中野京子のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
「ディアトロフ事件」が気になって、ネットで広告避けながら読むより紙媒体で読みたくて調べたら中野京子さんの著作を発見。読み読み。
名画シリーズはかなり読んでたつもりだけど、切り口を変えても変わらぬ面白さ。
「ブロッケン山の魔女集会」では「魔女狩りの実相を知れば知るほど人間であることが嫌になってくる……。」「もうすぐフランス革命という時期まで魔女狩りがあったことに、暗澹たる思いを抱かぬ者はいないだろう。魔女と認定されて殺された者の総数は、正確にはわかっていない。研究者によって4万、数十万、数百万と、大きな開きがある。いずれにせよ、拷問中に死んだものはカウントされていない。」など、ただ残忍な奇譚を書き連ねて満足しているだけではない著書の人柄が伺える。ドヤッと残酷話を書き連ねて満足してるような一冊ではないのが良い。 -
Posted by ブクログ
イギリス王家12の物語。
イギリス王家と聞いて思い浮かぶのは、エリザベス1世とメアリ・スチュワート、アン・ブーリン、ヴィクトリア女王でしょうか。見事に女性ばかり、悲劇と繁栄の女性たちですね。
12の物語も、国家としての栄光の下の光と影を色濃く描き出しているものばかりに思います。それを繰り返しながら、現在でも王室が続いているのが素晴らしいというか、恐ろしいというか、歴史の面妖さなんでしょうか。
紹介されている絵画は、テューダー朝から始まりスチュワート朝、ハノーヴァー朝、そして現在のウィンザー朝へと続く12枚。それぞれ王朝の血脈が絶え、他の血脈に変わるというわけでなく、かすかに繋いでいるというのが他の3作で紹介された王朝との大きな違いで魅力ですかね。ブルボンともハプスブルクともロマノフとも違う形で命脈を保っているイギリス王家。タイトルが〜朝でないのは、そういうことかと読み終えて納得です。
「私はイギリスと結婚した」というのはエリザベス1世の言葉。王朝の名前が変われど、王家と国家が離れずにいるのは、この言葉が発せられた時から王家と国家の婚姻関係が続いているからかもしれない。と感情に任せた感想を抱いてしまいました。 -
Posted by ブクログ
ロマノフ家12の物語。
ロマノフと聞いて思い出すのは、大津事件とラスプーチン、そしてアナスタシア。ただ、「ゴールデンカムイ」の存在でアレクサンドル2世暗殺事件の印象も強い。
エリザヴェータとエカテリーナ女帝のふくよかな肖像画。この2人の女傑があるから、ソフィアはああいった女丈夫になったんじゃなかろうか。
個人的なことですが、第10章の山下りんにものすごく琴線を震わされました。彼女の存在を知っていたわけではないのですが、たまたま最近本屋さんで見かけて買ったのが、彼女を書いた小説「白光」でした。この本を読む前だったし、山下りんという人を知っていたわけでないのに、面白そうと思って買った本が予想外につながってしまったという奇跡。自分しかわからない感情ですが、運命的な衝撃でした。大袈裟かな。
なので、次は「白光」読もうと思います。この昂った気持ちが静まる前に、わくわくを抱えたまま。 -
Posted by ブクログ
ブルボン王朝に続いてハプスブルク家12の物語。
ハプスブルクといえば、マリア・テレジアとマリー・アントワネット。マリア・テレジアは「少女時代のマリア・テレジアの肖像画」がすぐに思い浮かびます。美人さんだという印象。今回肖像画のタイトル改めて調べて「少女時代」ということに驚く。でも、マリア・テレジアの肖像画の中で一番綺麗だな、と思うのです。でも少女時代ということだとロリコンみたいなことになりそうだ。
違いますよ。
ブルボン王朝で書いた婚姻関係の複雑さの原因は、ほとんどハプスブルクにあるのではないでしょうか。それがあってこその650年という王朝の長さになったとはいえ。
ただ、ルイ14世のような世界を謳歌したという印象はないです。マリー・アントワネットやエリザベート、マクシミリアンの最期のせいではなく、歴史の表舞台に颯爽と現れた英雄という印象がないせいかもしれません。
いや、マリア・テレジアは英雄ではあるのだろうけど、隣のフリードリヒ大王の方が色濃く写ってしまいます。
ま、それも知ってゆくにつれて変化してゆくことですね。その感情の変化を楽しむことができるのも歴史の楽しみ方だと思います。
「ウェルトゥムヌスとしてのルドルフ二世」のインパクトの強烈さ。この1枚の強烈さに勝る絵画はないでしょう。表紙のエリザベートの美しさもすばらしいですが、野菜や果物で描いたという衝撃には敵わない。 -
Posted by ブクログ
12枚の絵画を通してフランス・ブルボン王朝の歴史を紐解く1冊。
ちょこちょこ小説で読んでいる人物が絡んでくると、急に解像度増す気がするから歩楽しい。
こういう自分の中にある知識の点と点が、読書中に線になって繋がってゆく瞬間がたまらなく気持ちいい。おそらくこの瞬間の気持ちよさのために読書をし続けているのだな、と思います。
その瞬間は、読書中だけではなく、ゲームでも映画でもたわいのない会話中でも同じ。
ふとした瞬間に、繋がる気持ちよさ。知識が繋がるのはとてもいいです。
絵画は12枚だけでなく、各章ごとに補足するためにいくつか追加で紹介されています。知っていたのは「ガブリエル・デストロとその妹」乳首摘んでるやつですね。思春期には印象は強いですこの1枚。「ぶらんこ」スカートの中覗いているやつ。あの貴族に気づいてなんちゅう性癖絵画だと思った記憶。
「ナポレオンの戴冠式」「アルプスを超えるナポレオン」「民衆を導く自由の女神」の有名すぎる3枚。
「メデュース号の筏」極限の暗さ。
世界史というかヨーロッパ史の複雑さは、各時代各国の婚姻関係にあると思います。
これに比べたら、日本史の同じ感じ使用している名前(偏諱のせい)が多くて覚えられない、なんて戯言じゃないかと思うんですけどねぇ。まあ、覚えられないと言っている時点で覚える気持ちを半ば放棄していると思うので、死ぬ気で覚えるしかないのですが。テストなら丸暗記でいいのでしょうが、物語として楽しんでいる身としては、するする覚えたい。
なので、点と点が繋がると気持ちがいいのです。あ、この知識がランクアップしたという感覚。他人にはわかりづらいでしょうが、楽しいのです。