【感想・ネタバレ】怖い絵 泣く女篇のレビュー

あらすじ

名画に秘められた人間心理の深淵――。憎悪、残酷、嫉妬、絶望、狂気を鋭く読み解き、圧倒的な支持を得てロングセラー中の「怖い絵」シリーズ。文庫版だけの書き下ろしも収録!

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周りを警戒しなかったがために処刑されたイングランド最初の女王「レディ・ジェーン・クレイの処刑」。
描いているのは労働の崇高さと夫婦愛の美しさ、それとも亡き子に祈り悲しむ姿か。どちらにしても寂しげな印象を受ける「晩鐘」。
崇高なる血を濃くし続けた一族の咎を引き受けざる得なかった少年王「カルロス二世」。
幸福に満ちた時間を提供するために道化として他者の優越感の犠牲になる者の怒りを描いた「ラス・メニーナス」。
一つの平面としてなら違和感がないのに、複数は成立できない。本当は存在しているのに私たちが見えないだけだろうか「相対性」。

今回も中野さんの知識に唸った。

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2017年03月15日

Posted by ブクログ

673円

★再読

目次
作品 1  ドラローシュ『レディ・ジェーン・グレイの処刑』
作品 2  ミレー『晩鐘』
作品 3  カレーニョ・デ・ミランダ『カルロス二世』
作品 4  ベラスケス『ラス・メニーナス』
作品 5  エッシャー『相対性』
作品 6  ジェラール『レカミエ夫人の肖像』
作品 7  ブリューゲル『ベツレヘムの嬰児虐殺』
作品 8  ヴェロッキオ『キリストの洗礼』
作品 9  ビアズリー『サロメ』
作品 10  ボッティチェリ『ホロフェルネスの遺体発見』
作品 11  ブレイク『巨大なレッド・ドラゴンと日をまとう女』
作品 12  フォンテーヌブロー派の逸名画家『ガブリエル・デストレとその妹』
作品 13  ルーベンス『パリスの審判』
作品 14  ドレイパー『オデュッセウスとセイレーン』
作品 15  カルパッチョ『聖ゲオルギウスと竜』
作品 16  レンブラント『テュルプ博士の解剖学実習』
作品 17  ホガース『精神病院にて』
作品 18  ファン・エイク『アルノルフィニ夫妻の肖像』
作品 19  ハント『シャロットの乙女』
作品 20  ベックリン『死の島』
作品 21  メーヘレン『エマオの晩餐』
作品 22  ピカソ『泣く女』

中野 京子
(なかの きょうこ、生年不詳)は、日本の作家[1]、ドイツ文学者[2]、西洋文化史家、翻訳家[3]。北海道生まれ[4]。1979年、早稲田大学大学院修士課程修了[5][6]。オペラ、美術などについて多くのエッセイを執筆する。2007年に発表された『怖い絵』を端緒とする『怖い絵』シリーズが大ヒットとなる。新聞や雑誌に連載をもつほか、テレビの美術番組にも出演する[7][8]。早稲田大学講師[9][10]。『怖い絵』シリーズの刊行10周年を記念して2017年に開催された「怖い絵」展では、特別監修を務めた[11][12][13]。2021年9月に開催された「怖いクラシックコンサート」(東京文化会館)での解説[14]、2022年3月公演の舞台「怖い絵」の監修[15][16]、同年7月上映の「星と怖い神話 怖い絵×プラネタリウム」の監修・解説を担当した[17][18]。


解説
小池 昌代
(こいけ まさよ、1959年7月17日 - )は、日本の詩人、小説家、翻訳家。雑誌編集をしつつ詩作し、詩集『永遠に来ないバス』(1997年)で現代詩花椿賞受賞。川端康成文学賞受賞の『タタド』(2007年)で、作家としても注目される。ほかに短編集『ことば汁』(2008年)、『たまもの』(2014年)など。1959年、東京都江東区深川に生まれる。実家は祖父の代からの材木店。江東区立明治小学校・江東区立深川第二中学校・東京都立両国高等学校を経て(石田衣良と同級生)、津田塾大学学芸学部国際関係学科を卒業。小学校時代からピアノを習い、高校で初めてヴィオラを学び、のちアマチュアのオーケストラや弦楽四重奏団に参加した。


「ジャン・フランソワ・ミレー(一八一四 ~七五)は、北フランスの中農出身で、本来は家を継ぐべきだったが画家になりたくてパリへ出た。当時の人気画家ドラローシュ(作品 1『レディ・ジェーン・グレイの処刑』)に師事し、ロココ風の作品でサロン入選を果たすかと思えば、師匠を真似て歴史画にチャレンジし、失敗するなど紆余曲折の末、けっきょく都会とは肌が合わないのを見極め、三十代半ばで家族とバルビゾンへ移住した。  後に「農民画家」と呼ばれるようになるのは、ここで暮らすうち自分の描くべき対象をはっきり見つけて以来である。現代でこそミレー作品は「名もなく貧しく美しく」生きる人々への素直な讃歌として愛好されているが、発表当時はパリ二月革命後の社会主義思想への危機感もあって、芸術というよりプロパガンダ絵画と見なす人も多かった。  そうした賛否両論の渦には、片やゴッホが、片やボードレールがいる。ゴッホはミレーを神聖視し、ミレーの複製画を二十作も手に入れてせっせと模写し、自己流『種撒く人』も数点描いている。ゴッホにとって彼は画家としてばかりでなく、生きる上での師とも仰ぐ相手だった。貧しさに喘ぎながらも決して妥協せず、芸術に邁進した偉大な手本こそがミレーだった。  一方、ボードレールの貴族趣味的美意識には、現実をリアルに抽出した農民画は合わなくて当然だ。彼は、ミレーの画中の人物たちが「この世の富を奪われた哀れな我々こそが、この世を富ませているのだ!」と常に主張しているようで嫌だ、と公言している。」

