中野京子のレビュー一覧
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読みやすくわかりやすい本だった。1点1点の絵の解説というより、イエス・キリストの物語の挿絵に名画が使われているという感じで読み進めやすかった。
取り上げられているエピソードは知っていることが多かったが、それを画家はどう描いたか、その背景としてそれを描かれたころには、一般的にどのようにとらえられていたのか、どのように解釈されていたのか、そういった面も伺うことができたのも面白かった。
加えて、地図が載っていたのも興味深かった。実在の場所で実際にあったこととして、イエスの生涯が伝えられているということが実感できた。
それと同じ場面を、別の画家が描くと描き方も変わるというのも面白い。たとえば「最後の晩 -
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中野京子が名画の背景を主観と批評を交え読み解いていくシリーズ第三弾。
正直絵画にはそこまで興味がなかったのだが、時にユーモアたっぷりに、時にエスプリを効かせ、時に辛辣な観察眼を発揮し綴られていく文章は名人芸の域。当時の時代背景や風俗と巧みに絡め、作者の人生や心情をも投影させるような文章は読みやすく面白い。
絵画そのものの迫力もさることながら、その絵が描かれるに至った背景を知る事によって、人間性の深淵をも抉り出すような凄みと深みが増す。
今巻で特に印象的だったのは「悪しき母たち」。
某翻訳恐怖小説短編集の表紙にも採用された有名な絵だが、不勉強な自分は恥ずかしながらこの本を読むまで作者はおろかタイ -
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カメラのない時代、記念写真代わりになるのは「絵」だが、誰でも描かれるものじゃない。相当な財力と描かれるのにふさわしい家柄が必要だ。
そんな条件を満たしていたのが、マリー・アントワネット。父親は神聖ローマ皇帝フランツ1世、夫はフランス国王ルイ16世。文句なしの家柄と財力を背景に、幼少から死の直前までのアントワネットには多くの絵画が残されている。
本書はアントワネットが描かれた絵画を歴史順に並べ、彼女の生涯を追いかける。彼女の偉人伝だ。ヴェルサイユ宮殿での絶頂期からフランス革命を支持する大衆による監禁、そしてギロチン処刑と、空前絶後な波乱の一生を送ったアントワネットだが、その行動は常に受け身だ -
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「怖い絵」を紹介した中野京子さんの人気シリーズ。今年は美術展も予定されているので楽しみ。副題が関係していない作品も多いように思いますが、内容は安定の面白さです。印象的なものだけ抜粋。
ベラスケス『ラス・メニーナス』
一枚の絵画に詰まった情報量。俯瞰して眺めたような構図が以前から好き。あどけない表情を見せる5歳のマルガリータ王女を囲う従者たちと、バルボラの隠しきれない怒りと哀しみ。
ジェラール『レカミエ夫人の肖像』
はだけたドレスと艶っぽい線の細さの裏に潜んだ、女性の死をも恐れぬ美への追求。見方は180度変化し滑稽さすら感じる。
ブリューゲル『ベツレヘムの嬰児虐殺』
恐るべき改竄の事実。
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血で血を洗う権力争いをくぐりぬけてきた皇女の威厳を感じる「皇女ソフィア」。
色っぽい表情の中に無垢な愛らしさと陰々滅々とした表情を両立させる美女「ヴィーナスの誕生(ボッティチェリ)」。
理想的な農民の祝祭の姿と現実の姿とのギャップに支配層側のエゴを感じる「豆の王様」。
幻想的な風景の中に呪縛されている女性の姿が母性神話に縛られている姿のように感じる。確かに堕胎の罪で女性が死後に永遠の責め苦に苛まれるのであれば、男性も同じような目に合わなければ納得いかない。
図説拷問全書の表紙にもなった「悪しき母たち」。
周りも自分も仮面を被り、いつしか外せなくなってしまっているのはのは自分たちも同じだと思う。 -
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周りを警戒しなかったがために処刑されたイングランド最初の女王「レディ・ジェーン・クレイの処刑」。
描いているのは労働の崇高さと夫婦愛の美しさ、それとも亡き子に祈り悲しむ姿か。どちらにしても寂しげな印象を受ける「晩鐘」。
崇高なる血を濃くし続けた一族の咎を引き受けざる得なかった少年王「カルロス二世」。
幸福に満ちた時間を提供するために道化として他者の優越感の犠牲になる者の怒りを描いた「ラス・メニーナス」。
一つの平面としてなら違和感がないのに、複数は成立できない。本当は存在しているのに私たちが見えないだけだろうか「相対性」。
今回も中野さんの知識に唸った。 -
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合唱サークルでメンデルスゾーンを歌うことになり、その上大好きな中野京子さんということで興味を持ち購入。
無知であり初めはメンデルスゾーンとアンデルセンに接点があったこと、ジェニーリンドという歌手が実在することもしらなかったのでフィクションかと思うくらい、おとぎ話のようだった。
偉大な作曲家と作家が友人同士だったとは!
しかも1人の女性を巡って色々あって、、、。
中野京子さんの読みやすい文体でどんどん読めて、知識量にもいつも驚かされる。美術、音楽、歴史、中野さんが得意とするともが全て私のツボなのでついつい読んでしまう。
メンデルスゾーンの生い立ちも知れたし読んでよかった。 -
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[至宝、その楽しみ方]モナ・リザ、キリストの埋葬、ナポレオンの戴冠式......。贅を尽くした美術館中の美術館とも言えるルーヴルの代表作を、その成立背景や画家の歩みとともに解説してくれる作品です。絵そのものも収録されているため、美術に関して詳しくない人も手軽に手に取ることができるようになっています。著者は、面白い視点からの西洋絵画に関する著作を多く執筆されている中野京子。
肩肘張らずに絵画について造詣を深めることができる良作。(自分もそうだったんですが)「西洋美術と言われても何から手をつければいいかわからない」という方は、学校の授業で見たことがあるような作品がたくさん紹介されていることもあ -
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ベラスケスの『王子』に散見される“死”の予兆とは?
ヴィンターハルターの美しすぎる『皇后』の、その顔をよくよく見ると?
グリューネヴァルトの『祭壇画』の、痛々しい描写がもたらす“救い”とは?
肖像画に風景画に宗教画。絵画には色々な種類があります。画のタッチや使用した画材など、“美術の眼”で観るのも一つの見方ですが、“時代の眼”で絵画を観ると、見えてくるのは生々しくも悍ましい“現実”……?
運命、狂気、救済など8つのテーマごとに、『怖い絵』シリーズでは取り上げられなかった作品も含めて33点の絵画を解説した絵画ガイドブック。
予備知識無しで絵画鑑賞をして、見当違いの感動を抱くか。予