中野京子のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
「怖い絵」で大ブレイクした著書の初のエッセー集。エッセー集と名乗ってはいるのだが、こう言ってはなんだがエッセーというよりは……雑文集? エッセイもあるが、展覧会の紹介文やら書評やらもありで、いろんなところにいろいろ書いたのをとにかくガサーッと集めました、という趣。
しかしだからといって面白くないというわけではない。文章はほどよく整っていて読みやすいし、絵画だけでなくヨーロッパ芸術全般についての深い知識が惜しみなく供され、へーっ、ほーっ、ふーんと頷きながら楽しむことができる。
残念だったのは、触れられている絵画がすべて図版として収録されているわけではないということ。まあこれは「怖い絵」のような絵が中心の本ではないのである程度はやむを得ない。肝となるような絵はだいたい収録されているので、他にどうしても見たい絵があれば自分で探せる世の中で助かった。
あと、書評に限らず、取り上げられている本に興味をそそられる本が多く、いろいろ読んでみたい本が増えてしまった。
中野京子さんの著作は初めて読んだのだが、こんな感じでスルスル読めるなら他の本も読んでみたいなあと思いました。 -
Posted by ブクログ
山岳ばかりで寒冷なスイスは極貧に喘ぎ、14~18世紀には男たちは傭兵として出稼ぎをするしかなかった。それにしても、スイスの傭兵のファッションの奇抜さは群を抜いている。体半分で模様が違う服を着ているし、動きやすいように腕のスラッシュ(切れ込み)を入れたのも彼らが最初らしい。「俺らは命を懸けてんだぜ、どんな服装をしようと文句あるまい」とばかり、派手さはエスカレートするばかりだったという。日本のバサラみたいである。ルイ14世の赤いサンダル、美脚を見せるタイツ姿、気持ち悪いねえ。フェルメールの「地理学者」が着ているのは、日本の丹前らしい。驚いた。12世紀に流行った貴族のトンガリ靴も凄いなあ。これで前蹴りをすると、相手を刺し殺せるかも。いやはや、いろんな流行を見ることができて、西洋絵画も面白い。30編。
-
Posted by ブクログ
天使や悪魔、蛇に妖精、魑魅魍魎。
中にはそんな具体的なものは描かれていなくても「空間」「建物」に異形性を感じるものも。
そんな「怪」を感じる絵を集めて解説した一冊。
中野先生の著作を読んでいるとお馴染みの作品も多く(「怖い絵展」で見かけた作品も多数)完全なる新鮮味は少ないかもしれないが、ジャンル分けされたものをジャンルごとに一気に見られるというのは、また見方が変わって興味深かった。
驚いたのは、蛇の章で(異論はあると書かれてはいるが)蛇を一度も見たことがない猿や赤ちゃんでも蛇を恐れるという点。
DNAレベルで刻まれているということだろうか、あの蛇に対する畏怖の感情は。
日本に限らず、世界各地で神聖視され畏れられている理由が少し分かった気がした。
あと、異形を描くのは圧倒的に男性画家が多いという点にも驚いた。
確かに怪獣に興奮するのは男性に多い。
その理由も、この本を読んで分かった気がする。 -
Posted by ブクログ
「怖い」と銘打たれているが、コンピアルバムとの連動企画でこういうタイトルになっているようで、特に「怖い」に重点を置いた話ではなかった。
本書冒頭にもあったが「これまで多少オペラに興味あっても触れる機会のなかった人」「オペラって敷居が高すぎと思っている人」に向けての初心者向け解説本という感じだった。
有名どころのオペラの粗筋を原作となった話と比較させつつ解説していたり、歌唱部分の見どころや特色など、実際にオペラを見ていなくても想像できるような解説で分かりやすかった。
初心者向けということもあるのか、ただ解説文だけが並ぶスタイルではなく、オリジナルキャラの先輩と後輩くんの会話だけで成立している対談的パートもあり。
個人的にはこういう書き方が苦手なんだけど、今回はするする読めた。
中野先生節でオペラ解説本を読みたい方にはオススメします。
ただやっぱり対談パートがある分、解説ばっかりのいつもの本よりは薄味かも。