あらすじ
長い群雄割拠状態を経て、十九世紀、プロイセンのホーテンツォレルン家はついにドイツを一つにまとめ、帝国を形成してヨーロッパ最強国の一角に食い込んだ。フリードリヒ大王とビスマルク――二人の傑物がいなければ、この偉業は成しえなかったろう。激動の二百十七年の光と闇、運、不運、そして熱い人間ドラマを、色彩豊かな名画とともに読み解いていく。オールカラー版、中野京子の人気シリーズ、第五弾!
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Posted by ブクログ
写真で見たあの美しい姿に憧れ、行ってみたかったホーエンツォレルン城に、コロナ以前のとある年の8/1に行ったのですが、観光客はまばらで、逆にビックリしたのを覚えてます(お城は超おすすめ )
このホーエンツォレルン(南ドイツ )とプロイセン(と言えば北ドイツ )の繋がりも全然知らないまま生きて来て、
知ったら知ったで、なんでこの2つは繋がってるの?と言うのの答えがこの本に書いてあり、読んですっごくスッキリしました。と言うか、最後のページまで読んでまたすぐに最初から読み返してしまいました。
ドイツやヨーロッパを旅行した人はよく分かると思いますが、今のような交通手段が発達してない時代に、これだけの広大な領地を、鳥瞰図の如く支配してきた先人たちってマジ凄すぎる。
代々の主人たちは、それぞれ癖もありその時々の難題や時代背景などもあったので、一律並べて比べるものでは無いと思います。ただ、みんな頑張って生きてきたからこそ、今でも素敵な絵画が残され、お城が再建され大切に守られて、空いてても観光客が来ているんだなぁと思います。(ノイシュバンシュタイン城だけがドイツのお城じゃないよ! でも、知っている人にこそ来てもらいたい気持ちにもなったり )
高校生の頃にこの本に出会っていたら、世界史の成績もっと良かっただろうなぁと思ったり、大人になってから読んだからこそ分かるものもあるんだろうなぁとか、色々と思いを巡らせる事が出来る一冊です。
Posted by ブクログ
面白かった。名画で読み解くシリーズの中で一番面白かった。
そのように面白かったのは、それまでの名画で読み解くシリーズを読んでいたからで、「あ、あの時のこの人にはこんな一面が…?」という驚きや楽しさがあったからと感じた。
歴史というのはこのように、様々な視点から見ることでより一層深く心に残り、そして今に繋がっているのだと感じることができるのだと認識できた。
移民受け入れなどは、なるほどだから今のドイツも積極的に受け入れてきたのかと初めて知ったし、それまでの読み解くシリーズの女性の活躍ぶりとは異なり、実直な男性の魅力がこれでもかと伝わってきた。気がする。
フリードリヒ二世のこと皆好きすぎん?私もとても好きになったし、あのペチコート作戦ででてきた人かーとおもうと感動すら覚えた。
歴史はかくも面白い。
Posted by ブクログ
絵画とともに歴史を辿っていく本。
フルカラーなのがとても嬉しい。
歴代プロイセン王の名は、九代全てが「フリードリヒ」と「ヴィルヘルム」の組み合わせからできていて大変覚えづらく、歴史書を読むときも大変苦労する。
(あなたさっきも出てきませんでした?と何度もなる)
〜プロイセン王〜
初代 フリードリヒ一世(猫背のフリッツ)
二代 フリードリヒ・ヴィルヘルム一世(兵隊王)
三代 フリードリヒ二世(大王)
四代 フリードリヒ・ヴィルヘルム二世(デブの女たらし)
五代 フリードリヒ・ヴィルヘルム三世(不定詞王)
六代 フリードリヒ・ヴィルヘルム四世(ひらめ)
七代 ヴィルヘルム一世(白髭王)
八代 フリードリヒ三世(我らがフリッツ)
九代 ヴィルヘルム二世(最後の皇帝)
しかしこの本では、絵画とともにエピソードやあだ名なども紹介してくれているため、大変分かりやすい。
また、難しい言葉を使っていないのも、この本の分かりやすさに繋がっていると思う。
新しく得た気づきは、バイエルンについてだった。
バイエルンはプロイセンを嫌っている、というイメージがずっとあったのだが、なぜなのかは知らなかった。
バイエルン(を含む南部)はカトリックであり(プロイセンはプロテスタント)、バイエルン・ヴィッテルスバッハ家はハプスブルク家との婚姻も多かったという。
それを読んで、なるほどとなった。
印象深かったのは、大王についてだった。
大王(フリードリヒ二世)が王太子だった頃、カッテ少尉と国外逃亡を企てたときのことだ。
