代でしたわ、確かに。
Posted by ブクログ
「意味や物語を理解することーもともと意味や物語のある絵画作品は、その意味や
物語を知った上で鑑賞するのが作品や画家に対するリクペストではないか」作者のこの思想にはすごく共感、自分の感性だけに頼っても、その絵の面白さを堪能することはできない。だからこの著者の絵画解説書が私は好きだし、他の人にも人気なんだろう。ブージヴァルのダンスの特に気になったストーリーは、ヴァラドンとその息子ユトリロ。母と子の目線でいろいろ思いを馳せてしまう。美術館に行きたいなぁ
Posted by ブクログ
男女問わず描かれた24人の、その美貌に隠された光と影を探る。
第1章 古典のなかの美しいひと・・・7作品
第2章 憬れの貴人たち・・・6作品
第3章 才能と容姿に恵まれた芸術家・・・6作品
第4章 創作意欲をかきたてたミューズ・・・5作品
カラー画像は、表題作24作品と、比較できる作品や写真が0~3枚。
絵画に描かれた美貌のひとたち。
描かれた背景、描かれた時代、描かれた人物、そしてエピソード。
彼らの美貌がもたらす光と影を解き明かす。
自分を重ねるようなアルテミジアの絵の力強さに、感嘆。
若き美貌のパルミジャニーノは他にも自画像を残していますが、
文中にある死の年の自画像(画像は無い)は、まるで老人の如し。
ネットで探して観たときは驚愕しました。
上流画家として成功を得たヴァラドンと息子であるユトリロの葛藤。
実際にロシアで鑑賞した「忘れえぬ女」は印象的だったけど、
この本を読んでから観かったなぁ。でも、それは遥か過去だし。
周辺を惑わす、自らが惑う、降りかかる幸運と不運。
それはまるでドラマのような人生として、絵画に残るのですね。
Posted by ブクログ
美に対する人間の執着心が現代も昔も変わらず、が故に彼等彼女等の人生を客観視すると不幸に思われる。実際は当人にしか感じられない味わいではあるが美とは一概に幸せの物差しではないように感じた。
「美を求め美に振り回される」
Posted by ブクログ
久々の中野京子さんの美術本。やっぱり読みやすくて面白い。
連載されていたもののまとめということもあり、1つ1つのページ数は短め。その分、興味深い箇所が凝縮されていて、全く飽きない。
加えて、過去作であまり取り上げられなかった画家たちの作品が多く、ここからまた世界を広げていきたい。
Posted by ブクログ
人気の美術評論家の中野京子さんの新作。
有名な絵から美男美女のみを集め解説した本作だか、周りの小物や背景からその人物の出身や宗教的意味の解説があり、ご本人のおっしゃる通り、絵画鑑賞の際はその意味を知った上でみた方が俄然面白いと思わせてくれました。
あと意外と女性画家が多くそれも面白かったです
Posted by ブクログ
本の表紙の絵の女性は一体誰だろう
印象的な眼差し、一瞬にして心を奪われる
イワン・クラムスコイの「忘れえぬ人」
『アンナ・カレーニナ』のアンナを描いたと
言われている絵。元々のタイトルは
「見しらぬ女」
この絵が来日した際、日本人が、
「忘れえぬ人」と付けたらしい。そうとしか
呼びようがなく付けた、なんて素敵な
ネーミングだろう(さすが日本人)
中野京子さんが紹介してくれる歴史に刻んだ
美貌の人たち。時代背景がいろいろと分かり
興味深い。これを知った上で絵を見ると、
また違った印象を受ける。
たとえば「デヴォンシャー公爵夫人」
一見するとただの(?)美貌の女性、
男性のみならず多くの人を魅了した彼女だが
唯一彼女が手に入れられなかったのは
夫の愛だった。一見よくある話のようだが、
彼女が、あのダイアナ妃の祖先にあたる
人物だったなんて、一体誰が想像しただろう。
まさか時を超えて似たような立場に置かれる
とは‥こんな風に絵の背景を知り、もう一度
見ると、彼女の顔の表情からダイアナ妃の面影を
感じ取れるような気がして面白い。
Posted by ブクログ
絵画の良し悪しは分かりませんが、見るのは好き。肖像画に描かれている人はどんな人でどんな人生だったのか、この絵はどんなストーリーがあるのか、気になっていました。そういう関心にぴったりの本で、さらりと読めます。
