中野京子のレビュー一覧
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池田理代子さんが『ベルサイユのばら』を描くきっかけ&参考にしたとされる本。
アントワネットに関する記述がメインなので、ルイ16世がどう思っていたか等はわからないけれど、非常に読みやすく、これを3回くらい読んでおけばフランス革命のベースの知識は身に付きそう。
生まれながらに自分は特別だと思うのが当然の地位にいて、多くの兄弟のなかでも末っ子的なポジションだと、どんなに親兄弟や周りがしっかりしろと言っても根本的に難しいのかも…。
しかし、彼女の愚鈍さがフランス国民も含めて周りの人にどれだけの被害を与えたかを考えると、彼女の結末は仕方ないようにも思いました。
途中からしつけようとしてもダメなんだろうね。
日本の「三つ子の魂百までも」というのは正しくて、幼い頃に礼儀作法や周りへの感謝や配慮の心を持たせないとダメで、小さいからって甘やかすとこうなっちゃうのかも。 -
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ネタバレ今回も大変楽しく?読むことが出来た。
ルートヴィヒ二世、アレクサンドル三世妃マリア、カルロス四世、カロリーネ・マティルデの4人。
ルートヴィヒ二世とオーストリア皇后エリザベートの共通性は面白かった。二人とも若い頃は大変に美しい容姿をしており、そのために多大な期待を背負ったようだ。美しすぎると自意識過剰になって、精神を病むのか?プライドの高さと相反するような自信のなさと傲慢さ。私には理解しがたいが、理解するために必要な美しい容姿も持たないので、理解するのは不可能だろう。周囲の人々のほうが迷惑極まりないように思える。ルートヴィヒ二世は女性を愛せなかったことも不運だったと思う。
アレクサンドル三世妃マリアは複雑な気持ちになる。もし彼女が庶民のお母さんだった非常に良妻賢母で非の打ち所がない母だと思えるだろう。けれども、これが国王のお母さんだったなら困ったことになることもある、と気づかされた。舅姑とも仲良くし、努力家で周囲に溶け込む努力をし、家庭の中で太陽であり続けた。結果として息子は皆マザコンとは…。家庭的良妻賢母は王の母には良くない?そして結婚では母の言うことを聞かなかった、それが王朝の滅亡の一因になる。これもエリザベートとの類似性を指摘される。
カルロス四世、スペイン史上最悪の王妃の夫。ここまで王に不向きな人も珍しいというか、これも周囲が大変なパターンか、それとも口出ししないから楽なのか。マリーアントワネットとルイ16世夫婦と対比されていたが、カルロス四世とマリア・ルイサでは「ベルサイユのばら」のスペインバージョンは描けないように思う。スペインのマホ、マハ、スタイルの流行は日本の国風文化みたいなものか。
カロリーネ・マティルデ。愛人と密通して追放となると、ゾフィー・ドロテアと同じ運命か、と思ったが、ジョージ三世の取りなしのおかげで、降嫁先デンマークから離れることが出来た。しかし、23歳で死去。ずっと幽閉されるよりはいいのか、どうなのだろう。彼女の場合、愛人と密通しても夫から激高されたわけではないようだ。王妃という立場は本当に危ういものだなあと思う。夫の性質に左右されるのはもちろん、国の政情、周囲の人間達の野心なども関係してくる。 -
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貴族が自領を離れヴェルサイユへ引っ越すことを参勤交代に例えるなど、解説が分かりやすい。
それにしても、フランス革命時にルイ16世がパリ市民に被せられた帽子が古代ローマ時代の解放奴隷の帽子に由来していたとは。
事件のことも古代ローマの風習も知っていたが、この本でこれらが初めて結び付き「そういうことか!」 と膝を打った。
敵意を持った市民が国王に帽子を被せられるほど接近できるなんて絶体絶命であり、市民はもはや少しも国王を崇敬していないのだな。としか思っていなかった。
しかし市民が解放奴隷の帽子を国王に被せるということは、すなわち王権神授されたとされる国王を平民(市民)の手によりその身分(特権)から解放して(取り上げて)やるぞ。という皮肉が込められていたのではないだろうか。
国王の味わった屈辱感は相当なものだっただろうと新たに思った。 -