—『怖い絵 泣く女篇 (角川文庫)』中野 京子著

「しかし彼が長年にわたって『晩鐘』に固執し、これをモチーフに山ほど作品を産み出し、それらの作品には見間違えようなく恐怖が織り込まれているという事実を見れば、やはり強い情動反応を惹き起こす何かが──たとえ万人と共有できるものではないにせよ──この絵にはあったに違いない。先端恐怖症の人間が、先の尖った釘や傘の先といったほんとうに危険なものから始まって、しまいには削ってもいない鉛筆や机の角にまで過剰反応するのに譬えられようか。砂漠に佇む骸骨としての『晩鐘』や、天にとどくばかりの巨大な遺跡としての『晩鐘』など、おそらくダリにしか思いつかない突飛なイメージがそれだ。  ダリはまた、『晩鐘』における土に突き刺さった鋤や手押し車も、明らかな性的表象だと主張している。ミレーのような宗教性の高い清貧の画家に対し、何たる侮辱かと呆れるべきであろうか?  いや、存外、「ミレーは十九世紀におけるもっとも矛盾した画家のひとり」というダリの言葉は正しいのかもしれない。あまり知られていないが、ミレーは農民画家になる以前、「女性の裸しか描かない画家」と見なされていた。それもエロティックな、時にポルノそのものの絵を描いていた(バルビゾンへ移住した後もまだ描いていたといわれる)。売れないと知りつつ農民の真実の姿だけを描き続けた、というのはゴッホの(いや、多くの人々の)誤解である。自ら農地を耕していたというに至っては、先入観からくる思い込みだ(妻が家庭菜園をしていただけ)。貧窮していたというが、それも九人もいた子どもが小さいころまでの話で、死ぬまで赤貧洗うが如しだったゴッホとは違う。四十代後半からは画商と高額で三年契約をしたり、浮世絵の収集をしたり、レジオン・ドヌール章を受賞したりもしている。」

—『怖い絵 泣く女篇 (角川文庫)』中野 京子著

「ゴッホといいダリといい、どこか異常性を秘めた画家の心をかき乱す何かが、ミレーの静謐な画面に埋もれているのだろうか?  その意味からもミレー像の修正が必要であろう。」

—『怖い絵 泣く女篇 (角川文庫)』中野 京子著

「「レオナルド・ダ・ヴィンチの才能に驚いた師ヴェロッキオは、それ以来、絵を描くのをやめてしまった」──この言い伝えは天才伝説というより、多分に真実を含んだものではなかったか。なぜなら現実に、これ以降のヴェロッキオ絵画作品は見つかっていないからだ。『キリストの洗礼』は怖い絵だ。同じ画面に、ありありと力量の違いを見せつける。技法や表現ばかりではない、努力だけでは如何ともしがたい、持って生まれた品格の差まで、ここには自ずからあらわれている。「一流の人間は、超一流の人間につぶされる」といわれる。二流、三流の人間は己の実力を知らず、超一流との差を認識できないため、相手と同等と思い込んだり、努力すれば追いつくと楽観したりして、つぶされるには至らない。しかし一流ともなれば、己の力もその限界もわかり、圧倒的天才を前にすると完膚なきまでに打ちのめされ、萎縮して才能を伸ばせずに終わる懼れがある、そういう意味だ。  ヴェロッキオには、年若い弟子の天才が痛いほどわかったのであろう。レオナルドの方はただ自然に立っているだけなのに、ヴェロッキオにしてみれば、雲つくばかりの巨岩にいきなり立ちはだかられたように感じる。もはや自分が絵画の分野でレオナルドと肩を並べることはあるまいと、見切りをつけた。まだ三十七歳だったのだから、傑作を生み出す可能性もなくはなかったのに、「つぶされた」。  とはいえ、幸いというべきか、ヴェロッキオの本分は彫刻家だった。そしてこの後も、彫刻の分野で一級の仕事を残している(もし彼も絵画一筋であったら、もうひとつの『アマデウス』が生まれたかもしれない)。工房も繁栄させ続けたし、レオナルドとの関係も悪化することはなかった。人物としては大きかった証しであろう。」

