17世紀、ゴシック期のドイツに生まれたマリア・メーリアン。
彼女の虫を愛で、描き、探究する、波乱の、不屈の人生を
精密で美しい作品を添えて紹介する。
・はじめに
第一章 フランクフルト時代(~18歳)
――小さき虫に神が宿る
第二章 ニュルンベルク時代(~38歳)
――科学と芸術の幸福な融合
第三章 オランダ時代(~51歳)――繭の中で変化は起こる
第四章 スリナム時代(~54歳)――悦びの出帆
第五章 アムステルダムでの晩年(~69歳)
――不屈の魂は何度も甦る
・あとがき ・主要参考文献 ・復刊に際してのあとがき
「すごい博物画 歴史を作った大航海時代のアーティストたち」
デイビッド・アッテンボロー/著 グラフィック社で
初めてマリアの絵に出合い、驚き、興味を抱いて探した
「マリア・シビラ・メーリアン作品集 Butterflies」
グラフィック社で、彼女の作品を堪能していました。
で、更にマリアの人生が知りたいと思っていたところ、
復刊したのが、この人物伝でした。
著者ならではの、マリアの人生の歩みを辿りながら、
彼女の内面や心理を深く探ってゆく内容になっていました。
時は17世紀。メーリアン出版工房を営む父の後妻の娘に
産まれたマリアは、心身共に複雑な家族関係の中で育った。
だが彼女は虫に出会う。虫愛でる娘は、
蚕の飼育から虫のメタモルフォーゼを知る。
亡き父の出版工房と義父の絵画工房での学びも、彼女の基盤に。
結婚後、フランクフルトからニュルンベルクへ。
処女画集「花の本」出版。第二作目「虫の本」出版。
夫との別居でフランクフルトに戻り、
次兄の影響でオランダのラバディストのコミューンへ。
そこでスリナムの動物や昆虫の標本と出会う。
離婚と母の死からアムステルダムで再始動。
52歳で娘とスリナムに渡り、精力的にフィールドワークを
行うが、体調を崩して53歳でアムステルダムに戻る。
その成果は大センセーションを巻き起こす。
58歳で最高傑作の「スリナム本」を出版。
69歳での死。1771年頃までが最盛期で、その後18世紀に
批判が起こるが、20世紀半ばに再評価され、現代に至る。
昆虫学の先駆であり、研究者、画家。更に商人としての才。
バロック期、女性の第一の仕事が家事の時代に、
見たい・知りたい・集めたいをこれほどまでに追求した
生涯は、力強いものでした。そう、作品もインパクト抜群!
ただ、一度忘れ去られた彼女がどのように再評価されて
いったのかの言及が無かったのが、少し残念。