中野京子のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
マリア・シビラ・メーリアン。
ダブリン大学の蔵書に関する勉強中、不意に出会った女性。
ドイツではお札の顔にまでなっているとのことだが、日本ではこの手の分野は、ファーブルおじさん一択である。
ボタニカルアートが好きで、魅入られるまま関連書物を検索すると、なんと中野京子大先生の著作。読むしかなかった。
人生というものは、”そうなるようになっている“というのが私の持論である。マリア・シビラの人生も、幸、不幸を問わず、すべてのことが、少女を“虫を描く女”へと変容させていく。偶然に見せかけた神のお導きであろう。
マリア・シビラの人物像は、地味でひたむき。自分が信じたものに言葉少なく、それでも恐ろしいエネルギーで取り組んでいく。また不思議なのは、取り立てて美しくもなく、社交的でもないのに、センスが良い、大胆でビジネスも上手い。現代の昆虫図鑑は、彼女から大きく影響を受けたと言っても過言ではないほど、学者としても優れている。
父親の遺言、「おまえはメーリアンの娘」
を実証し切った。まさにイモムシ、実はアゲハチョウ!といった女性なのである。
彼女の作品の魅力は、中野先生が語るように、自然に対する素直な尊敬と畏怖の心である。この時代、花や虫を美しく描いた作品はいくらでもあった。だが、根本的な生物学的誤解があっただけでなく、寓意画のように人間の妙な概念を生物に塗り込めた、”生きているようで死んでいる”作品が多い。しかし、マリア・シビラの昆虫たちは画面上で、もそもそ動き、孵化や脱皮を乗り越える息吹を観者に与える。
花が開いているのに葉が枯れていたり、植物より圧倒的に繭玉が大きかったりと、1つの画面に見たものすべて織り込んで、生物の成り立ちをダイナミックに伝え切る作風も圧巻である。
さらに彼女の人生で面白いのは、バリバリのキャリアウーマン、でも働かない夫からDVを受け(たと思われ)、コミュニティに身を移す。しかもこの時代において離婚にまでこぎつける。妙に現代社会的なのである。
そして、さらには・・・。
それにしても時代を的確に読み手に伝える中野先生のテクニック、そして主人公の心の変遷を嗅ぎ取る力に、毎回、敬服する。客観的で出過ぎた姿勢がない、時代を映す額縁に徹している。
実はこの著作、大ヒット作「怖い絵」前のもの(復刻版)。
名画の歴史をヨーロッパの歴史とともに丹念に描き続ける中野先生、ある意味、あなたもメーリアン!
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Posted by ブクログ
写真で見たあの美しい姿に憧れ、行ってみたかったホーエンツォレルン城に、コロナ以前のとある年の8/1に行ったのですが、観光客はまばらで、逆にビックリしたのを覚えてます(お城は超おすすめ )
このホーエンツォレルン(南ドイツ )とプロイセン(と言えば北ドイツ )の繋がりも全然知らないまま生きて来て、
知ったら知ったで、なんでこの2つは繋がってるの?と言うのの答えがこの本に書いてあり、読んですっごくスッキリしました。と言うか、最後のページまで読んでまたすぐに最初から読み返してしまいました。
ドイツやヨーロッパを旅行した人はよく分かると思いますが、今のような交通手段が発達してない時代に、これだけの広大な領地を、鳥瞰図の如く支配してきた先人たちってマジ凄すぎる。
代々の主人たちは、それぞれ癖もありその時々の難題や時代背景などもあったので、一律並べて比べるものでは無いと思います。ただ、みんな頑張って生きてきたからこそ、今でも素敵な絵画が残され、お城が再建され大切に守られて、空いてても観光客が来ているんだなぁと思います。(ノイシュバンシュタイン城だけがドイツのお城じゃないよ! でも、知っている人にこそ来てもらいたい気持ちにもなったり )
高校生の頃にこの本に出会っていたら、世界史の成績もっと良かっただろうなぁと思ったり、大人になってから読んだからこそ分かるものもあるんだろうなぁとか、色々と思いを巡らせる事が出来る一冊です。 -
Posted by ブクログ
これは面白い。フェルメールの絵についての造詣が深まるのも嬉しいが、何よりも17世紀のオランダの黄金期の背景を知るための歴史書として秀逸である。当時のオランダには2,000人もの画家がいて、500万点以上の絵画が流通していたというのは凄いことだ。そして当時のオランダが、男の識字率が57%,女の識字率が32%という周辺国ではダントツであったこと。ヨーロッパ中の船舶の半分以上をオランダが持っていたというのだから…
チューリップバブルも球根一つで家が2軒買えたというのだから凄いことだ。そしてそれらのことが当時の絵画の背景になっているのだ。そんなことがわかってくると、当時のオランダの絵画が興味深く感じるのだから、この本は読んだ方がいい。