—『怖い絵 泣く女篇 (角川文庫)』中野 京子著

「 それはサロメが、未だ男と床を共にしたことのない無垢の乙女、清らかで穢れなき処女だったからだ。男たちは──ヘロデも護衛隊長も根は同じ──何も知らない少女に性的欲求はない、汚濁と無縁、と信じたがる。男と同じ欲望は、結婚して初めて生じるものと安心したがる。己の幻想の中に、少女を囲い込もうとする。  だからワイルドのサロメは、衝撃的なのだ。ぎらぎらした欲望の虜になった処女、一度も経験がないのに官能の歓びを先取りした娘、これは(男にとって)脅威であり、怪物以外の何ものでもない。だからサロメは殺されねばならなかった。  全くの話、男性側の勝手な幻想で殺されたり、死んで当然と思われては敵わないが、これは世紀末の歪な悪女幻想の一環であった。先に触れたように、サロメ図は十七世紀の終わりから世の関心を完全に失っていたが、二世紀を経て再び蘇えったのは、写実主義や印象主義にあきたらず、精神世界や神秘幻想に突き進んだ一連の象徴主義や幻想主義の画家たちが、題材を神話や文学に求めたことからきている。  とりわけ好まれたのが悪女たちで、男の血をすする吸血鬼女、魔術によって男を惑乱させる魔女、漁師を海へ引きずり込む人魚、美女の顔と胸を持ち誘惑し喰い殺す怪物スフィンクス、そして男の首を斬るユーディトとサロメ……。  人を殺めかねない危険な女性は、一面また大いに欲情をそそる存在でもある。男たちは、そんな女性の官能の虜になってみたいと思う。ただ困るのは、そんな女性の寿命である。官能は、いかんせん鮮度が落ちやすい。愛は持続可能だが、官能はほんの短い「瞬間」ときつく捩じり合わさっている。決して長続きしないのが、官能の定めなのだ。  よってサロメのように淫乱で悪徳の処女は、若いまま葬るに限る。」

—『怖い絵 泣く女篇 (角川文庫)』中野 京子著


「ホロフェルネスの物語という枠組みの中にある、美しい青年の新鮮な首なし死体を、ネクロフィリア(死体嗜好症)が密かに愛でていた可能性も……まあ、なくはない。  サンドロ・ボッティチェリ(一四四四 ~一五一〇)は、メディチ家という大パトロンを後ろ盾に、十五世紀後半のフィレンツェ美術を代表する画家として名声を馳せた。時代は血なまぐさく、その一方でまた燦然と美に輝いてもいた。この絵のように。」

—『怖い絵 泣く女篇 (角川文庫)』中野 京子著

「だからせめて想像してみよう。十七世紀フランドルの人々が、今日ただいま日本で持てはやされているヌードを見たらどう思うか、と。おそらく彼らは、瘦せこけた栄養失調気味の、ラインだけがあって幅も厚みもない、およそ豊穣という言葉からかけ離れた貧弱な裸のどこに美があるか、全く理解できないのではないだろうか。  つまりはそういうことなのだ。我々には大柄すぎ、肉が余分すぎ、官能と無縁に思えるこの三女神は、当時の鑑賞者にとっては目も眩む美女であった。胸の大きさより腹部のふっくら感、引き締まった筋肉より垂れるほどの脂肪が好ましいと思われていた。  ルーベンスの巧みな筆によって、そうした彼女たちの豊かな身体は独特の複雑なねじれを見せ、それによって柔肌の温もりや、さらには甘い芳香すら漂わせていたのだ。そして三人それぞれ異なったポーズをとっているため、あたかも彫刻を見るように、正面、横、バックと、三方向から裸体美を堪能することができた。  これが男性にとっていかに目の保養であったか、実は右端にいるパリスが証明している。描き変えられているのでわかりにくいが、二頭の羊のすぐ下に、いちど脚を描いて消した痕跡が残っている。  つまリパリスは興奮のあまり右脚を突き立てていたのだ。さすがにそれでは露骨で下品すぎると、ルーベンスは(あるいは注文主が)変更を加えたらしい。脚がもしそのままだったら、この絵のエロティックな雰囲気はいっそう濃厚の度を増したであろう。」

—『怖い絵 泣く女篇 (角川文庫)』中野 京子著

「いったいこの若者は、どれほどのことをしでかしたというのか?  おどろおどろしい響きの「自然の意志に反した悪行」とは、いったい何なのだろう?──現代人にはのけぞるしかないその大罪とは、マスターベーションのことである!  不健全な、即ち子どもを産むためではない不毛のエロスは罪とされ、それに淫しすぎれば頭がおかしくなると信じられていたのだ。クライストも時代の子だったから、「狂気は道徳の低さの結果」という見方に何ら異議を唱えていない。」

—『怖い絵 泣く女篇 (角川文庫)』中野 京子著

「『死の島』は、シュルレアリスムの画家たちにも多大な影響を及ぼした。そして今なお人気は衰えていない。  この絵の核が、小舟でも白装束でもなく、ひたすら島の造型にあると思い知らせてくれるのが、ギーガー(あの戦慄の SF映画『エイリアン』を生んだ美術家)による現代的解釈、いわば「新・死の島」とでも呼ぶべき作品(タイトルは『ベックリンへのオマージュ』)である。  こちらを見ると、ベックリンのオリジナルがいかにロマンティシズムをたたえていたかが、よくわかる。ギーガーの島にそんなものはいっさいない。彼の島は、糸杉を、つまり死そのものを、両腕に抱きかかえ、なおかつ自分は生きて呼吸し、生贄を吞み込もうとする、得体の知れない異生物だ。怖い。直接的に怖い。さすがにこの絵を居間に飾りたいと思う者はいないだろう。」

