中野京子のレビュー一覧
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美の基準は人それぞれである。そのため、中には、「えっ、これが美?」と驚く絵も。
「醜い公爵夫人」マサイス
タイトルについている通り、美しくない!いや、美の基準は様々だから、美しいと感じる人もいる?
「ゾフィ大公后」ヨーゼフ・カール・シュティーラー
ハプスブルグ帝国の有名な皇后、エリザベートの姑だ。エリザベートにイジワルをした悪役認定されがちだが、個性的なヘアスタイルはさておき、美人でしっかり者の印象を与える。覇気のない夫ではなく、英邁な自分の息子フランツ・ヨーゼフに皇位を継がせようと考えるくらい、国の事を想える女性だった。
「サラ・ベルナール」アルフォンス・マリア・ミュシャ
ウィーンに行くとミュシャのポストカードが至る所で売っている。一度見たら忘れられない特徴的な絵。画家の経験もないミュシャが大抜擢で大女優サラ・ベルナールのポスターを作った所、大ヒット!
「モンテスキュー伯爵」ジョヴァンニ・ボルディーニ
プルースト『失われた時を求めて』のシャルリュス男爵のモデルになった人物。スティッキを持った姿はダンディなおじさまそのもの。
「デヴォンシャー公爵夫人」トマス・ゲインズバラ
ダイアナ后の遠い祖先。生き方も似ていて、夫とは不仲でダブル不倫。
「シャネル」マリー・ローランサン
絵画を依頼したものの、ローランサンの描くシャネルは色調からして暗かったために、送り返されてしまう。
「ユーディトと侍女」アルテミジア・ロミ・ジェンティレスキ
国を救うために美人局で将軍を殺した烈女。ジェンティレスキの描く彼女は美しいというより、たくましい。 -
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「星たちを引き連れた夜」エドワード・ロバート・ヒューズ
表紙絵に用いられている謎めいた女性は、夜の女神。抱えているのは幼い赤子だが、現世では亡くなっている設定。しがみつくのはキューピッド。青が基調の優しい絵だ。この絵で描かれているのは慈愛。
「テルモピュライのレオニダス」ジャック・ルイ・ダヴィッド
映画『300』で有名な、ペルシャ兵にわずか300の兵で立ち向かうスパルタ王レオニダス一世。中野さんの著書で何度も登場している。レオニダス一世はオールヌードなのに正面向き。見ているこっちが恥ずかしい。周囲ではボーイズラブの濃厚な場面が繰り広げられている。死地に向かう戦なので愛も燃え上がる?
「フリードリヒ二世とヨーゼフ二世の会見」アドルフ・フォン・メンツェル
ロシア&フランス&オーストリアの女性三人がタッグを組んだ、名高いペチコート作戦で苦しめられたフリードリヒ二世が、あろうことかそのペチコート作戦の一人、マリア・テレジアの息子ヨーゼフ二世から敬愛を捧げられる場面。若きヨーゼフ二世は、老獪なフリードリヒ二世にたやすく篭絡されてしまう。ちなみに、映画『ヒトラー最後の10日間』では、ヒトラーがフリードリヒ大王の肖像画を地下壕に飾っていた。いや、やってることは全然違うが。
「ロミオとジュリエットの遺体を前にしてのモンタギュー家とキャピュレット家の和解」フレデリック・レイトン
なんだかラストの粗筋をそのままタイトルにしたみたい。有名なロミオとジュリエットの死の場面。ロミオに殺されたパリスが絵画でも思いっきり邪魔者で不憫。
「バッカスとアリアドネ」ティツィアーノ
祖国を裏切って迷宮を出してあげたのに、その相手テセウスに逃げられたアリアドネに、酒神バッカスがフォーリンラブした瞬間をとらえたもの。バッカスはどちらかというと酒好きのいいかげんなイメージがあるが、年齢差のある(神対人間だから)夫婦仲は良かったとか。 -
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文芸春秋で連載しているシリーズ。欲望というタイトルがついているが、必ずしも絵画から欲望が感じ取れないものも。かなり強い欲望でないと、表情に現れにくいのかも。
ドラクロワ「怒れるメディア」
劇的表現が得意なドラクロワらしい、色彩も鮮やかな色ばかりを使った場面。但し前情報もなくこの絵画を見た人は、全く逆の状況を想像したとか。幼子二人を守ろうとする母、ではなく、その逆。映画にもなった『王女メディア』。
ミレイ「オフィーリア」
これも有名な絵画。ミレイとくればこの絵が浮かぶのでは。欲望というより、ハムレットに振られて全ての望みを捨てたオフィーリアが水底に沈んでいく瞬間を描く。
ピアズリー「サロメ」
全然美人に見えないサロメ。新約聖書の一エピソードを、ヨハネとその首を所望するサロメの愛憎物語に置き換えたオスカー・ワイルドの舞台劇。
