あらすじ
愛と裏切り、交差する運命。名画は現代の私たちに何を語りかけているのか。大反響『美貌のひと』の第2弾! 実在した絶世の美女やおとぎ話の姫、殺人現場に立つ妖艶な女性。寵愛を受けた王を退位に追い込む「傾城の美女」や結ばれぬ恋。異様な自己耽溺を見せるナルシス、男性版ファム・ファタール(運命の女)――。一枚の絵のなかに切り取られた一瞬には、罪や裏切りをも孕んだドラマチックな生が凝縮されている。圧倒的な美は善悪を軽々と超え、人々を魅了する。誰もがうらやむ美貌は、時として災いや呪いとなるのかもしれない。有名作品から知られざる一枚まで、時空を超えて輝く男女の美と生き様を40点以上のカラー作品で読み解く。
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Posted by ブクログ
いやあ面白かったなあ。中野京子さんの本は期待を裏切らない。名画に描かれた美貌の人々のドラマチックな人生がバラエティーに富んでいて、ページを繰る手が止まらない。とにかくみんな美しい!
・裸で馬に乗り町を練り歩いたレディ・ゴダイヴァ。チョコのゴディバのマークはここから来ている。
・形の良い乳房を宮殿の中で見せびらかしたというアニエス・ソレル。彼女をモデルにした「ムーランの聖母子」は妖しい魅力に満ちている。公式寵姫の第一号。
・画家のウォルター・シッカートは切り裂きジャックではないかと言われた。
・マリー・アントワネットのお抱え画家だったヴィジェ・ルブランの自画像は可愛い。逞しく生き抜いた人。
・椿姫のモデルのマリー・デュプレシ。薄幸の人。
・オスカー・ワイルドを破滅に追い込んだアルフレッド・ダグラス卿。男性版ファムファタル。
・コンピューターの母と呼ばれるバイロンの娘のエイダ・ラブレス。彼女を称えて、特殊プロミラミング言語Adaは名付けられた。
・才能も美貌も抜群だったのに、遅咲きのドニゼッティに嫉妬しまくった作曲家ベッリーニ。
・ルードヴィヒ一世を虜にし、傾城の美女と言われた元スペインダンサーのローラ・モンテス。
・あのエリザベート皇后の5人の姉妹たちの数奇な運命。みな、絶世の美女。
・「アニーよ、銃を取れ」のアニー・オークレー。かっちょいい女性ガンマンだが、腕前は凄まじかったらしい。
とまあ紹介しているとキリがない。他の人々の人生も興味深い。美貌が武器になったり、逆に仇だったり。
Posted by ブクログ
シリーズ1、2作一気に読んでしまった。
描かれたモデル、時代背景、画家のバックストーリーまで、分かりやすく読みやすく書かれていて読んでいて楽しかった。
Posted by ブクログ
中野京子さんの著作を読む度に、絵画のドラマティックな面白さを感じさせられます。そして絵画を通して歴史を知ることが出来るのも楽しい。GODIVAのパッケージのロゴの女性(レディ・ゴダイヴァ)についても初めて知りました。
この本もシリーズになって出版されて、「美貌のひと展」とかやっていただけると嬉しいです。
Posted by ブクログ
今回も楽しく読むことが出来た。
中野京子さんの著作は私にとっては、あまりがっかりすることがない本が多い。
今回紹介された絵画もタイトル通り、美しいものが多かった。
その中でも印象に残ったのが、「クリュタイムネストラ」。姉妹であるヘレネのエピソードが取り上げられることが多いので、彼女に目を向けることは少ないかもしれないが、私は彼女のエピソードのほうが好きだ。殺し殺され、血で血を洗うみたいなことになるのだけれども、「美女が攫われて戦争が起きました。美女は夫の元に戻り、仲睦まじく暮らしました」という結末のほうがおかしく感じてしまう。
その「クリュタイムネストラ」の絵画。ジョン=コリアの作。とても強くてかっこいいクリュタイムネストラ。もちろん彼女も悲劇が待ち受けているのだけれど、それでも意志を感じさせるところがヘレネより惹きつけられる理由だと思う。ミスマープルもの「復讐の女神」の中で、ある人物がクリュタイムネストラのよう、とマープルに思われてしまうシーンがあった。そのシーンも印象的で事件を暗示している。
ヴィジェ=ルブランの自画像も良かった。大変幸運な人なのだけれど、運だけでなく、努力と人柄もあったのだろうなあ、と感じさせる。苦労も多かっただろうが、幸せな生涯を送った画家の話は、やはりホッとする。クールベの自画像は、この本に載せられているのを見たのは初めてで、なんだか俳優の安田顕みたい、と思ってしまった。クールベさんにも安田さんにも、ごめんなさい、と思います…
ベッリーニの章ではベッリーニとドニゼッティの関係性が興味深かった。芸術家は繊細なものだけれど、そういった意味ではドニゼッティは芸術家らしくない。自分の周囲にいて、共感されるのはベッリーニではなく、ドニゼッティ。繊細すぎると長生きできないなあ、長生きすれば、大成する場合もある。