—『怖い絵 泣く女篇 (角川文庫)』中野 京子著

「ド・フリースをはじめとした著名な研究者たちや、数々の美術雑誌も同調する。「『エマオの晩餐』に見られるカラヴァッジョの影響」なる論文まで出た。本作が、同名タイトルのカラヴァッジョ作品と画面構成が似ているからだ。生涯に謎の多いフェルメールだが、これで若いころイタリアで修行していた可能性が強くなった!  二十世紀になって忽然とあらわれたこのフェルメールは、こうしてオランダ美術界の宝とされた。ヨーロッパ美術品を買い漁るアメリカの富豪に持ち去られぬよう、レンブラント協会(ブレツィウス博士が中心になって設立した)の資金援助を得て、ロッテルダムのボイマンス美術館(現ボイマンス・ヴァン・ベウニンゲン美術館)が、当時としては破格の大金五十二万ギルダーで購入。翌一九三八年、当美術館が開催した「一四〇〇年 ~一八〇〇年/四世紀間の巨匠たち」の目玉作品として、華々しくお披露目され、人々を感動させたのである。  これほど大々的とはいえないものの、他にもその後、陸続と「新発見のフェルメール」が美術市場にあらわれ、七点が画商の手を経てコレクターに渡っていた。あまり話題にならなかったのは、第二次世界大戦勃発のせいだ。誰も絵画鑑賞どころではなくなり、美術館は閉鎖された。  やがてオランダはドイツの軍門に下り、どの戦争においても必ず敗戦国になされる仕打ち、即ち、名画略奪(安く買い叩くのも含む)の憂き目にあう。国宝級の作品だけは、何とか守ろうと必死に隠匿したものの、多くが流出してゆく。中に、新発見のフェルメール作『イエスと姦婦』が、絵画愛好家として知られるナチスのゲーリング元帥の手に落ちた。」

—『怖い絵 泣く女篇 (角川文庫)』中野 京子著

「この『泣く女』が制作されたのは、大作『ゲルニカ』完成直後である。スペインのフランコ将軍と組んだナチ爆撃機が、バスク地方の無防備な古都ゲルニカを壊滅させた非道を糾弾するため、ピカソは反戦画に取り組んだのだが、制作過程をつぶさに写真におさめたのは言うまでもなくドラであった。たまたまそのときアトリエにマリー =テレーズがやって来たからたまらない。ふたりの女は互いに罵り合い、ついには『ゲルニカ』の前で壮絶なつかみ合いの喧嘩となった。噓かほんとか、「俺がほしければここで戦え!」とピカソがけしかけたからといわれている。  これでは誰だって泣かずにいられまい。  とはいえ一九三六年からの六、七年間が「ドラの時代」だったのは確かで、彼女をモデルに夥しい数の肖像画が生み出された。抽象ではなく具象によるスケッチでは、頰骨の高い端正な彼女の横顔や夢みるような眼差しが、いかにも愛情込めて描かれている。」

—『怖い絵 泣く女篇 (角川文庫)』中野 京子著

「ピカソにとってドラは、お高くとまった貴族趣味のオルガとも、若い肉体だけが魅力のマリー =テレーズとも全く違う刺激的なタイプだった。過剰な激しすぎる感情を持て余し、我と我が身を削る危うさを持つドラは「よく泣いた」(ピカソの言)。着飾った美しい女が顔を崩して泣くのだから、まるで顔が突然割れてそこから別の顔が出てきたような驚きを、さすがのピカソも感じたのだろう。『泣く女』シリーズを制作したくなったのもわかる気がする。  シリーズ中の最高峰がこの作品だ。わんわん泣く女への感嘆が伝わってくる。あまりに思いきり泣くので、哀れを誘うというよりその泣きっぷりに惚れ惚れしている。身悶えなどせず、何か顔だけで泣いている感じだ。ドラは捨てられることを予感して泣いているのだろうか。本人にとっては途方もない苦悩かもしれないが、どこか自分の悲しみに淫している気配もある。さんざん泣いた後は存外けろっとしそうでもある。ピカソ自身よく泣く男だったから、泣くことの浄化作用をよく知っていたに違いない。『ゲルニカ』では、殺された我が子をかき抱いて吠えるように全身で泣く母を描いたが、彼はそこに涙は加えなかった。加えないことで、真の悲痛を表現したのである。」

—『怖い絵 泣く女篇 (角川文庫)』中野 京子著

「 わたしは絵が好きだが、観るのが速い(恥ずかしい)。展覧会へ行っても、さささ ーっと、ごきぶりのように一巡し、気に入った絵があれば、改めて戻り、じっくり観る、ということをする。  友人と一緒に行った場合は、必ずはぐれるから、最初に、ばらばらに観ようと提案する。ただ、途中で、逆流してきたわたしと、彼あるいは彼女が、ばったり出会うこともある。そういうときは、ちょっと恥ずかしい。  あ、また会っちゃったね。  そういう気まずさもある。でもそれだけではない。絵を観るということは、極めて個人的な経験なのだ。  お互い、ただ、絵を観ているにすぎないのに、それぞれ、絵に、何か、絵以上のものを読み取っている。それが表情に(きっと)表れているので、素顔を観られたように恥ずかしいのかもしれない。  そう、素顔。絵に対面するそのとき、人の心は真裸になる。絵を前にして、何を飾りたてる必要があろうか。真裸と真裸の心が、展覧会をめぐる。その経験を机上で差し出してくれるのが、中野京子さんの「怖い絵」シリーズである。」