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ネタバレプロイセン王家 ホーエンツォレルン家のお話。ホーエンツォレルン家、ファーストネームがややこしい。フリードリヒとヴィルヘルム以外の名前はないのか?しかも女性にヴィルヘルミーナまでいる。名前の多様性が欲しい。
ポーランドに臣従していた国がポーランドを分割するようになるとは、思ってもみなかっただろうな。
スペイン継承戦争でレオポルト1世がスペインを手に入れるため、プロイセンの兵力を当てにして見返りとしてプロイセンを王国にしたのは知らなかった。
次代の王と先代の王が仲が良い、という例があまりないのも、他の王家と共通している。兵隊王(2代目)と大王(3代目)の仲の悪さは知っていたが、他もあまり良くないように思う。2代目のお妃がゾフアア・ドロテア。アールデンの公女の娘。こちらも母と同じ名前だ。アールデンの公女があまりにも鮮烈に覚えていたので、娘の方はあまり気にしてなかったけれど(兄はジョージ2世になるし)、娘はあのフリードリヒ大王を産むのか…。歴史ってなんだか凄い。
兵隊王とフリードリヒ大王の仲の悪さは有名だけれど(昔のゲイは本当に命懸けだったんだろうなあ)、目の前で処刑って…。フリードリヒ大王の10年我慢も凄いけど。
父がいうところの「笛吹きフリッツ」は多分ホーエンツォレルン家で最も有名な人物になる。恋人と逃亡したときに処刑されていたら、歴史はことごとく変わっていたのだ。大王が凄いのは分かる。運にも味方されている。しかもその運は自分の啓蒙主義から引き寄せた運だ。それでも王妃に全く関心を見出さなかったのは、何だかなあ。父王が死んだ後、離婚したら良かったのでは?久しぶりに会った妻に「マダムはお肥りになられましたか?」って…。
大王の後、甥が後を継いだが、デブの女誑しって…なんというあだ名。これだけなら、愚鈍な王かと思うが、大王から受けた人口、領土を大きく増やした。ドイツ的であれ、と言いながら、フランス語を話していた大王に比べて、アカデミーの会員や劇場の監督をドイツ人に変えた。すこぶる有能。愛人いっぱいで家庭的ではなかったけれど。
1848年、革命の嵐が吹き、ビスマルクが登場する。プロイセン王はドイツ皇帝になり、オーストリアと対決できる位の国となる。しかしビスマルクを辞職させ、第一次世界大戦が起こり、ドイツは共和制となり、王は亡命、ドイツ帝国は終焉する。
今回は知っている絵が少なかったせいか、あまり絵に注目がいかなかった。けれども、歴史がよく分かる話で、とても興味深かった。 -
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ネタバレ今回も楽しく読むことが出来た。
中野京子さんの著作は私にとっては、あまりがっかりすることがない本が多い。
今回紹介された絵画もタイトル通り、美しいものが多かった。
その中でも印象に残ったのが、「クリュタイムネストラ」。姉妹であるヘレネのエピソードが取り上げられることが多いので、彼女に目を向けることは少ないかもしれないが、私は彼女のエピソードのほうが好きだ。殺し殺され、血で血を洗うみたいなことになるのだけれども、「美女が攫われて戦争が起きました。美女は夫の元に戻り、仲睦まじく暮らしました」という結末のほうがおかしく感じてしまう。
その「クリュタイムネストラ」の絵画。ジョン=コリアの作。とても強くてかっこいいクリュタイムネストラ。もちろん彼女も悲劇が待ち受けているのだけれど、それでも意志を感じさせるところがヘレネより惹きつけられる理由だと思う。ミスマープルもの「復讐の女神」の中で、ある人物がクリュタイムネストラのよう、とマープルに思われてしまうシーンがあった。そのシーンも印象的で事件を暗示している。
ヴィジェ=ルブランの自画像も良かった。大変幸運な人なのだけれど、運だけでなく、努力と人柄もあったのだろうなあ、と感じさせる。苦労も多かっただろうが、幸せな生涯を送った画家の話は、やはりホッとする。クールベの自画像は、この本に載せられているのを見たのは初めてで、なんだか俳優の安田顕みたい、と思ってしまった。クールベさんにも安田さんにも、ごめんなさい、と思います…
ベッリーニの章ではベッリーニとドニゼッティの関係性が興味深かった。芸術家は繊細なものだけれど、そういった意味ではドニゼッティは芸術家らしくない。自分の周囲にいて、共感されるのはベッリーニではなく、ドニゼッティ。繊細すぎると長生きできないなあ、長生きすれば、大成する場合もある。