Posted by ブクログ
絵画を見るときにその背景にどのような事情があるかを想像するのは凄く面白い。作家の背景や状況もそうだし、モデルの背景、どの様な人間関係かを考えると、また違った視点で絵が話しかけてくるような気がする。単純に色使いや構図、モデル自体の美しさは言うまでもないが、そのレベルで単に綺麗で終わらせるのとは奥深さが全く変わってくる。音楽もそうだし、芸術全般に言えることかもしれないが、作り手(クリエイターと呼ぶべきか)の心のうちを表現しているようで、自分に置き換えたら、心を覗かれているようで恥ずかしくなることさえある。因みに若い頃に作詞をした事があるが、明らかに当時の恋愛や友人との人間関係の悩みが詩にそのまま出ていたのを記憶している。
本書はタイトル「美貌のひと」にあるように、絵画の中の美しい人たちを24人取り上げている。画家の性格や育ちなどにも触れているから、概ねどの様な心持ちで描いていたか、読者と一緒に探しに行く様な内容だ。絵には単純にモデルを描くだけでなく、所々に謎めいた物品や背景を取り入れて、物語性を表現するものが多い。そうした謎解きに近い形で読み進められるのと主題である絵の組み合わせで、普通に1時間もあれば読めてしまうのだが、敢えて立ち止まって一緒に深く考えた方がより楽しめる。
Posted by ブクログ
ロセッティとジェイン、印象派の画家達とヴァラドンなど、17世紀以降になると、画家と近しい女性の物語が詳細に残っていて面白い。山田五郎さんのYouTubeと合わせてみることで、さらに理解度アップしている今日この頃…。
絵画の歴史を知ると、より美術鑑賞は面白い。
Posted by ブクログ
ユーディトと侍女は、大学の美術史研究室に居た後輩が「色々なパターンがあるんですよ!」と見せてくれたことを思い出しました。確かにユーディトはカッコ良い、まさに敵将を討ち取った悪女的なものと、虫も殺さない淑女的なものがあるので「前に見たことあるなぁ…」となりました。そういった絵が多いので、美術が好きな方が読むには面白い本だと思います。
Posted by ブクログ
私はアートに関心が薄く、彫刻はまだしも絵となるとからっきしわからないのだが、そんな人間にも、美人(美男)画がはらむドラマ性や、興味深い来歴を丁寧に伝えてくれる中野京子さんの文章の絶妙よ!
これで私もちいとは教養を身につけたいものである。続編も出たから読もうっと!
Posted by ブクログ
初中野京子さんでした。
美術展行くと説明文あるのですが
私それ読むの苦手なんです。。。
知識として知ってたら読む手間省けるし
海外の美術館で言語分からなくても
楽しめるなって思って買ったんだけど。
結果、他の本も気になり出してる
Posted by ブクログ
第1章 古典のなかの美しいひと
プロセルピィナーロセッティ
アポロンとマルシュアスーペルジーノ
ユーディットと侍女ーアルテミジア
小椅子の聖女ーラファエロ
マグダラのマリアークリヴェッリ
スザンナと長老たちーファーブル
麗しのロジーヌーヴィールツ
第2章 憧れの貴人たち
侯爵夫人ブリジータ・スピノラ=ドーリアールーベンス
デヴォンシャー侯爵夫人ートマス・ゲインズバラ
狩りのディアナーフォンテーヌブロー派
自画像ーヴァン・ダイク
ゾフィ大公妃ーシュティーラー
醜い公爵夫人―マサイス
第3章 才能と容姿に恵まれた芸術家
シャネルーマリー・ローランサン
凸面鏡の自画像ーバルミジャニーノ
バイロンートーマス・フィリップス
リストーアンリ・レーマン
サラ・ベルナールーミュシャ
自画像ータマラ・ド・レンピッカ
第4章 創造意欲をかきたてたミューズ
商人の妻のティータイムークストーディエフ
ブージヴァルのダンスールノワール
モンテスキュー伯爵ーボルディーニ
夢ーパブロ・ピカソ
忘れえぬ女(ひと)-クラムスコイ
あとがき
Posted by ブクログ
その意味を知ることで絵画はいっそう面白くなる。中野先生の解説で、絵画のなかの美しいひとたちは、一層輝きを増す。とても勉強になったし、おもしろかった。