—『怖い絵 泣く女篇 (角川文庫)』中野 京子著

「 これから、この本の魅力について、語ることになるが、あまりに好きな本というのは、語りにくい。わたしはこのシリーズが大好きで、全巻を手元にいつも置いていた。  仕事に行き詰まると(いつもそうだが)、手にとって、ところどころを拾い読みする。絵を眺めているだけで想像力が刺激され、心が解放されていく喜びを感じた。  中野京子さんの文体が、わたしはたぶん好きなのである。これを書いている今、その文章の波長が、この文章に乗り移ってくるようだ。  著者の文章の特徴は、むしろ、言葉で書かれていないところにある(とわたしは思っている)。一見、論理的で無駄のない、理知的な文章だが、そしてその通りだとも思うのだが、意外にも長い波長を持っていて、人の心の奥深く、ひたひたと押し寄せ、しみとおる。  知識を書いても押し付けがましくなく、洗練されていて知的である。内容はけっこう重たいのに、ぐいぐい読み進めていくことができるのは、怖さの解答を容易に出さず、奥へ奥へと、ひたすら読者を誘うからだ。そのリズムは、まさに展覧会場を歩くテンポ。耳をすませば会場をめぐる、他者の靴音までもが聞こえてくるようだ。」

—『怖い絵 泣く女篇 (角川文庫)』中野 京子著

「 わたしたちは、自分自身をよく知らないように、自分が何を、絵から汲み出すのかを知らない。だからこそ何度でも、絵に新しく向き合うことができる。  怖い、というキーワードをシリーズ全体に通したのは、著者の卓抜な直感によるものだろう。  大人になるに従って、一応は経験が増えると、人生から、一つ一つ怖いものがなくなっていくような気がするが、実際は、どうだろう。わたしなどは、人間が怖い。ますます怖いが、それを見てみたいという欲望もある。これほど、人間の芯のところに響いてくる感情はない。生きること、それ自体が、怖いのだから。」

—『怖い絵 泣く女篇 (角川文庫)』中野 京子著

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2026年07月25日

Posted by ブクログ

面白い!!視覚的に入る怖さと、歴史的に入る怖さがある絵を丁寧に説明してくれるのが、絵に対する面白さを倍増させてくれる。
「これって怖くない絵じゃない?」と思っても、歴史的背景を含めれば「怖っ!?」となるのが楽しかった

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2026年03月30日

Posted by ブクログ

ひとつひとつの作品の視覚的な魅力に加え、知見を得ることで見える更なる魅力が発現できるのが凄く楽しくて、脳みそが喜んでいる感じがします。

特に印象的だったのは「エマオの晩餐」で、
解説を見る前と見た後では、確実にこの作品への見方が大きく変わりました。なんなら、自分自身の作品への見方の変化に対しても"怖さ"を感じます。

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2025年07月06日

Posted by ブクログ

面白かった。絵画の中のことだけでなく、歴史や時代背景も解説されており、とても楽しく勉強になりながら読めた。よく見る絵、初めて見る絵、それぞれの絵の秘密を知れて小さく心が躍る。ふとした時にもその絵のことを思い出したり考えたりして、充実した読書時間でした。中野さんの文章は面白くて惹きつけられる、どんどん読み進めてしまう。他の著作も読んでみたいです。

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2025年04月12日

Posted by ブクログ

ネタバレ

再読。
単に絵がホラーなだけでなく、
時代背景や寓意を読み解いた時ありありと感じる人間心理の深淵や恐ろしさ。
頭から中野京子先生の巧みな文章術に引き込まれた。
著名な作品を詳らかに分かりやすく書いてくれているので予備知識無しでOK。

レディ・ジェーン・グレイの処刑/絵画にハマるきっかけとなった作品。濃い解説に興味を深めた。

晩鐘/ダリの天才の度を超えた変人的な思想にちょっと引いた。

カルロス二世/近親結婚という代々繰り返してきた過ちの代償が全てカルロス二世にのしかかってしまったのが可哀想でならない。

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2024年08月21日

Posted by ブクログ

 洋画の絵解きをエッセイとして楽しめる本だ。シリーズものだが、私としてはこの本から入った。怖い絵というのだが、何が怖いのかをエッセイの中で明かしてくれる。
 私たちが恐怖を感じるのは説明のできない何かを感じたときなのかもしれない。理解不能の事実を突き付けられたときに恐怖は生まれる。本書で紹介されている絵画にはその意味での様々な意味不明が登場し、明かされていく。
 一つの作品をどのように解釈するのか、鑑賞するのかは個人の自由だと思う。ただミレーの「晩鐘」をダリが解釈した見方はどう考えても邪道であり、絶対そうではないと思う。しかし、その作品がそういう幻想を抱かせたのなら、少なくとも鑑賞者の心象は虚偽とは言い切れない。
 絵の怖さはさまざまな憶測を人々に想起させ、無責任に人をひきつけ続けることにあると感じた。