表紙を飾る「虚栄」。クーパー作。特定の人ではなく、擬人化によって虚栄を表したもの。驕るな、いずれその若さと美しさは失われていく、ということだが、驕ることによって美女はさらに美しくなることもある、と著者は言う。私もそう思う。「いいじゃないの、それならその短い間くらい驕ったって」本当にその通り。
Posted by ブクログ
表紙が美しいなぁ…と思っていた自分は大勢の人と感覚的に近いのだ、と少々残念に思ってしまいました…。美と言っても女性ばかりではないことも視点としては新しく感じてその辺りも面白かったです。
Posted by ブクログ
美貌の「人」とありますが
男性も勿論ですし
表紙の虚栄もそう
想像の美しさもあります
歴史の勉強になるし
当時の風俗にも触れられていて
雑学好きにとっては 大好物
怖い絵とはちがって
絵的には美しいのですが
波乱万丈な人生があって
必ずしも 美しい=幸せ というわけではない
というのも 絵画を見る目が
より深くなります
Posted by ブクログ
中野政異性を貶める意はさらさらないけど、美味いニッチを発掘したなと思う。どんなスタンスで読んでも、読める、面白すぎる。歴史好きな、美術好きの2つが揃っている事もあり、先生のこの類はほとんど網羅し読んだ・・というか、見た。
新書なのでいつでもどこでも持ち歩けるのが人気の一つにもなっていると思う。
美貌の人・・だもの、地球上に男女の区別しかないと仮定したらこういう標題も妙。今ではジェンダーフリーなのでその谷間に入る存在は、本作にも多出されている様にレズ・ホモ・ゲイ・・それも、ある意味 芸術の対象になっていたろう。新古典主義の解説に納得した~ダヴィッドの工房を妄想してしまう。スパルタ軍を歴史で学んだのと異なる観点で妄想してしまう。
読みつつ、週刊誌的、TikTok的だなと思い、もうそろそろ卒業しようかなと思ったが、後半にかけぐんぐん面白みを増し、ラストの語やとスペイン興亡の歴史には唸った・・流石中野先生、〆方が違う!と。
ゴヤの話をあまた聞けども、カルロス4世と史上まれなる王妃は聴けども、ゴドイは初耳、しかも84歳まで全うした男とは。善人なおもて往生する、いわんや悪人は・・じゃないね。虚栄の人の、与謝野の詠もぐっと内容を引き締めていた☆
Posted by ブクログ
男女問わず描かれた24人の、善悪を超えて魅了する美貌を探る。
第1章 伝説のなかの美しいひと・・・6作品
第2章 芸術に愛されたひと・・・6作品
第3章 数奇な人生を辿ったひと・・・6作品
第4章 権力に翻弄されたひと・・・6作品
カラー画像は、表題作24作品と、比較できる作品や写真が1~2枚。
絵画に描かれた美貌のひとたち、第二弾。
描かれた背景、描かれた時代、描かれた人物、そしてエピソード。
善悪を超えて魅了する彼らの美貌の真実を探る。
自らの美貌を知るが故の、誇らしげな美しいドヤ顔。
美貌故の悲劇の、到来を予感させる顔。
ある者たちは伝説の中から姿を現す。
また、ある者たちは虚実あれども、時代に、権力に、運命に
翻弄され、稀なる人生を歩む。
儚き美貌の椿姫。ワイルドを翻弄したダグラス卿。
憂いの瞳のベアトリーチェ・チェンチ。
コンピューター関係で名を残した、エイダには、驚き。
アニー・オークレーは、絵よりも写真の方が美しいなぁ。
男であれ、女であれ、その美貌を残した彼らは、
数奇な人生と運命をも、共に残し、後世に名を残している、と。
第二弾も一気読み。読み易いし、
比較できる作品や写真が見やすいのも、良かったです。
Posted by ブクログ
様々な「美貌のひと」が紹介されていて楽しめました。
「美貌のひと」というと「美人の女性」イメージがありましたが、何人か男性も紹介されていて、なるほどって思いました。
どの絵もすばらしく、絵が描かれた背景や作家やモデルについて知ると、より絵を楽しめるなぁと実感しました。
中野京子さんの本は、そういう意味でとてもいい本だと思います。
Posted by ブクログ
上手いなぁ
あいかわらず 読ませてもらえる
中野京子さん
今回は「美貌のひと 2」
前作
「1」も堪能させてもらえましたが
今回も優るに劣らず
「へぇーっ」「ほおーっ」
と感心、感嘆しながら
読ませてもらえました。
中野さんの文章が素敵なことは
言うまでもないことですが
「新書」という形であるのに
そこで語られる「絵画」が
実に鮮明に「印刷」されていること!
今の時代だからこそ
生み出された一冊ですね
Posted by ブクログ
類まれなる美貌というのは、ドラマチックで数奇な人生を送る一因になる。平凡な人生とかけ離れた、美男美女の人生を垣間見るのは楽しい。肖像画がどれも見目麗しく、好みの人を見つけるのも楽しみの一つになる。自分はウォルター・シッカートのダンディズム溢れる肖像画が好き。