ラトゥール「ポンパドゥール夫人」
ペチコート作戦でフリードリヒ大王を包囲したにもかかわらず、ロシアのエリザヴェータの死によってとん挫する。公式寵后だったルイ15世よりも有名人。賢かったためあちこちに目配りができたバリキャリ。
ホルバイン「ヘンリー八世像」
この人こそ欲望の塊。結婚のためなら宗教も作り国を危機に陥らせることもいとわない。エリザベス女王の父。
メンツェル「フリードリヒ大王のフルート演奏」
軍事的にも為政者としても有能だったフリードリヒの趣味は音楽。だがその腕前はさほどでもなかったようで、というのが絵画から見て取れる。
ルソー「フットボールをする人々」
ルソーのへたうま絵はなごみますなあ。人の顔の向きがてんでばらばら。 -
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近代から現代までのイギリスの歴史が絵画や資料を見ながら学べる。
シェイクスピアや演劇などでイギリスの歴史に触れる機会が増えたので、勉強になった。
例えばロンドン塔に幽閉される話がよく出てくるが、単独の塔ではなく、広い城塞(掲載されている写真がわかりやすい)なんですね。(行ったことあるけど忘れている。。)
絵画や写真がカラーで見れるので鑑賞にもよい。
しかしイギリスの歴史、劇的で面白いけどややこしい。。覚えられない。。
p8
「(ロンドン塔は)頑丈な城壁に囲まれた十八エーカー(七ヘクタール強)の広い城塞であり、大小十三もの塔を擁するところからこう呼ばれるようになった。正式名称は「女王陛下の宮殿にして要塞」」
p11
「ロンドン塔最後の収容者は、なんとヒトラーの片腕にしてナチスの大物ルドルフ・ヘス」
p58
「処女性のシンボルたる真珠」
p63
「まずは先延ばし。すると運は良き方向へ進みだす」
p66
「(エリザベス1世の)この荒ぶる魂と鋭い知性の混じりあいが国庫を潤し、イギリスに最初の黄金期をもたらしたのかもしれない。何しろ海賊に出資して、上前をはねるといった驚きいった手法なのだ」
「(フェリペ二世)が南米でやっていることは強盗なのだから、強盗から少々盗んだとて何が悪かろうとの論理である。(中略)(ドレークら)がイギリスへもたらした富は、それまでの年間国家予算の数倍を超えたと言われる」
p71
「結婚を通じてイギリスを手に入れようとする王や王子たちは、自分のものになるかもしれない国を戦で荒廃させたくないので攻めてこない」
「老年になってから自分よりはるかに年下の愛人を何人も作ったり、」
「自らの意思で王朝を閉じる」
「メアリ・ステュアートの一人息子ジェイムズをイギリス王にする」
p100
「(クロムウェルは)アイルランド人の土地を奪ってイギリス人入植者に与え、徹底的に収奪した。これが現在に続く北アイルランド紛争の元凶なのだ」
p107
「(チャールズ二世の)政略結婚の相手ポルトガル王女は、多額の持参金と紅茶、さらにインドのボンベイ(現ムンバイ)の領有権までイギリスにもたらした(これが後のインド支配へつながってゆく)。ロンドン・ペストの災厄(死者七万人と言われる)と、続く翌年のロンドン大火(旧市街の五分の四が消失)」
p109
「ロンドン大火は一六六六年、明暦の振袖火事は一六五七年。ほぼ同時代の惨事であった」
p128
「(南海泡沫事件は)「「バブル」の語源となった有名な事件で、ニュートンが大損し、ヘンデルが大儲けしたことでも知られる」
p166
「実は奴隷売買の中心を担い、もっとも利益を上げていたのはイギリスだった」
p178
「(ヴィクトリア女王の夫アルバートは)世界初の万国博覧会を大成功させている。一八五一年のロンドン万博がそれで、五カ月間で延べ六百万人の来場者を集め」
p180
「ドイツの習慣だったクリスマスツリーがイギリスに拡がった」
p209
「十九世紀後半はイギリス、ロシア、オーストリアの三大国で世界の半分近くを支配し」
p210
「どの国の君主も五カ月後のクリスマス前には戦争(第一次世界大戦)終結と信じていた。(中略)アメリカの参戦でようやく終わったのが四年後。終わってみれば、ハプスブルグ、ロマノフ、オスマンの大王朝、そしてドイツ帝国(ホーエンツォレルン家)、バイエルン王国(ヴィッテルスバッハ家)、その他、弱小の君主国家は全て消滅していた(中立をとったスウェーデン、デンマーク、ノルウェーの北欧三王国は今も王室が残る)」
p211
「第一次世界大戦は「いとこたちの戦争」」
「親戚から奪うしかなくなった」
「プロテスタント諸国(イギリス、ドイツ、ロシア)のトップは親しい従兄弟同士」
p214
「ヴィクトリア女王夫妻がふだんドイツ語で会話」 -