表紙を飾る「虚栄」。クーパー作。特定の人ではなく、擬人化によって虚栄を表したもの。驕るな、いずれその若さと美しさは失われていく、ということだが、驕ることによって美女はさらに美しくなることもある、と著者は言う。私もそう思う。「いいじゃないの、それならその短い間くらい驕ったって」本当にその通り。 -
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ネタバレ西洋の不思議な話を集めたもの。21話からなる。
ハーメルンの笛吹き男、消えた子供達が史実であったことは興味深い。本当になぜ、消えてしまったのだろう。グリム童話で読んだことがあるが、「人を騙してはいけない」という教訓を述べるものだと思っていた。もちろん、そういう側面も童話にはあるのだと思うのだけれど、史実であるなら、何故それが起こったのか、は知りたくなるもの。あしべゆうほが絵を描いている「悪魔の花嫁」にハーメルンの笛吹き男の話があった。ネズミに襲われるラストが怖くて怖くて、今でも絵が頭に浮かぶ。
マンドラゴラ、子供はハリー・ポッターでマンドレイクと覚えていた。私は「エコエコアザラク」で覚えていた。うーん、時代の違い。犬が抜くことも知っていたけれど中野京子さんの「可哀そうなワンちゃん……。」には激しく同意。
ブロッケン山の魔女集会、の章にはゴヤの絵「魔女たちの集会」、ファレロ「魔女の旅立ち」が紹介されている。どちらも素敵だが、より肉感的なファレロの絵は大丈夫なのかな、と思った。ともにスペイン人なので、異端審問とかの心配をしてしまう。ヴァルプルギスの夜、子供の頃、子供向けの「ファウスト」を読んだことがあったのだけれど、ヴァルプルギスの夜についての記述の記憶はない。
蛙の雨、ファフロツキーズ、SEKAI NO OWARIの歌詞でこの言い方を知った。現象自体は知っていたが、蛙だけでなく、オタマジャクシ、魚もあったと思う。この章の始めに書かれている、子供の自殺に母親が手を貸してしまった事態のほうが、確率としては低すぎるくらいのように思う。
犬の自殺、この話は初めて聞いた。犬が飛び降りたがる橋の話は聞いたことがあるのだが、まあ人を飛び降りたがらせる橋や駅や崖があるとしか、思えないようなことは聞いたことがあるので、さほど不思議には思わなかった。しかし獣医は人間相手の医者よりも5倍も自殺者が多い、というのは初めて聞いた話だった。
ホワイトハウスの幽霊、この話も聞いたことがある。偶然の一致というのは凄いもので、数字の遊びみたいなものかもしれないけれど、確かにこんな偶然はなかなかないだろうなあ、とは思う。
貴種流離譚、ディカプリオ主演の「仮面の男」も見に行ったし、遙か昔にデュマの「鉄仮面」も読んだことがあったので、その話だと思ったが、他にもいろいろ出てきたのが面白かった。アレクサンドル1世の話はとても面白い。日本でも明智光秀は生きていて天海になった、とか、源義経は生きていてジンギスカンになった、などがある。やはりそのような話はロマンがあるのだろうか。
ディアトロフ事件、こちらも有名な話。実際に何が起きたのか、今は調べる術もなく、想像することしか出来ないけれど、こんなに想像を掻き立てる話もなかなかない。私は自然発生的なものだと思っている(雪崩や超低周波も自然発生だし)。人間は何でも出来るようになったかのように見えるが、まだまだ不可思議なことは残っているように感じる。 -
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ネタバレテューダー朝からの人物とその人物にまつわる絵画の本。もう何作も小説、映画、演劇が作られるようなドラマティックな人生の目白押し。中野京子さんの本をたくさん読んでいるので、既知の部分も多くあったが、ヴィクトリア女王に関してはあまり知らなかったので、興味深く読んだ。映画「至上の恋」は、この話だったのかぁ、と今更ながら知った。ヴィクトリア女王は当時の王室では珍しく恋愛結婚で、アルバート王配も愛人で煩わせることもなかった。王配は王室の改革に奔走し、パクスブリタニカに大きく貢献したといえる。しかし、王室は代々親子仲が悪い。王室だから悪いのか、そもそも親子仲がいいのが稀なのか、分からないくらい悪い。親子というのは難しいものだなあ、と思う。
イギリス王室で私が一番印象に残っているのが、「アールデンの公女」。ジョージ一世妃である。もう可哀想で、可哀想で。ヘンリー八世が離婚するために国教会にしたのに、妻の側から離婚されるのは嫌なんかい?
話は全く変わるけれど、家系図でよく見かける、マチルダという名前が最近つけられないのはなぜなのだろう?