二人は捕まってしまい、フリッツは要塞に幽閉され、少尉は死刑(斬首)となったのだが、本にはその処刑直前の絵が載せられいる。
窓から両手を伸ばすフリッツと、それを見上げる少尉。
その二人の姿が痛々しく、小さく載せられた絵だったにも関わらずどうしても忘れられない。
男性が好きだった大王は、少尉と恋人同士だったのではと本には書かれている。
プロイセンの歴史については詳しい本を読んだことがあるが、覚えるのが苦手な私は忘れてしまうこともしばしばある。
この本は大まかな流れを確認したいときにかなり重宝しそうだ。
読めて良かったと思う。
参考文献の本も読んでみたい。
ざっくりと歴史を知りたい人や、歴史が少し苦手な人にもおすすめの一冊。
Posted by ブクログ
今は歴史にしか残らないプロイセンという名の国
ドイツの前身とも言える国がどのように出来て行き、近隣諸国との関わり変化の経緯がとても分かり易い書き方で記されている。
中野京子さんの本は怖い絵でもあるように、自然と興味を持つような言葉で惹きつける。
絵画から紐解いていく当たり、ただの文章で史実を述べられているのとは違う納得感がある。
たくさんの邦国からなる国が、プロイセンとなり、ドイツ連邦となり、戦争へと突入し敗戦し、また敗戦していく。
そんな成り行きの元となるものが垣間見れる良書である。
手にしやすい分量であり大変お勧め!歴史が好きな人には是非読んで欲しい。
Posted by ブクログ
GDP世界4位、EUの盟主。”欧州最大の国”ドイツ。その成り立ちは?名画で読み解く王朝シリーズ5作目。今回は、どれよりも物語の方を楽しませてもらった。プロイセン王家は9代。それぞれが強い個性。全員簡単に覚えられそう?いやいや、そこはそれ欧州の王家。同じ名前が何度も繰り返す。一世、二世、名前で追ったら記憶が定着しない。便利にも国民がつけたあだ名がある。「ひらめ」「白髭王」「猫背」「不定詞
王」に「デブの女誑し」・・。成したことと結びつければ統一帝国の出来上がり。「鉄血宰相」?これは王ではなかった。
Posted by ブクログ
おもしろくてあっという間に読んでしまった。ハプスブルクの同シリーズの後に神聖ローマ帝国がよくわからない~と思って読み始めたけど、プロイセン史は歴史の流れが日本の幕府っぽくてイメージが掴みやすいのと、地域が現ドイツのエリアからそこまで大きく変わらないので(いや、植民地を多く持ったり、領土をびっくりするほど大幅に拡大してたら本当は彼らは良かったんだろうけど)分かりやすかったような気がします。絵画ベースなので近々積んだ「物語 プロイセンの歴史」あたりも手を付けられる勇気が出てきたぜ
Posted by ブクログ
情報量が多い!最高!
倒置法を用いた次章への引きで往年の美の巨人たちを思い出した。
本書はドイツ統一を果たしたプロイセン:ホーエンツォレルン家のおはなし。
1701年、スペイン継承戦争のドサクサでプロイセンは公国から王国へ昇格し、王朝の始まりとなった。以降、9代、217年で幕を閉じる。
フリードリヒ1世(猫背のフリッツ)
フリードリヒ・ヴィルヘルム1世(兵隊王)
フリードリヒ2世(大王)…生前から死後まで国内外で大人気の大スター
フリードリヒ・ヴィルヘルム2世(デブの女たらし)
フリードリヒ・ヴィルヘルム3世(不定詞王)…王妃ルイーゼが人気
フリードリヒ・ヴィルヘルム4世(ひらめ)
ヴィルヘルム1世(白髪王)…鉄血宰相ビスマルクと二人三脚。ドイツ統一しドイツ帝国皇帝へ。
フリードリヒ3世(我らがフリッツ)…即位後数ヶ月で病死
ヴィルヘルム2世(最後の皇帝)
Posted by ブクログ
この方の文章、本当に読みやすい。
歴史的背景も書かれていて絵画のモデルの紹介も当然あって、時系列で並んでるので理解もしやすい。
しばらくこの方の本が続きそう。
Posted by ブクログ
シリーズだと知らずに買ったので、他の五冊もあわせて読みたいと思います。
ヨーロッパの本を読むのは二回目です。(前回はレミゼラブル。感動したのを覚えています)
カラーで、絵画も多くて楽しめました。
本には教科書に載っていないエピソードが沢山あります。
印象と違った一面を覗かせることもあり、人物への考え方も変わりました。
もっと勉強してから読むと面白さが増すと思います。
Posted by ブクログ
ドイツ史といえば、フリードリヒ大王とビスマルクでしょうか。ヴィッテルスバッハ家の美女の肖像画も秀逸です。カイゼル髭のヴィルヘルム二世も近代史につながる重要人物です。
Posted by ブクログ