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17世紀初頭のイタリアを生きたカラヴァッジョ。
余りある才能を持つ天才画家ながら、破天荒。
成功と破滅、逃亡の38歳の生涯を、その作品と共に語る。
・カラヴァッジョの生涯と代表作
・カラヴァッジョが辿ったと思われるルート
・ペスト時代の少年 ・ローマへ ・顔 ・少年たち
・メドゥーサ ・暴力三昧 ・成功 ・ルーベンス
・娼婦たち ・殺人 ・ナポリ ・マルタ島
・聖ヨハネ ・脱獄 ・終焉
・あとがき
主要参考文献有り。
カラヴァッジョの生涯と作品についてを丁寧に描き、
更に、その時代の事件、関連する場所や主題を描いた
画家などの作品をも対比的に紹介している。
幼少期の不条理の体験からの怒りが内在され、
同時に、見たい描きたいの貪欲さ。
富裕のパトロンを得、傑作は話題となり、
教会等に飾られ、バロック芸術を花開かせた、光。
反面、共にある暴力の衝動は、闇。
殺人を犯しての逃避行。マルタ騎士団に入団するも、
更に罪を重ねての投獄と脱獄。
ローマへ行きさえすれば・・・そして、その直前の死。
この時代での光と影、迸る血の色の赤さを体現し、
筆に託した画家の、生き様の凄まじいこと。
詩人ランボーや中原中也の生涯が、ふと脳内を過りました。 -
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ツヴァイクの大作の下巻。下巻に入る時点ですでに革命は起こっていて、下巻300ページで描かれるのは王室の没落と政治的な動き。その混乱の渦の中でマリーアントワネットがどのように暮らしていたのかという部分はこれまで知らなかったことなので、とても興味深く読んだ。
年表で見れば数ヶ月のことでも、その間彼女がどんな環境で、どんな想いで暮らしていたのかが細やかに描かれていて、同情をせずにはいられない。ここで描かれる女性は、最後まで精神を強く持ち、自分の頭で考え、罪のない人たちを守る、成熟した女性。上巻とのコントラストが素晴らしく、ああ彼女は頭が空っぽの快楽主義者だったのではなく、単に若かっただけなのだ、本当は聡明で強い女性だったのだと思い知らされる。
フェルゼンとマリーアントワネットの関係が妙に恋愛タッチで描かれていることに抵抗がある人も多いみたいだけれど、こればかりはわたしたちには真実はわからないので、話半分に読むのがおすすめ。
それにしても革命というのは名ばかり立派なもので、ひとりひとりの命がどんなに軽々しく扱われていたのかと、人間の愚かさを突きつけられる。残虐な描写もあるので読んでいて楽しい気分になる本ではないけれど、読んで良かったと思う一冊だった。 -
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カラヴァッジョの絵画を見に行くことが、イタリア語学習のモチベーションです。
光と影の強烈な対比、ドラマチックな場面、『バッカス』『病めるバッカス』のようなゾクゾクするような目を向けてくる作品が好きです。
『聖マタイの召命』はババーン!!と光の効果音が聞こえるようです。この作品のイエスはとても男前です。
カラヴァッジョ作品を見るとエネルギーが湧いて来るのですが、今仕事がここ数年で最高に忙しくてしんどいせいか、ややキツく感じました。不思議。
カラヴァッジョと比較して登場するルーベンスの作品の方が今の私にはじわーっと染み込み、しっくりきました。
光と影の対比は強くなく、色彩も暗めの『キリスト埋葬』。美しいです。
カラヴァッジョの晩年(といっても38歳で亡くなるので若いです)の作品は逃亡中の色が濃いです。
「薄塗り且つ早描きの度を増し」、「画面の多くを黒で塗りつぶせば早く仕上がる」だろうと背景色が黒い作品が増えてきます。
人生が反映されているような作品を観ると、カラヴァッジョを後ろから眺めているようで面白いです。
やはりいつか生で作品を見て、強烈な光に射抜かれたいです。イメージは『法悦のマグダラのマリア』! -
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ネタバレ時系列順に1名ずつ絵画とともにエピソードが紹介されているのが分かりやすくてよかった。
同じ名前の人が多いのでややこしくはあるが、あだ名やエピソードどあわせると「人」としてイメージが湧きやすい。
フィレンツェに行ったことがあるので、印象に残っていた絵画もあり懐かしい気持ちになりました。また、よくここまで美術の発展に貢献し、作品たちをフィレンツェに留めておいたなと思いました。
ルネサンスの作品が特に好きなので、関わりの深いメディチ家のことが知れてよかったです。
後継者が途絶えていたことは知っていましたが、最後数代はこんなあっけなかったなんて、、、