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2019年02月26日

Posted by ブクログ

歴史の勉強になる。中身が充実している。
趣味悪い類の本ではあるが、嫌いではない。
こういうものの言われや裏話は好き。

また、せっかちな自分にとっては、
ゆっくり絵画を鑑賞できて、歴史も学べて良かった。
やはり日本史より世界史が好き。

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2019年02月09日

Posted by ブクログ

表紙の「ジェーン・グレイの処刑」の解説からどんどん読み進めてしまう。絵の隅々まで描かれている内容そして絵が描かれた背景など、解説を読んで始めて知ることばかりでとても面白い。

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2018年06月17日

Posted by ブクログ

怖いよー。
でも面白いよー。
著者の博識と洞察力と文章力でとても興味深く読ませてもらった。
特に怖かったのはカレーリョ・デ・ミランダの『カルロス二世』
妙に生白い男が立っているだけなんだけど、初めて見たときゾクッとするほど怖かった。
その男の背景を教えてもらうとまたさらに怖い。

テレビやネットの演出感ありありの『心霊映像』を観るくらいならこの本読んだらいいのに...と思った。
怖いついでに歴史や想像力も学べる気がする。

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2017年09月02日

Posted by ブクログ

「怖い絵」を紹介した中野京子さんの人気シリーズ。今年は美術展も予定されているので楽しみ。副題が関係していない作品も多いように思いますが、内容は安定の面白さです。印象的なものだけ抜粋。

ベラスケス『ラス・メニーナス』
一枚の絵画に詰まった情報量。俯瞰して眺めたような構図が以前から好き。あどけない表情を見せる5歳のマルガリータ王女を囲う従者たちと、バルボラの隠しきれない怒りと哀しみ。

ジェラール『レカミエ夫人の肖像』
はだけたドレスと艶っぽい線の細さの裏に潜んだ、女性の死をも恐れぬ美への追求。見方は180度変化し滑稽さすら感じる。

ブリューゲル『ベツレヘムの嬰児虐殺』
恐るべき改竄の事実。

ビアズリー『サロメ』
少し前にワイルドの『サロメ』を読んでいたのでより思い入れがある作品。小説のなかのサロメは無垢で猟奇的、恐れを知らない少女のイメージが強かったけれど、ここでは成熟した女性の終生の姿だった。妖艶なサロメと彼女を抱える異形の2人の対比に目を奪われる。

ルーベンス『パリスの審判』
三女神とパリスのやりとりが一枚の絵から十二分に伝わってくる。

ドレイパー『オデュッセウスとセイレーン』
セイレーンの登場により起こる船上の恐怖と混乱。本作では一見美しくも映る人魚セイレーンですが、彼女たちの目的を思い出すと湧き上がるのはやはり恐怖。ギリシャ物語の名シーン。

ファン・エイク『アルノルフィニ夫妻の肖像』
計算しつくされた構図のなかに込められた契約のかたち。

ベックリン『死の島』
黒々とした島の前にぼぉっと浮かぶ白装束の後ろ姿。この世のものではない、見てはいけない世界を前にしている気分に。

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2017年06月20日

Posted by ブクログ

絵の考察といっても作品の時代背景や著者のバックボーン・題材となった作品群などの説明含めて解説されているので、美術史・宗教史・歴史など一気に勉強した気がするぐらい濃密な一冊。
解説読み終えると画家たちの絵での表現力に圧倒されます。
ベラスケス作「ラス・メニーナス」の中に描かれているベラスケス本人の表情が印象的。〝これを見てどう思う〟とその絵に対峙する者すべてに訴えかけているよう…

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2018年08月13日

Posted by ブクログ

ネタバレ

最後のピカソの泣く女、からの後書きが印象に残っている。

・絵についてもっと語ってみたくなる。
・このような本を読むと、知識がついたように錯覚するが、そういったものは忘れてしまう。一方、絵に向かう「まなざし」は残り続ける。

なんとなく納得してしまった。
何となく見るのではなく、この小物はどういう意味を持つのか、この人物だけ周りの雰囲気とマッチしていないがどうしてか、そんなことを考えながら絵画を鑑賞するきっかけとなればいいと思った。

絵が小さくて見難いのは文庫の弱点ですね。

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2016年04月27日

Posted by ブクログ

中野京子さんの「怖い絵」シリーズ。
今回は泣く女篇。
泣く女とは、ピカソの作品のタイトル。
あの、物凄い迫力で泣いている、いかにもピカソなキュビズム作品。

今回収録されている作品は22。
有名な作品が多い。
ちょっと挙げると、ドラローシュ、ミレー、ベラスケス、エッシャー、ブリューゲル、ヴェロッキオ、ピアズリー、ボッティチェリ、ブレイク、ルーベンス、カルバッチョ、レンブラントなどなど一度は耳にも目にもしたことのある芸術家の数々。

正直、前に読んだ「怖い絵」の方が作品に隠された怖さとしては面白さが上なようにも思えるけれど、こちらはこちらで十分楽しめる。

ドラローシュ「レディ・ジェーン・グレイの処刑」
カレーニョ・デ・ミランダ「カルロス二世」
これらの歴史上の人物を描いた作品を観ると、まるで一冊の歴史書を読んだかのように感じる。
もっと深く知りたいと思わせる。

ブリューゲル「ベツレヘムの嬰児虐殺」
ヴェロッキオ「キリストの洗礼」
ピアズリー「サロメ」
ボッティチェリ「ホロフェルネスの遺体発見」
これらのような宗教画は、聖書を読みながら観てみたいと思う。