プロイセン王家 ホーエンツォレルン家のお話。ホーエンツォレルン家、ファーストネームがややこしい。フリードリヒとヴィルヘルム以外の名前はないのか?しかも女性にヴィルヘルミーナまでいる。名前の多様性が欲しい。
ポーランドに臣従していた国がポーランドを分割するようになるとは、思ってもみなかっただろうな。
スペイン継承戦争でレオポルト1世がスペインを手に入れるため、プロイセンの兵力を当てにして見返りとしてプロイセンを王国にしたのは知らなかった。
次代の王と先代の王が仲が良い、という例があまりないのも、他の王家と共通している。兵隊王(2代目)と大王(3代目)の仲の悪さは知っていたが、他もあまり良くないように思う。2代目のお妃がゾフアア・ドロテア。アールデンの公女の娘。こちらも母と同じ名前だ。アールデンの公女があまりにも鮮烈に覚えていたので、娘の方はあまり気にしてなかったけれど(兄はジョージ2世になるし)、娘はあのフリードリヒ大王を産むのか…。歴史ってなんだか凄い。
兵隊王とフリードリヒ大王の仲の悪さは有名だけれど(昔のゲイは本当に命懸けだったんだろうなあ)、目の前で処刑って…。フリードリヒ大王の10年我慢も凄いけど。
父がいうところの「笛吹きフリッツ」は多分ホーエンツォレルン家で最も有名な人物になる。恋人と逃亡したときに処刑されていたら、歴史はことごとく変わっていたのだ。大王が凄いのは分かる。運にも味方されている。しかもその運は自分の啓蒙主義から引き寄せた運だ。それでも王妃に全く関心を見出さなかったのは、何だかなあ。父王が死んだ後、離婚したら良かったのでは?久しぶりに会った妻に「マダムはお肥りになられましたか?」って…。
大王の後、甥が後を継いだが、デブの女誑しって…なんというあだ名。これだけなら、愚鈍な王かと思うが、大王から受けた人口、領土を大きく増やした。ドイツ的であれ、と言いながら、フランス語を話していた大王に比べて、アカデミーの会員や劇場の監督をドイツ人に変えた。すこぶる有能。愛人いっぱいで家庭的ではなかったけれど。
1848年、革命の嵐が吹き、ビスマルクが登場する。プロイセン王はドイツ皇帝になり、オーストリアと対決できる位の国となる。しかしビスマルクを辞職させ、第一次世界大戦が起こり、ドイツは共和制となり、王は亡命、ドイツ帝国は終焉する。
今回は知っている絵が少なかったせいか、あまり絵に注目がいかなかった。けれども、歴史がよく分かる話で、とても興味深かった。
Posted by ブクログ
中野京子さんの本を久しぶりに読む
絵画から歴史的なことも学べるの楽しい
ヴィルヘルム1世とビスマルクのお互いに認めあっている関係性、それがあって国が強くなっていったのかと世界史で習ったけれどさらに深く納得
最終章の戦争絵画の怖さよ…悲惨さが伝わる
Posted by ブクログ
中野氏らしくユーモアを交えながらプロイセンの歴史を紐解いてくれる。
華やかなハプスブルク家の網目のように張り巡らせたヨーロッパの支配に対するプロイセンの立ち位置も納得した。
Posted by ブクログ
ベルリンで、プロイセン王国の歴史を知ろうと色々な本を読み、歴代王・皇帝の名前を覚えたが、まさにそのプロイセン王フリードリッヒ1世以降の王・皇帝それぞれの物語だった。それほど目新しい内容はなかったが、肖像画などを使ってその人物の見た目も紹介していて、一層各人の個性が引き立てられたように感じた。
素直に面白かった。
Posted by ブクログ
序章
第1章 フリードリヒ・ヴァルヘルム・ヴァイデマン 「フリードリヒ一世」
第2章 ザムエル・ゲーリケ 「少年時代のフリードリヒ・ヴィルヘルム一世」
第3章 アントン・グラフ 「フリードリヒ大王」
第4章 アドルフ・フォン・メンツェル 「サンスーシ宮殿の食卓」
第5章 アントン・グラフ 「フリードリヒ・ヴィルヘルム二世」
第6章 F・G・ヴァイチュ 「シャルロッテンブルグ宮殿庭園のフリードリヒ・ヴィルヘルム・ヴェルヘルム三世と王妃ルイーゼ」
第7章 エドゥアルト・ゲルトナー 「ブライテン通りのバリケード」
第8章 カール・シュテフェク 「散歩中のルイーゼ妃と二人の息子」
第9章 フランツ・フォン・レンバッハ 「ビスマルク」
第10章 アントン・フォン・ヴェルナー 「ドイツ皇帝即位式」
第11章 マックス・コーナー 「ヴィルヘルム二世」
第12章 ジョン・シンガー・サージェント 「ガス」
あとがき
主要参考文献
年表(本書に関連した事項のみ)
画家プロフィール(生年順)