絵を観るとき、何の予備知識も持たずに、綺麗だなあとか凄いなあとか言いながら眺めることは、それはそれで楽しいことだと思う。
でも、もしその作品に隠された物語を知っていて観ることがあったら、今迄特に思うことなく通り過ぎてしまっていた作品であっても、心に何かを感じるのではないだろうか。
作家であれば、自分の思いを残らず文章することが出来る。
でも、芸術家と呼ばれるひとたちは文字を用いずに表現するしかない。
表立って言えないことや、社会情勢といったことを作品に載せているとしたら、言葉にならない言葉を聞きたくなる。

いつか本物の作品をこの目で観ることがあるといいなと心から思う。

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2015年10月27日

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●1日の終わりを告げる晩鐘。耕作地で祈る夫婦。足元に置かれた手籠。いや、籠ではなく棺では?●現代技術でも修復できない。ベツレヘムの虐殺を描いた傑作。誰かの命令で手を加えざるを得なかった無名作家の気持ちを慮る。●近親交配の繰り返し。濃くなり過ぎた血に唯一の後継者となった少年王が受けた咎。…怖いのは絵そのものよりも描かれた背景。歴史を知る。世界を知る。人体解剖がショーになり、精神病棟が見世物に、障害者は慰み者にされる。そんなゾッとする時代もあった。人はそもそも怖いもの?絵画が残されてることに優しさも垣間見る。

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2025年08月14日

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どの作品も印象的で、どんどん読めてしまいました。
本当に中野京子さんの本は面白い!!
最後の「泣く女」は読む前から知っていてもハッとさせられる絵だと思いました。ドラマールとの関係は激しくも終わったけど、そのことは後世にこのような傑作を残してくれたことに繋がり、複雑だけど、人間味のあるアートで面白いと思いました。

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2025年04月17日

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前に読んだのが面白かった本シリーズ。語りの妙によって、何となく絵の描かれた背景まで理解出来たように感じられるのが良い。ある意味、個人的ホラー特集の一環かも。

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2023年09月14日

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こういった絵の解説?というようなものは今まで手を出したことのないジャンルだった。だけどBOOK・OFFの端にいたのにも関わらず、えげつない存在感を醸し出していたこの本に思わず手が伸びた。
自分自身の好きな絵はルドンの「キュクロープス」(夜に見ることは勧めません)だったり岡本太郎の「明日の神話」だったりで、そういった奇妙で恐ろしさも感じる絵に目が釘付けになる。そんな自分からしたらこの本のタイトルと表紙に引かれないはずがないのだ(実は中学生?とかそれくらい昔にも表紙とこのタイトルに引かれた経験あり。その際は怖くて買えなかった)

他の積読作品たちを押し退けて即座に読み進められたこの本は、作者の図ることの出来ない幅広く、そして絵という部分に至っては素晴らしいくらいに深く練られた考えによって、飽きることなくじっくりとページをめくってしまった! 正直、読書数稼ぎで流して読もうなんて思っていたのに、読み返すわ、前のページに戻るわ、熟読するわで途方もない時間をかけてしまった。が、後悔なし!
解説の方が書かれてたように、この本は「絵そのもの」が怖いのではなく、作者の書き方によって絵を怖く見ることが出来る。
はじめは「何でこんな絵が怖いんだ?」と思って文章を読み進めていくと、怖い怖い怖い怖い。と少しずつ背筋がひんやりとしてきて、もう一度絵のページを開く(もちろん恐る恐る) 怖い!!! 
さっきまで全然怖くなかった絵が、めっちゃ怖い!
もう今日は寝れなさそうだ、よしもう一ページ読もう。なんて事で、かなりの分量でしたが(読み返したせい)短い期間で読むことができました。
どうやら他にもこの「怖い絵」シリーズはあるみたいなので、合間合間で他のも読んでみようかなぁと思いました。

新たな知見に満ちた本! かなり好きです!

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2022年01月19日

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2021.2.9
作品も解説も面白く気に入ったもの↓
ベツレヘムの嬰児虐殺、キリストの洗礼、
アルノルフィニ夫妻の肖像、死の島、エマオの晩餐

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2021年02月09日

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絵の解説(構図や技巧について)だけでなく、時代背景と絡めた説明、モデルになっている人物についての考察なども書かれていて、非常に興味深かったです。あと、著者がちょいちょい毒舌なのも面白かった(笑)。

描く側(画家)のお話もなかなか面白かったなぁ。「ルーベンスってそんなに恵まれてたんだ~(天にえこひいきされた幸運の画家、ですって)」とか、「ピカソってクズだったんだな・・・(女性の扱いがひどすぎて引いた)」と思いながら読みましたよ。

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2021年01月23日

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ネタバレ

シリーズ2作目を手にしました。

「怖い絵」で感じた「絵」の見方に付け加えて、「絵」を見ることの楽しさを教わった気がします。

今まで興味がなかった美術館に行きたいと最近になって強く思うようになりました。

少なからず影響を受けているのだと思います。

世界中の人々を虜にする名画との出会い。

本物を目にした時に自分がどのように感じることが出来るのか。

何を感じ、何を思うのか。

答えを探しに足をのばしてみようと思います。

説明
内容紹介
名画に秘められた人間心理の深淵――。憎悪、残酷、嫉妬、絶望、狂気を鋭く読み解き、圧倒的な支持を得てロングセラー中の「怖い絵」シリーズ。書き下ろしを加筆してついに文庫化!
内容(「BOOK」データベースより)
散る直前の匂いたつ美しさ、「レディ・ジェーン・グレイの処刑」―彼女を死に追いやった陰謀とは?フェルメールの知られざる宗教作品、「エマオの晩餐」―世界の美術市場を震撼させた事件とは?近親結婚くり返しの果て、「カルロス二世」―スペイン・ハプスブルク家断絶の過程は?憎悪、残酷、嫉妬、絶望、狂気、妄想…。名画に秘められた人間心理の深淵を鋭く読み解く22の物語。書き下ろしを加えてついに文庫化。
著者について
北海道生まれ。早稲田大学講師。専門はドイツ文学、西洋文化史。著書に『名画で読み解くハプスブルグ家12の物語』『名画で読み解くブルボン王朝12の物語』『危険な世界史』『「怖い絵」で人間を読む』などがある。
著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
中野/京子
早稲田大学講師。ドイツ文学、西洋文化史(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

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2020年07月31日

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美術館で絵を見ても「この時代はこういうのが流行ってたんだな」とか「これは私好みじゃない」とか、それぐらいしか感想が湧かないのがもったいないと常々思っていました。
本書のように歴史や風俗を掘り下げ、絵の背景にあるものを推理・考察してゆけたら・・・と思わずにはいられません。美術鑑賞が100倍面白くなると思います。
私が今まで実際に目にしたことのある絵も数点含まれており、その時に知識がなく素通りしてたと思ったら悔しくて悲しい・・・

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2019年03月05日

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上の森美術館の怖い絵展に行く前に読みました。本と展示作品はあまりかぶっていなかったように思います。美術館は大人気でゆっくり見ることができないうえに解説が短いので個人的には本の方が楽しめたように思います。ただ、絵の細かな部分に関しては文庫本のため見えにくいところもあります。

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2017年12月07日

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名画に潜む「怖さ」を扱った一冊で、22枚の絵にそれぞれ短い物語のような解説が添えられています。絵の背景にある歴史や人物の事情が丁寧に示されていて、ただ眺めるだけでは気づけない視点が自然と開けていく感覚がありました。

スペイン王家の血統を守るための近親婚の話など、静かに読んでいても思わず身が引き締まるような内容もあり、絵の印象が一気に変わるのが興味深かったです。

特に印象に残ったのは、表紙にも使われている「レディー・ジェーン・グレイの処刑」。白い衣装の明るさと、これから起こる出来事との落差が強く、しばらく目が離せませんでした。

以前は時々美術館に足を運んでいたのに、最近はすっかり間が空いてしまっていました。この本を読んで、また実物の絵を見に行きたいという気持ちが静かに戻ってきた気がします。絵を見る時間を久しぶりに作りたくなる読後感でした。

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2026年02月28日

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エッシャーの『相対性』のパラレルワールド的な表現に魅了された、確かに怖い
それから『ガブリエル・デストレとその妹』の生前のガブリエルのバックグラウンドと絵に込められた暗喩がマッチして面白い
ハントの『シャロットの乙女』は一目見て好きだって思った絵、背景を聞くと尚更好きだと思った、なんで男の理想に付き合わなかんねん

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2022年04月19日

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シリーズ2作目

表紙絵は衝撃的な「レディ・ジェーン・グレイの処刑」
彼女を含む時代背景も恐ろしいけれど、表紙絵の右横に
隠れているけど、斧を持った男がいる。
ギロチンが出来る前だからね・・・斧で斬首すると・・・

一流の人間は、超一流の人間に潰される。
レオナルド・ダ・ヴィンチの才能に驚いた師は
絵筆を折ったというのは、そう言う事か・・・
他にも、香水のそもそもの使い方とか、色んな蘊蓄やら
小ネタも満載で、怖い絵展を観てない事が今更ながら悔やまれます

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2022年03月27日

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2017/0918
いろんな意味を含んだゾクゾク感を味わいたくて購入。
装丁のインパクト!
読んでみたら中野さんのサクサク通る文章と絵画の深さ?にぐいぐい惹き込まれて、どんどん読んでしまう。
一作品の解説ページ数がちょうどいいのもあるかな
掲載されている絵のサイズが小さいのが見辛いけど仕方ないやな。
携帯で絵を観ながら読んだりしました。
目の前で観ながら解説を聞いたら更に楽しいだろうなぁ、美術館行きたくなる。

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2017年09月18日

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やっぱり文庫だと絵が小さい。
一見しただけでは分からない絵の来歴やシンボルが分かりやすくて面白いです。

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2016年04月10日

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その絵に隠された秘密を知ったら、もう平静ではいられない。

説明されなくても怖い絵もあるけれど、秘密を知って怖くなる絵も多い。また、それを描いた画家の心理を考えると怖くなるというのもある。超有名作からどこかで見たことあるかもという作品まで、ガイドとしてなかなか面白いシリーズ。

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2015年12月31日

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ただボケーっと眺めてしまうような絵でも、実は恐ろしい背景があったり、考えると怖くなったり…((((;゜Д゜)))どきどきしながら読みました。

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2015年09月17日

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